《菅首相、「消費税」発言原因の支持率下落に敏感に反応した記者会見なのか(1)

2010-06-22 11:49:06 | Weblog

 菅首相が昨日(6月21日)夕方5時から首相官邸で記者会見を開いた。冒頭発言で、通常国会の閉幕を受けて行ったとしているが、通常国会が閉幕したのは6月16日、翌6月17日午後、民主党マニフェスト発表の記者会見に菅首相は民主党代表として出席、マニフェストの説明を行っている。6月19日、さいたま市と千葉市で国会閉会後初めての街頭演説。

 6月20日の日曜日は「asahi.com」日別の《首相動静》によると、小田原市と横浜市で街頭演説。4時半以降、公邸で外務省官僚や党役員、その他と会談。

 6月21日は内閣官房関係の高官、日銀総裁等と会談。夕方5時から通常国会の閉幕を受けて行ったとしている記者会見。終了後、地域主権戦略会議出席、その他で過ごしている。

 通常国会閉幕の6月16日以降、17、18、19、20日と4日間ありながら(土・日は公人としての職務は休日に当たっているというなら、2日間ありながら)、マニフェスト発表や選挙遊説を優先させて、記者会見を開かなかった。スケジュールの関係で前以て21日午後5時からと予定していたのだろうか。

 だとすると、6月21日のNHK総合テレビの番組表に載っていていいはずだが、載っていない。番組を差し替えて記者会見を生中継したのかもしれないが、前以て予定していた記者会見なら、番組表に載せていたはずである。

 残る唯一推測できることは、急遽決定した記者会見だったのではないかということである。その理由はマニフェスト発表記者会見で、消費税の増税に触れて、「当面の税率は自由民主党が提案している10%を参考にさせていただく」と発言したことの反響の修正、訂正の類以外には考えられない。

 「10%」発言に野党はほぼ反対や批判の合唱、民主党では賛成する閣僚もいたが、賛成が全員一致ではなく、国会対策委員長や参院側や閣僚の中からも軽率発言だといった批判が噴出したこと、何よりも菅「10%参考」発言を受けた「朝日」「読売」の世論調査で、「読売」は「10%」発言を、「評価する」48%、「評価しない」44%と「評価する」が僅かに上回ったものの、「朝日」では、増税率「10%」に関しては、「評価する」42%、「評価しない」46%と僅かに「評価しない」が上回っり、来年3月までに政府の案をまとめる考えを示しことと「10%参考」発言については、「評価する」39%、「評価しない」50%と、こちらはかなり厳しい結果が出ている。

 そして第一番の打撃は両新聞共、内閣支持率・政党支持率を同時に下げた調査結果を出していることだろう。それが僅かであっても(「読売」の内閣支持率は-4ポイント、「朝日」は-9ポイント)、参議院選の7月11日投票日まで20日間ある間に消費税増税と反対世論がどう一人歩きし、投票にどのような悪影響を与えるか予測はつかない。

 この世論調査を載せた両新聞の記事は「朝日」のWEB版が、(2010年6月20日22時36分)の日時、「読売」がWEB版が、(2010年6月20日22時50分)の日時、新聞は6月21日朝刊として発行したはずだから、菅首相が両世論調査結果を知ったのは真夜中以降、確率としては21日朝ではなかったろうか。

 例え首相本人が新聞に目を通さなかったとしても、側近、あるいは関係閣僚、党役員等が調査結果を知らせたことは容易に想像できる。

 「総理、あなたの消費税発言が餌食になっています。新聞をもう見ましたか?マスコミの連中め、目敏いことをしやがって――」とか何とか。

 「新聞が購読者に阿(おもね)るところは、政治家が国民に阿るところとそっくり瓜二つだあっー」とは言わなかったはずだ。

 菅首相は内閣と選挙の最終指揮官として、当然、消費税増税世論の一人歩きへの危惧、そのことが投票に与える悪影響への危惧を持ち、関係閣僚及び関係党役員と対応策を協議した。

 自分が撒いた種である以上、自分で刈り取らなければならない。それが通常国会閉幕を受けた記者会見だと名目した21日夕方5時からの記者会見ではなかったろうか。
 
 その証拠、決定的とは言えないが、かなり有力と言える証拠を示すことができる。

 《首相ぶら下がり1日1回 フリー記者に月1回会見開放案》asahi.com/2010年6月9日15時2分)

