2020年に上演予定だったが、新型コロナウイルスの影響で中止となった宮藤官九郎
作・演出の大人計画の舞台。同年にwowowオリジナルとして無観客で収録したもの
が放送され、今回初めて有観客公演として上演される。
劇中では、東京・渋谷の裏街を舞台に、解散寸前のお笑いコンビ(仲野太賀.永山
絢斗)やデリヘル嬢と店長、その客、浮気妻と間男というような訳ありな人々の物
語がノンストップで描かれる。
東京公演は5月14日で終了し、5月18日から31日までは大阪のサンホールブリーゼ
で上演されている。
何が始めるのか?と思うオープニングから、テンポ良く芝居は進む。上演の2時間
5分があっという間だ。阿部サダヲは第一声から「今日は声がいつもと違う!」
というし。皆川猿時など、大人計画のメンバーがはじけているが、その中に参加し
ている仲野太賀と永山絢斗も目一杯楽しませてくれる。彼らも含めて芝居巧者ばか
りだが、オープニングはこの二人のコントから…しばらくしてから、コント練習だ
とわかる展開だ。
どこからどこまでがアドリブなのか?東京公演が終了し、かなり熟した状態の舞台
となっている可能性があり、それらのやりとりにも注目だ。仲野太賀が途中で笑う
のをがまんするほどのきわどさ。今日的な微妙なセリフもあるが、これは3年前に
上演するはずだったもので、深く考えないでおく。
最後に、これは外せないこと。阿部サダヲと平岩紙の身体能力がえらいことで発揮
される。驚きと笑い。特に、“紙さんはそこなの??”の場面があり、注目せずとも
注目してしまうということを記しておく。
そして、“本当に紙のように色白“の紙さんでした!細いし!
そしてそして、コントで始まったお話は、漫才で終わりとなる。舞台転換なし。
各々で進んでいた話が取っ散らかっているようでいて、そうではない。すんなり
落ちる。この仕掛けの運び方が、宮藤官九郎らしいところ。