夢千代日記

SHIMAちゃんの徒然日記・雑記

「クロッシング」(韓国)

2010年05月29日 21時08分29秒 | Weblog
 今、『クロッシング』現象がおきているという。映画の内容が口コミで広がり、観客を増やしている。北朝鮮の脱北者家族が物語の軸。
 北朝鮮の炭鉱町。元サッカー選手のキム・ヨンスは炭鉱で働き貧しいながらも、幸せを感じる生活をしていた。彼の友人は中国と北朝鮮を行き来していたので、少し裕福であったが、ヨンスに不満はなかった。
 慎ましく生きていたが、ヨンスの生活を脅かす事件が発生する。友人がスパイ容疑で家族もろとも軍部に連れて行かれた。また、ヨンスの妻は結核で、しかも妊娠しており、薬が必要だった。その薬は中国に行かないと手に入らない。それを知ったヨンスは、豆満江を渡る決心をする。薬さえ手に入れば、すぐに祖国に戻るつもりで…。そしてヨンスは、妻と息子のジュニを残し、中国へと向かう。
 社会の仕組みなど何も知らず、豆満江を渡ったヨンス。妻子のためにお金を稼ぎたい。避難した先で、あるインタビューに答えると、お金をもらえるという。ヨンスはその支援者に付いていくが、『企画亡命』の渦に巻き込まれていく。
 この映画は、ドキュメンタリーではない。多くの脱北者に取材を重ねて事実に基づいてストーリーを積み重ねている。実話の部分もある。だが、まるでドキュメンタリーを見ているかのようだ。ただ現実は、これは何十年も前の話ではなくて、現在形の話だということ。ある意味、現代の一家族の日常を描いているだけなのに、どうしてこんなに胸が締め付けられるのだろうか。生きていくことだけで幸せを感じられる、本来はそういうことなのだ。派手な映画が好きな日本の若い人たちに、観てほしい。朝鮮半島が不安定な情勢の中、日本に住む者として対岸の火事で済まされないこともある。
 主演はチャ・インピョ。彼は、この映画に彼ではなくて、他の有名な俳優がやった方がたくさんの人が観るからいいのではないかというような話をしていたことがあると思う(思う、で申し訳ない)。だが、圧倒的なスターが出演するより、今まで行ってきた社会貢献を鑑みても、現実味があり彼で良かったと思う。
監督はキム・テギュン。

「告白」(試写会)

2010年05月29日 01時23分29秒 | Weblog
 中学の女教師・森口悠子はシングルマザー。ある日、娘が学校のプールで死亡する。警察は事件性のない事故死と断定する。
 2ヶ月後。1年B組の終業式の騒がしい教室。女教師・森口悠子が言う「娘は事故死ではありません。このクラスの生徒に殺されたんです」と。すべてはこの告白から始まる。
 犯人は少年AとB。しかし、少年法により守られている彼らは、罪を問われることはない。森口悠子が選んだ彼らへの復讐の方法とは…。
 
 陰湿なムードを醸し出す。殺人やクラスでのいじめ。現代社会背景や家族関係の歪みも描き出す。最後は、誰が被害者で被害者でないかが、わからなくなる。森口が夜に路上で嗚咽し、笑いとも泣きとも言えないシーンでは、主演の松たか子は渾身の演技を見せる。森口が少年Aに話すラストの一言が重要だが、賛否両論があるかもしれない。だが、学校教育が崩壊していたり、家庭環境が崩壊している昨今、この話が絵空事ではないとも言えるだろう。
 
 息子を猫かわいがりする生徒の母に、木村佳乃。森口のあとに赴任する新米教師に岡田将生。
 これまで、ストレートプレイ、ミュージカル、コンサート、映画やテレビドラマと、いろいろな松たか子を観てきたが、これまでとは違う“負のオーラ”を出している。着実にキャリアを積んできた、彼女の新たなる一面を垣間見ることができるだろう。
 監督・脚本は『嫌われ松子の一生』や『下妻物語』などで、個性的な映像美を見せた中島哲也。今作品では殺伐とした映像を作り出し、それ自体が物語の展開を象徴する。これまでの中島監督作品との違いを確認する視点で、今作を観るのもいいだろう。原作は'09年本屋大賞に輝いた湊かなえの同名小説。

☆この試写会は、シークレットのプレミアム試写会だった。
主演の松たか子と中島哲也監督が登場し、インタビューに答えた。中島監督は女教師の役をどうしても松たか子にやってもらいたくて、原作に手紙を書いて松に送った。松さんが受けてくれなければ、この映画はできませんでした、と話した。松は、一気に原作を読み終え、とても難しい役だが、やりたいと思った。撮影は楽しく進んだと語った。
 また、冒頭の終業式のホームルームの台詞では、松が早口でしゃべるので、もっとゆっくりしゃべってと言いましたと、中島監督は語った。松は、緊張すると早口になるんです、と返していた。
(6月5日、公開)

「孤高のメス」(試写会)

