昨日7月9日(2012年)、民主党を離党、新党結成に向けた小沢氏と民主党残留の鳩山元首相が約30分間会談。《小沢氏と鳩山元首相 今後も連携確認》((NHK NEWS WEB/2012年7月9日 18時59分)
小沢氏が会談で、「こういう状況なので、これからも、いつでも連絡を取れるようにしておこう」と発言したことからすると、鳩山氏を民主党内協力者に位置づけたようだが、いざとなると思い切った行動を取るだけの資質がない鳩山氏にどれだけ期待できるのかは甚だ疑問だ。
野田首相に対する精神的牽制としては蚊に刺された程度には役に立つかもしれない。
小沢一郎氏「我々の行動は、国民から支持されている。次の衆議院選挙では絶対に勝たなければならない」
鳩山氏「党内で『今の消費税率引き上げ法案には反対だ』という仲間をできるだけ増やす努力をしていきたい」
会談後記者団に対して。
鳩山氏「会談では、これまでどおり連絡を取り合ってやっていこうという話をした」・・・・・
小沢氏は言っているが、小沢氏の行動は果たして「国民から支持されている」いるのだろうか。
既に出ている世論調査の動向とは異なっている。
実際にこのような発言をしたのか、他の記事にも当たってみたが、どの記事も伝えていない。だが、テレビで、こういう発言をしたと伝えたのだから、多くが耳にし、奇異に感じ、何言っているんだと、内心軽蔑した者も相当いるに違いない。
昨日夕方7時からの「NHK総合テレビ」が伝えた世論調査によると、小沢氏が言っている状況とは違う。
次の記事から見てみる。《野田内閣不支持56% 発足以来最高》(NHK NEWS WEB/2012年7月9日 19時46分)
先ず野田内閣の支持率を見てみる。
「野田内閣を支持する」――27%(先月前回調査±0ポイント)
『野田内閣を支持しない」――56%(先月前回調査+5ポイント)
この不支持率は野田内閣発足以来最も高い不支持率だと書いている。
「支持する理由」
「人柄が信頼できるから」――34%
「他の内閣より良さそうだから」――33%
「支持しない理由」
「政策に期待が持てないから」――51%
「実行力がないから」――24%
「社会保障と税の一体改革」取り組み評価
「大いに評価する」――3%
「ある程度評価する」――30%
「あまり評価しない」――39%
「まったく評価しない」――23%
消費税2014年4月8%、2015年10月10%増税の賛否
「賛成」――30%
「反対」――38%
「どちらともいえない」――29%
「社会保障と税の一体改革」以外の政策での民主・自民・公明3党合意の是非
「望ましい」――14%
「どちらかといえば望ましい」31%
「どちらかといえば望ましくない」――24%
「望ましくない」――24%
小沢一郎氏に対する行動評価
「大いに評価する」――6%
「ある程度評価する」――18%
「あまり評価しない」――25%
「まったく評価しない」――45%
小沢氏の7月11日結成新党に対する期待
「大いに期待する」――3%
「ある程度期待する」――11%
「あまり期待しない」――30%
「まったく期待しない」――52%
橋下大阪市長「大阪維新の会」の国政進出への期待
「大いに期待する」――21%
「ある程度期待する」――41%
「あまり期待しない」――24%
「まったく期待しない」――9%
衆議院の解散・総選挙の時期
「できるだけ早く行うべきだ」――23%
「9月の国会の会期末までには行うべきだ」――19%
「年内には行うべきだ」――24%
「来年の衆議院の任期満了まで行う必要はない」――25%(以上)
この世論調査の小沢氏の行動、新党結成に対する期待の数値は6月30日、7月1日実施の産経新聞社・FNN合同世論調査での小沢氏による新党への期待11%、「期待しない」87%にほぼ一致する。
世論の逆風は強い。だが、逆風を十二分に承知していて、信念に基いて敢えて行動したはずだ。小沢氏は次のように発言すべきだったろう。
小沢一郎氏「我々の行動は、国民から支持されていない。だが、信念に基づいて行動したのだから、我々は間違っているとは思っていない。信念と心中する覚悟で国民の支持を得る努力をする。
そのためには増税しなくても財政運営ができることを国民が納得できるように説明していく。消費税を増税しなくてもやっていけると主張する経済学者や評論家諸氏がたくさんいる。彼らの協力も得て、国民に理解を求め、逆風にある支持の風向きを少しでも変えたい」
増税反対の識者を活用しない手はない。
実態としてある世論動向とは異なって、「我々の行動は、国民から支持されている」と発言することによって失うかもしれない信頼感を、「我々の行動は、国民から支持されていない」と堂々と認めることによって、支持されていないことを単に認めて終わるわけではなく、信念の行動であることを力強く前面に打ち出すことが補って、逆に得ることにつながるはずだ。
何よりも信念の行動は世論の支持を決して行動の拠り所ともしないし、行動要件ともしない。しかもこの世論は野田内閣支持率のように“結果に対する”否定的世論ではなく、“期待に対する”否定的世論に過ぎない。今後の行動が否定的世論を逆転可能とする余地を有している以上、「政治は結果責任」論から言っても、信念を如何に結果に結びつけるかに“結果に対する”世論はかかっている。
この前途洋々からすると、野田内閣支持率は老年期の世論と言うことができ、小沢世論は未だ前途がある壮年期の世論と言うことができる。
(青年期の世論と言いたかったが、ちょっと憚りがあるように思えて、壮年期に変えた。)
小沢氏は同じ昨日9日に河村名古屋市長が率いる「減税日本」のパーティーで挨拶、自らの行動を信念の行動だと力強く訴えている。
《小沢氏 減税日本と連携に意欲》(NHK NEWS WEB/2012年7月10日 0時32分)
小沢一郎氏「河村市長は『何としても減税だ』と主張し始めてから、絶対、自分の信念を曲げずに貫き通しており、悪くいえば非常に頑固でわがままだが、私も似たようなたぐいだ。政治や行政に関わる者は、社会のために正しいと思ったら、どこまでもその主張を貫いていかなくてはならない。
私と河村市長とは、基本的な考え方については全く同じなので、今後とも、お互いの志をみんなのために役に立てようという気持ちを常に持ちながら、力を合わせて頑張っていきたい」
小沢氏に期待することはこの信念を貫き、「政治は結果責任」――国民にとって望ましい結果を出し、それを自らの結果責任とすることである。
当然、“結果に対する”世論の支持はついてくる。