「国民の生活が第一」中村哲司参議員の7月27日質疑から、マニフェストは国の形づくりの約束だと学ぶ

2012-07-31 11:30:56 | Weblog

 新党「国民の生活が第一」の若きエース中村哲治参議院議員(41歳)が7月27日参議院「社会保障と税の一体改革特別委員会」で、「選挙のときに約束しなかった増税を強行しなくてはならないぐらい果たして財政危機なのか」という論点から消費税増税をマニフェスト違反だとする趣旨の追及を行った。

 その追及と安住財務相の答弁から、改めてマニフェストとは何かを今更ながらに学ぶことができた。

 マニフェストとは単に国民に約束した政策の数々ではなく、実際はそれらの政策を主たる骨格として国の形を全体的に形づくる設計図であるということである。

 いくつかの政策を掲げて、全体として国の形をこのようにしますと提示し、国民に約束した国の形づくりの設計図であると。

 当たり前のことを言っているように思われるかもしれないが、個々の政策にのみに囚われるのではなく、どのような国の形を目指しているのかという観点からマニフェストに掲げてある政策をより注意深く眺めるべきであろう。

 またマニフェストで政策を約束し、国の形を約束した以上は、マニフェストに掲げた政策の実行を通した国の形づくりを自らの責任行動とする同時にマニフェストに掲げた政策実行を通した国の形づくりの範囲内に自らの政治行動が規制を受けることになる。

 その範囲を超えることは国民には約束していない国の形づくりを行うことを意味することになるからだ。

 勿論、例外はある。昨年の東日本大震災の対応や福島原発事故対応に関わる政策はマニフェストに掲げてはなかったが、実行しなければならない数々の政策である。

 だが、マニフェストに掲げる政策は国の形を決める政策であるはずである。

 大震災対応は一旦部分的に破綻した国の、その一部分を修復する仕事であって、国の骨格形成に関係する政策遂行とは言えないはずだ。

 但し今後原発政策をどうするかは国の形づくりに深く関係するゆえに当然、次の選挙の争点としなければならない。

 マニフェストが国の形を決める政策提言である以上、当然、そのような国の形を忠実につくり上げる実行責任を負うと同時に自らが掲げたとおり、国民に約束したとおりの国の形づくりに限った行動規制を受けることになるとしなければならない。

 そこに余分なパーツを加えて、国民に約束もしていない違った国の形づくりをしてはならないはずだからである。

 こういった点のみを取り上げてみる。

 中村哲治議員「財政再建に対する姿勢を持つということと、危機だから、選挙の前に増税しないといけないということとは違うんですよ。それを混同しているんじゃないですか」

 安住財相「この間もお話しましたけども、あのー、選挙の民意というものを私共大変に重視しています。ですから、この法案(消費税増税法案)が仮に通っても、実施される前までに衆議院も参議院も審判を受けるわけです。

 ですから、そういう意味では我々は別にそういうことは軽んじていません。

 一方で、衆議院で申し上げましたように75%の衆参、(首を振って)衆議院の議員は賛成してくれています。その方々はすべて民意で選ばれた方々ですから、そういう意味で私共は決して民意に逆らって、何かこうしたことをやっているとは思っていません。

 また、民主党としてですね、これから消費税の必要性というものは丁寧に私はお訴えをしていきたいと思いますが、そういうタイミングとは別にやっぱり、国の一般会計のこの歳入の中に占める国債の割合が50%近いという現実から目を背けちゃダメだと思うんですよ。

 で、そういうことがやっぱり構造的な問題としてありますから、私共は今財政再建を含めて、予算全体の中に占める比率が社会保障が大きいので、その財源の確保と共に今回の消費税のお願いをしているということです」・・・・・