2010年05月10日 23時45分49秒 | Weblog
 1989年が舞台。ある田舎町の市民病院に赴任してきた医師・当麻。その市民病院では大学病院から医師が派遣されているものの、意志は低下し、難しい手術の患者は1時間半かかる大学病院に搬送し、患者の助かる命も助けられない状態だった。しかし、目の前にいる患者を助けようという当麻を目の当たりにし、医師も看護婦も医療に対する意識が変わっていく。
 そんなころ、医療改革を掲げる市長は、議会途中に吐血し病院に運ばれきた。市長は、肝臓移植手術が必要な病状。しかし、手術の方法は生体肝移植しかない。そこに、完全脳死状態の患者の家族が、臓器提供を申し出る。「脳死肝移植」のタブーと向き合うことになる当麻だが…。
 当時はまだ、脳死による移植は法により認められておらず、生体肝移植による手術で、ドナー自身にもリスクが高かった。過去の医療が現在につながっているのは明らかで、医療は日進月歩だ。医療ミス、地域医療など、約20年前の話なのに、とても今日的で胸を打つ。医療において変わったものと、変わらないものとは何なのだろうか?問題を提示されている気がする。
 医師・当麻を演じるのは堤真一。当麻の赴任により、人間的にも成長していく看護婦・中村に夏川結衣。他にも実力派の演技人を揃え、重厚な見ごたえのある作品。興行を見込めるチャラチャラした役者が出ていない分、物語に引き込まれる。それが結果として、良作となっている。
 原作は現役医師でもある大鐘稔彦。監督は『クライマーズ・ハイ』で脚本を担当し、『ミッドナイトイーグル』などで監督を手掛けた成島出。
(6月5日公開)

「ダーリンは外国人」

2010年05月09日 00時54分20秒 | Weblog
 ダーリンが外国人だからと言って、やたらキスしたりしない。主役二人のベタベタしない距離感と、家族のさりげない関係が良い。だからと言って、アッサリし過ぎているわけではない。ほのぼのだけど、しっとり。バランス良く描けているのだ。そしてそして、日本語の美しさと複雑さを改めて知ることになるはずだ。トニーが、若者言葉にツッコミを入れるのが痛快(トニーとしては精神的に辛い場面だけど)。
 語学オタクのアメリカ人トニーは、日本語の『華』という字の美しさに一目惚れして、日本にやってきた。さおりとトニーは仕事を通じて知り合い、付き合うこととなる。さおりはトニーを両親に紹介するも、父には外国人との付き合いを反対され、自分と仕事の向き合い方も見直すこととなり・・・。
 日常の何気ない文化の違いや、視点の違いが面白く描かれていることに共感。ちなみに、トニーのさおりへのプロポーズも、英語ではなく日本語なのもポイントアップ。ド肝抜かれて下さい。
 主演は映画出演が続く井上真央。実は、彼女の映画作品が好評だ。『花より男子』は共演者のこともあり特別として、前作の『僕の初恋をキミに捧ぐ』でも涙を誘った。大作への出演ではないが、作品内容で勝負していると言ったところか。
 原作は、漫画家・小栗左多里の同名の人気コミックエッセイ。

「マイレージ、マイライフ」

2010年05月02日 12時28分19秒 | Weblog
 できるだけ他人に巻き込まれず、自分に必要なものだけを取捨選択して生きていたい。そうできれば、いいかも。と、問いながら過ごすことはないだろうか。
 リストラ宣告請負人が“飛行機会社のマイレージを貯めることが、人生”と日々を送っている。それがジョン・ビンガムだ。彼は、年間322日が出張で自宅にいるより、機内やホテルにいることの方が快適だ。必要なものは、バックパックに入るものだけ。それで良かった。
 会社に人生を捧げてきた人に“あなたはクビです”と告げるのは、かなりハードだ。ビンガムがそれが決まり文句のように宣告できるのは、2度と会うことがないから。仕事で人と会う以外は、煩わしいことは避けたい。しかし、そんなとき自分と似たような境遇の女性・アレックスと出会う。徐々に情が移り、彼女を愛するようになるビンガムだったが…。
 また仕事の面では、女性新入社員が合理化のためにチャットを利用することを提案していた。人との付き合いが煩わしいビンガムであったが、解雇通告を告げられる人の辛さを理解しているビンガムは、チャット通告の合理性には反対だった。
 不況にリストラ、そして合理化。現代の社会的背景を如実に取り入れた内容で、実際に現実問題をつきつけられている感じだ。
 生き方や目標を変えてみようと思うけれど、そんなに簡単にはいかない。無理にやりなれないことをしようとしても、落とし穴がある。やっぱり自分らしくやっていくしかない。ラストは、ハリウッド的ハッピーエンドではなく、ほろ苦。その終わり方が現実的でかえって良い。
 主演はジョージ・クルーニー。独身のジョージ・クルーニーのハマり役と言える作品となるだろう。

「パリより愛をこめて」(試写会)

2010年05月01日 12時47分41秒 | Weblog
 まず、タイトルで“聞いたことある”と思う人もいるだろう。そう、昔の007にあったような。で、この作品はラブ・ストーリーではない。そして、舞台はパリである。
 パリのアメリカ大使館員ジェームズ・リースは、実はCIAの見習い捜査官。ある職務を成功させ、捜査官へ昇進したリースが組むことになった“相棒”は、危険な捜査行動ばかりするワックスだった。
 麻薬密売組織をつきとめたリースとワックス。しかし、それは世界崩壊を狙うテロ組織につながっていた。しかし、事件解決に近づこうとしたその時、リースは情報がもれていることに気づく。誰が誰から情報を?裏切っているのは誰?
 ありえないカーチェイスもあるし、そんなセキュリティーでいいの?と思うこともある。でもそれは、話の展開に必須なのでアリということでいいでしょう。
 小気味よい展開。ストーリーも必要以上に長くない。爆音響く銃撃戦もアリとしましょう。
 原案はリュック・ベッソン、監督はピエール・モレルで、『トランスポーター』や『96時間』などを生み出してきたコンビ。主演は、ジョナサン・リース・マイヤーズとジョン・トラボルタ。ジョン・トラボルタはスキンヘッドにして、これまでの役柄とは別人のように、男臭い演技を見せる。
(5月15日、公開)