安倍晋三と仲井真知事が辺野古移設と予算をヒモ付け、リンクさせた結果の沖縄振興予算の減額

2015-01-15 09:22:53 | 政治


 沖縄振興予算が減額された。マスコミは普天間基地の辺野古移設賛成の知事から反対の新知事に交代したことに対する牽制と見ているが、菅官房長官はそのこととリンクさせた減額ではないと言っている。

 私自身は辺野古移設反対から賛成へと沖縄県民を裏切った前仲井真知事が基地移設と沖縄振興予算を安倍政権との間でヒモ付けたことから、リンクさせていないことはないと見ている。

 で、このことを証拠づけるために色々とネット上を調べてみた。

 先ず菅官房長官の2014年12月26日の閣議後記者会見発言から。

 菅官房長官(沖縄振興予算について)「まさに調整中で削減の方針を固めたという事実はない。沖縄振興は特別措置法に基づいているわけで、アメリカ軍普天間基地の移設計画とリンクすることもない」(NHK NEWS WEB/

 1月14日(2015年)、安倍政権は2015年度予算案を閣議決定した。閣議後記者会見。

 菅官房長官「沖縄振興策を総合的、積極的に推進していくなかで、必要な額を積み上げた。一方で、不用額と繰越金が発生したので、そうしたものを精査したうえで今回の予算編成を行った」

 記者「沖縄県知事が代わり、基地問題へのスタンスが変わったことと減額はリンクしているのか。このバカヤロー」

 「このバカヤロー」は私自身の腹の中の言葉。

 菅官房長官「「全く当たらない。現に仲井真前知事と約束した額は確保している」(以上NHK NEWS WEB記事から)

 「仲井真前知事と約束した額」とは、安倍晋三が2013年12月24日の閣議で沖縄の振興予算を2021年度まで毎年3000億円台を確保する方針を表明したことを指す。

 2014年度沖縄振興当初予算は3501億円。2015年度閣議決定予算案では3340億円の計上。昨年度から見ると、161億円の減額である。

 この減額は当初予算では5年振りの前年度比マイナスだそうだ。つまり仲井真知事時代の後半は常に前年度比プラスであった。

 但し当初予算161億円の減額は昨夏の概算要求額3794億円から見ると、454億円もの減額となる。

 概算要求とは各省 (大臣) が財務省 (大臣) に対して行う翌年度の歳入歳出予算、繰越明許費および国庫債務負担行為の見積りを言うとネット上で解説されている。

 この概算要求は毎年8月31日迄に財務大臣に送付しなければならない。

 ごく当たり前のことを言うが、地方自治体の予算に関わる概算要求は各省(大臣)の関係部局が勝手に決めるわけではないし、地方自治体の予算に関わる内情を全て把握しているわけではない関係部局が勝手に決めることはできない。地方自治体の要請を受けて、双方の協議の末に予算額を決定する。沖縄県の場合は内閣府沖縄担当部局が担当している。

 8月31日迄の財務大臣への送付なのだから、2015年度沖縄振興予算概算要求は前仲井真知事が協議相手の知事ということになる。年度超えの継続事業であれ、新年度の新規事業であれ、各事業の必要予算額を算出して、それぞれの事業に関して内閣府沖縄担当部局と協議、各事業ごとの予算額を決定していき、全体の概算要求額が決まっていく。

 これも当たり前のことだが、沖縄県が要請した予算額以上の金額で決まることは決してなく、満額か、それ以下の金額となる。それが3794億円であった。

 因みに2013年度の沖縄振興予算は3001億円であった。翌2014年度沖縄振興概算要求額は2013年度予算額3001億円を407億円も上回って、3408億円を決めた。仲井真知事が必要として国に要請した金額をほぼ満額で決めた様子を窺うことができる。

 そして决定した2014年度予算は概算要求額3408億円を93億円も上回る3501億円に決定している。

 以上の経緯から窺うことができる国の姿からは赤字財政に反した大いなる気前の良さと同時にこの93億円の増額は、2014年度の概算要求額を決める際に内閣府沖縄担当部局が削った93億円をほぼ戻す形にして上乗せした2014年度予算額3501億円ではないかといったカラクリを見ることができるということである。

 だが、一転して仲井真知事が昨年の8月に必要として要請し、决定した2015年度沖縄振興予算概算要求総額3794億円に対して1月14日閣議決定された2015年度予算額は既に触れたように3340億円で、454億円も減額されている。

