夢千代日記

SHIMAちゃんの徒然日記・雑記

ウーマンリブvol.15 「もうがまんできない」

2023年05月25日 22時57分46秒 | Weblog

  

2020年に上演予定だったが、新型コロナウイルスの影響で中止となった宮藤官九郎

作・演出の大人計画の舞台。同年にwowowオリジナルとして無観客で収録したもの

が放送され、今回初めて有観客公演として上演される。

劇中では、東京・渋谷の裏街を舞台に、解散寸前のお笑いコンビ(仲野太賀.永山

絢斗)やデリヘル嬢と店長、その客、浮気妻と間男というような訳ありな人々の物

語がノンストップで描かれる。

東京公演は5月14日で終了し、5月18日から31日までは大阪のサンホールブリーゼ

で上演されている。

 

何が始めるのか?と思うオープニングから、テンポ良く芝居は進む。上演の2時間

5分があっという間だ。阿部サダヲは第一声から「今日は声がいつもと違う!」

というし。皆川猿時など、大人計画のメンバーがはじけているが、その中に参加し

ている仲野太賀と永山絢斗も目一杯楽しませてくれる。彼らも含めて芝居巧者ばか

りだが、オープニングはこの二人のコントから…しばらくしてから、コント練習だ

とわかる展開だ。

どこからどこまでがアドリブなのか?東京公演が終了し、かなり熟した状態の舞台

となっている可能性があり、それらのやりとりにも注目だ。仲野太賀が途中で笑う

のをがまんするほどのきわどさ。今日的な微妙なセリフもあるが、これは3年前に

上演するはずだったもので、深く考えないでおく。

最後に、これは外せないこと。阿部サダヲと平岩紙の身体能力がえらいことで発揮

される。驚きと笑い。特に、“紙さんはそこなの??”の場面があり、注目せずとも

注目してしまうということを記しておく。

そして、“本当に紙のように色白“の紙さんでした!細いし!

 

そしてそして、コントで始まったお話は、漫才で終わりとなる。舞台転換なし。

各々で進んでいた話が取っ散らかっているようでいて、そうではない。すんなり

落ちる。この仕掛けの運び方が、宮藤官九郎らしいところ。

 

 


『最後まで行く』

2023年05月21日 21時31分58秒 | Weblog

最後まで行く

韓国で大ヒットを記録した『最後まで行く』は第67回カンヌ国際映画祭の監督週間招待

作品に選出され、中国、フランス、フィリピンでもリメイクを制作。フランス版『レス

トレス』は、今年2月Netflixグローバル映画ランキング1を位獲得。

今回、その作品が日本でもリメイクされた。監督は日本アカデミー賞作品賞を受賞した

『新聞記者』の藤井道人。主演の刑事・工藤には岡田准一、対決する監察官・矢崎を綾

野剛が演じる。

 

年の瀬が押し迫った夜、刑事の工藤は母が危篤であるという妻(広末涼子)の電話を受

け、激しい雨の中で車を走らせていたが、そこに、上司からヤクザの親分(柄本明)か

らの不正入金の件を責任を取れという連絡も入る。どっちも切羽詰まった問題で心の中

がいっぱいいっぱいになっていた工藤は、さらに妻からの着信で母が亡くなった知らせ

を受ける。急ぐ工藤だがその時、彼の車の前に飛び出してきた男(磯村勇斗)を跳ね飛

ばしてしまう。必死で、車のトランクに遺体を乗せ、やっとのことで葬儀場に着いた工

藤は、今度は母の棺桶に男の遺体を押し入れ、母の遺体とともに火葬しようと試みる。

その時、「お前は人を殺した。知っているぞ」というメッセージが工藤のスマホに入る。

メッセージの相手は、県警本部の監察官である矢崎。彼は、工藤の不正はうやむやにす

ることを条件に、驚きの交換条件を出してきた。

 

逃げては追い、追っては逃げるの連続で息をつかせぬクライムサスペンス。岡田准一と

綾野剛の必死のやりとりが実は滑稽。本当のボスが後ろにいて二人は躍らされているだけ。

二人が真剣にやりあっている場合ではないのに、やりあってしまう。もう、ここはコメデ

ィ。

最後に残るトカゲ(柄本明の台詞)二匹。そこが、この映画の本質である。だが、あまり

そのオチの展開に新鮮さを感じることができず。予告編が良くできていておもしろかった

と思う。

心にぐっとくるシーンがないので、そこを描いてほしい人には物足りなさがあるかも。た

だ、岡田准一と綾野剛という二人の対比を楽しみたい人にはうってつけだろう。

出演は他に、駿河太郎、山中崇、黒羽麻璃央、山田真歩、杉本哲太など。


『ウィ、シェフ!』

2023年05月17日 20時23分41秒 | Weblog

ウィ、シェフ!