 記事は菅内閣が6月9日に内閣記者会に対して鳩山前政権下で原則1日2回行ってきた首相の「ぶら下がり取材」と官房長官の記者会見をそれぞれ1回ずつに減らす方針と併せて月に1回程度、フリー記者らも参加する首相会見を開く案を示したと報じている。

 今後、記者会側と協議して、最終決定するそうだ。

 官邸側提案の具体的内容は――

(1)首相ぶら下がりは1日1回、正式な会見は月に1回程度開く
(2)毎日午前の官房長官会見を副長官が代行。長官会見は午後だけとし、フリー記者にも開放して時間を
   延ばす

 副長官が代行することについては、〈官邸側は「誰が発言するかが大事ではなく、政府としてのメッセージが出ればいい」と説明〉したという。

 記事はぶら下がり記者会見の回数を減らす理由について前日6月8日の菅総理就任記者会見での発言で説明している。、 

 菅首相「オープンにすることは非常にいいが、取材を受けることで政権運営が行き詰まるという状況もなんとなく感じている」 

 これは鳩山前首相が記者の呼びかけに気軽に応じて気軽に多く発言したものの、前の発言と違ったり、不用意な発言でありながら言質とされて、その発言に縛られることになったり、あるいは関係閣僚間の発言の違いを執拗に追及されたりした教訓から、マスコミに取材を受けることへの警戒心を募らせた反映としてある姿勢であろう。

 《菅流アピール「現場重視」…宮崎視察→街頭演説》YOMIURI ONLINE/2010年6月13日09時34分)では、記事の後半で、鳩山前首相と比較した記者会見数の減少を次のように描写している。

 〈◆記者団への対応激減、鳩山時代から一変◆

 一方で、首相の記者団とのやりとりは、鳩山前首相時代から一変している。宮崎では、口蹄疫問題以外の質問には、「また(別途)答える場面がある」とほとんど答えなかった。

 平日に首相官邸などで記者団の質問に答える「ぶら下がり取材」も、前首相時代に比べ、大幅に時間が短縮。1回あたりの時間は鳩山前首相の約半分だ。就任後初の9日こそ約7分間だったが、10日は約3分間、11日は約4分間に縮んだ。

 首相は、前首相が応じていた朝の取材も受け付けない。記者団が声をかけても、いちべつして「おはよう」と一言返すだけだ。

 首相周辺からは「鳩山前首相が退陣に追い込まれた原因の一つは頻繁にぶら下がり取材に応じたことだ。首相本人が言ったことは修正できない。取材に応じて良いことなど一つもない」との声が出ており、「一方通行」の方が得策だと考えている様子がうかがえる。〉――

 相当な記者会見アレルギーにかかっていることが看取できる。少なくともかなり過度の警戒心に支配されている。

 そして6月21日22時11分「asahi.com」記事――《菅首相、朝の「ぶら下がり」やめた 呼びかけにも無言》

 〈菅直人首相の秘書官が20日夜、内閣記者会の幹事社に対し、鳩山由紀夫前首相が平日の朝に行ってきた記者団との質疑に応じない方針を通告した。 〉という。

 首相秘書官「(首相は)どうせ答えないので、21日以降、朝の公邸前の取材は許可しない」

 その通告に心挫けることなくだろう、21日朝、記者が「朝のぶら下がりをやっていただけませんか」と呼びかけたが、首相は無言だったと書いている。

 すっかり記者会見を避けて通る嫌菅首相の姿を見て取ることができる。

 20日夜に首相の秘書官が「21日以降、朝の公邸前の取材は許可しない」と通告。翌21日朝の記者の問いかけに首相は何も答えずに通り過ぎた。

 だが、その日の午後5時から、発言の余波への警戒心から記者の問いかけに容易に応じなくなっていた首相が公の記者会見を首相官邸で自分から開くことになった。

 この経緯は自分が撒いた「消費税率自民党10%参考」発言を自分で刈り取るための記者会見であることのかなり有力な証拠とならないだろか。

 もしこの見方が当たっているとしたら、菅首相の消費税発言に国民も敏感に反応したが、菅首相も発言に対する世論調査に国民に劣らずに敏感に反応したと言える。

 昨日の記者会見から、《首相官邸ホームページ》の動画を利用して、首相の冒頭発言全体と消費税に関係する記者からの質疑応答のみを文字化してみた。

 所信表明演説やマニフェスト発表記者会見で発言したことと内容は殆んど変わり映えしない。ほぼ同じ発言の繰返しとなっている。このことも、単に記者会見を開く必要が消費税発言の釈明、もしくは訂正にあったことを窺わせる一つの証拠となり得る。

