現在国会で安倍昭恵が名誉校長となっていて、安倍晋三シンパの森友学園が建設中の「瑞穂の國記念小學院」の国有地であった敷地は不動産鑑定評価額が9億3200万円であるにも関わらず、土壌汚染と地下埋設物が明らかとなり、その土壌改良と埋設物撤去工事の見積額約8億1900万円を差引いて1億3400万円で売却されたことが安倍晋三による便宜供与ではないかと問題となっている。
国会で追及された安倍晋三は次のようにミエを切っている。
安倍晋三「妻の昭恵が小学校の名誉校長になっていることは承知している。私や妻が、この認可あるいは国有地払い下げに、事務所も含めて、一切関わっていないということは明確にさせていただきたい」と述べました。そのうえで、安倍総理大臣は「私や妻が関係しているということなれば、間違いなく総理大臣も国会議員も辞めるということは、はっきり申し上げておきたい。全く関係ない」(NHK NEWS WEB/2017年2月17日 18時38分)
この問題を2017年2月17日の衆院予算委員会で追及した民進党の福島伸享議員は質問に関わる配布資料をネット上に載せている。以下纏めてみる。
《2017年2月17日衆院予算委員会福島伸享議員配布資料》 昭和49年3月 伊丹空港周辺に係る騒音対策区域の指定。 ※この間、住民の求めに応じて土地の買い入れを実施し、購入後は大阪航空局所有の行政財産として管理。 平成元年3月 豊中市野田市周辺の騒音対策区域の解除。 平成5年 行政財産から普通財産化。 平成21年~平成24年 土壌汚染(鉛・ヒ素)、廃材・コンクリートガラ等の地下埋設物が発覚。 ※大阪航空局において、地下構造物状況調査、土壌汚染状況調査を実施。 平成22年3月 豊中市が東隣土地9,442 ㎡の国有地を14億2300万円で購入。 平成23年7月頃 別の学校法人が7 億円前後で土地購入したい旨を財務局に提示。交渉が折り合わず断念。 平成25年6月3日 近畿財務局による公用・公共用の取得要望の受付。 9月2日 学校法人森友学園が近畿財務局に取得等要望書を提出。 平成26年8月20日 設置計画書の提出 10月31日 認可申請書の提出 12月18日 大阪府私立学校審議会12月定例会。 設置認可について審議。答申を保留し、継続審議。 平成27年2月10日 第123回国有財産近畿地方審議会。(様々な異論があるも私学審議会で附帯条件が付いているので、それが満たされる前提として、この審議会として了 承。) 1 月27日 大阪府私立学校審議会臨時会。条件を附し認可適当と認めるとの答申。 5月29日 近畿財務局において、買受け特約を付した有償貸付契約を締結。 (不動産鑑定評価額9億3200万円) 7月29日 | 森友学園による土壌改良、埋設物撤去工事等の実施。 12月15日 8月27日 近畿財務局、大阪航空局及び現地関係者と現地確認を実施。 12月19日 小学校建設工事着工。 平成28年3月11日 森友学園から近畿財務局に対して、杭打ち工事を行う過程において、新たな地下埋設物が発見されたとの連絡。 3月14日 近畿財務局、大阪航空局及び現地関係者と現地確認を実施。 3月24日 森友学園から近畿財務局に対して、本地を購入したい旨連絡。 3月30日 近畿財務局から大阪航空局に対して地下埋設物の撤去・処分費用について見積もりを依頼。 4月6日 森友学園より実施した土壌改良、埋設物撤去工事等に係る有益費を返還。(1億3176万円) 4月14日 大阪航空局から近畿財務局に地下埋設物の撤去・処分費用の見積もり(約8億1900万円)を報告。 4月22日 本地の鑑定評価を鑑定士事務所に依頼。 5月31日 不動産鑑定評価書を提出。(不動産鑑定評価額9億5600万円) 6月20日 近畿財務局において、学校法人森友学園と売買契約締結。価格:1億3400万円(不動産鑑定評価額から地下埋設物撤去・処理費用等を控除) 平成29年4月 小学校開校予定。 (豊中市野田町の国有地(8,770 ㎡)売却をめぐる経緯:平成29 年2 月17 日(金)衆議院予算委員会 /議員名 福島伸享 /出典 財務省・国土交通省・文科省資料、朝日新聞2017.2.9 記事をもとに福島事務所作成 パネル1の写し) ●売却価額決定にあたっての地下埋設物の撤去・処分費用の見積り方法(平面での対象範囲の絞込み(5190・:赤字枠内)) ○対象面積は、H22調査等を踏まえ埋設物を確認した全体の60%に。 |
