夢千代日記

SHIMAちゃんの徒然日記・雑記

団塊世代へのオマージュか?「魂萌え!」

2007年02月23日 20時00分16秒 | Weblog
 古くは「どついたるねん」」、新しいところでは「ローレライ」と、比較的男臭い作品を手がけてきた阪本順治監督。阪本監督作品で女性をテーマにしたものと言えば名作といっていい藤山直美主演の「顔」があるが、「顔」は狭い世間で生きていた女性が妹を殺害後、これまでより世間に紛れて゛何とか生きていこう゛とする泥臭い女性の話。この「魂萌え!」は、普通の主婦が夫の死後、゛自分のこれから゛を見つけて生きようとする一般的と言っていい女性の話である。
 定年を迎えた夫が、突然亡くなってしまう。途方に暮れてしまう敏子だったが、夫に愛人がいたことがわかる。子どもや愛人のことで振り回され、疲れてしまった敏子は家を飛び出し、カプセルホテルで少しの間を過ごす。カプセルホテルでの出会い、夫の仲間との出会い、同級生の仲間の励ましがあり、いろんな困難と向き合いながらも敏子は新たな一歩を踏み出して行く。
 毎日新聞に掲載され、大反響を呼んだ桐野夏生の同名小説を映画化。主演に風吹ジュン、夫に寺尾聰、夫の愛人に三田佳子。敏子の同級生役である、藤田弓子、由紀さおり、今陽子の3人が仲のいい友だちを快演している。また、阪本作品常連の豊川悦司も、物語のスパイスとなる役として出演している。敏子の娘には、このところ「赤い月」などの大作で、゛大女優゛としての域に達したとも言える常盤貴子が、フツウの娘を演じているが、それが新鮮に感じられる。
 夫の愛人役である三田佳子の演技に、もう少し゛品゛があった方が愛人を作るわけに納得ができた気がする。単なるヒール役に感じられたのが惜しい。
 人は年を重ねるごとに、これまでできたことができなくなったりと、喪失するものが増えていく。身近な人が亡くなるというのも゛喪失゛である。゛喪失゛をうまく受け止めていくことで、新たな一歩を踏み出せるだろう。

これぞ、蘇った角川映画か?「蒼き狼 地果て海尽きるまで」(試写会)

2007年02月19日 23時00分17秒 | Weblog
 構想27年、あの角川春樹氏が壮大なスケールで放つエンターテインメント作品が「蒼き狼 地果て海尽きるまで」である。モンゴルの英雄チンギス・ハーンの生涯を描く今作は往年の゛角川映画゛らしく、オール・モンゴルロケで総製作費30億円がつぎ込まれている。
 12世紀末のモンゴルでは、部族間の闘争が繰り返されていた。戦いに負ければ、男は殺され、女は゛戦利品゛として扱われていた。モンゴル部族の長の息子として生まれたテムジン(のちのチンギス・ハーン)は、彼らの始祖・蒼き狼の生まれ変わりとして大切に育てられる。しかし、テムジンが14歳のとき父親が毒殺されてから、父の部下たちに見捨てられる。母が対立する部族の出身であり、しかも略奪されてきたときにはすでにテムジンを身ごもっていたのではないかと疑っていたからだ。だがテムジンは、蒼き狼の血筋であることを自ら証明するため、゛モンゴルを統一する゛という壮大な夢に向かって走り始めるのである。そんな矢先、テムジンは最愛の妻・ボルテを敵の長に奪われ、10ヶ月後に妻を救出したとき…彼女は身重の体になっていた。やがて、息子が生まれるが、自分と同じ境遇で息子が生まれたことにテムジンは苦悩する。それでも、モンゴル統一に向け、テムジンは走り続けるしかなかった。
 テムジンを演じるのは、「男たちの大和/YAMATO」で角川春樹作品に登場を果たしている反町隆史、その妻には菊川怜、母ホエルンに若村麻由美。監督は「Wの悲劇」で角川作品を飾っている澤井信一郎。CG技術に頼らない壮大な戦闘シーンは、製作総指揮をつとめる角川春樹氏の真骨頂と言えよう。゛大作゛が好きな人には見逃せない作品か。脇に回っている松方弘樹や津川雅彦というベテラン陣には、バラエティー番組への出演が影響しているせいか゛何か゛を期待してみてしまう。