 《菅首相、「消費税」発言原因の支持率下落に敏感に反応した記者会見なのか(2)》に続く

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菅首相、「消費税」発言原因の支持率下落に敏感に反応した記者会見なのか(2)

2010-06-22 11:40:40 | Weblog

 菅首相記者会見(2010年6月21日)

 【菅総理冒頭発言】

 エ、新内閣のスタートと、通常国会の閉幕に当たって、エー、国民の皆さんに、エ、こういう形で、私の考え方を、お伝えする機会が得られたことを、大変うれしく思っております。6月の8日に、イー、菅内閣が正式にスタートし、6月の16日に通常国会が閉幕いたしました。

 鳩山前総理が、アー、政治とカネの問題、そして、エ、普天間の、オー、問題、の、責任を取る形で、エー、辞任をされたことは御承知のとおりであります。

 私も鳩山内閣で、副総理として、また財務大臣としてぇ、エ、総理を支える立場に、あった者でありますので、支え切れなかったことについては、私自身、エー、強く責任を、感じて、いるところであります。

 と同時に、イー、鳩山前総理は、・・・政権交代の、オー、原点に戻って、エー、再スタートしてほしい。ま、そういう思いを、エー、いろいろな形で伝えられたわけでありまして、その鳩山前総理の思いを大切に受け止めて、えー、この新しい政権で国民の皆さんの、オー、信頼を回復し、そして、エー、やるべきことをしっかりとやっていきたいと、このように思っております。

 この内閣としての、抱負は、既に、イー、所信表明演説、更には、代表質問への答弁、等で、エー、申し上げたところでありますが、改めて基本的なことについて、申し上げたいと思います。私は、あー、この20年間、特にバブル崩壊からのこの間、日本は、経済的にも社会的にも、大きな行き詰まりの中にあった、閉塞状態にあったと思っております。イー、その閉塞状態の日本の、この閉塞を打ち破って、元気な日本を、復活させる。これが、私の、イー、内閣の、オー、やらなければならない、第一の、オー、方向性、取組みだと、考えております。

 そのために、イー、具体的には、強い、経済、強い、財政、強い、社会保障、これを、一体として、強い、政治的なリーダーシップの下に、エ、実現していく、このことを所信表明でも、申し上げたところであります。

 イー、簡単に、このことを、もう一度申し上げてみますと、強い経済については、エー、閉幕後の、6月の18日の閣議決ー、に於いて、新成長戦略を、閣議決定を、いたしました。これは、昨年12月の30日に、基本方針というものを、オー国民の皆さんにお示しをしてから、約半、・・・年の間、エー、各省庁、あるいは、各方面の意見を十分に聞きながら、取り纏めたものであります。

 エー、最も大きな特徴は、課題解決型の、オー、政策、となっているわけであります。環境問題に対しては、グリーンイノベーション、そして、医療・介護、あるいは、アー、子育てといった問題に対して、ライフイノベーション、エー、アジアの、オー、経済の成長、に対して、エー、そうした成長を、日本も、共にできるような、そういう関係を構築すること。更には、地域や、観光という形で、新しい需要を、つくり出していくこと。そして、これを支える、科学技術、と人材・雇用、こういう形で、エ、構成されておりまして、エー、2020年度までに、これからの10年間の平均で、名目成長率を、3%、オー、そして、実質成長率を2%、これを上回る、ウー、そうした成長を実現する。そして失業率は、3%台まで、引き下げていく。こういう方向性を、示している、ところであります。是非とも、この内容については、もう、皆さんにお示しを、かなり詳しいものをお示ししておりますので、国民の皆さんも、関心のある方は、ホームページなどで、是非、ご覧をいただきたいと、このように思っております。

