Tweet
今朝のtweet――
《ビデオ流出「検察からでなくて心配消えた」 柳田法相》
法務省所管の検察からの流出なら、自分に責任が及ぶ。でなくてよかったと言うこと。これを自己保身の思想と言う。流出は検察以外からなら構わないということになる。これを無責任の思想と言う。
G20(主要20カ国・地域)首脳会議最終日の12日午後(2010年11月)、会議場の広いステージで各国首脳の記念撮影が行われた。我が日本の菅首相は自身に対する国際的・国内的評価を踏まえた自らの居場所を心得ていたのか、中心からは程遠い前列から2列目、左端から3番目の立ち位置。
こうも無防備にたわいもなくニコニコ笑えるものかと感心するぐらいの最大限のニコニコ笑いを浮かべていた。解決困難な個別・具体的な外交交渉の場に臨んでいるわけではなくても、自国国益追求の先頭に立つ司令官としてそのことを頭の中、腹の中に常に置いていなければならない立場にあるだけではなく、自国経済が厳しい状況に立たされている中での立ち位置でもある、いくら記念撮影だからといっても、首脳の多くが儀礼的な笑顔を見せている中で、儀礼を通り越してたわいもなく満面のニコニコ笑いを浮かべることができる。その緊張感のなさ、緩むに任せた表情は合理的判断能力の欠如の反映としてある神経の緩みとしか見えなかった。
今日13日(2010年11月)からAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議が幕を開くと言うのに、領土問題を抱える中ロのうち、ロシアのメドベージェフ大統領とは同じ今日13日に菅首相との会談が行われることが決定しているが、肝心の中国の胡錦涛主席との会談はこの期に及んでも決まっていない。
最後最後まで決まらないのは分かっていた。
11月8日(2010年)のtweet――
中国、胡主席の訪日を発表。首脳会談は未定。中国は会談する気があっても、最後の最後まで決定を延ばす。日本に依頼するだけ依頼させて、最後の最後になって恩を着せる形で日本の会談要請を受ける。それが正式の会談か立ち話かは中国のそのときの都合。これまでの温家宝と同じ遣り方を取るに違いない。 4:37 PM Nov 8th webから
常に日本は会談を要請する側。中国は常に要請を受ける側。菅内閣は首脳会談開催に於ける力関係をそういう形式にしてしまった。このことを菅首相は記者会見での自身の言葉で証明している。
菅首相「二国間の会談ができるかどうか、これは基本的には中国側で判断されることと、こう理解しています」(asahi.com)
中国側の判断次第とは日本には自律的決定権はないことを意味する。中国の決定に従属する立場に日本を置いているということであろう。このような力関係は尖閣沖での中国漁船衝突事件は例え意識していなくても、中国が悪いのではなく、日本が悪いとする逆転の構図を描くことになる。
菅首相は12日、G20首脳会議で訪れていた韓国・ソウルでメドベージェフ大統領との会見の心構えを記者会見で述べている。《「胡主席とひと言二言、声を交わした」12日の菅首相》(asahi.com/2010年11月12日20時30分)
題名は日本がG20首脳会議の場で日中首脳会談開催を打診しながら、実現できず、顔を合わせた機会に、「まぁ、本当にいろんな人が、20人の首脳が同席しているわけですから、いろんな機会にそれこそグッドイブニングから始まって、ハワイユーから始まってですね、いろんなことは、ひと言二言ということが多いんですけども。今回はちょうど席から私が立ち上がって振り向いたらそこをちょうど通っておられて、やあやあと言ってですね、まぁ、私のほうから、また横浜に行きますというか、横浜でまたお会いしたいですねと。そのくらいで終わりました」程度の一言二言会話を交わしただけと言っていることからつけた意味となっている。
一言二言で終わったことに会談に向けた自身の力量を問われると思ったのか、「いろんな機会にそれこそグッドイブニングから始まって、ハワイユーから始まってですね、いろんなことは、ひと言二言ということが多いんですけども」と弁解から入っている。弁解で以って胡錦涛主席との会話が一言二言で終わったことを正当化した。
一国の首相として、弁解で正当化するような毅然とした態度とは正反対の姿勢しか示せないものかと思うが、菅首相は知らず知らずのうちにこの場面でも日本が要請する側であり、中国が要請を受ける側とする関係に持っていっている。
そうであるばかりか、10月4日のベルギー・ブリュッセルのASEM(アジア・ヨーロッパ首脳会議)終了後の温家宝首相との25分の交談、10月30日のベトナムの東アジアサミットでの同じ温家宝首相との15分の「寒暄」(時候のあいさつ)から何ら学習しなかったようだ。
首脳会談と言う点では議論を尽くす時間を十分に設けた正式の会談でなければ殆んど意味がないということを学習していたなら、「グッドイブニングから始まって、ハワイユーから始まってですね、いろんなことは、ひと言二言ということが多いんですけども」といった弁解は口を突いて出ることはなかったろう。
学習していなかったために、正式な会談をセットできなかったことから諦め悪く胡錦涛主席と顔を合わせる機会を伺っていて、都合よく顔を和せることができたから、「やあやあと言ってですね」近づいたものの、言葉を交わす25分の機会も15分の機会も与えられずに、いわばフラれた。
