尖閣ビデオネット流出は菅内閣が領土問題で毅然とした態度を取り得なかったことから始まっている

2010-11-06 09:30:36 | Weblog

 政府が最後まで全面公開を拒否し、7分に短縮編集して一部の議員に限って公開したビデオの元となるビデオが昨11月5日未明(2010年)、ネットに6本、計約44分の長さで流出、政府はこういった事態が発生すると常套句とする「真相解明」と「情報の徹底管理」を当たり前のことを当たり前のことのように言い、その対応に追われている。勿論、野党は流出を危機管理能力の問題としてその責任の追及に出ている。

 日本の巡視船が尖閣沖の日本の領海内で操業をしていた中国漁船を発見したのは9月7日の午前9時頃。日本の海上保安庁巡視船が領海侵犯不法操業漁船に対する対応の原則としている退去警告、あるいは立ち入り検査で追い出すべく接近したのだろう、漁船は網を引き上げ、黒煙を上げてエンジンをかけたかと思うと巡視船「よなくに」に接近して衝突、その後巡視船「みずき」に右側から体当たりし、約2時間にも亘って逃走。9月7日午後12時56分に漁船を停止させ、船長を拘束。9月7日午後5時頃、官邸に報告。9月8日午前0時2分に逮捕。

 政府は「尖閣諸島は歴史的にも国際法上も日本固有の領土で、尖閣に領土問題は存在しない」と言い、中国人船長逮捕を「国内法に則って粛々と対応する」と言い続けた。

 だが、「尖閣諸島は歴史的にも国際法上も日本固有の領土で、尖閣に領土問題は存在しない」と言いながら、日本の海上保安庁が領土侵犯不法操業漁船に対して退去警告、あるいは立ち入り検査で領海外に追い出すことを原則としていたこと自体が既に「日本固有の領土」だとする国家意志に反する対応を“原則”としていたことになる。

 このことは流出ビデオに巡視船に漁船を衝突させる直前に海上保安官が中国語で「ここは日本の領海内です。出て行ってください」と警告する声が残っていたことが何よりも証明している。

 政府の指示なくして、一行政機関が「ここは日本の領海内です。出て行ってください」を原則とすることはできないだろう。政府が原則としていることを一行政機関が忠実に従っていたといたはずだ。

 領海侵犯事案に対して退去警告、あるいは立ち入り検査で領海外に追い出すを原則とすることは「日本固有の領土」であるとする国家意志を逆に曖昧にすることになる。追い出された外国漁船なりが追い出すだけだからと、再び戻ってくる可能性を残すことになるからだ。

 実際にも追い出されるだけで済むことをいいことに何度も戻ってきては巡視船に発見されて追い出されるまで漁を行うといったことを繰返していた漁船もあったに違いない。何度もの行きつ戻りつを許すことは領海線を曖昧とすることになる。日本の領海であって領海でないことにすることになる。あるいは実効支配といいつつ、その実効支配を曖昧とすることになる。

 過って入ってきたならいざ知らず、意図的領海侵犯を一隻も許さないことによって、「日本固有の領土」であるとする国家意志が貫徹可能となる。
 
 だが、尖閣諸島近海の領海内ではそうすることをしていなかった。

 このような状況は政府がいつ如何なるときでも忠実に体現していなければならない義務と責任を負う「日本固有の領土」であるとする国家意志を文字通りに原則とするのではなく、事勿れな原則に変質させていたことになる。「日本固有の領土」と口では言うものの、実際の行動では「日本固有の領土」であるとする国家意志どおりの行動ができていなかったということである。

 中国の強硬な釈放要求と様々な圧力の果てに中国人船長を処分保留で釈放できたのは「日本固有の領土」であるとする国家意志を曖昧、且つ事勿れな原則としていたことが可能とした、その延長上の事態であろう。

