オスプレイは機体が欠陥原因の墜落は危険で、操縦ミスが原因の墜落は危険ではないのか

2012-07-18 11:21:43 | Weblog

 ―野田首相のオスプレイ配備を「日本政府が『どうしろ、こうしろ』という話では基本的にない」は、日本をアメリカの支配下に置く発言―

 アメリカは最近のオスプレーの2度の墜落を機体の欠陥ではなく、操縦ミス、あるいは人為ミスだと盛んに訴えている。 

 米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが今年(2012年)4月11日、アフリカ北部モロッコの南西部アガディールを拠点に行われていたモロッコ軍との合同演習中に墜落し、海兵隊員2人が死亡、2人が重傷を負った。

 この2カ月後の6月13日、フロリダ州で米空軍の垂直離着陸輸送機CV22オスプレイが訓練中、墜落し、5人が負傷。

 モロッコの墜落事故に関しての国防総省の発表。《“オスプレイ墜落は操縦ミス”》NHK NEWS WEB/2012年7月14日 8時10分)

 国防総省「パイロットの操縦ミスが原因で、機体に欠陥があるわけではない」

 〈パイロットは離陸直後のまだ速度が十分に出ていない状態で、操縦マニュアルに反して可動式の回転翼を水平方向に傾けすぎたうえ、後方から追い風を受けたため、バランスを崩して墜落した》・・・・

 この文章を読んだ限りでは、パイロットは速度計が示す出力を確認せずに自身の勘に頼って回転翼を水平方向に傾け過ぎた初歩的な人為ミスということになる。

 要するに必要な出力以下で垂直方向に向けていた回転翼を水平方向に転換した場合、風向きによっては墜落の危険という欠点を抱えていることになる。

 素人の素朴な疑問だが、必要な出力以下で回転翼を水平に傾けるべく操作レバーを動かそうとした場合はハザード音とハザードランプで危険を知らせる装置は装着していないのだろうか。1機当たりの価格が約7000万ドル(約55億円)と言われている高額商品である。

 もし装着していないとしたなら、速度計(もしくは出力計)をしっかりと確認してから、回転翼の移動の操作に入らなければならないことになる。

 敵が待ち構えていたといった急激な戦闘状態に遭遇した場合、回転翼の移動の危険を知らせる装置があったなら、例え操作しても思いとどまることができ、敵と戦闘しながら出力の向上を待って回転翼の移動に入り、墜落を免れることもできる。

 フロリダの墜落事故解明は機体の安全性に関する調査が8月末までに終わるとしているが、モロッコと同様に間接的に操縦ミスを示唆している。《オスプレイ「性能に確信」=普天間配備時期に変更なし-米国防総省》時事ドットコム/2012/06/16-05:38)

 6月15日の記者会見。

 カービー国防総省広報官、「オスプレイは毎日、アフガニスタンでの作戦で大活躍している。性能については確信を持っている。

 調査結果は完全かつ透明性をもって日本政府に伝える。今回の事故と配備計画に与える影響に関し、日本側から懸念の声が上がっていることは承知している」

 そして沖縄県の米軍普天間飛行場への配備スケジュールに現時点で変更はないと明言したという。

 調査が終わらないうちに「性能については確信を持っている」と機体の安全性に問題なしを前提に計画通りに配備を進めていく。矛盾を感じないわけにはいかないが、野田政権は何ら矛盾を感じることなく、アメリカ側の方針に追従するだけの姿勢でいる。

 例え機体の安全性に問題ないからと機体上の欠陥からの墜落を否定したとしても、操縦ミス、人為ミスとしている墜落は否定し難い事実として二度も立て続けに起きている。

 前者は危険だが、後者は危険ではないとすることができるのだろうか。特に日本に配備した場合、多くの場合、基地近くに人口密集地帯を抱えている。

 配備予定の沖縄の普天間基地は過密な人口密集地帯を抱えていることから、世界一危険な基地だと言われている。人口密集地帯に墜落した場合、機体の欠陥からの墜落よりも操縦ミスからの墜落の方が被害を僅少に抑えると保証できるのだろうか。

 フロリダの墜落がモロッコの墜落と同様にオスプレイ特有の原因であることが次の記事で判明する。《オスプレイ事故の最新情報は》NHK NEWS WEB/2012年6月26日 18時12分)

 森本防衛相が6月22日に受け取ったアメリカ国防総省提供の事故調査最新情報を6月26日の記者会見で公表、その中で明らかにしている。

 いずれの墜落事故もプロペラが上向きと前向きの中間の位置で飛行している最中の出来事だとしている。

 森本防衛相「(フロリダの墜落について)射撃訓練中、プロペラを上向きと前向きの中間の位置で飛行している最中に墜落し、炎上した。

 (モロッコの墜落について)プロペラを上向きから前向きに傾ける動作を行いながら、追い風を受ける方向に旋回したことで、機体がバランスを崩した。

 この情報を鞄に入れて、地元に行って説明するという考え方には立っていない。もう少し地元に納得してもらえる情報が必要だとアメリカ側に言っている」・・・・

 「もう少し地元に納得してもらえる情報が必要だとアメリカ側に言っている」と言っているが、自身の言葉の中に自ら解釈すべき問題点が含まれているはずだ。

 要するに垂直方向と水平方向の中間の位置にプロペラを移動させて飛行した場合、あるいは中間の位置に固定して飛行した場合は機体の墜落を誘発しかねない操縦の難点があるということである。