 そして、こうした、アー、経済成長を支えるためには、強い、財政が、アー、必要であります。日本の現状は、多くの方が御承知のように、債務残高がヒャクハ――、アー、GDP比で180%を、超えて、いるわけであります。これ以上、借金を増やすことが本当に可能なのか、アー、あのギリシャの例を引くまでもありませんが、財政が破綻したときには、多くの人の生活が破綻し、多くの、社会保障が、多くの面で破綻するわけでありまして、そういった意味では、強い財政は成長にとっても、社会保障にとっても、なくてはならない、大きな要素であることは、言うまでもありません。

 そこで、この強い、財政をつくり出すために、まず、第一にやらなければいけないことは、まさに無駄の、削減ということであります。この間、アー、こうした無駄の削減について、エー、手を緩めているのかというような御指摘も一部ありましたけれども、決してそうではありません。その、その証拠といっては、恐縮ですが、その証拠には、エー、このための、オー、事業仕分けに、最も強力な閣僚を配置をした。
 
 つまり、蓮舫さんに、この責任者になって、いただいたこと、更には公務員人件費の削減には、エ、玄葉政調会長を、担当大臣となっていただいたこと、また、アー、国会議員の衆議院80名、参議院40名の削減などは、これは政党間の議論が、中心になりますので、枝野幹事長に、特にこの問題を取り組んでいただく、こういう形で、徹底した無駄の削減は、まさに、これからが本番だと、そういった意気込み、で取り組んで、まいらなければならない。

 そして、エ、強い財政をつくるために、・・・成長、経済の成長が必要であることは、これもまた言うまでもありません。これは、先ほど申し上げたので、重複をしますので、具体的なことは、重複を避けるために、省きますが、・・・成長戦略を確実に、実行していく。

 そして、それに加えて、えー、税制の、改革が、必要だと、このように、考えております。エ、既に皆様に、エ、お配りをした、マニフェストの中で、エー、オ、この財政再建のための、基本的な、アー、方向性を、ヲー、かなり具体的に、申し上げて、いるところであります。

 ・・・まず、ウー、1つの、財政出動の原則として、エー、いわゆるペイ・アズ・ユー・ゴー、新たな政策の財源は、既存予算の削減または、収入、収入増によって捻出することを原則、・・・とすると。

 更には、2011年の、オー、11年度の国債発行額を、2010年度発行額をウマ、上回らないように全力を挙げる。更には、事業仕分けを、ヲー、活用した無駄遣いのさらなる削減。そして、早期に結論を得ることを目指して、消費税を含む、税制の抜本改革に関する協議を、超党派で、エー、開始をしたいということも、マニフェストに述べたところであります。

 更に中期的には、2015年までの、オー、基礎的財政収支、いわゆるプライマリーバランスの赤字を、ヲー、対GDP比を、2010年度の2分の1以下にする。そして、2020年度までには、このプライマリーバランスの黒字化を達成する。

 更に、ニー、ニジュウ、2021年度以降においては、長期債務残高の対、GDP比を安定的に、低下させる。こういった、方向性を、ヲー、マニフェストできちんと打ち出したところであります。

 エー、消費税については、参議院の選挙が、終わった、アー、中で、本格的な、議論を、スタートさせたいと思っております。その折に、既に申し上げましたように、自民党から、アー、提案されている消費税率10%ということも、一つの大きな参考にしていきたい。また、ア、消費税の持つ、逆進性を、オ、改めるために、複数税率、あるいは税の還付といった、方式についても、併せてしっかりと、オー、議論をしていきたい。このように、考えております。

 いよいよ、オー、この国会終了を経て、近くカナダに於いてG8、G20の、会合があり、私も初めて、それに参加させていただきます。エー、これまで財務大臣として、G7やG20の会合には、何度か出席をさせていただきました。その中で、やはり最大の、オー、課題となると思われるのは、・・・財政再建。ヨーロッパを中心にした今の、状況を、どのようにして打開するか。これが、アー、世界経済に、大きな影響を与えていますので、このことが大きな課題になろうと思っております。

 私は、今日もこの場でも申し上げた、日本に於ける、ウー、・・・考え方、つまりは成長と、財政再建を、両立させるにはこうするやり方があるし、我が国日本は、その道を取ろうとしているんだ。このことをしっかりと、表明をし、他の国の、参考に、していただければ、ありがたい。このように思っております。