 菅政府は既に出発点から「日本固有の領土」であるとする国家意志を厳格に機能させていなかった。「日本固有の領土」であるとする国家意志に毅然とした態度で関与する覚悟を取り得ていなかったからであろう。あるいは「日本固有の領土」であるとする国家意志を自身の強い意志とすることができていなかったということである。

 もしも「日本固有の領土」であるとする国家意志を菅内閣のそれぞれが自らの強い意志としていたなら、退去を求めることから入るのではなく、拿捕・逮捕から入るべきを原則として海上保安庁に指示、そうすることによってよりよく「日本固有の領土」であるとする国家意志を示し得たはずだ。

 だが、このことは民主党政権だけの問題ではなく、自民党政権の原則を機械的に受け継いだ「日本固有の領土」であるとする国家意志の曖昧化であり、事勿れ化と言える。

 このような原則を戦後歴史とし、伝統としてきた。「日本固有の領土」であるとする国家意志を言葉通りに厳格に歴史とし、伝統としてきたなら、外国漁船自体が安易に日本の領海に入ることはしないだろから、違った局面を迎えたに違いない。

 だが、出発点から「日本固有の領土」であるとする国家意志を変質させた原則で曖昧、且つ事勿れに機能させてきたために、中国が対抗措置を打ち出すと、「日本固有の領土」であるとする国家意志を益々曖昧、事勿れに変質させて対応することになった。

 その対応の一つが巡視船と中国業船の衝突を撮影したビデオの公開に対する政府の姿勢であろう。出発点からの「日本固有の領土」であるとする国家意志を曖昧、事勿れとしていた原則の流れで政府は公開を拒否。

 中国を刺激し、中国との一層の関係悪化を恐れたからであり、そのことを優先させて、「日本固有の領土」であるとする国家意志を相手に厳格に知らしめる措置は取り上げなかった。

 もしも知らしめ意志を少しでも有していたなら、政府から率先してビデオを公開していただろう。

 だが、このような政府の姿勢も無理はなかった。最初から「日本固有の領土」であるとする国家意志を厳格には政府自らの意志としていなかったからだ。

 9月7日の事案発生から23日経った9月30日に衆院予算委員会が政府に公開を求める決議を全会一致で決定。10月19日に参議院予算委員会理事懇談会がビデオの国会への提出を求めることを決議。

 それでも政府は「日本固有の領土」であるとする国家意志を示し得ず、“非公開”という名目で隠す方向で動き、公開を求める野党との間で攻防を繰返す時間的浪費で終始した。

 そして9月7日から35日経過した11月1日午前、衆参予算委理事のみとする一部議員に限って7分前後に短縮編集したビデオを公開。あくまでも政府は「日本固有の領土」であるとする国家意志の毅然とした遂行に反した事勿れ、曖昧な対応に終始した。

 メドベージェフロシア大統領が国後島を訪問したのも11月1日午前である。同じ日の午前であっても、どちらかが後先の時間のズレはあるだろうが、日本政府が尖閣問題を挟んで中国との間で見せていた「日本固有の領土」であるとする国家意志の曖昧、且つ事勿れな発動の隙を突いた訪問であると言えないことはあるまい。

 菅内閣が尖閣問題で「日本固有の領土」であるとする国家意志を毅然とした態度で終始厳格に遂行していたなら、北方四島訪問に対しても同じ国家意志が発動されると予測しないわけにはいかないからだ。

 案の定、国後島訪問の既成事実を覆すほどの「日本固有の領土」であるとする国家意志は示すことができず、駐ロ日本大使を一時帰国させるだけの「日本固有の領土」であるとする国家意志しか働かせることができなかった。

 尖閣ビデオのネット流出だけではなく、ロシア大統領の国後島訪問までも誘い込んだ今回の事態は出発点から「日本固有の領土」であるとする国家意志を毅然とした態度で示し得ていなかったことから始まったと言える。

 勿論、その最終責任は偏に内閣の最高責任者である菅首相にある。

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