今日のGetUpEnglishは2018年のMarvel映画Black Pantherにある名ゼリフを紹介しよう。
“Wakanda will no longer watch from the shadows. We cannot. We must not. We will work to be an example of how we, as brothers and sisters on this earth, should treat each other. Now, more than ever, the illusions of division threaten our very existence. We all know the truth: More connects us than separates us. But in times of crisis the wise build bridges, while the foolish build barriers. We must find a way to look after one another, as if we were one single tribe.”
これは国王ティチャラ(King T’Challa)のセリフであるが、赤字にしたところは少しむずかしいかも。
the illusions of division threaten our very existenceは直訳すれば、「分離の幻想がわれわれの存在を脅かす」であるが、これではまるで意味が通じない。
どんな言語も、こうした抽象的な表現を使う場合、その前後に必ずヒントや答えがある。この場合は、次の文We all know the truth: More connects us than separates us.が答えだ。「誰もが真実を知っている。人間は分裂するものではなく、たがいにつながりあえるものであると」。つまり、「人間はつながりあえる」というtruth(真実)に対して、人間は分裂する(division)というillusion(幻想、思い違い)があちこちに広がっていて(illusionsと複数形になっていることに注意)、それがわれわれの存在そのもの(our very existence)を脅かしていると言っているのだ。
文は論理的に解する必要があるし、特にillusionのようなa big word(a long, difficult word)を使って話が進んでいるときは、繰り返しになるが、前後に答えを見つけてその語の意味を正確に解することが必要だ。
以上から、以下のような日本語にできると思う。
これからのワカンダは陰から見ているだけではありません。それはもうできませんし、すべきでありません。地球上の兄弟姉妹としてたがいに助け合うにはどうしたらいいか、これからひとつの見本を打ち立てます。現在かつてないほど人間は対立するものであるという思い違いがいたるところに広がり、われわれの存在そのものが脅かされています。誰もが真実を認識しています。人間は分裂するものではなく、たがいにつながりあえるものであると。困難の時代に賢者は橋をかけ、愚者は壁を積み上げます。さながらひとつの種族として、たがいを受け入れる方法を見つけ出さなければなりません。
『ブラック・パンサー』は「第91回アカデミー賞において、史上初のアメコミ映画かつスーパーヒーロー映画として作品賞にノミネートされた。この回では作品賞を含めた7部門にノミネートされ、作曲賞・美術賞・衣装デザイン賞の3部門を受賞した」(Wikipediaより)。
現在、この本を読んでいるが、『ブラック・パンサー』からの名ゼリフもたくさん入っていて、実に面白い。
https://www.amazon.com/Part-Bigger-Universe-Unforgettable-Cinematic/dp/1368053815