GetUpEnglish

日常よく使われる英語表現を毎日紹介します。毎日日本時間の午前9時までに更新します。英文執筆・翻訳・構成・管理:上杉隼人

GetUpEnglishについて

毎日更新! GetUpEnglish Updates Every Day! Since April 1, 2006 (c) 2006-2025 Uesugi Hayato(上杉隼人)

PREDESTINATION

2019-01-04 00:48:08 | P

 年末年始、どこにも行かず、朝から晩までひたすら翻訳している。何冊か同時並行して進めているので、なかなか思うように進まない。中でもいちばん手ごわいのが、この本だ。

 https://yalebooks.yale.edu/book/9780300208832/little-history-religion

 すばる舎のイェール大学出版局「リトル・ヒストリー」シリーズの1冊だが、非常に苦しんでいる。

 英語もよくわからない表現がたくさん出てくるし、なにより世界の宗教に関する知識が絶対に必要だ。

 イスラーム教など、以下のとおり、頭を悩ます表現がこれでもかと出てくる。

It tells us that everyone’s final destination on the other side has already been fixed. The tickets have already been issued. In fact they were issued before we were born. This is called the doctrine of predestination. It’s an idea found in other religious traditions, including Christianity. Wherever it is found it is disputed because of its apparent unfairness and cruelty. But let us take it first on its own terms. Most religions see life on earth as a preparation for what comes after death. The theory is that if we live good lives and follow the precepts of our faith - such as the Five Pillars of Islam - we will be rewarded by God and welcomed into Paradise. But according to one way of reading the doctrine of predestination God has marked everyone’s paper before they’ve sat the exam. So why did God bother to send prophets to warn us to change our ways and work harder? Why struggle, why make the sacrifices of jihad, if our destiny is already fixed? We’re back with our old friend the infallible author whimsically writing the fate of his characters, some to joy and success and others to misery and failure.

クルアーンによれば、すべての人があの世で最後に行き着く先はすでに決まっている。切符はすでに発行されているのだ。実際には生まれる前から発行されている。これはイスラームでは「定命(ていめい)」と呼ばれる教義だ。キリスト教も含めて、ほかの宗教にも見られる伝統的考え方だ。定命の考えは、どこにおいても、その明らかな不公平さと残酷さのために論争の対象となる。だが、まずそのとおりに解釈してみよう。ほとんどの宗教では、この世の人生は死後の世界の準備と見なされる。よい人生を送り、イスラーム教の五行のような信仰上の教えを守れば、神からほうびとして天国で歓迎されるという説だ。だが定命の教義ではその解釈の仕方によっては、すべての人の試験用紙について、試験を受ける前に、神が採点を済ませていることになる。それならなぜ神はわざわざ予言者を送って、わたしたちの生き方を変えてさらに努力するように忠告するのか? わたしたちの運命がすでに決まっているのなら、なぜ苦闘するのか、なぜジハードの犠牲を払うのか? このような絶対的な著者がいるという考えは本書ですでに紹介した。登場人物の運命について、ある者には喜びと成功を、ある者には悲しみと失敗を、気まぐれにつづる著者のことだ。  

 2019/01/04 上杉隼人

 

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若い読者のためのアメリカ史

2019-01-04 00:01:00 | お知らせ

発売中です。

若い読者のためのアメリカ史 

ジェームズ・ウエスト・デイビッドソン (), 上杉 隼人 (翻訳), 下田 明子 (翻訳)

単行本: 464ページ

出版社: すばる舎 (2018/12/22)

言語: 日本語

ISBN-10: 4799107690

ISBN-13: 978-4799107690

発売日: 2018/12/22

【内容紹介】
航海者コロンブスの視点からはじまる
手に汗握る激動の500年
どのようにして今のアメリカ合衆国が形作られてきたのか。
利害がぶつかるなかで、人々は何を求め、いかに行動してきたのか。
本書では、衝突を繰り返し、大陸に広がり、多種多様な人々を抱え、
自由と平等のもとに結合しようと悪戦苦闘してきたアメリカの変遷をたどる。
大陸発見から現代までをその時代の人の目線で描き出し、
ひとつの物語のように繰り広げる躍動感にあふれた歴史書である。

