夢千代日記

SHIMAちゃんの徒然日記・雑記

「釣りバカ日誌20 ファイナル」

2009年12月29日 21時20分39秒 | Weblog
 シリーズ開始から22年、通算22作と長く慕われてきた、みんなが知ってる国民的人気シリーズ。お決まりのシーンでホッとするところと、楽しさがあったこの作品も、ついにファイナル。
 鈴木建設にもリストラや不況の波が押し寄せてきた。業績悪化の中、会長の鈴木一之助は、業績が回復するまで、給料を全額返金したいと申し出る。そんな中、たまたま浜崎伝助は契約に成功。その褒美として、北海道へ釣り旅行へ会長と共に出かけることに・・・。
 北海道で会長・スーさんの亡き親友の娘・葉子やその娘・裕美、そして裕美の恋人・俊介の騒動に巻き込まれるが、浜崎・ハマちゃんのとりなしで無事に解決。しかし、その北海道旅行のあとにスーさんが心労で倒れてしまう。スーさんの安否は?そして鈴木建設の行く末は?
 近作では特に、環境問題やゼネコン疑惑、釣り人のマナーなど世相を反映した内容も共感部分のひとつとなっていた。ただ、キャストの高齢化やストーリーの行き詰まりを考えると、ファイナルもいたし方ないのかもしれない。しかし、娯楽映画として果たしてきた役割は大きい。このファイナル、映画としての楽しさがてんこもり。ファイナルとしてふさわしい
 西田敏行のハマちゃんと三国連太郎のスーさんもこれで見納め。ハマちゃんの愛妻・みち子には浅田美代子。そして、今回のゲストには、松坂慶子、吹石一恵、塚本高史。もちろん、おなじみのレギュラーメンバーも勢ぞろいしている。監督は朝原雄三。

「ブタがいた教室」(DVD)

2009年12月27日 12時32分13秒 | Weblog
 6年2組担任の星は命の大切さを知ってもらおうと、クラスでブタを飼って、育て、食べることを提案する。これに生徒たちは大乗気。ブタに『Pちゃん』という名前を付けて育て始める。
 実際にあったエピソードを映画化。なぜ今こういう物語が映画化されるのか、現代の学校教育や、家庭教育の根源が揺らぎ、荒廃し、共に語ることや考えることなどが欠落してきているからかもしれない。「ブタがいた教室」の教育のあり方は極端な教育方針かもしれないが、一つのありかたではあるのだろう。
 担任の星を演じる妻夫木聡は、演じる感じではなく、自然な形で子どもたちが議論できるように努めている。演技ではあるが、子どもたちの議論に注目。ブタを育てるイキイキとした子どもたちの表情も見逃せない。
 『食べるか食べないか』観る人も一緒に考えながら観ることになるだろう。

「牛の鈴音」(韓国映画)

2009年12月26日 23時00分17秒 | Weblog
 おもしろい!こんなドキュメンタリーを観たことがない。変わらないこと、ゆっくりなことが素晴らしい。価値観がずれてきた今の時代だからこそ、必要なものがあるはずで…。
 韓国では、インディペンデント系である今作がメジャー作品を押しのけて週間興行成績1位を獲得した。興味をそそられる作品。編集には相当の手間がかかっていると思われる。
 田舎の農家。15年という牛の寿命を遙かに越えて、40歳にして今なお役牛として働く牛。その牛と、無農薬、昔ながらの手作業で農業を営むおじいさんの静かでゆっくりな日常を追う。
 79歳のおじいさんと30年に渡って働いてきた牛。牛の命があと一年と知ったおじいさんの牛への愛情がせつない。
 そして、頑固なおじいさんと、一緒に農業を手伝うおばあさんのキャラクターが最高だ。
 無駄なナレーションを排除。この映画では、おばあさんの不満や愚痴が心を揺さぶるナレーションの役目。セリフではないこの言葉が、時に笑わせ、泣かせる。文明の進歩がもたらすものすべてが、人を幸せにするわけではない。ほしいものが簡単に手に入ることの不自由さ。成果主義のバカバカしさ、ゆっくりなことのありがたさを知る。
 牛の命は、おじいさんの命。生きる存在そのもの。゛生命゛のメッセージを感じとれるであろう。積み上げられた薪を見て、あなたも胸を熱くするはずだ。
 自身が農家出身で、役牛がいたというイ・チュンニョルの初長編作品。
(シネマート心斎橋にて)

「パブリック エネミーズ」

2009年12月18日 23時51分31秒 | Weblog
 主人公は、実在した伝説のアウトロー、ジョン・デリンジャー。
 大恐慌の時代、ジョン・デリンジャーは銀行強盗として、゛黄金時代゛を築いていた。FBIは、彼を゛社会の敵(パブリック・エネミー)゛として指名手配していた。
 デリンジャーは、大胆不敵な犯行を繰り返しながらも、弱者からはお金を奪わないという独自の考え方を持ち、多くの国民は彼に魅了されていた。
 また、ビリーという美女と知り合い、危険な身でありながらも二人は愛し合うことに…。
 監督は『コラテラル』のマイケル・マン。主演は、このところ海賊や工場長などの個性的で奇抜な役が続いていた、ジョニー・デップ。  クールなジョニデに酔いしれたいところだが、銃撃戦が多くて、疲れてしまうかも
 ビリーには、『エディット・ピアフ 愛の賛歌』で名演技を見せた、マリオン・コティヤール。

