夢千代日記

SHIMAちゃんの徒然日記・雑記

「妻が結婚した」

2009年10月29日 12時39分32秒 | Weblog
 映画『私の頭の中の消しゴム』で純愛を演じ、日本でも人気が高いソン・イェジン。そんな彼女が、二人の男性と゛結婚゛してしまうというとんでもない女性を演じているのが今作の『妻が結婚した』である。
 韓国で話題となったベストセラー小説の映画化。監督はチョン・ユンス、自由奔放な妻を必死で受け入れようとする夫にキム・ジュンヒョク。
 恋愛に関して、自由奔放なイナ。かわいい魅力を振りまく彼女は、同僚男性の憧れ。ドックンは、イナと結婚すれば、彼女を独占できると考え、やっとの思いで結婚にこぎつける。
 しかし、ドックンとの結婚後もあろうことかイナは恋人をつくり、結婚したいと言い出す。 
 前半は、ラブコメディのように軽快に物語が進む。観ていて微笑ましく思う場面も。ただ、後半から無理矢理のように真実味をおびたような展開になる。そして、どんどんと不快な気になるのはなぜだろうか。
 おそらく、それは観る者が゛常識゛にとらわれているからだ。
 しかし、他の人が演じると反感をかってしまうであろう役を、ソン・イェジンが持ち前の可愛さと憎めない笑顔で演じ切っているのは確かである。小悪魔的魅力を大放出している。
 ソン・イェジンはこの作品で、百想芸術大賞映画部門で最優秀演技賞を、青龍映画賞で主演女優賞を受賞している。
(2008、韓国)

「ヴィヨンの妻~桜桃とタンポポ~」

2009年10月19日 23時18分18秒 | Weblog
 まったく、どうしようもない男である。売れっ子作家になっても、生活費は家に入れない。お酒は記憶をなくすまで飲む。女にはだらしがない上に、貢がせる…。しかし、妻はそんな男を見放すことはしなかった。
 小説家の大谷は、妻子のことも顧みずに放蕩を続けていた。が、ある日、何年にも渡る酒代を踏み倒した上に、その店の売り上げ金を盗み、逃げ出す。大谷の妻・佐知は、警察沙汰にされないようにと、その飲み屋で働くことにするが…。
 太宰治の小説数編が原作。太宰自身が抱いていた自殺願望や入水自殺の失敗など、いくつかの本人のベースとなるものも描かれている。
 昭和20年代の日本家屋や町並み、時代背景がノスタルジーを誘う。アングルや映像が日本的で美しい。本を1冊読むつもりで鑑賞を。ちょっと難しいかもしれないが、邦画ファンなら観ておきたいところだ。
 太宰を思わせる主人公を大谷を演じるのは、浅野忠信。大谷の妻・佐知は松たか子。他に妻夫木聡、堤真一など。
 松たか子演じる佐知の、自分なりの夫の守り方、がポイント。監督の根岸吉太郎は、この作品でモントリオール映画祭監督賞を受賞。

「引き出しの中のラブレター」

2009年10月16日 21時29分13秒 | Weblog
 メールという手段が普通になってしまった今、手紙は特別な手段となってしまった。個人的な思いで言うと、メールは何かの用事を簡単に伝えるもので、手紙は改まって自分の思いを伝えるものではないだろうか。もちろん、年代によってメールの捉え方も違ってくるのであろうが。
 ラジオのパーソナリティである真生は、視聴者の『悩み相談』をしながら、自分の中に、どうすることもできない、もどかしい気持ちを抱いていた。仕事のことで父親とけんかしたまま、仲直りもせずに、父親は他界したのである。そして、49日が済んで、自分宛に残された父からの手紙を、真生は引き出しの中にしまってしまう。
 ある日、番組に届いた北海道函館の高校生・直樹からの手紙に心を動かされ、番組である企画を立てる。今まで伝えることができなかった゛想い゛をラジオを通じて届けたいと…。
 ラジカセや手紙、といったアナログなものが物語への郷愁をそそる。出演者もいわゆるアラフォーが中心なので、派手な演出はなし。主演の常盤貴子の控え目な演技に見応えと、関西弁に聞き応えあり。
 長崎から東京に来て、慣れない道に四苦八苦しながらタクシードライバーをする男。シングルのまま子どもを産む決意をした妊婦、真生が手紙をもらった函館の高校生の家族など、それぞれどう繋がっていくかが見どころ。
 ラストシーンをもう少し伸ばしてもよかったかも。すっきり、きれいに終わりすぎた感も…。
 出演はほかに、林遣都、仲代達矢、中島知子、八千草薫など。