菅直人首相就任で朝日新聞が6月4・5日に全国緊急電話世論調査を行っている。(参考引用)
《菅新首相「期待」59%、民主は回復 朝日新聞世論調査》(asahi.com/2010年6月5日22時57分)
新首相に「期待する」 ――59%
「期待しない」――33%
参院選比例区投票先
民主党――33%(鳩山辞任表明に伴う前回調査28%から+5ポイント)
自民党――17%( 同 20%から-3ポイント)
民主党幹事長の小沢一郎氏と距離を置く菅氏の姿勢
「評価する」 ――82%
「評価しない」――10%
菅氏が首相になることで民主党が「変わると思う」 ――42%
「そうは思わない」――49%
「変わると思う」人の中で菅新首相に「期待する」 ――87%
政党支持率
民主党――32%(前回29・30日調査27%)
自民党――14%(同16%)
民主党中心の政権への継続性
「続いた方がよい」――38%
「そうは思わない」――38%
(無党派層に関しては)
「続いた方がよい」――25%
「そうは思わない」――45%
政治への変化期待度
「大きく変わってほしい」――78%
「それほどでもない」 ――15%
衆院の解散・総選挙
「早く実施すべきだ」――33%
「急ぐ必要はない」 ――57%
昨年衆院選直後調査で首相就任が確実だった鳩山代表に「期待する」は63%だったということだが、それと比較した菅直人「新首相に期待する」が59%。民主党の政党支持率が上がったことと比較すると低い数字に見えるが、結果を見ないことには判断できないことを学んだ分、差引かれているのだろうか。
政権の形態に対する期待に関してだが、政界再編は政権担当により有利な状況を保持する勢力への付和雷同・加担のメカニズムが働いて巨大政党の形成に向かう危険があり、健全な競争原理を失う恐れが生じる。常に競争原理が働いて政権交代のある二大政党主体の国の形が望ましいのではないだろうか。
民主党幹事長の小沢一郎と距離を置く新首相の姿勢を「評価しない」10%に対して「評価する」82%と、評価が大勢を占めているが、これは「政治とカネの問題で国民の不信招いた」と反省、「全議員に関わることだから、襟を正していく」と「政治とカネ」の問題への決別を訴えていたことと、小沢一郎と距離を置く菅直人の姿勢が82%も評価を受けていることからも分かるように、いわゆる“非小沢系”の人事優先が評価されてのことだと思うが、昨5日深夜の首相官邸でのぶら下がり記者会見の発言から見ると、大分怪しくなってくる。「asahi.com」記事から一部参考引用。
《人事「全員が参加できる態勢に」5日の菅新首相》(asahi.com/2010年6月6日0時38分)
――政治とカネ問題で、小沢氏と鳩山氏が退いた後、なお説明責任を求める声も。菅さんはどう説明責任を果たすべきだと考えるか。
「まあちょっと、質問のまあ趣旨が、必ずしも、明確には読み取れないんですが、いずれにしてもですね、いろんなところで議論が出てくるでしょう。たとえば国会なら国会という場でですね、ですからそれはそれで、これまでの経緯もふまえて、新しい体制の中で、しっかりと検討すべきものは検討するし、進めるべきものは進めるし、できないものはできないし、それはそういう中で判断したいと思います」
大分歯切れが悪くなっている。もう触れずにそっとしておきたいという気持から出た歯切れの悪さに思える。
前置きが長くなったが、本題に入る。
菅直人新首相は財政再建策を打ち出している。
〈3日夜の記者会見で、政策の財源は行政の無駄削減で確保できるとした衆院選政権公約(マニフェスト)の見通しが甘かったことを認めた。〉と《財政再建、調整難航も…公約「消費税」明記焦点》(YOMIURI ONLINE/2010年6月4日17時24分)が伝えている。
「リーマン・ショックで税収が大きく下がり、無駄の削減は思ったほどのスピードで実現できなかった」
財源確保策の無駄削減から消費税増税への方向転換である。
この方向転換が順調にいくかどうかは記事が、〈小沢氏は「第一に取り組むのは、無駄をやめる決断」との立場で、財政再建をめぐる考えの違いは「親小沢」対「反小沢」の党内対立につながるという見方もある。〉と書いていることからすると、小回りの聞く車のようにはすんなりと方向転換できると限らない。
だとしても、ムダ削減は政権担当の永遠の課題としなければならないはずである。
以前「asahi.com」記事を利用してブログにも触れたが、鳩山夫妻が首相公邸入居にかかった経費は――
内装補修で約218万円
就寝用の和室の床改修などで約195万円
洗濯乾燥機2台の購入などで約61万円――計474万円だとする答弁書を2月23日に閣議決定している。
だが、前の首相たちと比較して少なく見せる陰謀からか、鳩山氏以前の自民党の3首相は「清掃費」なども合算して公表していたにも関わらず、「点検・清掃・クリーニング」代金281万円を抜いた474万円だったと平野長官は3月11日の記者会見で訂正した。
平野「(鳩山氏の費用については)工事費についていくらかという質問主意書だったから、その部分の数字を(答弁書で)答えた」(asahi.comから)
前例を参照しないはずはないのだから、平野らしい陰険・狡猾なゴマカシである。
安倍晋三元首相――222万円
福田康夫元首相――282万円
麻生太郎元首相――382万円
鳩山前首相(既に前となった)――694万円
474万円に「点検・清掃・クリーニング」代金281万円をプラスすると、755万円になるが、今度は洗濯乾燥機2台購入等の約61万円を抜いたのか、694万円としているが、「asahi.com」記事はこのいきさつに触れていなかった。
694万円が正しい金額だったとしても、前3首相から比較すると、3倍から約2倍近くと突出している。無駄遣い削減を叫んでいた政党の代表にふさわしい突出振りと言えるのかもしれない。
鳩山首相は在任約8ヶ月。694万円を8ヶ月で割ると、約87万円近くなる。
鳩山首相の1ヶ月87万円は小銭程度だろうが、一般庶民から見たら、高額に相当する。在任期限が長い程、入居に要した経費は減価償却が進む。長ければ長い程、一般庶民が納得できる金額にまで下げることができる。
マニフェストに財源確保策として行政の無駄削減を掲げた以上、またムダ削減は政権担当の永遠の課題としなければならないことからすると、もし菅直人が首相公邸に入居する場合、鳩山前首相の減価償却が不十分であった分を埋め合わせる意味から、入居に新たにカネをかけるべきではなく、前首相当時の設備・家具・調度品をそのまま使用する居抜き状態で入居し、率先してムダ削減の姿勢を示すべきではないだろうか。
もしもそういった姿勢を見せないまま自身の生活の快適さのみを追求してカネをかけ、尚且つ消費税を上げた場合、消費税増税が社会的弱者を直撃する生活の痛みを口では言っても、心の底では何ら理解しない政策決定だと判断できないことはない。