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ロシア空軍Tu-160北海道周辺に出現、空自は緊急発進で対処

2010-06-10 22:36:34 | 防衛・安全保障

◆ブラックジャック、超音速飛行する戦略爆撃機

 本日、ロシア空軍のTu-160戦略爆撃機通称ブラックジャックが北海道周辺空域に出現、航空自衛隊は緊急発進して対処したと統合幕僚監部報道発表に記されていました。

Img_8757 Tu-160爆撃機は千島列島の太平洋側を南下、釧路市沖で方向を転じそのまま根室市方向へ飛行、そののち北方領土歯舞諸島上空を飛行し、国後島と択捉島の中間部分を飛行、宗谷海峡方面に転進、オホーツク海から宗谷海峡のサハリン南部を掠め、ロシア沿海州に飛び去りました。

Img_7862  航空自衛隊が緊急発進して対処したとのことですが、このTu-160は冷戦時代、マッハ1.88の超音速でソビエト本土からアメリカ本土を核攻撃するために開発された超大型爆撃機で、四機のエンジンと可変翼という米空軍のB-1B爆撃機に影響を受けた形状となっていますが、こちらの方が大型です。

Img_0024  Tu-160はとにかく物凄い戦略爆撃機でして最高速度2000km/h、航続距離14000km、機首のレーダーは地形追随機能があり低空高速侵攻が可能、下面にはTVカメラを有して精密爆撃が可能、後方警戒レーダーも搭載しています。爆弾倉は胴体前後二箇所に回転式のものが搭載され、16.33㌧の爆弾か空対地ミサイルを搭載、1992年までに31機が納入され、二個航空団で運用、冷戦後は生産が中断しましたが、再生産が決定しています。

Img_1105  日本のF-4後継機選定に、この種の機体が日本周辺に存在する、という事も忘れてはならないでしょうね。昨今は中国の脅威が強調されるのですが、そもそもロシア軍の方が遥かに強大です。爆撃機以外にステルス戦闘機PAK-FAも初飛行を果たした訳なのですし、技術力も高いです。

Img_1656  Tu-160が日本周辺に進出することはTu-95ベア等と比べて稀有なのですが、同時に中国軍が新世代戦闘機として配備を進めているSu-27戦闘機、この機体もロシア製なのですけれどもこの機体の対地攻撃能力と比べて比較にならないほどの打撃力を持っています。比較軸に戦闘機を持ってきたのは気が引けるのですが、まともな爆撃機がないもので。中国にも轟炸6というジェット爆撃機がありますが、こちらは50年代のソ連機を模倣した機体、Tu-160には比較も出来ません。

Img_1418  冷戦時代にTu-22Mバックファイアが導入され、対艦ミサイルを運用することから海上自衛隊のイージス艦導入を後押しする結果となりましたが、あのTu-22Mは超音速中型爆撃機、対してTu-160は大型です。こういう機体をロシア空軍が生産再開で増勢するのですから、中国空軍も近代化、やはりF-16Cでもいいので空自は機数を増強しなくてはならないようにも思えてきます。

HARUNA

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コメント (2)
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