国会で現在問題となっているのは地下埋設物の撤去・処分費用の見積もり金額約8億1900万円が果たして正しい見積もりかどうかであろう。
平成27年7月29日に森友学園は土壌改良、埋設物撤去工事等を実施した。その工事にかかった経費に対して平成28年4月6日に近畿財務局がだろう、1億3176万円の有益費を返還している。
有益費について「Wikipedia」で調べてみた。
〈有益費とは、民法上の費用の概念の一つで、目的物の価値の増加のために支出された費用。〉
〈占有者による有益費の償還請求
占有者が占有物の改良のために支出した金額その他の有益費については、その価格の増加が現存する場合に限り、回復者の選択に従い、その支出した金額又は増価額を償還させることができる。ただし、悪意の占有者に対しては、裁判所は、回復者の請求により、その償還について相当の期限を許与することができる(民法196条2項)。 〉――
ところが、平成27年7月29日から12月15日までの約4カ月半の土壌改良、埋設物撤去の工事終了から約3カ月後、その工事に対する有益費が平成28年4月6日に返還される1カ月余前の平成28年3月11日に〈森友学園から近畿財務局に対して、杭打ち工事を行う過程において、新たな地下埋設物が発見されたとの連絡。〉があった。
と言うことは、有益費として1億3176万円ものカネと4カ月半の工事期間を必要とした土壌改良と埋設物撤去の工事をしていながら、いわばハンパではなく土壌を汚染され、ハンパではない量の地下埋設物を確認していながら、そのようなな工事に掛かる前に5190平方メートルという建設に関わる全体の面積に対する調査を徹底的に行っていなかったのだろう。
地中に穴を穿つ間隔を狭くしたボーリングを使った地質調査や試し掘りで簡単に確認できることである。
一般的な人間の情として、万が一のことを考えて敷地全体を調査するものだが、そのような一般性に不自然なまでに反して調査しなかった。
この不自然な振る舞いを解くとしたら、実際には極く極く自然な人情に則った方法で敷地全体を調査してから、1億3176万円の土壌改良と埋設物撤去の工事を行ったものの有益費返還という方式に旨味を感じて地下埋設物を新たに発見したことにして報告、安倍晋三の名前を利用したのか、あるいは役人の方から森友学園のバックに控えている安倍晋三の威光を忖度してのことか分からないが、その報告に対する対処方法を前以て土壌改良・埋設物撤去の工事を行ってから、その工事後に既に試している有益費という形式で返還するのではなく、地下埋設物の撤去・処分費用の見積もり額約8億1900万円を土地価格から前以て差引きするという手品を使ったとしか考えることができない。
不動産鑑定評価額が9億3200万円の国有地を1億3400万円で安く売却するためと有益費返還方式に従った場合のデメリットを避けるためであり、その理由は二つあるはずである。
一つは地下埋設物の撤去・処分費用の見積もり額約8億1900万円に土地売買額1億3400万円をプラスした9億5300万円に収入印紙代や売買手数料等を前以て用意しておくための10億円相当を金融機関から借り入れた場合、現在普通預金の利子は0.02%だそうだが、2千万円も支払わなければならなくなって、10億円近くを支払うことになった場合の余分にかかる2千万円は大金に相当するデメリットであって、2千万円の利子支払いを避けることができる。
もう一つは地下埋設物の撤去・処分の工事代金領収書をその見積もり額約8億1900万円に僅かに少なくしても多くしても、その金額の近辺に置いた場合、怪しまれることになるデメリットを抱えることになる。
何しろ地中の見えない地下埋設物を推定したに過ぎない量と、当然、工事代金も推定額ということになって、そのような推定の見積額にあまりに近過ぎることになると不自然さは一段と増すことになる。
2017年2月17日付「asahi.com」記事には、土地売買契約書にはさらにごみが見つかっても国が責任を負わないという特約を付けてあると書いてあるが、これも不自然な特約である。
この不自然な特約を利用したなら、地下埋設物の撤去・処分の見積もり額約8億1900万円に対して実際の工事金額を10億とする領収書を工事会社に切らすこともできる。
実際には払っていない2億近いカネを損金として計上すれば、かなりの税控除を受けることができるはずである。