 エ、こうした全体会議に加えて、エ、個別会談も極めて重要だと、思っております。既に私が、就任して以来、エー、オバマ米大統領、温家宝中国、ウー、の首相、始め、各国の首脳と、電話での会談は、アー、行ってまいりました。ま、しかし、直接お会いする会談は、アー、この、オー、カナダでのサミットが、初めてということになります。

 まず、オバマ大統領とは、アー、電話会談の中でも、オ、確認いたしました、エー、日米同盟が、日本外交の、オ、基軸、基軸であるということを、オ、改めて確認するとともに、もっと大きな観点から、アー、この、日本とアメリカの関係について、意見交換をし、個人的にも、信頼関係が高められればと思っております。

 私は日本は、太平洋、オー、・・・つまり海洋国家であると同時に、アジアに、属する国であり、また、アメリカも、太平洋を大変重視をし、アジアを重視しておられます。そういった意味で、ア、アジアと太平洋地域、ひいては、世界の平和と安全に、ともに取り組んでいく。こういう姿勢を、持って、日米の間に於ける信頼関係を、オ、しっかりとしたものにできるよう、この会談が、そういった会談になればありがたい、このように思って、いるところであります。

 エー、胡錦濤主席、イー、とは、アー、私が総理になる前にも、何度かお会いしたケイケ(経験のことか)、ことがありますが、エ、戦略的互恵関係を、大事にするという、この原則も、改めて確認し合いたいと思っております。

 また、ロシアのメドヴェージェフ、大統領とは、私自身、初めてお目にかかる、ことになります。エー、鳩山前総理が、アー、非常に力を入れられた、日露の、オー、多くの課題、最も難しいのは勿論、領土問題でありますけれども、・・・私の場合は、まだ初めての、初めてお目にかかるわけでありますから、まずは、個人的な、信頼関係を、しっかりしたものにする、オー、第一歩とできればと、このように考えております。

 こういった形で、エー、この新しい政権、にとっても、そして、この日本にとっても、こうした、ア、国々との関係性を、しっかりとしたものに、イー、する第一歩として、このG8、G20に、臨んでいきたい。このことを申し上げて、私からの冒頭の発言とさせていただきます。

 《菅首相、「消費税」発言原因の支持率下落に敏感に反応した記者会見なのか(3)》に続く

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菅首相、「消費税」発言原因の支持率低下に敏感に反応した記者会見なのか(3)

2010-06-22 11:04:00 | Weblog

 
【質疑応答】――(記者発言では、「オー」、「アー」、「イー」・「エー」抜き。消費税に関する質疑応答のみ抜粋)

(記者)

 TBSの緒方です。総理は先ほど冒頭発言でも税制改革についてお触れになりましたけれども、次の衆院選後の消費税増税では、税率に関して、自民党が掲げた10%を一つの参考にするというふうにおっしゃいました。これは党の公約という認識でよろしいのでしょうか。

 また、この総理発言をめぐって、民主党内から参院選への影響を懸念することが出ておりますほか、国民新党の亀井代表が消費税増税の方針が正式に決まれば、連立離脱の自体もあるとしています。党内や国民新党の理解をどのように得ていくお考えでしょうか。

(菅総理)

 まず、あのー、私が申し上げたのは、エー、早期にこの問題についてですね、超党派で議論を始めたい。・・・その場合に、エ、参考にすべきこととして、自民党が、提案されている10%というものを、一つの参考にしたい。こう申し上げた、わけであります。そういった意味で、そのこと自体は、公約と受け止めていただいて結構ですが、それはあくまでこのマニフェストに、申し上げたように、こういう方向での議論を始めたい。そのことについて、エ、その努力は、当然のこととして、参議院の選挙後にはやってまいります。

 また同時に、エ、では、アー、それまで何もしないで、エー、いるのかということになれば、エー、先だっての記者会見でも申し上げましたように、ニセン、エー、2010年度内には、アー、この問題についての一つの、オー、考え方を、オー、民主党としても、まとめていきたい。

