(メーリングリストで17日(07.9)に配布された文章です。既に読んだ人もいるかもしれませんが、転送・転載自由ということで、それ以外の人の参考のために掲載します。発言者に「~氏」の敬称が付いていましたが、略すことにしました。代わりに太字にしました。行操作と空白詰めを行った箇所があります。文言そのものは何も手をつけておりません。字数の関係で2日に分けて掲載します。
一読して感じたことは、出演者自体が興味本位にスキャンダルを追う方向の次元の低い話題に終始しているのだが、政策とかは一種のモノづくりで、なお且つ共同作業だから、それなりの体裁を持たせることができるが、人間それぞれの活動は自己利害や打算、権力欲などを動機とした低い次元で蠢いているものだということ。そう感じた箇所は下線を引きました。
以下配布文書です。)
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超長文で申し訳ありません。以下の文章を転送・転載なさる場合は、御自由にどうそお願いいたします。
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杉並区のマリネッリ恵です。
9月12日(水) 、朝日ニュースターの「ニュースの深層Evolution」を見ました。出演者は次の方々でした。
平野貞夫(ヒラノ・サダオ) --- 元衆議院事務局職員、元参議院議員
上杉隆(ウエスギ・タカシ) --- ジャーナリスト、『官邸崩壊』の著者、当番組火曜担当メインキャスター
宮崎哲弥(ミヤザキ・テツヤ) --- 水曜担当メインキャスター(評論家)
堤未果(ツツミ・ミカ) --- 水金曜担当サブキャスター(ジャーナリスト)
12日の20時の放送ですから、麻生幹事長が次期総裁候補の本命だろうと思う人が多い段階です。未だ福田氏の名はあまり出ていません。興味深い部分をお伝えいたします。
なお御発言はなるべく正確にお伝えしますが、文中・文末のですます調などは省かせて頂く場合があります。
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宮崎:安倍さんの辞任というのは、これは驚きました。どうお感じになりました?
堤:もうすごいショックですね。国民が辞めてほしいという民意を出した時には辞めないで、「新しくやります」と言った直後に辞めてしまう。
宮崎:所信表明演説の直後に辞めるなんて、私はね、TBSの「ピンポン」という番組をやってた時に、その第一報が入ってきたんですけど、戦後政治史上に残る稀に見る事件だという風にコメントしたんですが。これはまあ、珍事ですよねぇ。
堤:政治って、もう少し重いものじゃないんですかねぇ。職場放棄・・・・
宮崎:職場放棄なのかっていうことも、議論していきたいと思うんですが。与野党の本格論戦、代表質問が始まるその矢先に、突然の辞任でした。この背景にはいったい何があるのか。どういう動きがあったのか。それと今後の政局ですね。いったいどうなってしまうのか。
今日は、衆議院の事務局にもお勤めになって、国会というものを知り尽くしているこの方にゲストに来て頂きました。
堤:元参議院議員、平野貞夫さんです。平野さんは小沢さんの側近としても、小沢手法などを知り尽くしているという、そういうお方です。
宮崎:小沢手法だけではなく、色んな手法を知り尽くしている、もともと自民党の方ですから、この方。
平野:よろしくお願いいたします。
宮崎:自民党の手の内も知り尽くしている方。ただね、私は安倍さんを追い込んだ二人の人物がいると思うんだけど、政界では小沢一郎さんですよね。小沢一郎さんの知恵袋ですから。
平野:いえいえ。
堤:間接的に追い込んだという・・・
宮崎:そう、そう言っても過言じゃない。そしてね、もう一人、安倍さんを追い込んだ人が来てくれるんですね。(未だ到着なさっていない)
この本『官邸崩壊』の著者です。上杉隆さん。お馴染みの火曜日の深層キャスター。そうとう官邸が機能不全に陥っているということを、あからさまにしてしまった訳ですね。これもね、私は安倍さんを追い込んだ一つの原因だと思ってる。
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宮崎:ただね、与謝野官房長官が、病気が第一の原因だろうと言われてましたが、病気ならばこういう辞め方があるとは、ちょっと考えにくいですよねぇ。どうですか。
平野:宮崎さんおっしゃるようにね、120年くらい続いた明治からの議会政治の中で、初めての異常事態ですね。
宮崎:ええ。
平野:私はね、年内、健康状態が原因でね、もう職は続けることが出来ないだろうという予測してまして、対外的にも、或いは訊かれた時にも、そういう解説をしていたんです。
ただおっしゃるように、所信表明というのは、政権を続けるという・・・、安倍さん個人の問題じゃありませんからね。これを途中でぶん投げるっていうのは、議会政治の否定じゃないですか?
