――民主党に衆・参両院過半数のチャンスを――
平均年齢69歳平沼新党の党名が決定。『どっこいしょ たちあがれ日本』だとさ。
これは平均年齢69歳に合わせた、それにふさわしい命名ということから、芥川賞作家でもある石原慎太郎都知事が考えついたのだろうか。
《平沼新党、名称は「たちあがれ日本」 石原都知事が命名》(asahi.com/2010年4月7日13時50分)――
当初4人まで国会議員を集めたものの、政党要件を満たす5人目確保のために自民党議員にリクルートをかけたが、その一人中山恭子・元拉致問題担当首相補佐官からは、「全く考えていません」と釣り落とし、鴻池祥肇元防災担当相からは、「平沼さんと一緒に進もうと思ったが、理念や国家観が違う方と一緒にできない」と性格の不一致を告げられ、リクルートならず。
後者の断り理由を記事は、〈与謝野氏が郵政民営化を進め、平沼氏の保守主義とも距離を置くことなどが理由とみられる。〉と書いている。郵政民営化推進派の与謝野馨と郵政民営化反対派の平沼赳夫が同じ船に乗る。自民党内に反対派と賛成派が雑居していたこととは違う。『どっこいしょ たちあがれ日本』と新たに新党を立ち上げる仲間として集うについては、一つの政策が相反して双方に不利益があっても、普通不利益を補って有り余る恩恵を国民に約束できる別の大きな政策や理念で一致できる場合などに限られるが、昨7日付の「NHK」記事――《新党へ 基本政策で詰めの協議》(10年4月7日13時21分)は政策に関しては今週10日の新党結成公表に向けて6日に続いて7日も基本政策などを詰めることにしていると書いているのみで、新党立ち上げメンバーが国民に恩恵を約束できる、共に一致している大きな政策や理念の旗の元に集っているというイメージが見えてこないから、掲げる政策を後から拾い集めるといった後付の政策作業でしかないようだ。
このことは4月3日の自民党離党前の園田幹事長代理の熊本県山都町の講演の発言が証明している後付性である。
《園田氏 新党で与党を追い込む》(NHK/10年4月3日17時55分)
園田「自民党から多くの仲間を連れて行き、党を分裂させてケンカをしようという話ではない。民主党に反対したい人たちを自民党だけで吸収できないのであれば、別の党を作ってなるべく多くの人を吸収し、左右から挟み撃ちにして民主党をやっつければいい」
「夏の参議院選挙で勝ち、参議院で与党にならなければならない。参議院選挙で勝つことが最低条件であり、ありとあらゆる方法をやらなければ、絶対に民主党に勝てない」
勿論、政策や理念についても話したかもしれない。だが、それがメンバーに共通し、それを旗として集うこととなった政策や理念だったなら、既に表に現れてきてもいいはずだが、一向に見えてこない。いや、最初に見えてこなければならない旗印であろう。
政党要件を満たす5人目として、自民党の中川義雄参議院議員が昨7日午後に離党届を提出、新党に加わる意思を表明した。自殺した大物自民党代議士中川一郎の弟であり、09年のイタリア・ローマで開催のG7会議後に酩酊・朦朧記者会見して一躍世界に名を轟かせ、昨年の総選挙で落選後自宅で変死した中川昭一の叔父に当たる血統書つきの政治家である。
生年月日1938年3月14日。72歳。4人で平均年齢69歳の新党『どっこいしょ たちあがれ日本』の政党要件を満たす5人目の参加によって僅かながらに平均年齢をさらに上げる貢献は果たしている。
アジアの盟主と言われていた日本が今更ながらに『どっこいしょ たちあがれ日本』ということは、アジアの時代と現在言われていながら、盟主たるべき地位を中国、インドに奪われかけて凋落著しいことからの『どっこいしょ たちあがれ日本』ということだとしたなら、アジア全体を視野に入れた立党精神を示すべきを、示しもせず、「左右から挟み撃ちにして民主党をやっつければいい」といった程度では、あるいは平沼赳夫の「私の主張は我が国の伝統と文化と歴史を大事にすること。与謝野氏も反論はないと思う」といった程度では、日本という島国をちっぽけなコップにする、その中でのこせこせした争いにしか見えてこない。
先に自民党を離党、新党結成意志を見せたもののつまずき状態の鳩山邦夫が平沼新党加入に色気を見せていたが、新党の方から加える意志を差し伸べてくれず、面白い展開を見ることができたかも知れないのに残念ながら立ち消えることとなった。《鳩山邦夫氏“新党 現時点では不参加”》(NHK/10年4月6日17時22分)
4月6日国会内で記者会見。
「顔ぶれは立派な方々が集まっているが、国民を鼓舞するような要素はない。国民が沸き立つような、清新で活力にあふれた新党でなければ、民主党と対決できないという思いがある。もっと時間をかけるべきだった」
「私は『薩長連合だ』として、例えば、舛添前厚生労働大臣とも連携するような迫力が必要だと思っていたが、取り上げられなかった。私がそういうことを申し上げるようになってから、ずれが目立ってきた」
自民党総裁の地位を狙っている舛添が総裁の地位を得てからならいざ知らず、総裁の地位を得ないままに党を割った集団と連携する資格がないばかりか、離党する意志もないことに気づかずに「連携」を主張すること自体が認識不足としか言いようがない。思いを寄せていた女性に袖にされて、あんな女、たいしたことはないという悪口にしか聞こえない。
事実舛添は新党に関して、「一切、関係のない話だ」(毎日jp)と切り捨てている。
新党と鳩山邦夫との間のこのようなドタバタを見るにつけても、なかなかしんどい、島国というコップの中だけの、『どっこいしょ たちあがれ日本』にますます見えてくる。
与謝野馨にとっては晩節を汚す新党となるのか、人生の最後に一花咲かす新党になるのか、見所満載ではある。