次の衆議院選挙で政権党を決めることとして、それまで国の政治を不安定とする衆参ねじれは阻止されるべき
「NHK」記事――《政府案最終調整 道筋は不透明》10年4月29日 4時44分)が、〈沖縄のアメリカ軍普天間基地の移設問題で、政府は鹿児島県徳之島に基地機能をできるだけ移すとともに、現行案を修正し、沖縄県名護市のキャンプシュワブ沿岸部の浅瀬に杭を打ち込んで滑走路を作ることなどを軸に、政府案の最終調整を進めてい〉ると伝えている。
これが鳩山首相が党首討論で言っていた“腹案”ということなのだろうか。鳩山首相自身が「国外、最低でも県外」と言ってきたにも関わらず、何ら進展を図ることもできず、こじれていた中で「腹案がある」とさも成算あるが如くに請合ったからには、「最低でも県外」を実現させる起死回生策でなければ恥をかくことになると思うが、自身が否定してきた現行案にほんの少し修正を加えて肯定する矛盾を犯す県内主体なのはとてものこと起死回生策から程遠い口先だけの“腹案”に過ぎなかったことの露見でしかない。
また首相自身も常々言っている「沖縄の危険除去・負担軽減」にしても、「国外、最低でも県外」を基準とした目標としなければ国民との契約違反(=公約違反)となるはずだが、県内主体・一部県外では申し訳程度の目標遂行となって、契約(=公約)を果たしたことにはならない。
記事の中で、鳩山首相が最大で1000人規模で部隊や訓練の一部を徳之島に移転することを考え、全国の自衛隊の基地で日米合同の訓練を行うことを検討していることを伝えると同時に沖縄県で県外・国外への移設を求める県民大会が開催されたこと、徳之島でも移設に反対する集会が開催されたこと、アメリカ側も徳之島への基地機能移転は部隊の運用の観点から難色を示している上に地元の同意を交渉の前提としていることを挙げて、政府案の最終調整は「道筋は不透明」であると解説している。
このような状況下で連立政権内にあって県外移設を強硬に主張している社民党の福島党首の動きを《「連立離脱の段階でない」 普天間移設で福島氏》(msn産経/2010.4.29 18:18)が次のように伝えている。
昨29日の記者会見で、昨年12月に辺野古移設を政府が決めた場合、「重大な決意」と連立離脱を示唆したことに関して、「全く変わらない」とその意思に変化のないことを表明したが、「今は連立離脱の話をする段階では全くない。鳩山首相と全力を挙げて問題解決に頑張る」と語ったと。
これを額面どおりに受け取ると、最後のカードとしているということになるが、あるいは状況に応じて妥協もあり得るという余地を残したサインと受け取れないこともない。
大体が連立政権の一翼を担う社民党が県内移設絶対反対の姿勢を取っているにも関わらず、政府案が県内移設・一部県外で最終調整に入ったというのは連立政権としての整合性を欠く。社民党を無視しているというなら、整合性は取れる。但しそういうことなら、福島党首の“連立離脱”カードは何の効き目もないことになる。
だとしても、政府案どおりに県内移設・一部県外で決着をつけた場合、鳩山首相の「国外、最低でも県外」という国民との契約も自ら破ることになる。ただでさえ多くの国民の信用を失って支持率を政権維持の危険水域にまで下げている鳩山首相にとって極めて重大なダメージとなるに違いない。参議院選挙に与える影響も大きいだろう。
このようなダメージを避け、国民向けの信用回復には「国外、最低でも県外」の契約に立ち返る以外に道はないはずだ。
その方法として九州にある自衛隊基地の一つをアメリカ側に明け渡し、そこを普天間基地の県外移設先とする方法がある。九州には陸上自衛隊駐屯地が3箇所、航空自衛隊基地が4箇所存在する。そのいずれかを引き渡す。
勿論条件が必要となる。普天間基地のすべての機能(兵員・設備)の受け入れ可能な自衛隊基地の存在である。もし存在しないと言うなら、米側が要求しているヘリ部隊と地上部隊の一体的運用可能120キロ以内距離を満たす2箇所を「国外、最低でも県外」の契約に添うことを絶対条件として明け渡して分散するしかない。
移転先の住民にとって、日本の基地がアメリカの基地に入れ替わるだけで済む。危険が増すということなら、訓練も分散すればいい。
明け渡した自衛隊基地機能は各地の自衛隊基地に分散統合する。