北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

MQ-9リーパー 防衛大綱想定外の任務には防衛大綱枠外の装備を

2010-06-12 23:34:33 | 防衛・安全保障

◆想定外の策源地攻撃と枠外の無人機

 先日友人との会話で少し出たのですけれども、無人機で航空自衛隊や海上自衛隊が飛行隊を編成する場合、これは防衛大綱の定数枠外に置けるのかな、と話題が転じました。

Img_2271  無人機の写真が無くて恐縮なのですが、F-2BにR-2D2を搭載した試作無人型概念展示を掲載。ここでいう無人機は、米軍が運用しているMQ-9リーパーのように偵察任務や監視任務に就く事も出来るのだけれども、必要に応じて対地攻撃や空対空戦闘も実施することが出来る無人機を示します。

Img_9921  MQ-9の場合、JDAMやヘルファイアミサイルを搭載して、例えば策源地攻撃や拠点攻撃に用いることが出来る訳で、遠隔操作により安全な場所から任務に当たる事が出来る訳ですね。さすがにF-2並とは言えませんが、搭載量では誤解を恐れずに表現するならばAH-1S並のものがあります。

Img_2631  無人機について、作戦機を補完する、と書いたのは現在の防衛大綱に基づく戦闘機定数では、日本の周辺に台湾海峡、朝鮮半島、極東ロシア軍という存在を勘案すると、防空任務を完遂しつつ、高度な対地攻撃能力を、というのは少々難しいように考えられるからです。日本列島は広大ですからね。

Img_7869  そしてもう一つは、策源地攻撃というかたちで対地攻撃を行うにしても、日本国内では支援戦闘機を米空軍の部隊並に低空侵攻訓練や射爆撃訓練を行うには充分な演習場や地上上空の演習空域を確保できない、という問題があります。海外で訓練が出来ればいいのですが、それでは防空任務と両立も難しくなりますし。

Img_3412  この点、無人機飛行隊がある程度有人偵察機を補完する情報収集を行えば、作戦遂行が効率的に行えますし、F-2飛行隊の露払いや、可能な限りの打撃を加えることが出来るならば、F-2を始め戦闘機の飛行隊は防空任務と航空優勢確保に専念することが出来ます。もっとも、大型の無人機の保有上限が別途防衛大綱に明記されれば話は変わるのですが、ね。

Img_6154  もっとも、日本が策源地攻撃を行うだろう対象は、陸上自衛隊ほどではないにしろ近代的な防空能力を備えていて、無人機は有人機よりも小型であるからレーダーに捕捉されにくいとはいっても低速で飛行する無人機が任務を遂行できるのか、と問われれば、少々不安になるところもあります。

Img_9321  また、無人機に武装させ飛行させることは現在の無人機が航空法でどのような扱いを受けるのかという事と加え、日本での運用を難しくするやもしれません。都市部に隣接する自衛隊基地は多くありますので都市部上空を爆装した無人機を飛行させるには解決させなければならない面も多いでしょう。

Img_9757  そして、無人機の運用を実現させるために通信支援設備の構築など難しい問題は山積しているのですけれども、現時点で無人機の防衛大綱における上限はするされていないのですから、防衛大綱が制定された際には求められなかった策源地攻撃能力を大綱に明示されていない無人機に求める、というのは一つの選択肢といえるやもしれません。

HARUNA

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コメント (4)
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