玉木雄一郎の日米共同声明日本文に対する具体的根拠無提示の「捏造」呼ばわりは、党代表の資格を失う

2018-10-19 11:36:24 | 政治
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 玉城デニーは普天間の辺野古移設阻止で安倍政権を踊らすことができるのか、阻止できないままに自身が踊るだけで終わることになるのか。 

安倍晋三は2018年9月26日、トランプとニューヨークで首脳会談を行い、その後の内外記者会見で日米物品貿易協定の交渉入りをすることで合意したと発言、同9月26日に日米共同声明を日本文と英文で発した。国民民主党党代表の玉木雄一郎がこの声明に捏造があると記者会見発言している。

 「朝日新聞デジタル」
 皆さんも(日米首脳が開始に合意した関税交渉の)英語の全文と日本政府の日本語訳を読み比べて頂きたい。ちょっと言葉を強く言えば捏造(ねつぞう)だ。あえて正しく英文を訳さずにTAG(物品貿易協定)という略語を創設し、FTA(自由貿易協定)ではないという国内向けの説明をするために、意図的に誤訳をして作られた捏造(ねつぞう)文書だと言っても良い。日米両国間ではTAGなんてものはありません。政府の説明は極めて不誠実、強く言えばウソをついている。公文書の改ざんに続いて、外交文書も改ざんしているのではないかと、非常に私は憤りも感じるので、国会でも厳しく追及したい。(記者会見で) 
 「あえて正しく英文を訳さずにTAG(物品貿易協定)という略語を創設し、FTA(自由貿易協定)ではないという国内向けの説明をするために、意図的に誤訳をして作られた捏造文書だと言っても良い」と言っているが、どこがどう「正しく英文を訳さない」のか、そのことが「TAG(物品貿易協定)という略語」の「創設」となるのかといった具体的な根拠も提示せずに「捏造」だ、「捏造」と言っている。

 これではただ単に吠えているに過ぎない。具体的な根拠なしだから、国民に対する説明にもなっていない。国民への説明とするためには納得させるだけの理由が必要だが、その理由さえ述べていない。

 だからなのか、知る限りの判断だが、この「捏造説」を取り上げるマスコミを他に見かけない。「非常に私は憤りも感じるので、国会でも厳しく追及したい」と最後に言っているが、この「憤り」自体も国民に納得させるだけの説明がない「憤り」に過ぎないから、国民は関心を持って国会での追及を待つ気持にもならないだろうし、期待も起きないに違いない。

 「日米共同声明」は「日本文」「英文」が同時に発表された。玉木雄一郎の発言に関係する箇所のみを拾ってみる。文飾は当方。

 日本文――〈3 日米両国は,所要の国内調整を経た後に,日米物品貿易協定(TAG)について,また,他の重要な分野(サービスを含む)で早期に結果を生じ得るものについても,交渉を開始する。〉 

英文――〈3. Japan and the United States will enter into negotiations, following the completion of necessary domestic procedures, for a Japan-United States Trade Agreement on goods , as well as on other key areas including services, that can produce early achievements.〉

英語の知識は皆無と言っていい程だから、ネット英辞書を頼りに訳してみた。日本政府は日米間で開始する交渉を「日米物品貿易
協定(TAG)」
と称しているのに対してアメリカは、「Trade Agreement on goods」と表記している。

 一般的に自由貿易協定の「FTA」は「Free Trade Agreement」、経済連携協定の「EPA」は「Economic Partnership Agreement」と頭文字が大文字の単語の連なりとなっていて、最後に「Agreement」(協定)という文字を置いている。これが一般的な表記の仕方であろう。

 だが、英文の共同声明ではそのような連なりとはなっていない。「Trade Agreement on goods」を直訳すると、「物品上の貿易協定」となる。

 名詞についた接尾語の「on」、あるいは「上」(じょう)は「関しての」という意味を取るから、農林水産品から自動車等の工業産品を含めた「物品」全てに関する貿易協定を指すことになる。

もし「FTA」や「EPA」に倣うとしたら、「物品貿易協定」は「Goods Trade Agreement」となって、略語は「GTA」となるはずだが、略語を「TAG」としたのは英文の「Trade Agreement on goods」と表記した単語の連なりをそのままに使用したからだろう。

 但し日本文の共同声明では頭文字が大文字の単語の連なりとはなっていない英文の「Trade Agreement on goods」に対して日本文は「TAG」と頭文字が大文字の単語の連なりに変えている。

 この点を捏造だとするには根拠が乏しすぎる。玉木雄一郎は「TAG(物品貿易協定)という略語を創設した」とか「意図的に誤訳をして作られた捏造文書だ」と言っているが、英文の「Trade Agreement on goods」を日本文で「TAG」との略語表記したとしても、一般例から外れていたとしても、意味内容的には無理があるというわけではない。

 問題はこの日米貿易協定が日本文で、「他の重要な分野(サービスを含む)」、英文で、「on other key areas including services」と、日本文と同じ意味で表記している点である。

 日米首脳会談に同席していた経済再生担当相茂木敏充の会談終了後の発言。

 茂木敏充「国際経済の不安定要因が増大している中、日米が関税について自由で公正な新たな枠組みを確立することで日米間の貿易を安定的に拡大させることは、日米のみならず国際経済全体にとってもよい影響を与えるものだ。

 日米物品貿易協定の交渉中は自動車に関する通商拡大法232条に基づく制裁関税を課されることはないと理解している。新たな協定はFTA=自由貿易協定ではない。今回交渉する協定は、あくまで物品貿易に限定されて、投資・サービス等のルールを含まないもので、包括的なFTAとは言えないと考えている」( NHK NEWS WEB

 9月27日午前の官房長官菅義偉の記者会見発言。「ロイター」(2018年9月27日/12:16)
 
 菅義偉「自由貿易協定(FTA)とは異なり、物品貿易に限定されるものであり、包括的なものではない。背景には農産品については国内での懸念が強いと理解している」

 菅義偉が「物品貿易に限定されるもの」と言っていることは、「サービス」を含まない意味で用いていて、茂木敏充と同じ趣旨となる。

 「日米物品貿易協定(TAG)」は「投資・サービス等のルールを含まないもので、包括的なFTAとは言えない」との意味で、茂木敏充も菅義偉も「自由貿易協定(FTA)」であることを否定している。だが、日本文の「日米共同声明」にしても、英文の「日米共同声明」にしても、「サービスを含む」「including services」とサービスを含んでいることを謳っている。

いわば「日米共同声明」に取り上げられている「日米貿易協定」は物品貿易に限定していない。茂木敏充が言っている「投資」もサービスに入る。「日米貿易協定」が「サービス」を含む貿易交渉を目的としていながら、含んでいないように物言いをして、「自由貿易協定(FTA)」ではないと否定する。

 「サービス」を除外・隠蔽して物品貿易限定だと言い募るのは貿易交渉の目的の捏造に当たる。実質的には「FTA」とし得る貿易交渉を「TAG」と表記することで「FTA」ではないとするある種の捏造がここにはある。この捏造は国民を騙す情報操作となり得る。

 いずれにしても、玉木雄一郎が党代表である以上、発言するその都度、その都度毎に国民の納得を得る内容としなければ、党代表としての資格を失うし、党支持率も低迷したままで推移することになるだろう。

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