 ですから、何かあの、この選挙が終わったら、すぐ何か、あのー、すぐに消費税を引き上げるようなですね、そういう間違った、メッセージが、もし国民の皆さんに伝わっているとすれば、それは、全く間違いでありまして、まさに参議院選挙が終わった段階から、この問題を、本格的な、アー、形で議論をスタートさせたい。それを、ヲー、公約という言い方をされるなら、まさに公約とおとらえいただいても、結構であります。

 また、あのー、国民新党の、オー、中でいろいろな意見が出ていることは、アー、聞いておりますけれども、ま、選挙のマニュフェスト、オー、になると、エー、それぞれの党が、それぞれの独自性を、これまでも出してきた、わけでありまして、そういう点では、アー、今回の問題もですね、例えば夫婦別姓なども、ア、国民新党は、ア、反対だということを、明確にしておられますので、それは、選挙に於ける主張が、異なるということと、オー、ま、政権離脱ということは、私は若干の、オー、違いがあるのかなと、このように思っております。

(記者)

 産経新聞の船津といいます。先ほどから話になっている消費税の議論、我々からすると突然消費税という言葉が出てきたような感じがするんですけれども、そもそも総理、所信表明演説のときには消費税ということは言っておられなくて、国会を閉じた後のマニフェストの発表でいきなり消費税という言葉を出されて、国会論戦を避けたようなタイミングでの方針表明のように思えるんですけれども、この点いかがでしょう。

(菅総理)

 まず、昨年の12月の、税制大綱の中に、ま、当時、イー、税制調査会会長は藤井財務大臣でありましたが、その中にも消費税を検討するということは入っております。その後、私が財務大臣になり、税制調査会会長になった中では、エ、特に所得税、法人税、消費税についてもしっかり議論してほしいということで、専門家の、アー、皆さんを中心に議論を進めていただいてまいりました。

 エー、そして、エー、このマニフェストについては、まあ、自民党が出された時期と、そう、大きく違わないと思いますが、ぎりぎりの、オ、党内調整を、する中で、先程、オー、申し上げたような形の、表現をしたわけでありまして、決して、アー、消費税ということがですね、突然に出てきたとは、いうふうには、私はこの経緯を、踏まえても、思っておりません。まさにマニフェストに沿った中で、その扱いについて、私から申し上げたということであります。

(内閣広報官)

 それでは、外国プレスのディッキーさん、どうぞ。

(記者)

 フィナンシャルタイムズのミュア・ディッキーと申します。総理は、選挙のすぐ後、消費税が上がるということはないですが、一番早いのはいつごろ上がると思いますか。

 それと、世論調査には結構消費税が上がることに反対の有権者がいると見えますが、そういう反対の有権者のことは、どれぐらい心配でしょうか。よろしくお願いします。

(菅総理)
 
 ま、これは、アー、玄葉政調会長もですね、テレビ討論などで、エー、言っておられますように、イー、勿論超党派での、オー、協議というものがどうなるかということ。更には、アー、逆進性を緩和するためには、複数税率を入れようと思えばインボイスというものの準備が必要になります。還付という形を取ろうと思えば、エー、やはり番号の、導入が、必要になります。ま、番号などについても、オー、既に検討は開始しておりますけれども、それを、最終的に設計し、エー、実現するまでには、やはり、2年とか3年という、時間が必要に、一般的にはなりますので、それを考えればですね、余程早くても、どうなんでしょう、オー、余り私が、アー、日程を区切るのは、好ましくないかと思いますが、少なくとも、オー、これから、2年、3年、あるいはもう少しかかるのではないかと思っております。


(内閣広報官)

 予定の時刻が迫ってきております。手短にお願いしたいと思います。そちらの方で、五十嵐さん、どうぞ。

(記者)

 読売新聞の五十嵐(女性記者)です。今、総理は元気な日本を復活させるというふうにおっしゃいましたけれども、例えば消費税を10%上げても、総理御自身が御指摘されたように、社会保障の穴埋めにしかならないで、成長戦略を進めるのはなかなか難しいのではないかという指摘があります。総理御自身としては、最終的に税率としては何%ぐらいまでを確保した方がより強くできるとお考えでしょうか。

 また、今度G20で財政再建と成長の両立を訴えるということですけれども、消費税上げについては国際公約として方向性をしっかり打ち出すお考えはおありでしょうか。

(菅総理)

