安倍自己都合基準の遠藤農水相辞任劇

2007-09-03 06:42:47 | Weblog

 今朝の「朝日」に8月27日に内閣改造で起用されたばかりの≪遠藤農水相きょう辞任≫と一面トップに見出しが張り出してあった。<自ら組合理事長を務める「置賜農業共済組合」(山形県)が加入者を水増しするなどして、農業災害補償法に基づく共済掛け金115万円分を国から不正に受給していたことが発覚。遠藤氏は1日に記者会見し、不正受給を04年に把握していたことを認めたが、「農水相として最大限の努力をしていく」と述べ、辞任しない意向を示していた。>

 せっかく手に入れた閣僚の席、そう簡単には手離せないというわけなのだろう。だが昨夕のTBSテレビのニュースでは、安倍首相は続投のダメージよりも辞任のダメージの方が小さくて済むと判断した模様だというふうな解説をしていたから、本人が辞任は厭だと言っても、詰め腹を切らせる予定でいたに違いない。

 参議院で多数党を占めた民主党はもし辞任がなければ、参議院に問責決議案を出し、辞任に追い込むとの姿勢を示していたし、上記『朝日』記事も、<政府・与党内では問題を長引かせれば、臨時国会でテロ対策特別措置法案などの重要法案の審議が立ちゆかなくなるとの懸念が強まり、遠藤氏の早期辞任はやむをえないとの判断に傾いた。>としていることからも自発的な辞任ではなく、暗に要求されての辞任だということが分かる。

 だが、このような辞任劇のウラを返すと、続投させた場合の安倍内閣に対するダメージがたいしたことはないと計算できたなら、辞任させずに続投させるということで、不正の有無、あった場合のその質・程度を基準とした出処進退ではなく、安倍内閣の損得計算からの自己都合を基準とした出処進退であることを物語っている。

 言ってみれば遠藤農水相は自らの不正とその処理の不始末の責任を形の上では取る辞任となるだろうが、実質的には安倍内閣の損得計算からの自己都合の犠牲となった辞任ということになる。

郵政造反組の復党も参院選挙を有利に運ぼうという損得計算からの自己都合を基準として決定事項であろう。一次内閣の閣僚の不適切発言や事務所費疑惑でも、損得計算の自己都合から擁護する側にまわり、それらが合わさって参院選で裏目に出て、吉とならずに凶と出た自己都合となってしまった。

 最近口にすることが少なくなったという「規律を知る凛とした美しい国づくり」なるアピール。言っている本人が社会的な「規律」を判断基準に「凛と」行動するのではではなく、自己都合の損得計算を判断基準として行動し、自らのアピールを裏切っていることに気づきもしない。気づかないまま、今後とも言える機会を選んで「規律を知る凛とした美しい国づくり」をアピールするに違いない。やはり単細胞のなせる技なのだろう。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする