石原都知事の外国人参政権反対、「帰化」発言

2010-04-20 08:42:20 | Weblog

   ――民主党に衆・参両院過半数のチャンスを――

 4月17日に日本武道館で 「外国人参政権に反対する国民大会」が開催。そこでの石原都知事の当然と言えば当然な発言が波紋を広げている。それぞれの発言は解説を加えながらいくつかに分けてあるが、纏めてみた。
 
《『与党は帰化した子孫多い』 石原知事》東京新聞/2010年4月18日 07時06分)

 石原都知事「帰化された人、そのお子さんはいますか(会場に呼びかけ)、与党を形成しているいくつかの政党の党首とか与党の大幹部は、調べてみると多いんですな。国会はずいぶん多い。インターネットの情報を見るとね。それぞれ検証しているんでしょうけれど。それで決して差別はしませんよ。(続けて朝鮮半島の歴史に触れ、韓国政府が清国やロシアの属国になるのを恐れて)議会を通じて日本に帰属した。彼らにとって屈辱かもしれないけども、そう悪い選択をしたわけではない」

 「ごく最近帰化された方々や子弟の人たちは、いろんな屈曲した心理があるでしょう。それはそれで否定はしません。その子弟たちが、ご先祖の心情感情を忖度(そんたく)してかどうか知らないが、とにかく、永住外国人は朝鮮系や中国系の人たちがほとんどでしょ、この人たちに参政権を与えるというのは、どういうことか」

 「与党を形成しているいくつかの政党の党首とか与党の大幹部は、調べてみると多いんですな。国会はずいぶん多い」・・・・

 要するに外国人参政権付与法案を推し進める中心人物、あるいは参政権付与に賛成する多くが帰化人だと間接的な言い回しながら断定している。その上で、そういった帰化人が主体となって付与する朝鮮系や中国系の多い永住外国人向けの参政権は問題だと言っている。

 社民党の福島瑞穂が石原都知事が言った「与党を形成しているいくつかの政党の党首とか与党の大幹部は、調べてみると多いんですな。国会はずいぶん多い」帰化人とは自分のことを指したと思ったのだろう、19日の記者会見で発言の撤回と、撤回しない場合の提訴を示唆している。

 《石原知事の提訴検討=「帰化」発言めぐり-社民・福島党首》時事ドットコム/2010/04/19-12:43)

 記事は、福島党首は〈自身を念頭に置いた発言だとの認識を示した。〉と書いている。

 福島瑞穂「私も両親も帰化した者ではない。発言は永住外国人の地方参政権に賛成してきた私の政治信条をゆがめ、踏みにじるものだ」

 インターネット上に前社民党党首の土井たか子や福島瑞穂が在日の帰化人だとする情報がまことしやかに飛び交っているのは知っていた。自民党政治に反対し、尚且つ反米、そして中国や北朝鮮に肩入れする政党の政治家を短絡的に帰化人と決め付けている構造の、根拠が甚だ怪しい情報と見ていたが、石原都知事は「インターネットの情報を見るとね。それぞれ検証しているんでしょうけれど」「検証」をその情報を流布している者に任せて、自らは自身の直感、あるいは客観的認識能力を通して真偽を判断する“検証”すらも介在させずにそれを事実と看做して自らの情報に付け加えている。

 著名な文学者でもある石原慎太郎になぜこのようなことが起きるかというと、自身が中国人や朝鮮人(韓国・北朝鮮人)に差別意識を持っていることから彼らに対するとき、本来の直感、あるいは客観的認識能力から離れて差別意識に染まった偏った混濁した直感、あるいは客観的認識能力と化すからではないのか。

 その発言が多くの国民に影響力を与える石原都知事が人種差別主義者であることは問題だが、それ以上に問題なのは、「ごく最近帰化された方々や子弟の人たちは、いろんな屈曲した心理があるでしょう。それはそれで否定はしません。その子弟たちが、ご先祖の心情感情を忖度(そんたく)してかどうか知らないが、とにかく、永住外国人は朝鮮系や中国系の人たちがほとんどでしょ、この人たちに参政権を与えるというのは、どういうことか」と国民が外国人参政権付与の判断とする基準に“帰化した”「与党を形成しているいくつかの政党の党首とか与党の大幹部」「ずいぶん多い」国会議員を間違った情報であるにも関わらず持ち出したことであろう。

