平成20年度に年金、医療、福祉等で支払われた社会保障給付費が過去最高を更新したと11月12日(2010年)の報道が伝えていた。《社会保障給付費 過去最高を更新》(NHK/10年11月12日 16時49分)
前年の平成19年度も過去最高で、2兆6500億円余りの増加、率にして+3%近く、94兆848億円と記録を伸ばしている。この約2兆6500億円の増加は消費税1%分の税収が約2兆円だそうだから、1%税収以上の負担となる。
尤もこの過去最高の更新は毎年過去最高の更新を繰返していて、その流れを受け継いだ過去最高だというから、今後とも過去最高の更新が年々繰返されていく傾向を示すことになる。
世代別では当然と言うべきか、平成20年度分94兆848億円のうち、高齢者への支払いが全体の7割近くを占める65兆3597億円と圧倒的金額となっている。
当然このことは部門別統計を見ても、高齢者がより関与する年金、医療、介護の分野の社会保障給付費にも現れることにる。
▽年金――49兆5443億円(全体の半分以上)
▽医療――29兆6117億円
▽介護や失業給付などを含む「福祉その他」――14兆9289億円
国立社会保障・人口問題研究所「今回の社会保障給付費の伸びは高齢化の進展に加え、雇用情勢の悪化によって、失業給付を受ける人が増えたことも要因だ」
菅首相は消費税を増税して社会保障関連の予算にまわして介護や医療分野に集中的に予算を投じてそこに雇用を生み、雇用が生れれば、働いて税金を払うことになって税収が増え、財政再建にもつながり、景気が回復していくと言っていたが、消費税発言が災いした参院選大敗以降、余程懲りたのか消費税に関しては殆んど発言しなくなった。だが、景気対策を述べる段になると、何を財源とするのか触れぬままに介護・医療分野に予算を投じて雇用を増やし、そこに税源が生れるといったことは機会あるごとに滔々と喋りまくっている。
2008年1月15日にブログ《医療給付費・医療費の差別化を》に、自身の健康を自己管理させて、先天性・後天性に関わらず体質や遺伝からの難病を除いて、本人の不注意や不摂生が原因の病院治療の場合の自己負担額を増やし、自己管理できた者の負担を軽くする方向に持っていく。そのためにはすべての健康診断と病院治療歴を一生を通して記録し、管理できていたかいなかったかを審査して、治療費支払いの参考とするといったことを書いた。
健康の「自己管理」とは自己責任制をいう。自己の責任に任せる。
今後の少子高齢化の進行、無闇発行できなくなった国債、先進国中最悪の財政赤字と緊急を要する財政再建化等を考えると、消費税を増税するだけではなく、年々過去最高を更新していく天井知らずの社会保障給付費を本人負担に頼るだけではない抑制策を講じる必要があるはずで、再度この記事で健康の自己管理に応じた治療費の自己負担制によって社会保障関連の経費を削減する方法としてどうだろうか書いてみることにした。
先ず暴飲暴食等の不摂生から発症した病気の治療、不注意から負った怪我の治療等に対しては個人負担を増やすとする法律による取り決めのもと、1歳未満の乳幼児健康診査に始まって、幼稚園・保育園の定期健康診断(実施していないなら、実施する)、小中高大学の定期診断(大学は実施していなけば、実施すべきであろう)、そして会社に於ける定期健康診断、さらに個人的にかかった病院の治療の際も、例え指の治療であっても、血液検査と飲酒量、喫煙量、現在心がけている健康法等の問診を行い、それらを記録して、国民一人ひとりの健康履歴をつくり上げていき、そこから逆に不摂生や不注意による病気かどうか判断して、治療費に差別化を図っていく。
飲酒量や喫煙量、あるいは何ら健康維持を図っていないといった生活習慣に加えて健康診断や血液検査から不摂生な生活を送っていると判断できる患者に対しては、その患者が大きな病気を起す前に、もし大きな病気を起した場合は自己負担がかなりの額になると医者が注意することも生活習慣病の抑制につながるはずである。
生活習慣病の抑制は医療給付費や介護給付費の抑制にもつながっていく。国民の健康増進にも勿論のことつながっていくはずである。
不摂生や不注意による治療は自己負担額が増えるとする取り決めだけで、国民はそのことを意識することになり、生活習慣病の抑制や自動車事故等の抑制につながり、その反動として健康の増進に向かうはずである。
健康履歴を管理するためには国民総背番号制の導入が必要となる。
勿論、健康履歴制度の導入によって役所の仕事が増え、その経費が必要となるが、生活習慣病等の自己責任に関わる病気に対する自己負担額増額による社会保障給付費の抑制と健康を自己管理するための個々の投資による経済効果も期待でき、差引きプラスが見込めると思うがどうだろうか。
また健康自己管理(=生活習慣病抑制)のススメは年間3万人を超える自殺者の抑制効果ともなるはずである。