一流レストランでスーシェフを務める女性カティは、シェフと大ゲンカをして店をやめて

しまう。しかし、やり手だが気の強いカティを雇ってくれる店はなかなか見つからない。

やっとのことで見つけた職場は移民の少年たちが過ごす自立支援施設。食材も器材も満足

に揃っていない。施設長のロレンゾに不満を訴えるが、少年たちをアシスタントにすれば

いいという。

とはいえ、言葉も違い、文化も違う上に、食材の名前も知らず、切り方もわからない子ど

もたちをどう指導すればいいのか。少年たちもカティの厳しさについていけない様子。だ

が、自分の料理を知ってほしい、ちゃんとマナーやルールを知ってほしいと思うカティは、

年たちを本気で料理人にしようと、ある方法で立ち上がる。

 

『シティハンターTHE MOVIE 史上最香のミッション』のオドレイ・ラミーがカティ役。

『最強のふたり』のフランソワ・クリュゼが施設長のロレンゾを演じる。監督は『社会の

片隅に』のルイ=ジュリアン・プティ。

フランスは移民大国。移民たちがフランスに残るには、学校に行き、資格を取れるように

なること。

実在のシェフであるカトリーヌ・グロージャンをモデルに描いたフランス映画コメディ。

意外なラストが社会問題解決の一助となる。


『劇場版 TOKYO MER~走る緊急救命室~』

2023年05月14日 22時28分37秒 | Weblog

劇場版TOKYO MER 走る緊急救命室

主演が鈴木亮平、2021年に放送されたTBSの人気ドラマから映画化。

映画館やスペシャルドラマが放送された時に流れた予告編を観たことがあれば、

劇場版の流れ、内容はほぼわかってしまう物語と展開が想像できていたが、そこ

はスクリーンとしての迫力映像となっている。

 

MERとは、「モバイル・エマージェンシー・ルーム」の略称。都知事(石田ゆり子)

の命で新設された、救急救命のプロフェッショナルチームである。彼らの使命はた

だ一つ、“死者を一人も出さないこと”。医療チームはオペ室を搭載した大型車両=

MERカーで事故や災害現場へ駆けつける。

ある日、横浜ランドマークタワーで爆発事件が発生。数千人が逃げ惑う前代未聞の

緊急事態となる。「待っているだけじゃ、救えない命がある」“TOKYO MER”のチー

フ・ドクター喜多見(鈴木亮平)は現場にいち早く駆け付けるべきと主張するが、厚

生労働大臣はが新設したエリート医療軍団“YOKOHAMA MER“の鴨井チーフ(杏)は

安全な場所で待っていなければ、救える命が救えなくなる」と主張する。意見が対

立する両者だが、地上70階に取り残されたのは193名。爆発は次々と連鎖するように

起こり、人々に炎が迫る。炎と煙でヘリコプターは近づけず、非常階段にも炎が上が

る。絶体絶命の危機。

そして、その70階には、喜多見と再婚した千晶(仲里依紗)と同僚の看護師の夏海

(菜々緒)が取り残されていた。千晶は妊娠後期だが、現場で医師としての職務も

全うしていた。夏海も看護師としてチームに参加。千晶に切迫流産の危機が迫る中、

ついに建物に残されたのは千晶一人。絶望的な状況になった時、喜多見はかつて最

愛の妹・涼香(佐藤栞里)を失くした悲劇が頭をよぎる…。喜多見は千晶とお腹の

子どもを助けることができるのか…。

 

冒頭にも記したが、展開はすでにわかりきっている。ラストも”きっと、ああいうふう

になる”という想像どおり。驚きはないが、ハンカチのご用意を。

そこに、非常時の群集心理やドラマ時同様に官僚の既得権益も描かれていて、他人事

でない視点が身につまされる。また、鈴木亮平演じる喜多見チーフの部下への指示が、

的確で落ち着いていて素晴らしいという言葉しか浮かばない。

賀来賢人、中条あやみ、小手伸也、佐野勇斗、フォンチーとドラマのTOKYO MERの

メンバーに加えて新しいドクター役としてジェシー(SixTONES)が加わった。ほか

に、徳重聡、古川雄大。

また、要潤、渡辺真起子、橋本さとし、鶴見辰吾はドラマの役を引き継いで登場して

いる。

監督は、松木彩が務め、脚本は「グランメゾン東京」「マイファミリー」の黒岩 勉。

 

