夢千代日記

SHIMAちゃんの徒然日記・雑記

『殿、利息でござる!』

2016年05月30日 10時38分13秒 | Weblog

江戸中期、仙台藩では財政が窮しており、 住民は重税を課せられ、生活は苦しく、破産や夜逃げする人が続出していた。宿場町の吉岡宿でも人々が困窮し、町は廃れていた。造り酒屋の穀田屋十三郎(阿部サダヲ)は行く末を案じていた。もっと、町民が暮らしやすくなるために、今こそお上に意見を上げたい。しかし、そんなことが簡単にできるはずもなかった。

だが、町一番の智恵者と言われる茶師・菅原屋篤平治(瑛太)から藩に1千両を貸付け、利息(労働の軽減)をもらうという秘策を打ち明けられる。

計画が漏れれば打ち首は免れないが、十三郎と仲間たちは、それでも奮闘する。

 

『武士の家計簿』で知られる歴史家・磯田道史による評伝「無私の日本人」の一編「穀田屋十三郎」を映画化。阿部や瑛太のほか、妻夫木聡、竹内結子、松田龍平、山崎務などが出演。それぞれが、ココ!という役どころだ。冒頭の山崎務のシーンを見逃すな!!  そして、仙台藩は舞台ということで、フィギュアスケートの羽生結弦が仙台藩の第7代藩主・伊達重村として出演している。

まあだいたいこんな感じか・・・と物語を想像できるが、後半になればなるほど引き込まれていく。後半にいけばいくほど驚きの展開。前半に蒔いていた種をきちんと回収していくのだ。そして、無私の心がぐっとくる。

何て、日本人て素晴らしくて誇らしいのだろうか。それを改めて感じることができる。

監督は『白ゆき姫殺人事件』の中村義洋で、時代劇初メガホンとなった。

 


『海よりもまだ深く』

2016年05月24日 08時40分58秒 | Weblog

2016年、日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞したのは是枝裕和監督の『海街diary』だった。その是枝監督の最新作が今作である。

生きるのは苦しい、しかし、もがきながらも最善を尽くして納得した人生をおくりたい。そんな思いの〝生きる”ことを真ん中に置いて見つめた作品である。登場人物に寄り添って撮影しているのが是枝監督の真骨頂。母の愛は、何よりも深い…と思える良作。とり返せない過去も含めて、一歩を踏み出すことも必要なのだなぁ。

映画のタイトルはテレサ・テンの楽曲である「別れの予感」の歌詞からとったもの。中高年にはすぐに思いついたであろう。

またここで、前作を持ちだすと、前作の母(大竹しのぶ)は、娘たちの手土産にデパート包装したと思えるものを持参してきた。すなわち、既製品だ。しかし、娘たちは四季を愛でで、手づくりのものを消費している。その描き方からも母娘には距離感があった。

一方、今作では母(樹木希林)が息子をもてなすものは、全て手づくりだ。 母が愛情をそそいだのは自分自身なのか、家族なのか、対比できる要素となっているのではないかと思う。

 

 15年前に文学賞をとったきりの自称作家の良多(阿部寛)はダメ人生を更新中。現在は探偵事務所に勤務するも、「小説の取材のため」と言い続けている。妻(真木よう子)には見限られ、離婚した。給料はギャンブルにつぎ込み、息子の養育費は滞納したままだ。団地に住む母(樹木希林)は良多の気がかりではあるが、相変わらず甘えたままで・・・。

ある日、台風の夜に集まった元家族。台風が過ぎれば元の生活に戻るとはわかっていても。。。

 

共演は、小林聡美、リリー・フランキー、池松壮亮、橋爪功と役者揃い。小林聡美は阿部寛の姉を演じているのだが、母役の樹木希林とのセリフのやりとりが自然過ぎて、普通さがすごいのである。秀逸だ。


『64-ロクヨンー前編』

2016年05月16日 11時01分58秒 | Weblog

 7日間しかなかった昭和64年。そのときに起こった未解決事件をめぐる物語。ピエール瀧を主演に、NHKのドラマでも放送されているが、キャストを替え、映画化された。

 昭和64年に起こった、通称「ロクヨン事件」。未解決のまま14年が過ぎ、時効まであと1年と迫っていた。三上義信はロクヨン事件を担当していた刑事のひとりでありながら、現在は警察の広報官を務めている。

交通事故の情報提供の件で記者クラブとは険悪となり、上司はロクヨン事件の被害者の父をデモンストレーションのためにも訪問したいといい、激務が続いている。さらに、‘鬼瓦’と言われる父の顔に似てしまった三上の娘は家出、失踪中で気の休まることはない。

そんな時、「第2の身代金誘拐事件」が起こる

 

警察の隠蔽工作、記者クラブとの対立、そして14年後に起こる新たな誘拐事件。事件は次々と起こる。息もつかせぬように、たたみかける。‘鬼瓦’と言われる顔を持つ人物に佐藤浩市は男前でニヒル過ぎるが、そこはまあ、なんと言ってもすごい迫力である。記者クラブは自分たちの主張するばかりで、三上目線で考えると腹立つ  自分たちで情報拾うことはないの?????でも人権無視の暴走は怖いし。

記者クラブとの関係が落ち着いたと思ったら、新たな誘拐事件が・・・そこで後編へ続く。いいとこで終わる。後編は見るしかないの、うまい構成である。長さは感じず、すぐに後編を観てもいい、と感じた

 

記者クラブの秋山を演じているのは、瑛太。この役はドラマでは、瑛太の実弟である永山絢斗が演じていた。この二人の演技の違いを見るのも、この映画を楽しむ観点のひとつ

物語の性質上、キャストは男祭りである。

佐藤浩市の他、広報室の三上の右腕である諏訪尚人を演じるのは綾野剛、広報室の紅一点・美雲志織には榮倉奈々、赤間には滝藤賢一、刑務部・二渡は仲村トオル。刑事部長には奥田瑛二、ロクヨン事件の班長だった松岡に三浦友和。ほかに、小澤征悦、柄本佑、吉岡秀隆、窪田正孝、椎名詰平、坂口健太郎など。

ロクヨンの被害者の父・雨宮には永瀬正敏、「第2の身代金誘拐事件」被害者の父には緒形直人。

また、三上の妻には夏川結衣、娘に来期の朝ドラのヒロインに決まっている注目の若手、芳根京子。

監督は瀬々敏久、脚本・久松真一。原作横山秀夫の同名小説である。主題歌は小田和正の「風は止んだ」。ぜひ、同曲を聴きながらエンドロールを観てほしい。

マニアとしては、榮倉奈々の髪型が『図書館戦争』の笠原で・・・。もっと戦えるやろう、と思う   違うけど

後編は6月11日公開。