 菅官房長官は「不用額と繰越金が発生」していることを減額の理由に挙げているが、仲井真知事は沖縄県に必要として計画した各事業遂行に同じく必要として算出した金額を概算要求に反映させるべく要求し、决定したのである。

 当然、2014年度予算の2015年3月末までの使途状況も把握し、見通したた上で2015年度予算獲得のために概算要求の場に臨んだはずであるから、概算要求要請の8月から昨年12月末までに大きく狂うことは考えられない。

 もし大きく狂ったとしたら、沖縄県の事業計画能力と事業遂行能力、さらに予算算出能力の問題が浮上することになる。

 「NHK NEWS WEB」は減額の理由を――

 〈政府が14日閣議決定した新年度・平成27年度予算案で、沖縄振興予算は3340億円で、使いみちを地元の自治体が自主的に決められる一括交付金が減ったことなどから、5年ぶりに前の年度の当初予算を下回りました。〉とし、具体的には、〈一括交付金は、使い切れなかったり繰り越されたりした金額が多かったことから、今年度より141億円少ない1618億円となりました。〉としていて、沖縄振興予算に関する未使途金や繰越金の発生については何ら解説していない。

 一括交付金に関わる概算要求にしても、沖縄県の要請に対して内閣府沖縄担当部局と協議、決定する経緯を踏むから、未使途金や繰越金が多く出ること自体が事業計画能力・事業遂行能力、予算算出能力の問題に関係してくるが、菅官房長官の発言していることが果たして事実かどうか、ここ最近の一括交付金概算要求額とその決定予算額を見てみる。

 2012年度一括交付金予算1574億円に対して2013年度一括交付金概算要求額は1614億円で、2013年度一括交付金予算は概算要求額1億円の減額1613億円と決定している。

 2013年度一括交付金予算額1613億円に対して2014年度概算要求額は1671億円で、2014年度一括交付金予算は概算要求額を一挙に88億円も上回って1759億円と決定している。沖縄県側が必要として要請した金額を上回ることは先ずないから、官僚側が概算要求で削った分を安倍政権側が政治的配慮で元に戻したといったところだろう。

 2014年度予算は前年2013年12月にほぼ決まるから、安倍晋三が2013年12月24日の閣議で、沖縄の振興予算を2021年度まで毎年3000億円台を確保する方針を表明したことと無関係ではなく、この頃、安倍晋三と仲井真当時沖縄県知事との間で辺野古移設と沖縄関連予算をヒモ付けたと思われることと関連しているはずだ。

 当然、両者の密約にる88億円の戻しと見ることができる。

 2014年度一括交付金予算額1759億円に対して2015年度一括交付金概算要求額は1869億円。そして1月14日閣議決定した2015年一括交付金予算は前年度一括交付金予算額から141億円少ない1618億円と決定。

 少なくとも2014年度概算要求まで一括交付金に関して内閣府沖縄担当部局は未使途金や繰越金の存在を認めてはいないし、安倍政権側にしても2014年度の予算決定(2013年12月)までにそれらの存在を認めてはいない。いわば適正な事業計画であり、その計画に対して適正な予算算出だと認めている。

 と言うことは、予算に応じて各事業を適正に遂行していたことになる。

 ところが菅官房長官が言うように減額が「不用額と繰越金が発生した」ことが理由だとしたら、概算要求が決まる2014年8月の翌月から2014年12月の間に沖縄県は急激に事業遂行能力、あるいは予算執行能力を失ったことになる。

 それ以前に能力喪失を来していたとしたら、2014年8月の概算要求決定時に内閣府沖縄担当部局は見抜けなかったことになり、今度は官僚の能力が問われることになる。

 官僚の能力以外のことを事実と認めることができるだろうか。

 菅官房長官の発言は尤もらしい理由付けを装う薄汚いゴマカシであって、どう見ても、安倍晋三と仲井真前知事が辺野古移設と沖縄振興予算、さらに一括交付金をヒモ付きとしたことに対応させて辺野古移設反対派の翁長新知事登場にリンクさせた減額としか解釈しようがない。

 時代劇の悪代官が力のない市井の庶民に対して無慈悲な仕打ちをするのと同然のアコギな真似に見える。

 参考記事

 《平成25年度沖縄振興予算概算要求について》(内閣府沖縄担当部局)  
 《平成26年度沖縄振興予算概算要求について》(内閣府沖縄担当部局)  
 《平成27年度沖縄振興予算概算要求について》( 内閣府沖縄担当部局)   

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