「沈まぬ太陽」

2009年12月12日 09時19分31秒 | Weblog
 その日、私は仕事もそこそこに、職場でテレビをつけ、報道特別番組をずっと見ていた。生存者が救助される、その場面も目にやきついている…。
 今年、噴出したJALの惨状と、この映画の公開。何かの因果か。
 しかし、映画は映画である。まずは、あの壮大なスケールと緻密な展開の原作を映像化したことに敬意を表したい。キャストやスタッフの熱い思いがヒシヒシと伝わってくることは、間違いない。
 昭和30年代。国民航空の労働組合長として、職場の環境改善に取り組んだ恩地 元は、懲罰人事として、パキスタンに左遷される。僻地勤務が続くはずがないと思っていた恩地であったが、イラン、そして路線の就航もないナイロビへと辞令が出る。一方、共に組合で頑張ってきた同期の行天四郎は、恩地を裏切り組合を抜け、エリートコースを歩んでいた。10年に及ぶ海外赴任のあと、本社に復帰した恩地だったが、待遇が変わることはなかった。 
 そして、ジャンボ機墜落という航空史上最大の事故が起こる。そこで、遺族係りを命じられた恩地は、想像を絶する光景に直面する…。
 政府は事態を収拾するため、国民航空の新会長として経済界より国見を招くが…。
 長編小説の映像化には限界がある。しかも、原作のイメージが強ければ強いほど、あのシーンはこう撮ってほしかった。あのキャストのイメージが違うとかは思うもの。この作品も、その感があるのは否めないが、視点をどこに置いて観るかなので、大作としてはよく仕上がっている。政治腐敗と、企業の組織と責任について問う、骨太の一作。政治腐敗や企業理念の崩壊、家族の絆といった普遍的なテーマで、現代に語りかける。勇気を持って強く生きろ…というメッセージも伝わってくる。
 あの時の総理大臣や閣僚の顔が浮かぶ。時間のある人は、ぜひ原作本を読んでいただきたいと思う。
 信念を貫く主人公・恩地 元には、渡辺謙。エリートコースを歩みながらも苦悩する行天四郎には、三浦友和。夫を理解し、支え続ける恩地の妻に鈴木京香。ほかにも、大作らしい豪華キャストが揃った。  

「理想の彼氏」

2009年12月08日 12時14分07秒 | Weblog
 前半は結構ハチャメチャな展開。NYという大都会の描き方も皮肉を交え、強烈。子役の言葉づかいの悪さもいただけない。
 だが、後半に入ると話はぐっと現実的になる。それこそが本題だ。
 年上で落ち着いた男性との結婚を望んでいたサンディ(キャサリン・ゼタ=ジョーンズ)は、夫に浮気されていたことに気づく。そして、離婚。二人の子を連れ引っ越し、就職をし、人生の再スタートを切った。
 友達から紹介される男と次々に会うが、どれも前の夫と似たような者ばかり。男性を紹介されることなど、うんざりしていたサンディが恋に落ちたのは16歳年下のフリーター・アラム(ジャスティン・バーサ)だった。
 だが、40歳バツイチ、二人の子連れというサンディにとって、24歳の彼は、結婚には現実的な相手とは考えられず…

 ゛理想゛を上げるというよりは、本来の自分とどう向き合うかということで、やりたいことが見えてくるということではないだろうか。
 そういう意味で、将来に向けてどう準備するかが大切。単に恋愛重視で終わっていない点は評価できる。
 「理想の彼氏」という邦題が、現代の風潮に迎合しすぎな感あり。タイトルから受けるイメージより、大人向き。

「今度は愛妻家」(試写会)

2009年12月02日 23時18分13秒 | Weblog
 タイトルを聞いて、内容的にあるイメージが湧くかもしれない。ダメ夫が妻に離婚をつきつけられて、反省して、゛今度は愛妻家になります゛みたいな。しかし、この映画はそんな単純なことでは終わらない。いい意味で、裏切られる映画だ。もともとは、舞台作品だが、主役夫婦に豊川悦司と薬師丸ひろ子と、゛映画゛としての役者が揃った
 夫でも妻でも、恋人でも、家族でも、大切な人はそばに居て、自分の隣で静かに明かりを灯してくれる。ありきたりの言葉になるけれど、そういうことなんだと思う。
 メガホンをとるのは、日本の若き名匠・行定勲。40歳を超え、新たなスタンスを取り始めたことが、今作でうかがえる。主演二人の掛け合いだけでなく、共演の石橋蓮司の役に注目。物語のキーマンなのだが、その演技が秀逸!だ。
 かつて、売れっ子カメラマンだったのに、今はダラダラしているだけのダメ夫、北見俊介。そして健康マニアの妻、さくら。結婚10年目を迎え、妻は、強引に子づくり旅行のため沖縄に夫を誘う

 1年後、相変わらずダラダラと過ごし、写真を1枚も撮らない俊介。そして、さくらからは「子供を作る気がないなら、別れて」と言われる。俊介は、出て行ってしまった妻との軽口をなつかしむが…。
 夫婦の愛情などが、やわらかに、ゆるやかに伝わってくるストーリー。中年夫婦の話ではあるが、できれば、その世代ではない人にも見てほしい。
 井上陽水が歌う主題歌とともにエンドロールが流れ始めても、座席は立たない方がいいだろう。
(2010年、1月16日公開)