宮崎:そんなに病状が悪いんだったら、病気で辞めるんだったら、代理を立てられるわけですから、
平野:そう、そう、そう。
宮崎:そういうような措置をするのが、行政の長としての役割ですよねぇ。
平野:そうです。
宮崎:だから結局わたしは病気という形は取られなかったということだと思いますね。
平野:あの、石橋湛山さんが総理になって、病気になって、で、岸信介さんを代理に立てられて・・・
宮崎:本日のスペシャルゲスト(いつもはゲストは一人)、お馴染みの上杉隆さんです。
上杉:よろしくお願いします。
宮崎:単刀直入に伺います。なんで辞めたの?
上杉:2週間くらい前から、士気というか、生気が失われていて、辞めるのは時間の問題ではないかと、まあこれ取材していてずっと言われていたんですね。
で、まあ今日ということではないですが、まあ近いうち、今月中はもう持たないだろうというのが、取材していて、ほんとうに身近に居る人の意見でしたね。
で、いくつか切っ掛けを言われてるんですが、まあ小沢さんの党首討論断ったというのは、あれはないというのが、総じての意見で。一つにはやはりこの、病気というか精神的にかなり追い詰められたんではなくて、もうその、最後に残っていた柱というか、意思の力というのが、折れてしまったというのが・・・
宮崎:けっきょく心が折れたということですよね。
上杉:ええ。
宮崎:心が折れたということですよね。心が折れるにしても、所信表明演説をしたばかりですから、なにか切っ掛けがあったと。
平野さんに伺いたいのは、安倍さんは少なくとも辞任の記者会見では、小沢さんに対して党首討論を申し込んだ。ところが、民心から乖離してしまった人とは話しても意味がないといって断られた。そこで自分は辞めざるを得なかったというような意味のことをおっしゃって、これは小沢さんが後に否定されましたよねぇ。大島国対委員長から今日来たばっかりで、そんな前から知らないと。真相はどうなんですか。
平野:私ね、きょう午後4時から1時間近く小沢さんと二人でね、話す機会があったんですがね。その事も話題になりましたが、党首討論とか代表質問とか、もちろん予算委員会の、表の討論を重ねて、そして問題点と、それから追求しなきゃいけない部分っていうのが出て来て初めて、そのトップの話っていう、党首会談っていうのが、政治の順序でしょ。全く唐突にですね、しかもマスコミの報道が先行して国対委員長のところに来たと。自分が断ったことを理由に辞めるというのは心外だと、はっきり言いました。
それからもう一つね、実質的に断ったという言い方を安倍さんしてましたね。
宮崎:してましたね。
平野:ここが非常にいやらしいところなんです。まあ安倍さんがいやらしいというより、大島国対委員長の手口なんですよ。私は彼の手口よく、衆議院事務局時代から知ってますからね。
まあ、山岡・大島の両国対委員長だったらですね、双方の真意はね、なかなか掴めませんわなぁ。 (^^;)
宮崎:じゃあ敢えて伺います。上杉さんでもいいけど、大島さんは、背後に居るというか、それは麻生さんですよね。そうすると麻生・大島ラインでいま平野さんが言ったいやらしい事をやったということになりますが、どうですか。
上杉:その可能性は無きにしもあらずですね。というのは、一昨日の所信表明が終わった後、昨日とか取材してると、まだ辞めるつもりはなかったんですね、昨日の夜までは。
宮崎:うん。
上杉:まあ少なくとも総辞職は考えていたんですが、一日でも長くやってみようという風におっしゃっていたんで。それが朝明けてなったというのはですね、これ実は、最初はTBSが報じるんですが、
