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日常よく使われる英語表現を毎日紹介します。毎日日本時間の午前9時までに更新します。英文執筆・翻訳・構成・管理:上杉隼人

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毎日更新! GetUpEnglish Updates Every Day! Since April 1, 2006 (c) 2006-2024 Uesugi Hayato(上杉隼人)

THIS

2020-02-09 08:52:07 | T

 GetUpEnglishをご覧いただいている方で、この単語を知らない人はもちろんいない。
 ただ、これが英語のむずかしさで、簡単な単語ほどたくさんの意味がある。
 thisには信頼できる『ルミナス英和辞典』の定義にあるとおり、

 4 [物語などで初めて話題に出る人・物を指す単数名詞につけて] 外字 《略式》 ある 1 人の[1 つの] (a certain). 【語法】 不定冠詞よりもいっそう聞き手に臨場感を与えるための用法.

として使われることがよくある。
 今日のGetUpEnglishはこの語のこの意味の使い方を学習する。
 そのルミナスの定義に、以下の用例が記されている。

○Practical Example
  Then this old man came along and asked me for a dime. 
「すると 1 人の老人がやって来て私に 10 セント貨を恵んでくれと言った」

●Extra Point
  この意味のthisは小説だけでなく、ノンフィクションや日常の会話でもももちろん使われる。
 訳了した本に、この表現があった。

◎Extra Example
  The last guest to arrive was Martin Kemp. He is the only member of the group who has since given accounts, in print and on a podcast, of the meeting. First, Kemp took a deep breath. He is keenly aware of the traps his fellow Leonardists are prone to fall into, and of the particular hazard that beholding a potential new Leonardo poses. ‘You can easily, by wishful thinking, start seeing what you want to see. You can make yourself look a big idiot,’ he told the Sunday Times. But on this occasion, he himself could not resist an instant reaction: ‘On the left, as I walked in, there was this painting that immediately had this presence.’ Luke Syson recalls, ‘I remember carrying it down the corridor from one studio to another and Martin Kemp meeting it, as we opened the door, and the look of recognition on his face.’ Kemp’s expression visibly changed as he realised ‘that this wasn’t a fool’s errand’.
最後にマーティン・ケンプがやってきた。『サルバトール』の存在を発表してから、仲間たちのなかでケンプだけが新聞や雑誌やポッドカストで会合について何度も口にしてきた。まず、ケンプは大きく息を吸い込んだ。同じダ・ヴィンチ研究家たちが陥りやすい罠も、新しいレオナルドの作品を持つことが生み出す特別な危険性も重々承知していた。「希望的な観測で、自分が見たいと思うものを見るようにたちまちなってしまいます。途方もない大馬鹿者になってしまいます」と『サンデー・タイムス』紙に語っている。だが、その彼もこの場では即座に反応せずにはいられなかった。「部屋に入ると、左側に即座にある存在感を感じさせる一枚の絵が置かれていました」とルーク・サイクスは思い出す。「確か廊下を通ってその絵をある閲覧室から別の閲覧室に運んでいったと思いますが、マーティン・ケンプはその絵を待っていて、ドアを開けると、それだよと言わんばかりの表情を浮かべたのです」。「無駄足じゃなかった」とわかって、ケンプの表情は明らかに変わったのだ。

 この本は英語はむずかしいうえに、フランス語もイタリア語もドイツ語もロシア語も出てくるので訳出は苦労したし、このあとの調整も苦しいことになるだろうが、大変読み応えがある。

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