エンドロールは、出演者名とともに一般の医療現場の写真が次々と映し出される。い

つもありがとうございます。そう心でつぶやきながら、感謝。


『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 運命』

2023年05月03日 23時03分55秒 | Weblog

映画『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -運命-』オリジナル・サウンドトラック (特典なし)

2021年、実写映画興行名No.1だった『東京リベンジャーズ』。

今回は、”血のハロウィン編”として前編と後編で公開される。原作で“もっとも泣ける”

と言われているエピソード。そのすべてを実写化するために、2部制となった。

 

命を救えたはずの元カノ・ヒナタ(今田美桜)が凶悪化した東京卍会によって再び殺さ

れた。しかも、今度はタケミチ(北村匠海)の目の前で。彼女を救うカギは、仲間のた

めに命を張れる東京卍会結成メンバー6人の絆を引き裂く事件。

誰が黒幕なのか、敵なのか、味方なのか。かつての親友たちがなぜ戦う運命になったの

か。そして、ついに10月31日のハロウィンが始まる。

 

上映時間が2時間ないので、ケンカシーンで次々出てくる出演者を整理しているうちに

映画が終わる。この前編は後編への繋ぎという感じは強いが、重要な要素が含まれてい

るので、その世界観を味わうことは大事である。そして、上映前に表示されるように、

本編の後にも映像が流れるので、エンドロールを最後まで観ておくこと。

出演者は前作に続き山田裕貴、杉野遙亮、鈴木伸之、真栄田郷敦、磯村勇斗、村上虹郎、

間宮祥太郎、そして吉沢亮など。

相変わらず、若手有力俳優が目白押しの作品。よくこれだけ集まったものだと思う。そ

れがまたこの作品を大ヒットさせた理由でもあろう。演技のぶつかりあい、未来の生き

残りをかけた戦いは映画の中だけではなさそうだ。

高良健吾、永山絢斗という少し上の世代も今回から参加していて、重要な役割を果たす。

後編となる“決戦”は、6月30日公開。


『茶飲友達』

2023年05月02日 23時07分20秒 | Weblog

茶飲友達

2013年10月、高齢者売春クラブが警視庁に摘発された。クラブの会員数男性1000名。

女性350名。最高齢は88歳。

まさに、超高齢社会の日本が抱える問題と不安が入り交じった事件がモチーフ。

 

まるでシェアハウスのように仲間がいて、老若男女が集まりワイワイしているような

がある。佐々木マナ(岡本玲)は、高齢者専門のコールガール「茶飲友達(ティーフ

ンド)」を設立。新聞の三行広告に「茶飲友達、募集」と掲載し、希望する男性の元

へ高齢女性を派遣するビジネスを始めた。

在籍する通称“ティー・ガール”たちの中には、介護生活に疲れた女性、ギャンブル依存

の女性、窃盗癖のある女性など様々な事情を抱えた者がいる。一方で、マナと共に「茶

飲友達」を運営する若者たちもまた、閉塞感のある社会の中で何かを抱えて生きている。

そんな彼らをマナは「ファミリー」と呼び、疑似家族のような絆を育んでいた。

 

“ファミリー”と寄り添いながら、自身も孤独を抱えて生きるマナを、朝ドラ「純と愛」

「わろてんか」や映画『弥生、3月ー君を愛した30年』などで幅広く活躍する岡本玲。

監督は、2021年公開『ソワレ』を手がけた外山文治が務めた。”疑似家族”である高齢者

売春クラブを通して、現代社会の閉塞感や孤独感、貧困問題がギュッと詰まった作品。

笑うことろは全くないが、おもしろい。物語が進めば進むほど内容はリアルに。そし

て”疑似家族”の終わり方は…。正義と悪、必要悪? 需要と供給? WIN×WINの関係?

言葉は適切ではないが、すべてにおいて考えさせられる。

 

本作は、ENBUゼミナール「シネマプロジェクト」が手がける第10弾作品。上田慎一郎監

督作品『カメラを止めるな!』など、商業映画とは一線を画する刺激的な映画を作り出し

てきている。インディーズ映画ファンの中では、すでに注目を集めている作品である。

出演は他に、渡辺哲、磯西真喜、海沼未羽、佐野弘樹など多数いるが、それぞれに重要

な役割を担っている。

(十三・セブンシアターにて)