 詭弁も詭弁、詭弁を駆使して言い逃れの薄汚いペテンを働いているに過ぎない。子どもっぽい無害そうな顔をした裏には飛んでもない欺瞞を隠している。

 消費税増税案等に75%の衆議院議員が賛成した。それら議員のすべては民意で選ばれているのだから、消費税増税は民意に逆らっているわけではないとヌケヌケと正当化している。

 自民党で当選した議員にしても、公明党で当選した議員にしても民意の選択ではあるが、国の形作りに関しては大多数の民意は民主党がマニフェストに掲げた各政策が総合的につくり上げることになる国の形を選択したのであって、自民党が掲げた国の形でもなければ、公明党が掲げた国の形でもない。

 要するに国民の大多数が民主党に政権担当を託したということは民主党が言っている国の形づくりを託したことを意味する。自民党が言っている国の形づくりを託したのでも、公明党が言っている国の形づくりを託したのでもなかった。

 民主党が掲げた国の形を自民党や公明党が掲げた国の形とこねくり回して当初とは違ったものにした国の形は後付けのものであって、2009年総選挙の過去に戻って国民は民意を示しようがない。示すとしたら、次の総選挙ということになるが、野田内閣は75%の衆議員が賛成した民意だとする詭弁を以って実際の民意を受ける前に消費税増税を財源とした国の形を既成事実化し、既成事実化されたその国の形を選択するという狭い選択を国民に強制している。

 民主党議員はマニフェストに掲げた各政策が国の形を形づくる設計図だという認識と、各政策を通して国民に国の形を問うたのだという認識がなかったのだろうか。選択を受けたのは我々が提示した国の形なのだという認識が。

 その認識があったなら、提示し、信を得た設計図通りの国の形を形づくる行動責任を負うと同時に、約束してはいない異なる国の形づくりに走ってはならない行動規制を課せられたことを認識していなければならなかった。

 中村哲治議員「そういう話はですね、選挙のときの公約に掲げて、信を問うてから、やればいいんですよ。近代国家では被権者(?)が負担をする税こそ選挙による代表議会の合意がなければ課税を行うことができないという租税法律主義の大原則があります。

 憲法も84条では新たに租税を化し、または現行の租税を変更するには法律または法律が定める条件によることを必要とすると規定をしております。.

 まさに税こそが、民主主義が問われる課題であります。消費税というのは非常に大きなテーマでありますから、選挙のときに2009年マニフェストで問うておかなければいけないんですよ。

 本当にこうやってやるんであれば、もし百歩譲って、約束していないのにやるっていうことは、財政危機が間もなく見えていると、上げないとどうしようも国家財政が回らないと。

 そういうふうな切迫した状況であれば、それは国民の皆さんにも納得してくださるでしょう。問題は約束していないことをやると。それも負担の重いことだと。そこについてどう考えているのかと言われるわけですよ――(以下略)」

 中村議員は日本の財政危機が切迫しているわけではないことを説明する。

 安住財相「税と民主主義の話はですね、おっしゃるとおり重要なことです。ただ、毎年の年度改正とか、そのたびに一々選挙やっているわけでないわけですね。トータルで任期中のことについては、それは審判を受けなければなりません。

 あの、例えば、国々それぞれがですよ、ヨーロッパでは例えばイギリスなんかはですね、オズボーン蔵相、この間私は聞いて、なる程と思いましたけど、例えば消費税は実は、あの財務大臣の権限で上げられるんです。

 事後承諾なんですね。そういう意味では中村さんのご主張は十分我々分かって、それで、これを実際上げる前には審判を頂くわけですから、そういう意味ではしっかりと制度設計をやっている段階ですから、それを以て選挙をやらないから、けしからんという話には私はならないと思います。

 きちっと日本の国は4年おきの、あるいは3年毎の参議院の選挙や衆議員の選挙等を通して、国政に民意というのものは十分税を含めて、反映されていると思います」・・・・

 衆議院の4年間の任期とは選挙によって国の形づくりに民意を得た政権党が自らが掲げた国の形づくりに違約せずに専念する4年間を意味する。

 「毎年の年度改正」等は国の形そのものに根本的に影響する改正ではないはずで、それを以て国の形に根本的に影響する消費税増税と一緒にして、「そのたびに一々選挙やっているわけでない」と、消費税増税を選挙で問わなかったことの正当化の口実とする詭弁を用いている。

