オスプレーの事故がこれまで公表してきた以上に多いことが分かったと伝えている記事がある。《オスプレイ“軽度事故の頻度は高い”》(NHK NEWS WEB/2012年7月26日 15時56分)
日米両政府は延べ10万時間の飛行で起きた死者が出るなどした重大な事「クラスA」は1.93件で、海兵隊が使用している9つの機種の平均2.45件よりも低いとして安全性を強調してきた。
ところが、海兵隊が分類した資料をNHKがこの程入手、同じ延べ10万時間の飛行で起きた比較的程度の軽い事故発生件数を加えると、平均よりも事故発生頻度が高くなり、さらにオスプレイの2001年から2012年までの11年間の事故発生件数は40件にのぼっていることが分かったという。
先ず2001年から2012年までの11年間の事故発生件数の内訳。
▽「クラスA」(死者が出たり高額の修理費用が生じたりするなど、最も深刻な事故)――4件
▽「クラスB」(乗員に部分的に後遺症が残るなどした事故)――9件
▽「クラスC」(軽いけが人が出るなどの事故)――27件
合計40件――年に4件近い発生頻度となる。
これまで公表されていなかった延べ10万時間の飛行で起きた比較的軽度の事故発生件数。
▽「クラスB」――2.85件(海兵隊平均2.07件)
▽「クラスC」――10.46件(海兵隊平均4.58件)
この「クラスC」の海兵隊平均4.58件の2倍以上にも達する10.46件は海兵隊の航空機の中で最も高い数値だという。
軽度の事故だから、例え事故発生件数が多くても、安全性に問題なしとすることはできない。紙一重で「クラスB」で済んだ、「クラスC」で済んだといった事故もあるはずである。
逆に、紙一重で「クラスC」から、「クラスB」になったり、「クラスB」から「クラスA」になる事故ということもあるはずである。
ほんの少しのところで命拾いをしたといったことは、ほんの少しの手違いで重大事故につながるところを一歩手前で済んだということであって、それを「クラスC」に分類したからといって、「クラスC」の軽度で片付けることはできないはずだ。
常に一歩手前で済む保証はないことを抱えている「クラスC」ということになるからだ。
当然、次の発言は素直に受け止めることはできない。
海兵隊報道部「程度の軽い事故の割合は確かに高いが、この2年で起きた事故の72%は操縦など人為的なミスが原因で、オスプレイに設計上の問題はなく、安全性の高い航空機だと確信している」
「この2年で起きた事故の72%」もが「操縦など人為的なミスが原因」で、「オスプレイに設計上の問題」はないと断言している。
高齢者がオートマチック車を運転していて、危険を避けるためにブレーキを踏むところをアクセルをブレーキと間違えて強く踏んでしまい、却って大事故を引き寄せてしまうといった事故例をマスコミが時折り取り上げる。
明らかに運転ミスであって、車に設計上の問題があるわけではない。
但し誰もが運転ミスをするわけではない。免許取り立ての若い初心者であっても、教習所でそれなりの教習を積んだ者が滅多にアクセルとブレーキを踏み間違えることはあるまい。
いずれもが主として操縦に関わる年齢的な運動神経や身体的な記憶能力が影響している個人的な運転技術の問題だからだ。
オスプレーを操縦するについては一般的には他のヘリコプターからの乗り換えだろうから、まるきりの初心者というわけではあるまい。
百歩譲って、オスプレーがヘリコプターの類の機体操縦が初めての初心者であったとしても、頭の柔軟性や運動神経、メカに対する知識取得能力等の適格性を得た者が操縦の資格を与えられているはずである。
あなたの年齢でもオートマティック車を若者同然に巧みに運転するからといって、高齢者を連れてきて操縦桿を握らせるわけではあるまい。
先ずはフライトシミュレータ(飛行訓練装置)訓練から入って、卒業できる技術を取得後、実地の訓練に入っていくはずだ。それも初歩の段階から始めて徐々に難度を上げていく。
それでも、「この2年で起きた事故の72%」が「操縦など人為的なミスが原因」だという。
この説明が果たして説得力を持ち得るだろうか。
言っていることは、フライトシミュレータ訓練や段階的な実地訓練に於ける操縦技術取得に反して実際には操縦士の操縦技術がオスプレーが必要とする運転操作に追いついていないままに操縦させているという矛盾を生じせしめることになる。
例え矛盾していたとしても、そういうことからの「この2年で起きた事故の72%は操縦など人為的なミスが原因」だとしなければならない。
要するに小学生か中学生が車の運転技術があるわけでもないのに親の目を盗んで親の車を運転し、事故を起こす類とみなければならない。
フライトシミュレータ訓練で卒業できる技術を取得後、段階的に難度を上げていく実地訓練を行なっていたなら、「事故の72%」が「操縦など人為的なミスが原因」などということは起こりようはずがないからだ。
だが、オスプレーの安全性に全然問題がなかったなら、操縦士の操縦技術が追いつかないということはあり得るのだろうか。
もし操縦士の操縦技術が追いつかないオスプレーの安全性だとしたら、いわば操縦技術を超えるオスプレーの安全性だとしたら、この2年間に於ける「操縦など人為的なミス」の事故率72%は、逆説的な言い回しになるが、オスプレーの安全性が誘発した「操縦など人為的なミス」ということになる。
いわば「安全性に問題はない」と言っているが、何らかの機体上の欠陥を抱えているということである。
そうとでも考えなければ、この2年間に72%にものぼる「操縦など人為的なミス」の事故発生件数の多発的誘発は理解できないことになる。
参考までに――
2012年7がzつ18日当ブログ記事――《オスプレイは機体が欠陥原因の墜落は危険で、操縦ミスが原因の墜落は危険ではないのか - 『ニッポン情報解読』by手代木恕之》