◆統合防災CPX2010
宮崎口蹄疫事案で防衛省は災害派遣に900名の追加派遣を検討しているとのことです。本日は災害がお題です。日本は災害が多い国で、一種災害文化と言いますか防災文化が危機管理の基盤を構築してきた、ともいえます。その災害に備える指揮所演習が来月行われるようです。
平成22年度自衛隊統合防災指揮所演習の実施に関する記事で、朝雲新聞社の記事よりの引用です。6/24日付 ニュース トップ : 市ヶ谷などで統合防災CPX 東海地震対処計画を検証 7月7~9日 防衛省・自衛隊は7月7日から9日まで、市ヶ谷駐屯地などで平成22年度自衛隊統合防災指揮所演習を行う。
東海地震発生時の自衛隊の統合運用による指揮所活動を演練し、自衛隊の災害対処能力の維持・向上を図り、東海地震対処計画の検証に役立てるのが目的。 参加部隊等は折木統幕長を統裁官に統幕、内局、陸海空の各幕、情本、情保隊、指揮通信システム隊から約200人をはじめ、陸自は各方面隊、中央即応集団、通信団、警務隊、中央輸送業務隊、中央管制気象隊から約500人、海自は自艦隊、横須賀地方隊、シス通群、補本などから約100人、空自は総隊、支援集団、教育集団、空シス隊、補本などから約90人と、防医大から約10人、静岡県庁から約5人の計約905人が参加する。
演習では防衛省災害対策本部(地震災害警戒本部)と統幕、情本間の調整、連携要領をはじめ、統幕と統合任務部隊との連携、発災直後の状況把握、情報収集の各要領を演練する。記事の引用は以上です。イメージ写真を多数添付しましたが、指揮所演習ですので基本的に九月の実動演習のような部隊の運用は行われません。
先日福島県沖で発生した地震に対しては、負傷者や倒壊家屋等実質的な被害は無かったのですけれども、自衛隊は航空機を展開させ上空からの情報収集に当たるとともに連絡要員を自治体に派遣して素早く連絡体制を確保しました。万一大きな被害があった際にはすぐに対応できるようにするためです。
東海地震に関する危険性が示唆されて大規模震災特別措置法が背呈されたのが1970年代ですが、地学の研究が進むにつれて過去には東海地震が名古屋周辺を襲う東南海地震や大阪湾南部を震源とする南海地震と連動することが確認されました。そして今さらながらですが2005年の伊勢湾展示訓練の日に首都圏を震度五弱の地震が襲った事も思い出しました。
日本は地震国といわれ、火山災害も世界規模の気候変動に影響する火山爆発指数5や6といった巨大噴火を起こした火山が国土に点在しています。そして台風も南西諸島から本土に掛けて毎年繰り返し上陸しますし、降雨量も比較的多いことから洪水や山岳崩壊という災害も比較的多いという実情です。
CPXの意義とは上級司令部が災害時に即応できるようにする事です。第一線では陸上自衛隊の駐屯地は、各駐屯地ごとに都道府県単位で防衛警備及び災害派遣の管区を定めていて、中隊ごとに市町村の対応が設定されています。それだ災害が多い事を示しているとともに、地元自治体との連携を撮れる体制を構築する、という事はそのまま災害以外の分野においても好影響を及ぼす訳です。
また、護衛艦の寄港や体験航海も災害派遣を含めた有事の際の補給や港湾関係者との連携要領の取得が目的の一つになっている訳です。その災害派遣を大まかにどのような体制で立ち上げるか、いかに早く機能させるようにするのか、実際にはどういう問題点が考えられるのか、という事を訓練するのがCPXの目的です。どう頑張ろうとも必ず災害はやってきますので、備えが重要です。
東海地震だけでも東海道新幹線、東名高速道路が破壊されますし、東南海自身が起きれば中央道も不通に、日本の交通中枢は上越新幹線と日本海縦貫線、北陸道と関越道になり、このほか首都直下型地震の危険性も指摘されています。富士か浅間が火山活動を起こせば首都圏の航空輸送に障害が起きますし、火山灰による被害も大きいでしょう。
日本は輸出に依拠して経済が成り立っている国でして、危機管理が甘ければ各国からの投資や輸出入にも大きな影響が出てきます。これは軍事的脅威への対応と同じように災害への対処でも重要性は変わりません。災害が避けられない以上、備えは重要です。もっとも、これは防衛省自衛隊のみならず、個々人の家庭でも言える事なのですけれどもね。
HARUNA
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