宮崎:はい。私が番組で報じました。
上杉:ああ、そうですか。まあ、このニュース自体が麻生さんのサイトから流れていると。で、それも確実に「辞意」というわけではなくて、
宮崎:これはね、「党幹部に対して辞意を表明した」というのが第一報だった。
上杉:そうですよね。で、それに対して、もうやや流れをつくってしまったと、自民党のほうが。特に麻生さんの方が、流れをつくった形跡が充分ありましたね、今日の午前中には。
宮崎:だからね、私はこの党幹部というのは、間違いなく麻生幹事長だという風にコメントしたんですよ。
とはいえじゃあなんで、この時点で辞めることになったのかっていうのは、辞意を表明することになったのか、解からない。だから麻生さんは、月曜日から知ってたっていう風に言ってるわけですよね。どうしてなの、これ?
上杉:週末からですね、まあいくつかの要素が考えられるんですが、政治とは別にメディアのほうの動きがあって、一つには「週刊現代」が来週というか今週末に・・・、安倍さんの脱税問題で取材を行っていたんですね。これ、実は脱税といって、まあ各紙夕刊で打ったりですね、NHKも最近流してましたけど、実はこれは安倍さんが勘違いされた部分があると。
で、これ、中身を説明すると、要するに25億円のお父さんの時代からの遺産を相続する時に、お母様の洋子さんから安倍さんに渡したと、その遺産の部分を、貰った部分を。で、これが寄付行為ではなくて、マネーロンダリングをしたということで、取材をされていたんです。
が、実際はこれ今年の3月に「東京スポーツ」に藤本順一さんというジャーナリストが、もう書いてまして、ここは実はセーフだったと。
宮崎:要するに「週刊現代」の記事の内容というのは、結論というのは、相続税を脱税したという形になってるわけですねぇ。
上杉:ええ。
宮崎:ところがそれはセーフだったと。
上杉:セーフだったのを、安倍さんは、この部分で更に隠してることが実はあってですね、そこの部分が突っ込まれるのではないかと、要するにやや勘違いして少し怯えていたんです。
宮崎:要するに、彼としては非常に致命的な意味をもつ、その本件が出て来たのではないかという風に思ったと。
上杉:ええ。それは週末に確かに、近い人に洩らしていました。非常に気にしていたと、この取材に関しては。で、それが一つにあってですね、ただ安倍さんも「週刊現代」もお互い違うところを勘違いして、思い込んでしまったというのが、一つの要素としてありますよね。
宮崎:その本件というのは、致命的な意味をもつんですか。
上杉:そうですね。ただ時効で、同じく相続税の部分ですが、実は25億円、これ相続税払うんですが、12億はもちろん配偶者である洋子さんが払って、残りの部分をご兄弟で分けてるわけですね。これはもうクリアーしてます。ただその他に、25億円のほかにですね、はっきり額は申し上げられないんですが、未申告の部分が実は晋太郎先生があって、そこの部分を追求して来るんではないかと、誤解されていたようなんですね。
宮崎:平野さんね、そういう週刊誌記事というので、総理大臣が辞めるっていうの、あるのかしら。
平野:これはね、やっぱり安倍さん本人の精神状況の問題でしょうね。
宮崎:ああ、既にその前にそうとう追い詰められていた。
平野:それとね、宮崎さんがご指摘のこの辞め方の背景にね、ぼくは謀略的なものがあると思いますね。
宮崎:謀略的なもの!
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(安倍辞任劇と照射し合う日本の政治文化(2)に続く。