ここからは一国の首相としての毅然とした主体性を窺うことはできない。
もう一方の領土問題を抱えたロシア大統領との正式に決まった会談について。
記者「日ロ関係について。大畠経産大臣が日ロ投資フォーラムで予定されていた経済協力の覚書の締結を見送って、それがメドベージェフ大統領の北方領土訪問に対する抗議であると明らかにしているが、これに対する受け止めとこれが日ロ首脳会談にどのような影響をあたえると見られているか?」
菅首相「その話はいま聞いたところで、まだちゃんと本人から確認をしておりません。いずれにしても、日ソ、日ソじゃないですね、日ロの首脳会談が行われるとすれば、しっかりとですね、日本の基本的な立場をしっかり伝えて、まだ今回2度目ですし、本当はもっとですね、本格的な日ロ間の色々な懸案事項も含めて、全体の戦略を持ってですね、この領土問題にあたる、そういうことをこの間も頭の中では考えたんですが、残念ながらこの5カ月の日程の中では、2度目の会談が、行われるとしてもこの時期になりました。まずは言うべきことを言った上で、そうした本当に戦略的な意味を持つ会談をさらにしっかりやりましょうという、その次につながる領土問題の本格的な議論につながるような会談にできればいいなぁと、こう思っています」
「まずは言うべきことを言った上で」とは、メドベージェフ大統領に「北方四島は日本固有の領土である」と言うということなのは誰の目にも明らかである。
当然、「その次につながる領土問題の本格的な議論につながるような会談」とは、北方四島の日本返還、日本帰属を交渉する会談のことを言うはずである。
だが、日本の首相として強い意志で以て、そのような会談が開催できるよう働きかけていくと、そのことを自身の使命とするのではなく、「つながるような会談にできればいいなぁ」と一種の希望的観測で終わらせている。
意志薄弱とも言えるこの使命感の希薄さ、ロシアと向き合って自身に担わされている立場上の責任とその責任に対する自覚の双方共に対する欠如はそのまま日本の首相としての資質の欠落を指摘していないだろうか。
11月9日の当ブログ《菅民主党政権は北方四島のロシア領土化にサジを投げている?》の推測が当たらずとも遠からじと言えるかもしれない。
菅首相が13日の露大統領との会談で、「言うべきことを言う」としている「北方四島は日本固有の領土である」程度の発言は少し時間をかけて訓練したオウムでも言えることである。
ロシアによる北方四島のロシア領土化を阻止する言葉とならないなら、「北方四島は日本固有の領土である」はオウムが言った程の価値もなくなる。
もし内心では北方四島のロシア領土化を前提としたロ大統領との会談での「北方四島は日本固有の領土である」の発言であったなら、単に 「言うべきことを言った」とする実績作りの形式的発言で終わる。
もはや取り返しのつかない場所に流されているのではないだろうか。
大畠経産相が経済協力覚書締結を見送ったという報道は《日ロ経済協力の覚書見送り 北方領土訪問に抗議》(47NEWS/2010/11/12 13:24【共同通信】)が昨12日の衆院経済産業委員会で経産相が明らかにしたと伝えている。
大畠経産相「北方領土問題は大変重要な問題だ。大統領の行動は日本人の(領土への)思い、心を踏みにじる行為」
そのようにロ大統領の国後島訪問を激しく抗議したということは、その報復として、少なくとも対抗措置として締結見送ったということであろう。
記事は、〈覚書の締結は、都内で同日開いた「日露投資フォーラム」で予定していた。覚書は、経済産業省とロシア経済発展省の間で、これまでに取り組んできた経済協力の継続や貿易投資の促進などを確認する内容。〉と解説している。
経産相が覚書締結見送りの理由をメドベージェフ大統領の国後島訪問への報復か対抗措置とした。このような重大な決定を菅首相は「その話はいま聞いたところで、まだちゃんと本人から確認をしておりません」と言っている。
もし事実だとしたら、内閣一体で連携プレーがあって然るべき決定に反して、菅首相の関与外で決定した国家主権回復を意図した一大臣の独断による、あるいは菅首相のみを外した、その決定を必要としない措置ということになる。菅首相の指導力はもはや要らないこととしていることを意味することにもなる。
このような経緯から見える光景は内閣ががたついている姿のみであろう。
あるいは菅首相も承知の締結見送りであるかもしれない。だが、ロ大統領国後島訪問に対するこの抗議はメドベージェフ大統領が計画していると言われている国後島訪問に続いた色丹島訪問を阻止する力とはなっても、果たして着々と進んでいるロシアによる北方四島領土化を阻止する強力な力となり得るだろうか。
多分、ロシアは大統領の色丹島訪問を見合わせることによって、経済協力覚書締結をクリアするに違いない。だが、色丹島訪問を見合わせる裏ではロシアによる北方四島領土化を着々と進めていくことは、いくら合理的判断能力に欠けていたとしても菅首相の目にも明らかに違いない。
果してロ大統領に向ける「北方四島は日本固有の領土である」をオウム以上の発言とすることができるのだろうか。