 しかも国の形を問う選挙を経ないことの正当化理由に蔵相の権限で消費税を増税できるイギリスを持ち出しているが、国の形づくりの全体に影響する日本の消費税の議論をしているのであって、イギリスの議論をしているわけではないし、選挙のときに約束した国の形づくリとは異なる国の形づくりに走っているのではないのかという正当性を質しているのである。

 詭弁を用いることでしか国民の信を問わないことの正当性を訴えることができないから、「消費税増税先行ではない、社会保障制度改革も一体となって進めている」としていることにしても詭弁でしかないゴマカシであることを図らずも暴露することになる。

 消費税を「実際上げる前には審判を頂くわけですから、そういう意味ではしっかりと制度設計をやっている段階ですから」・・・・

 消費税増税の時期と増税率を決めた。対して社会保障制度改革やその他は現在、「しっかりと制度設計をやっている段階」だと、一体的進行であるどころか、後追いであることを自らバラしている。

 中村哲治議員「私は今すぐ選挙をやれなんて一言も言っていないですよ、2009年マニフェストで約束したのは4年間の任期です。4年間の任期で集中的な国政の改革を行う。

 だから、私たちが民主党の中にいたときに主張していたのは来年年金法が出てくるわけですから、そこで年金法の抜本的な改革も示されると。そのときに併せて出してもおかしくないわけで、そういうふうなことをなぜできないかと。そういうようなことを申し上げていたわけです。

 もう、あの、いくら言ったって水掛け論になるでしょうから。

 結局ですね、選挙のときに約束したことをどれくらいきちっと守ろうとするのか、この姿勢が2009年マニフェストの一番、思想的な中心であったはずなんです」(以上)

 中村議員は野田内閣が一番思想的な中心を捨て去ったと、なお追及していく。

 安住財務相は日本の消費税に当たるイギリスの付加価値税は法律に拠らずに蔵相の権限で上げることができると言っているが、イギリスは昨年2011年1月に付加価値税を17・5%から20%へ増税したものの、高失業率の不況に苦しんでいるという記事がある。

 《【日曜経済講座】消費増税に景気条項義務付けを 英の付加価値増税 失敗の教訓》MSN産経/2012.7.29 11:23)

 記事題名でイギリスの付加価値税増税は失敗だとまで言っている。

 〈ロンドン五輪が華やかに開幕したが、メーンスタジアムの外側では若者5人のうち1人以上が失業というありさまで、英経済社会はかなり暗いようだ。〉・・・・

 08年9月のリーマン・ショック後の不況から2010年秋には立ち直りを見せていたが、2010年末辺りから景気が減速開始、今年2012年第1四半期(1~3月)には前年比でマイナスに落ちみ、前期比では2期連続のマイナスとなった。

 個人消費は低迷し、五輪効果が出ていないと書いている。

 いくら蔵相の権限一つで付加価値税を増税できる便利さがあったとしても、その便利さは不況を長引かせることにしか役に立っていないとしたら、却って仇となる。

 安住財務相のイギリスの例は自身の詭弁を成立させるために都合のいい所だけを食い散らかすご都合主義に過ぎない。

 民主党は2009年総選挙マニフェストでこういう形の国にしますと国の形を約束した。

 その国の形にはトータルの国の形に深く影響する消費税増税という骨格は入っていなかった。前の選挙で約束したのとは異なる国の形にしてから、次の選挙で国民の審判を仰ぐというペテンをやらかそうとしている。

 インチキ商品をつくり出して、それ以外の買い物の選択肢はできないように仕向けるペテン同然の遣り方ではないか。

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