だが、工事後の有益費の返還ではこういった手品はできない。
また、さらにゴミが見つかっても国が責任を負わないという特約は例え新たにゴミが見つかっても、土地代金から差引くことになる約8億1900万円は十分過ぎる補償であり、これ以上のことはできませんよという意味を含んでいなければならない。
もし額面通りに裏付けのある調査でありながら十分過ぎる補償ではない場合は、万が一にでも新たな土壌汚染と地下埋設物が発見される可能性は否定できないことになって、逆に森友学園がリスクを抱えることになるからだ。
いわば森友学園にして工事前であるにも関わらず十分過ぎる補償であり、何らリスクを抱えることはないと承知していたから、特約に応じることができたはずだ。
いずれにしても平成27年7月29日から12月15日までの約4カ月半の工期と1億3176万円の土壌改良と埋設物撤去の費用を掛けて工事を行う前に調査しなければならない5190平方メートル全体の調査を徹底的に行わずに新たに地下埋設物を発見したというのは余りにも不自然であり、この不自然過ぎる一事を以てしても、不動産鑑定評価額9億5600万円の国有地に対して地下埋設物の撤去・処分費用見積もり額約8億1900万円という金額を出したことも、その金額を差し引いてたったの1億3400万円で売却したということも奇々怪々な出来事と言わざるを得ない。
ここで築地市場の移転先である、同じ土壌汚染問題を抱えた東京都江東区豊洲六丁目の豊洲市場の予定していた汚染対策費と工期と、「瑞穂の國記念小學院」が土壌改良、埋設物撤去の工事を平成27年7月29日から12月15日までの約4カ月半かけて行った工期と有益費として支払われた1億3176万円の金額との比較から、後者の汚染対策費の妥当性をネット情報を利用して見てみる。
豊洲市場はベンゼンやヒ素等の有害物質による土壌や地下水が汚染されていて、深さ2メートルの土を掘削・除去し、その分の土を入れ替えて、その上に2.5メートルの盛土を施している。
「豊洲新市場整備の経緯について」 豊洲新市場整備方針(平成21年2月) 生鮮食料品として扱う市場としての安全・安心を高いレベルで確保し、50年先まで見据えた新たな首都圈の基幹市場として豊洲新市場を整備する。 1土壌汚染対策 「豊洲新市場予定地の土壌汚染対策工事に関する技術会議」の提言をもって都の士壌汚染対策とする。 ○経費586億円、工期20カ月 ○対策の具体的内容 遮水壁の設置から、盛土の掘削、地下水の揚水・浄化、土壌の掘削・運搬、汚染物質処瑠、液状化対策、砕石層設置、地下水の管理までの一貫した対策。 施設の概要 敷地面積 40.7ヘクタール(以上引用) 40.7ヘクタール=407000 平方メートル |
ここでは豊洲市場の盛土していなかった面積は省く。方針自体は全面的な盛土計算となっているからである。
豊洲市場は586億円の工期20カ月割りで、1カ月29億3千万円の工事費となり、「瑞穂の國記念小學院」は1億3176万円の4.5カ月割り1カ月で2928万円の計算となって、対策の程度に雲泥の差が出る。
では、「瑞穂の國記念小學院」敷地の実際の地下埋設物の撤去・処分費用見積もり額約8億1900万円をこの程度だろうと考える1カ月2928万円の工事費で割ると、28カ月の工事期間となって、平成29年4月の小学校開校予定に間に合わない。
倍の6000万円使うと仮定して、その金額で割ったとしても、14カ月工事期間が必要となる。
新たな地下埋設物が発見されたとの連絡が森友学園から近畿財務局に対して報告があった平成28年3月11日から起算しても、小学校開校予定の平成29年4月までは13カ月しかないことになって、1カ月を超えるということだけではなく、地下埋設物の撤去・処分後に杭打ちを行い、それから建物の建設に取り掛かるから、とてものこと間に合わないことになる。
例え撤去に応じて杭打ちを順次済ませていたとしても、全ての杭打ちが終わってからではないと、建物の建設に取り掛かることができないから、開校に間に合わせることはやはり不可能となる。
だが、開校予定を平成29年4月に変えていない。
但し地下埋設物の撤去・処分費用の見積もりが書類上だけの事実で、実際の事実でなかったなら、開校は十分に間に合うことになる。
そしてこういった手品を行うことができるとしたら、やはり森友学園が安倍晋三シンパであることと無関係ではあるまい。