【出版社からのコメント】
誰もが自由であるために、国家はいかに成長するべきか
本書はいかにしてアメリカ合衆国が成り立ったかを記す歴史書である。アメリカの物語は500年におよぶ瞠目すべきものだ。いかにして一国が途方もないほどさまざまな人たちを抱えながらひとつの大陸に広がっていくか、本書に記した。さらにアメリカの人々がいかにして自由と平等の旗印のもとに結合したかも論じた。アメリカのモットーは、国璽にラテン語で記されているE pluribus unum, すなわち「多数から成るひとつ」だ。国家の独立を宣言した創設者たちが強調したのは、アメリカ国民は、事実上すべての人間は、公平に創られ、生命、自由、および幸福追求の権利を保持するということだった。
一見、こうした自由や平等や単一といった考え方はほとんどおとぎ話というか、現実世界から遠くかけ離れているように思える。国内の数十万人もの住民は外から拉致されて奴隷として連れて来られたというのに、どうやって自由を宣言できるというのか? 国内の半分の人間――すなわち女性たちだ――が男性と同等の権利を与えられていないというのに、どうして創設者たちは平等を礼賛できるのか? 真にひとつに結合した国家が、非常に多くのそれぞれさまざまに異なる人たちを受け入れてはたして成り立つのか? 
あまりにたくさんの異なる人たち。あまりに違い過ぎて、自分とはまったく関係ない人たち! ほんとうにそうだろうか? 誰もがみな歴史を生き抜き、書き上げたいと願う。だが忘れてはいけないのは、歴史を読み解いて、書いて、記憶すればするほど、その行いも記憶されつつ歴史を生き抜く可能性もさらに広がるということだ。

【著者について】
著者─ジェームズ・ウエスト・デイビッドソン(James West Davidson)
歴史学者、作家。イェール大学で、アメリカ史研究により博士号取得。アメリカ史を詳細に調査・分析したうえで魅力的な物語として読ませる手法に定評がある。著書に、Virginia Teacher's Edition, America History of Our Nation(2011), They Say: Ida B. Wells and the Reconstruction of Race(2006), Nation of Nations (1981), Great Heart: The History of a Labrador Adventure(1988), After the Fact: The Art of Historical Detection(Volume 1[1981], Volume 2[1986])など。著作は全米の中学、高校の教科書として、多くの教師、学生に読まれている。

訳者─上杉隼人(うえすぎはやと)
翻訳者、編集者。訳書に『アベンジャーズ インフィニティ・ウォー』『マイティ・ソー バトルロイヤル』『スパイダーマン ホームカミング』『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー リミックス』『シビル・ウォー キャプテン・アメリカ』『スター・ウォーズ フォースの覚醒』『スター・ウォーズ 最後のジェダイ』(ディズニーストーリーブック)、ダイアン・ディズニー・ミラー+ピート・マーティン『私のパパ ウォルト・ディズニー』、デイビッド・A・ボッサート『ロイ・E・ディズニーの思い出』(講談社)、『スター・ウォーズ』I, II, III, IV, V, VI(講談社文庫)、ジョン・ル・カレ『われらが背きし者』(岩波現代文庫)ほか多数。

訳者─下田明子(しもだあきこ)
早稲田大学第一文学部卒業(専攻は英米文学)。企業で海外関係の業務に携わったのち、2000年から翻訳業。訳書に『エコ・デザイン・ハンドブック』(共訳、六耀社)、『パスタ』(共訳、クーネマン社)がある。

http://www.subarusya.jp/book/b377937.html

https://www.amazon.co.jp/dp/4799107690

【目次】
1鳥たちはどこへ導いた?/2空間と時のなかにおける大陸/3ひとつから成る多数 /4黄金時代と黄金の時代/5世界が衝突する時/6われはいかにして救われるか?/7天使たちと見知らぬ者たち/8好景気に浮かれる国/9公平と不公平/10啓蒙と覚醒/11願いごとは慎重に/12口論ではすまない/13平等と独立/14より完全な連邦/15ワシントンの懸念 /16自由の帝国 /17大衆の味方/18綿花王国/19焼き尽くされて/20フロンティア /21国境を越えて/22今後の事態/23どう再建するか/24次なるブーム/25襟の色/26二都物語/27 新西部/28幸運か勇気か?/29進歩派 /30衝突/31大衆/32ニューディール/33世界大戦/34超大国/35世界の終わり/36あなたかもしれない、あるいはあなたかもしれない/37雪崩/38保守派の転換/39つながる/40過去はさらに問いかける 訳者あとがき

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