毎日coronavirusの話題しかないし、みなさんもきっと不安を抱えていることと思います。
今はひたすら我慢の時です。
今日のGetUpEnglishもそれ関連の表現を学習します。
カナダのジャステイン・トルドー首相の妻ソフィーさんがコロナウイルスの陽性反応が出たため、首相は公邸から2週間自主的に離れ(in quarantine)、自宅の書斎で「テレワーク」をすることにした。
そのニュースに以下の表現があった。
○Practical Example
Canada has recorded more than 1400 cases and 20 death as of March 22. With the outbreak accelerating, Trudeau drafted measures to ramp up the battle against the virus from his ground-floor study.
「カナダは3月22日の時点で感染者数1400、死者は20人となった。コロナ拡散が懸念されるなか、トルドー首相は自宅の書斎からウイルス対策の強化案をまとめた」
as ofは、「(何月何日)現在で」。TOEIC L&Rなどはよく目にするので、以下の『ルミナス』の用例で覚えておこう。
As of April 1,1989, there were ten schools in this town. 1989 年 4 月 1 日現在で, この町には 10 の学校があった.
●Extra Point
GetUpEnglishで紹介するコロナウイルス関連のニュースはほとんどAsahi Weeklyから引用している。この新聞をAsahi Evening News時代からずっと、もう30年以上読んでいるが、今ほどこの新聞がありがたいと思ったことはない。(古い友人の和田明郎記者には心より感謝します。)
このあと、ニュースはこのようにつづく。
◎Extra Example
To maintain social distancing, he held a press conference in his garden with reporters lobbing questions from afar.
「十分な距離を置いて、首相は自宅庭園で記者会見を開き、遠くから出される記者の質問に答えた」
social distancing, social distanceは「社会的距離」だが、このさなかでは「人との(感染を避けられる)距離間」ということになる。
動詞lobは「〈ボールを〉弧を描くよう投げる」(『研究社 英和中辞典』で、from afarは「遠くから」
このようなニュースばかりだし、管理人もずっと家にこもっています。本業の仕事も「リモートワーク」になりつつあります。
でも、こんなときこそ、本を読みましょう。
Tim O’Brienの短篇“On the Rainy River“を村上春樹訳で再読したのですが、すばらしかったです。
This is one story I’ve never told before. Not to anyone. Not to my parents, not to my brother or sister, not even to my wife. To go into it, I’ve always thought, would only cause embarrassment for all of us, a sudden need to be elsewhere, which is the natural response to a confession.
この冒頭のフレーズ、村上はどう訳しているか、ぜひ見てほしい。実際、村上の訳はすばらしいというか、原文よりよい感じすらする。この翻訳によって、日本語の可能性を広げているように思う。
こちらも古い友人の白川雅敏が編集した『村上春樹ハイブ・リッド』で原文と村上の対訳が、さらには同梱CDにティム・オブライエンの朗読の音声が入っているという、まったく贅沢な1冊が新装版で発刊された。ぜひ手に取ってみてほしい。
著者 村上春樹、ティム・オブライエン、レイモンド・カーヴァー、柴田元幸
発売日 2020年02月18日
商品コード 7019060
ISBN 9784757433878
関連商品 「ハイブ・リット」シリーズ
商品詳細