 だとすると、単なる操縦ミスとすることはできないし、単純な人為ミスとすることはできない。機体上の欠陥があることになる。

 以上の飛行をした場合、墜落の危険が確度の高い状態で付き纏うことになる。

 モロッコの墜落の場合は、「追い風を受ける方向に旋回したこと」を墜落原因の一つとしているが、実際の戦闘中には機体の近くで敵発車のミサイルが爆発したり、敵ヘリコプターが爆発・炎上、あるいは味方のオスプレーが敵弾を受けて爆発・炎上して、突発的な突風が発生するケースを想定した場合、プロペラを垂直に固定して垂直方向に離着陸、水平方向に移動させて水平飛行も可能というオスプレイ独特の機能は作動できないことになる。

 特に戦場ではいつどこで突発的に敵機と遭遇しない保証はなく、ヘリコプターモードで離陸し、水平飛行に入るべくしてプロペラを水平方向に移動した途中過程で敵機に遭遇、機体を急旋回しなければならなくなったとき、墜落の危険は増すことになる。

 最初の「NHK NEWS WEB」が米国防総省の発表として、墜落の原因がパイロットが離陸直後のまだ速度が十分に出ていない状態で、操縦マニュアルに反して可動式の回転翼を水平方向に傾け過ぎ、そこへ後方から追い風を受けてバランスを崩して墜落したと伝えていたが、次の記事を読むと、やはり素人考えだが、プロペラを垂直方向から水平方向へ、あるいは逆に水平方向から垂直方向へ移動するとき、機体を安定に保った状態で移動できるように出力自体を抑えていることが、逆に墜落の誘因となっているのではないかと思えてきた。
 
 《米元高官オスプレイ不具合指摘》NHK NEWS WEB/2012年7月17日 20時5分)

 一昨年アフガニスタンで墜落したオスプレーの事故調査委員長を務めた軍の元高官であるドナルド・ハーベル元准将がNHKのインタビューに答えている。

 ドナルド・ハーベル元准将「調査の結果、エンジンが2つとも80%の出力しか出ていなかった。これは機体に不具合があるということだ」

 ドナルド・ハーベル元准将が事故の原因として視界不良や天候などに加えて、事故報告書にエンジンの出力低下を原因の1つとして盛り込もうとしたところ、空軍の上官から検証し直すよう求められたことを明らかにしたという。

 ドナルド・ハーベル元准将「軍の上層部は議会などから装備品の予算を獲得し続けなければならないというプレッシャーを感じていて、不具合などを認めることに消極的だったのではないか」

 記事結び。〈沖縄への配備を前に国防総省はオスプレイの機体の安全性は証明されていると主張していますが、今回の証言は安全性を巡って軍内部にも懐疑的な見方があることを示したものといえます。〉・・・・

 果たして、「エンジンが2つとも80%の出力しか出ていなかった」ということだろうか。常にほぼ水平方向に固定していなければならない機体自体が垂直に固定していたプロペラを水平方向へ斜めに向けたとき、あるいは水平方向に固定していたプロペラを垂直方向に斜めに向けたとき、斜め方向への推力が働くことになって、水平方向に維持する機体の維持が困難になるために出力を80%以上を超えないように抑えて設計してあるということはないだろうか。

 あくまでも素人考えである。オスプレーが操縦の難点を抱えている以上、機体上の欠陥ということになるし、それが素人考えで当たっていないとしても、機体上の欠陥から墜落することと操縦ミスから墜落することの危険性に何ら違いはないことに変わりはない。


 野田首相は7月16日、フジテレビ番組に出演、オスプレイの配備について発言したことが様々に批判を受けている。《首相発言要旨》時事ドットコム/2012/07/16-21:10)

 野田首相「配備自体は米政府の基本方針。同盟関係にあるとはいえ、どうしろ、こうしろという話ではない。安全性の確認をしないで飛行運用するということはない。政府の中で国土交通省、第三者の専門的知見を入れて(安全性を)再確認した上で、飛行運用する」

 「安全性の確認をしないで飛行運用するということはない」を絶対的姿勢としているなら、「配備自体は米政府の基本方針。同盟関係にあるとはいえ、どうしろ、こうしろという話ではない」は言う必要のない発言であるばかりか、前後相矛盾した発言となる。

 後者を事実とするなら、安全性の確認なしでも飛行運用を認めることになる。

 「同盟関係にあるとはいえ、どうしろ、こうしろという話ではない」を最初に持ってきた以上、この発言が本音であって、「安全性の確認をしないで飛行運用するということはない」は国民を納得させる見せかけの言葉となる。

 「同盟関係にあるとはいえ、どうしろ、こうしろという話ではない」は軍事的安全保障面で、同盟関係であっても対等な関係ではなく、相手の言うまま、するままに任せるということであり、日本をアメリカの支配下に置いているということを意味することになる。

 野田首相の対米追従根性がこれ程までとは思わなかった。言葉のうまさに誤魔化されてはいけない。

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