安倍晋三の念頭所感「アベノミクスをさらに進化させる」はカネがカネを生む構造を取った格差拡大策

2015-01-08 09:25:37 | 政治


 今年1月1日から相続税の基礎控除額が40%引き下げられて子ども2人相続の場合、遺産額7000万円までの非課税が4200万円で課税されるようになったと、「NHK NEWS WEB」記事が伝えている。

 最高税率もこれまでの50%から6億円を超える分が55%に引き上げられたという。

 数字だけ見ると、国家という名の追い剥ぎから相当なボッタクリに遭うようだが、国税庁によると、課税対象者の割合は約4%から6%に増える見込みのみだとしている。

 日本の人口約1億3千万のうちの6%と言うと、780万人。但し何事も対策という防御措置があるから、単純計算の6%であって、780万人が700万人を切らない保証はない。

 記事も節税対策として生前贈与や自宅の庭に賃貸住宅を併設した場合、相続税対象の土地評価額が割り引かれる制度を利用した節税方法を紹介、既に採用・実行している課税対象者をNHKのテレビニュースでは紹介していた。

 なかなか立派な賃貸住宅で、賃貸費もそれなりに取るだろうから、相続税対策でありながら、低所得層には逆立ちしてもマネができないカネがカネを生む構図まで新たに手に入れたことになる。

 所得格差と教育格差の関連性も親子二代に亘る、あるいは親子三代に亘るカネがカネを生む構造を取っている。親のカネ、あるいは祖父母のカネが子の高学歴獲得に寄与して、その高学歴を元手に将来的に高所得が見込まれる職業に就く。

 そして一方でこういった人生行路を取ることができない所得層の大多数が存在して、結果として所得格差が教育格差を生んで、それが新たな所得格差へと発展していくカネがカネを生む構造を連関させることになる。

 生前贈与を形とした相続税対策の広く知られている一つが次のものであろう。

 祖父母が子・孫名義の金融機関の口座等に教育資金を一括して拠出し、その資金を子・孫が利用して教育機関に教育関係費として支払った場合、子・孫ごとに1500万円までを非課税とし、学校等以外に支払われる教育資金については500万円を限度として、併せて2000万円までを非課税とする「教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置」にしても、2013年25 年4月1日から今年2015年12月31日までの3年間措置ではあるが、初期的な目的は相続税対策ではあっても、カネがカネを生む構造を取ったカネの受け渡しであるはずだ。
 
 利用できる教育機関とは、認定こども園又は保育所など、学校教育法上の幼稚園、小・中学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、高等専門学校、大学、大学院、専修学校、各種学校、さらにインターナショナルスクール(国際的な認証機関に認証されたもの)、外国人学校(文部科学大臣が高校相当として指定したもの)、外国大学の日本校、国際連合大学と続き、外国にあるその国の学校教育制度に位置づけられている小中高大学、同じく外国にある日本人学校、私立在外教育施設等と多岐に亘り、カネがカネを生む構造を水も漏らさない態勢でバックアップしている。

 利用できる使途は入学金、授業料、入園料、保育料、施設設備費又は入学(園)試験の検定料等学校機関に直接支払う必要経費と学用品費、修学旅行費、学校給食費等の教育機関での教育に伴って生じる必要経費。

 さらに自身の通う教育機関以外では、「社会通念上相当と認められるもの」という条件付きながら、「役務提供又は指導を行う者(学習塾や水泳教室など)に直接支払うカネ」として、学習塾やそろばん塾などの塾費用、水泳、サッカー、野球などの各クラブ費用、ピアノ教室、絵画教室等の文化芸術に関わる費用、そしてこれらの活動で使用する教材その他の物品購入費等々至れり尽くせりの節税対策となっている。

 そしてこういった各クラブや各教室から才能ある人材が輩出して、高額のカネを手に入れていく。

 このような仕組みを見ると、所得格差と教育格差の関連性ばかりか、カネがカネを生んでいく構造を信じない者はいまい。

 この「教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置」は既に触れたように時限措置で、賞味期間は2015年12月31日までだが、大企業・富裕層味方の国家主義者安倍晋三である、2016年以降も継続しないとも限らない。

 この非課税措置とは別にその年の1月1日から12月31日までの間に生前贈与を受けた場合の基礎控除額に当たる合計額110万円までを非課税とする「暦年贈与」が存在する。これは被贈与者に関して年齢制限はないし、使途の限定もない。公職選挙法とは違って、SMバーの遊興費に使おうと、コスチュームを着て、肌も露わな若い女性にムチで叩かれて特別費用がかかろうと、騒がれることもないし、非難も受けることはない。

 「教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置」の1500万円+500万円は教育関係費にタップリと使って、年々の110万円は酒と女と旅行の人生経験に有効活用したなら、知識・経験が豊富になって人間の幅を作ることもできるし、幅の広い多方面に亘った人脈作りにも役立って、そういった人生を経ていな他者を居ながらにして雰囲気だけで圧倒、その後の人生を勝ち馬方向に導いてくれるはずだ。

 そうなれば、所得格差と教育格差の生きたシンボルとなることができる。カネがカネを生んでいく構造の実践者として世に存在し得ることになる。

 父母や祖父母などの直系尊属限度の「住宅取得資金贈与」の、贈与を受けた年分の所得税の合計金額が2000万円以下といった条件があるものの、最大1000万円限度枠の非課税にしてもカネがカネを生んでいく構造を取ったカネの流れであるはずだ。

 そういった贈与に縁のない者で自分で土地と住宅を取得した場合、20年、30年とローンに苦しめられながら、稼いだカネからローン分に相当するカネを減らし続けていかなければならないから、カネがカネを生む構造とは逆の構造に囚われの身となる。

 これも時限立法で、平成26年12月31日までであるが、国交省は平成27年度の税制改正に向けて期限を平成29年12月31日にまで延長、非課税枠を3000万円まで拡充する方針だという。

 自民党税制調査会が来年度税制改正で創設を検討している、少子化対策の一環として親や祖父母が結婚や出産、子育ての費用を一括して援助した場合に子や孫1人当たり1000万円を上限に贈与税を非課税とする制度にしても、4年間の時限措置ではあるが、結婚や出産、子育ての費用を一括して援助できる層がどれ程存在しているのかを考えると、やはり余裕所得層に向けたカネがカネを生む構造の機会付与にしか見えない。

 厚労省が纏めた「ホワイトカラー・エグゼン プション」案は対象年収1075万円以上の専門職を週40時間を基本として、それ以上の時間を労働時間規制から外す内容だと言うが、時間外労働の対価としてのカネを労働者自身が手に入れるのではなく企業が手に入れるのだから、ある意味カネがカネを生む構造の制度と言うことができる。

 安倍政権は景気対策と言いながら、一般生活者には関わることができない場所で高額所得者のためにカネがカネを生む構造を用意してやっている。

 上がその構造に恵まれ、下に縁がないことが上下経済格差を生じている最大の原因であろう。そして教育格差もこの中に閉じ込めれている。

 安倍晋三が念頭所感で、「アベノミクスをさらに進化させる」と言っているが、経済格差を更に拡大させると言っているようにしか見えない。

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