日本を代表する翻訳家・村上春樹が偏愛する作品を選び翻訳し、アメリカ作家自身が朗読。海外文学を楽しみながら多面的にすぐれた英語に親しめる、朗読・原文・翻訳がセットになったハイブ・リットな本書で、ぜひ、一生モノのあなたの物語を見つけてください。
「ここに収められたレイ・カーヴァーやティム・オブライエンの作品からも、翻訳作業を通して、僕は大事なことを数多く学んだ」(『新装版 村上春樹ハイブ・リット』編訳者前書きより)
「ハイブ・リット」とは、hybrid(混成の)とliterature(文学)の合成語で、文学を楽しみながら多面的にすぐれた英語に親しめるCD-BOOK の呼称です。『新装版 村上春樹ハイブ・リット』なら、
1) 村上春樹が選んだ英語の短篇小説を原文のまま読めます。
2) 小説の作者自身が朗読する英語を聞けます。(※1)
3) 名翻訳者の訳を味わえます。
このCDブック(※2)で、ぜひ、あなたの心に響く物語を見つけてください。
※1 「ささやかだけれど、役に立つこと」「レーダーホーゼン」はアメリカ人ナレーターによる朗読です。
※2 Story 2、3は音声ダウンロードも可能です。無料アプリ「語学のオトモ ALCO」をつかってスマートフォンでお楽しみいただけます。
収録作品:
Story 1 レイニー河で/ティム・オブライエン(朗読:ティム・オブライエン)
Story 2 ささやかだけれど、役に立つこと/レイモンド・カーヴァー(朗読:グレッグ・デール)
Story 3 レーダーホーゼン/村上春樹(朗読:ジャック・マルジ)
【対象レベル】
中級以上
【目次】
編訳者まえがき 村上春樹… 004
英語と文学を楽しむ『新装版 村上春樹ハイブ・リット』 編集部編… 008
音声の活用方法 編集部編… 010
●Story 1 CD-A02-40
ON THE RAINY RIVER by Tim O’Brien
レイニー河で/ティム・オブライエン… 011
●Story 2 CD-B01-64
A SMALL, GOOD THING by Raymond Carver
ささやかだけれど、役に立つこと/レイモンド・カーヴァー… 071
●Story 3 CD-B65-96
LEDERHOSEN by Haruki Murakami
レーダーホーゼン/村上春樹… 153
著者・訳者紹介… 184
初出一覧・コピーライト… 185
村上春樹 プロフィール
1949年京都生まれ。『羊をめぐる冒険』(1982)、『ノルウェイの森』(1987)、『ねじまき鳥クロニクル』(1994-1995)、『海辺のカフカ』(2002)、『1Q84』(2009-2010)を代表作にもつ小説家。その一方で、オブライエン、カーヴァーのほか、J・D・サリンジャーやスコット・フィッツジェラルド、レイモンド・チャンドラーなど、多くのアメリカ作家作品の翻訳も精力的に手がけている。
ティム・オブライエン プロフィール
1946年ミネソタ州生まれ。大学卒業後に従軍したベトナム戦争をテーマに、作品を発表し続けている。戦場風景をリアルに描いた初期作品から、マジックリアリズム的な『カチアートを追跡して』(Going After Cacciato,1978)、ベトナム戦争とは一見無関係なTomcat in Love(1998)、『世界のすべての七月』(July, July, 2002)まで、作風は多岐にわたる。
レイモンド・カーヴァー プロフィール
1938年オレゴン州生まれ。短篇小説の名手であり詩人。「ミニマリスト」と呼ばれるもととなった、描写をぎりぎりまで削ぎ落とした文体を特徴とする。日常生活の中に潜む悲哀、絶望、希望を描く『頼むから静かにしてくれ』(Will You Please Be Quiet, Please?, 1976)といった短篇集を残す。村上春樹訳で全集が刊行されている。1988年没。
柴田元幸 プロフィール
1954(昭和29)年、東京生まれ。米文学者、東京大学名誉教授、翻訳家。
ポール・オースター、スティーヴン・ミルハウザー、レベッカ・ブラウン、ブライアン・エヴンソンなどアメリカ現代作家を精力的に翻訳。2005年にはアメリカ文学の論文集『アメリカン・ナルシス』(東京大学出版会)でサントリー学芸賞を、2010年には翻訳『メイスン&ディクスン(上)(下)』(トマス・ピンチョン著、新潮社)で日本翻訳文化賞を、また2017年には早稲田大学坪内逍遙大賞を受賞。文芸誌「MONKEY」(スイッチ・パブリッシング)の責任編集も務める。英検1級(優秀賞)。