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RED FLAG-Alaska2010 日本から戦闘機・警戒管制機・給油機・輸送機が参加

2010-06-15 22:30:16 | 防衛・安全保障

◆旧COPE THUNDER、最大規模の空軍演習

 アメリカ空軍が実施する多国間空軍演習レッドフラッグアラスカ2010が6月2日から一ヶ月の日程で実施、旧コープサンダー演習として知られるこの演習に航空自衛隊もF-15戦闘機、E-767早期警戒管制機、KC-767空中給油輸送機、C-130H輸送機を参加させています。

Img_7200  航空自衛隊は、高い水準の搭乗員が最高レベルの航空機を駆使し、整備員、管制要員と連携、国内での防衛産業と協同し最大限の高稼働率を以て日本の防空に当たっています。こうして日本に軍事的挑戦を実行へと移さない抑止力を行使しているのですが、果たしてその能力が実戦でどのくらい通じるのか、これを身を以て知るために高度な訓練に参加する必要があります。国内の戦技競技に加え、国内では実行不可能な広大な地域を現場とし、厳しい訓練に向かう必要性がある訳です。

Img_89401  最大規模の実戦を再現する演習として、レッドフラッグアラスカへ今年も航空自衛隊は参加する事となりました。この演習について、朝雲新聞HPに掲載の記事から引用です。6/3日付: ニュース トップ 「レッド・フラッグ・アラスカ」始まる・・・米国アラスカ州のアイルソン、エレメンドルフ両空軍基地と同周辺空域で6月2日から米空軍の演習「レッド・フラッグ・アラスカ」が始まった。

Img_6639  7月2日までの訓練期間中、航空総隊と支援集団各隷下の7空団、警空、1輸空などから、人員約330人、F15戦闘機計6機、E767早期警戒管制機1機、C130H輸送機3機、KC767空中給油・輸送機2機、携SAM追随訓練器材6セットが参加する。空自F15は往路、米空軍の空中給油機から給油を受けながら太平洋を横断。

Img_4439   基地周辺空域で慣熟飛行訓練後、戦術技量と日米共同対処能力の向上を目的に、戦闘計画の立案から発進、帰投までを米空軍のアグレッサー部隊と対抗形式で演練する。今回初参加のKC767空中給油・輸送機による訓練空域での空中給油訓練も行う。空自がアラスカでの米軍演習に参加するのは、「コープサンダー」を含め平成8年度以降、今回で14回目

Img_3631  レッドフラッグは実戦を最大限再現した激しく効果的な訓練により未経験の戦闘機パイロットに戦場での生存技術を教えることが目的の演習で、世界中の航空部隊が参加します。支援部隊は整備要員、航空管制要員だけで約3000、昼夜問わず広大な空域と地域を舞台として実施されます。

Img_8779  訓練参加部隊は10回の任務飛行を通じて事故を防止し戦闘能力の向上を狙います。派遣期間は一ヶ月ですが、演習の中で実際に訓練が連続するのは二週間程度とのことで、一週間程度を通じて空域や地域の慣熟飛行や交歓を行い、二週間の訓練に臨みます。この二週間の厳しさは本当の戦争以上と言われています。

Img_7359  米軍では戦闘機搭乗員が過去の戦訓から実戦における10回の実任務飛行を果たすまでの死傷率が高く、逆に10回の実任務飛行を果たした後には損耗率が劇的に低減されることに着目し、それならば10回の実戦に匹敵する厳しい訓練を、と1975年からこのレッドフラッグ演習を開始しました。

Img_2630  訓練は実戦が訓練の延長と思えるような高度な模擬戦を志向しており、もちろん、ついてこれないような過酷さだけが売りの訓練というのではなく習熟度に応じて難易度が上がるという方針で、あらゆる実戦環境に打ち勝つために、実際に想定される脅威よりも厳しい想定が為されているとのことです。

Img_8924_2  厳しい想定とは、例えば航空優勢確保に加えて化学兵器工場や通信施設の破壊、防空網制圧、指揮能力への打撃や電子戦の訓練が緻密な想定のもとで行われます。特にヴェトナム戦争で和解パイロットが実戦訓練が不十分であったことから多くの損耗を出した事に教訓をもって実施されている訓練です。

Img_3603  ブリーフィングから与えられる訓練や実行、それにより得られるものまで責任を持って実施されます。どんな困難にも実戦で打ち勝つには何が必要か、それがすべてだとのこと。アラスカでの演習は、2006年までコープサンダー演習とされていましたが、このコープサンダーは1976年にネリス空軍基地で行われていたレッドフラッグ演習と同等の規模の実戦演習を太平洋軍で行う事が目的として開始されたのですが、2006年にコープサンダー演習からレッドフラッグアラスカ演習と名を改めました。

Img_9049  日本は1996年からコープサンダー演習への航空自衛隊の参加を開始しています。日本周辺空域で米空軍との訓練を繰り返し、対領空侵犯措置任務でも豊富な経験がある航空自衛隊ですが、演習空域の制約が多いのが日本の難点で、加えて基地周辺の騒音を気にしなくてよいアメリカでの演習には参加の意義が大きいです。

Img_0068  今回、航空自衛隊はKC-767空中給油輸送機を初参加させたのですが、E-767にF-15J,C-130Hと参加航空機の機種は豊富で、かなりの規模を参加させている、という印象です。数百kmの距離で目標を発見し、探知し追跡するE-767の参加は日本の能力を最大限発揮することになりますし、いつかはXC-2がC-2輸送機としてこの演習に参加する事にもなるのでしょうね。

Img_8208  一方でレッドフラッグ演習では全面戦争における戦力投射までを想定した展開が為されていて、化学兵器工場破壊や弾道ミサイルの無力化という想定も盛り込まれているのですから、日本もこうした演習に参加する以上、F-15のような制空戦闘機の重要性は大きい一方で、F-2のような対地攻撃能力のある機体の位置づけも考えるべきなのかな、と。

Img_8162  また、こうした演習に積極的にに参加することで、実際の防衛出動に際して、生存性を高め、能力を最大限に発揮させる事にも繋がるのですけれども、一方で全ての戦闘機部隊、支援戦闘機部隊が対領空侵犯措置任務に就いているという状況、有事の際には損耗、というものを考えなければなりませんので、予備の飛行隊、という概念も演習参加を通じて学ぶとともに、予算を司る政治も、この現実を直視する必要があるのでは、と思ったりします。

HARUNA

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コメント (8)
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