 あのー、ま、消費税の議論の中でですね、エー、、私もこの場でも申し上げたんですが、その前提になっている現実というものを是非、国民の皆さんにも、御理解をいただきたいと思うんです。決して私は、増税がいい、消費税を引き上げることがいいと言って、いるんではないんです。そうではなくて、今は、税金ではなく、赤字国債、でもって、多くの社会保障、に関わる費用が賄われている。その結果、GDP比170、180%を超える、ウー、いわゆる債務残高が、累積しているわけです。

 この状態を、同じように、毎年、赤字国債、一部建設国債を含めてですね、発行していって、果たして持続可能性があるのか。あと100年持続できるということを、どなたか保証してくださるんであれば、それはそういう道筋もあるでしょう。しかし、もし持続できなかったときに何が起きるかというのは、これは、ギリシャの例を見ても、まず起きることは、アー、福祉の切り下げであり、場合によっては人員整理であり、あるいは、アー、給与の引き下げであるわけでありまして、そういう、ことにならないために、強い財政を復活するにはどうするかということを、申し上げているんです。

 ですから、何か、あのー、オー、新しいものをですね、その、オー、新たに、こう、どんどん、買うためにですね、といいますか、使うために、エー、こう、上げたいという、ウー、ように、もし、イー、誤解をいただいているとすれば、そうではなくて、現在、既に、例えば、予算総則、ウー、の例、例と言いましょうか、ことを出せば、もともと、消費税で、ま、高齢者に関わる福祉の費用は、賄うという、充当するということに、一応、なっているわけですが、実際にかかっている費用は17兆円かかっています。しかし、今の消費税で、国分で約7兆円。ですから、その差額の10兆円は、実質的には赤字国債で毎年それを埋めているわけですね。そういう形で、継続できないとしたら、どうするんですかということを申し上げて、いるわけです。

 ですから、そういう意味で、エー、まず、そうした認識を、共有できる皆さんと、しっかり議論を、したい。ま、その議論の一つの、オー、材料としてですね、自民党から提案されている、10%というものを一つの参考にしていこう。こういう考えです。

(内閣広報官)

 予定の時刻が迫っておりますが、最後の一問ということで受けたいと思います。どうぞ。

(記者)

 日本経済新聞の藤田です。今のお話に関連してですが、2011年度予算の新規の国債発行額について、先ほど総理は44.3兆円を超えないように全力を上げるとおっしゃいましたが、具体的に来年度予算をどのような方針で編成されるお考えなのか。

 それから、消費税の具体的な引き上げについては、今後2~3年をかけてとおっしゃいましたが、その前に国民に信を問うというお考えはあるのかどうか。それをお聞かせください。

(菅総理)

 来年度の、ま、予算について、ま、1つはですね、新成長戦略、・・・というものを。ヲー、汲み上げ、ましたから、これは単にウィッシュリスト的に扱うのではなく、ウー、どの分野に財政投入すれば、どういう、成長が、アー、見込めるか。エー、つまりは、最も成長という観点から効果の高いものをですね、エー、判断する。そういう基準として、エー、この成長戦略を、特に、エー、マクロ経済部分、については、位置づけたところであります。

 そういった意味ではですね、従来の予算編成がややもすれば、こういう、えー、まあ、ウー、力のある政治家が言っているからとか、こういう団体が言っているからとかですね、あるいは天下り先を、守るためとか、別の要素で財政配分が、ア、されていた面が相当程度あったと思いますが、エー、この次の予算、私の内閣ではですね、成長ということを一つの、大きな軸に置いて、勿論、他の部分が全くなくなるわけではありませんが、成長ということを大きな柱に置いて、予算編成に、当たりたいと思っております。

 えー、ま、基本的には大きな税制改革を、やるときには、やはりそういうものが、まとまった段階で、国民の皆さん、にですね、判断する機会を、ヲー、持ってもらうというのは、私は必要なことであろうと、こう思っております。

(内閣広報官)

 それでは、時間がまいりましたので、これをもちまして、記者会見を終了させていただきます。御協力ありがとうございました。

(菅総理)

