◆はつゆき、はCIWSを後日搭載
先日、ミサイル護衛艦さわかぜ、護衛艦はつゆき、護衛艦ゆうばり、護衛艦ゆうべつ、が一斉に自衛艦旗を返納し除籍されました。
護衛艦をはじめ、海上自衛隊の艦船には将来装備として特定の装備の搭載を考慮した重心配置や構造物の配慮が行われる事があり、また、本来は就役時から搭載することが望ましいのですが、建造予算が削られるなどして就役後に装備する前提での後日装備を考慮した設計の配慮が為される事があります。
先日除籍されたミサイル護衛艦さわかぜ、も35㍉連装機関砲を二門艦橋後方の両舷に搭載する計画がありました。満載排水量5200㌧、スタンダード艦隊防空ミサイルを搭載する、たちかぜ型の三番艦として1983年に就役した、さわかぜ、ですがスタンダードミサイルには最低射程距離があり、この内側は5インチ単装砲で対応していました。
しかし、更に近接した航空機に対処するべく陸上自衛隊のエリコンL-90高射機関砲を将来的に装備する計画がありました。結局実現には至らず、後部52番砲に近い両舷に20㍉高性能機関砲を搭載する事となりましたが、大柄な連装機関砲が搭載されていれば、艦容はどのように変わったのか、興味も湧いてまいります。
護衛艦ゆうばり、ゆうべつ。海上自衛隊の護衛艦として初めてハープーン対艦ミサイルを搭載した、護衛艦いしかり、を若干大型化した護衛艦として建造された、ゆうばり型の2隻ですが、こちらも去る25日に自衛艦旗を返納し、除籍されました。駆潜艇の後継を目指した小型護衛艦ですが、こちらも後日装備の計画がありました。
満載排水量1750㌧、1983年と1984年に就役した二隻は、76㍉単装砲とハープーン対艦ミサイル、ボフォース対潜ロケット発射器、3連装短魚雷発射管を搭載する打撃力の大きな小型艦ですが、対空装備は76㍉単装砲のみ、近接した航空目標への対処能力に難点が指摘されていました。
このため、上部構造物と一体化した中央船楼の後部に20㍉高性能機関砲CIWS一門を後日装備するべく、設計されていたのですが、とうとう実現せず除籍の日を迎えました。先に除籍された他の護衛艦からCIWSを移す、という選択肢もあっただろうに最後まで実現はしなかった訳です。
もっとも、このように書くと後日装備というものは最終的に装備されない、と誤解されてしまうかもしれませんが、護衛艦はつゆき、は後日装備のCIWSを搭載していますし、しらね型ヘリコプター搭載護衛艦をはじめ、後日装備とされたものが搭載された事例は多いです。しかし、されなかった事例もこのようにある訳です。
そして、現時点でも幾つか挙げられる訳で、厳しい予算の中で必死にやりくりしている様子が垣間見えるような気がしました次第。もともと必要だからこそ空間を確保したのですが、その分のコスト増にもつながった訳で、設計され要求された能力を完全に発揮するためにも、この種の将来装備や後日装備、というものにはもう少し配慮があってもいいのかな、と感じました。
HARUNA
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