 日本人の潜在意識に今も巣食って消えない中国人差別・朝鮮人差別を利用して“帰化”を根拠に反撥を誘い、外国人参政権反対意思を誘導するだけではなく、併せて参議院選で与党投票に有権者の拒絶反応を誘おうとする、極めて政治的な発言をそこに見ることができる。

 福島瑞穂が言っているように、「私も両親も帰化した者ではない。発言は永住外国人の地方参政権に賛成してきた私の政治信条をゆがめ、踏みにじるものだ」だけの問題ではないと言うことである。

 勿論、石原の言っていることが合理的な根拠を持った反対論なら構わない。アメリカに“帰化”したヒスパニック系国会議員がヒスパニック住民やまだ国籍を得ていないヒスパニック系移民の利益を代弁して不都合はどこにもないのと同様に、日本に帰化して国会議員、あるいは「政党の党首とか与党の大幹部」となった中国人、韓国・北朝鮮人が出自先の永住外国人や帰化した元永住外国人の利益を代弁してどこに不都合があるのだろうか。

 政治家は「国民のため」を言っても、すべての国民を平等に対象としているわけではなく、所詮対象に優先順位をつけて利害を代弁するに過ぎない。

 石原の人種差別に満ちた反対論は為にする(「ある目的をもって、また自分の利益にしようとする下心があって、事を行う」『大辞林』三省堂)卑劣で愚かな主張と言わざるを得ない。
 
 マスコミが伝える他の政治家の反対論も合理的な根拠を持っているようには見えない。
 
 《外国人参政権 亀井氏が反対》NHK/10年4月17日 17時9分)

 亀井静香国民新党代表「選挙は自殺者が出るほど過酷なもので、永住外国人への地方参政権の付与が日本を滅ぼすのは当然だ。法案はあっという間に成立するところまできており、国民新党が拒否権を発動しているから成立しない」

 言っている意味がどうも分からない。「自殺者が出るほど過酷な」「選挙」と「永住外国人への地方参政権の付与」がどう繋がるのか、さらに「永住外国人への地方参政権の付与」がどうして、どういうふうに「日本を滅ぼす」ことになるのか、その根拠、理由を一切示さないまま、「日本を滅ぼす」と言っている。乱暴な論理展開としか言いようがない。

 具体的な根拠提示が為されていたなら、マスコミが伝えないことはないはずである。

 自民党の大島幹事長も大会に出席して、「参政権が付与されたら、小さな村、小さな町で、小さな市、あるいは大きなところで帰化して日本国籍を持った方々が立候補して、参政権を与えられた永住外国人が投票することになって当選し、そういった方々に議会が占拠されて市長さん、知事さんが生まれたら、日本の安全はどうなるか、日本の主権が侵されることになる」といったことを声が篭って殆んど聞き取れない真面目臭って訴えていた姿を「YOU TUBE」で流していたが、一方で、「参政権が欲しければ国籍を取ることが基本だ」と反対派の“バカでもチョン”でもが言うことを言っていたが、もし大島が危惧する日本の主権を侵害するといったことを永住外国人が望んでいたなら、その方便として日本国籍を取って、とっくの昔に「市長さん、知事さん」を誕生させて、あるいは国会議員を大量に誕生させて、日本の主権を好きにしていたろう。

 そもそもからして外国人の多くが日本国籍を取得するのは生活上の便宜からで、血としている民族的主体性まで日本人になるわけではなく、あるいは自らの主体性まで他人になるわけではないはずである。

 このことは日本人が外国の地でその国の国籍を取得する場合に於いても同じことが言えるはずである。

 仲間内で日本国籍取得によって主体性が外見上疑われるということなら、その国籍取得(=帰化)は日本人になるためではない、市長さん、知事さん、国会議員の先生方を大量に誕生させるためだと公言して憚らなければ、外見上も主体性がどこにあるか証明できるわけである。

 いわば永住外国人から日本の主権を守ることについては彼らを永住外国人の地位のまま置いておくことも、彼らが日本国籍を取得することも条件とならないということである。

 自分たちが言っていることの矛盾に気づかずに反対を叫んでいる。その非合理性は潜在意識化に巣食っている人種差別という非合理性と合い響き合って生じた非合理性としての矛盾であろう。

 内心の外国人差別が言わせている外国人参政権反対であり、「日本を滅ぼす」ではないのかということである。

 (【チョン】(〔俗語〕「一人前以下であること」。例「ばかだの、ちょんだの、野呂間だのと/西洋道中膝栗毛」『大辞林』三省堂

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