 どうもありがとうございました。

 発言していることの殆んどはこの記者会見の冒頭で「新内閣のスタートと、通常国会の閉幕に当たって、エー、国民の皆さんに、エ、こういう形で、私の考え方を、お伝えする機会が得られたことを、大変うれしく思っております。」と言っているものの、代表立候補記者会見や総理大臣記者会見、所信表め演説、マニフェスト発表記者会見の発言のほぼ同じことの繰返しとなっている。

 自分が種を撒いた内閣支持率と党支持率の下落を自ら刈り取るための記者会見と見ると、撒いた種の訂正もしくは再確認を迫る箇所が存在することになる。

 マニフェスト発表記者会見では、消費税の逆進性に関しては、「ここに書かれたものをもう少し私の言葉で噛み砕いて言いますと、既に消費税について、政府税調の方で、議論を始め、始めていただいておりますけれども、今年度内、2010年度内に、そのあるべき税収や、あるいは逆進性対策、を含む、この消費費税に関する、改革案を、取りまとめていきたい、今年度中の、とりまとめを目指していきたい、と考えております」――

 あるいは「税率や逆進性対策を含む、改革案を取り纏めると同時に他党とも議論を呼びかける」と言っているのみで、複数税率や税の還付方式には直接触れていないが、この記者会見では、「消費税の持つ逆進性を改めるために複数税率、あるいは税の還付といった方式についても、併せてしっかりと、議論をしていきたい。このように、考えております」と初めて直接的に触れている点はまさしく訂正もしくは再確認を迫る箇所に当たる。

 また、消費税の法案提出時期に関してはマニフェスト記者会見で、「幅広い、合意が、得ることができれば、超党派で、法案を提出し、成立を目指していくことになります」と言ったことに対して、参院選で勝利したら、それを以て民意を得たとして法案を提出するのか、次の衆院選で信を問うのかと記者から具体的な日程を問われても、「基本的には大きな税制改革を行う場合は、予め実施する前に国民のみなさんに信を問うというか、その内容を判断をいただくいうことは本来あるべき道だと、こう思っております」と一般論・原則論で逃げて誤魔化したが、この記者会見では次のように言っている。、

 「消費税については、参議院の選挙が終わった中で本格的な議論をスタートさせたいと思っております」

 「何かこの選挙が終わったら、すぐ何かすぐに消費税を引き上げるようなですね、そういう間違ったメッセージがもし国民の皆さんに伝わっているとすれば、それは全く間違いでありまして、まさに参議院選挙が終わった段階から、この問題を本格的な形で議論をスタートさせたい。それを公約という言い方をされるなら、まさに公約とおとらえいただいても、結構であります」――

 要するに私が公約としていることは参院選後に消費税に関する本格的な議論をスタートさせることであり、参院選挙には関係ないことだとし、具体的年数としては、「最終的に設計し、実現するまでには、やはり2年とか3年という時間が必要に一般的にはなります」と言って、一般論・原則論で逃げていたことを訂正、やはり来月の参院選には一切関係ないことだとしている。

 こうみてくると、どうしても自身の「自民党税率10%参考」発言が撒いた支持率下落の種を自身で刈り取るための記者会見に思えて仕方がない。

 尤もここで訂正・再確認の例として出した発言はどちらも質疑に対する応答の中での発言だが、マニフェスト記者会見で受けた記者の質疑にほぼ重なっている。

 当然内閣支持率と民主党支持率を下落させた消費税発言だから、似た質問を受けることは十分に予測できたはずである。

 いわば予めこの手の質問を予測して冒頭発言の中では自分から発言せずに記者に言わせて受け答えする形式に持っていき、自らの「消費税」発言が招いた支持率低下に敏感に反応した記者会見だと悟られないように謀ったことは十分に疑うことができる。

 まあ、どうでもいいことだが、記者会見を「オープンにすることは非常にいいが、取材を受けることで政権運営が行き詰まるという状況も何となく感じている」と記者会見に強い警戒心を働かせていながら、そのことに反して自身の発言がどういう影響を与えるのか、他の政策とは比較にならない影響が生じることは誰もが承知している特に消費税に関する発言でありながら、それを見抜く先見性を欠いていたと言えることだけは確かである。

 前任者同様、あるいは自民党政権の歴代首相のように自身の発言に対する危機感能力を欠いていたと言い換えることもできる。


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