■緊急発進、冷戦最高度に並ぶ
防衛省は15日付の報道発表として平成26年度における対領空侵犯措置任務緊急発進の件数を発表し、自衛隊創設以来二番目の規模であったことが分かりました。
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緊急発進の件数は943件で冷戦期、新冷戦と共に緊張度が増大した1984年の944回に並び、31年ぶりに900回を超えました。緊急発進の対象は、ロシア機に対するものが473回の50%、中国機によるものが464回の49%、その他の航空機が1%という割合です。
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対領空侵犯措置任務は、我が国が航空管制などの責任をもつ飛行情報区に合わせて設定された防空識別圏内へ飛行計画を出さず飛行する航空機に対し識別と領空侵犯防止の任務を以て対応し、我が国では航空自衛隊が北海道の千歳、東北の三沢、首都圏の百里、本州中央部日本海沿岸の小松、九州北部の築城、九州南部の新田原、南西諸島沖縄の那覇に戦闘機部隊を展開させ、五分以内に緊急発進できる体制を24時間365日維持しています。
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943件、これはここ十年間の増大を見ますと異常な伸びとなっていまして、事実2004年の141件、2005年の229件、2006年の239件、2007年の307件、2008年の237件、2009年の299件、2010年の386件、2011年の425件、2012年の567件、2013年の810件、と爆発的なという表現が当てはまる水準で増大してきました。
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スクランブル、緊急発進は冷戦後大きく縮小したのですが、現状では航空祭の一般公開中に緊急発進命令が発動し、観衆の前を実弾を搭載した戦闘機が二機緊急発進する様子などが見られるようになり、中国方面から鹿児島県島嶼部への接近が異常増大した関係から、例えば那覇基地等は那覇空港から滑走路を見ていますと高い頻度で緊急発進が離陸する日に当たります。943件のうち、那覇基地だけで468回の緊急発進が行われていますので、当然といえるかもしれません。
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更に近年はロシア空軍機などロシア方面からの国籍不明機接近が増大しています、冷戦時代にはソ連からの航空機の接近が最も多く、北海道や東北方面の基地がその緊急発進の主力を担っていたのですが、冷戦後はロシアの経済混乱などからその頻度は大きく低下していました、しかし、ロシア軍の活動が活性化した関係から、この状況が現出したかたちに他ならないでしょう。
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最大の問題は、緊急発進の増大に対し、自衛隊の戦闘機定数が大きく削減されており対処に大きな負担が生じ訓練計画などに影響を及ぼしているところです。1984年に緊急発進が最高数を記録した当時の自衛隊戦闘機数は350機、更に有事の際に96機の超音速練習機が一部戦闘機に転用する態勢を構築していました、しかし現在の戦闘機定数は280機と70機も縮小しており、超音速練習機も全廃され残っていません。
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自衛隊の戦闘機定数が削減された背景は、冷戦終結後緊急発進の件数が大きく縮小したため、戦闘機定数を削減し予算規模を縮小した場合でも抑止力を維持できる、という観点に基づくものでした、実は民主党政権時代には260機まで縮小された戦闘機定数が自民党政権時代の防衛計画の大綱改訂に伴い20機増強された形ではあるのですが、それでも冷戦時代に比べれば70機縮小しています。
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緊急発進の増大に対し、戦闘機部隊の増勢が追いついていないのです。そして、防空識別圏内での国籍不明機飛行は民間機の飛行安全に責任を持つ飛行情報区の保全をそのまま喪失する事になりますので、多くの人命にかかわる重大事ですし、更にわが国土への防空の間隙を放置する事は周辺国がわが領域に対し武力を用いた主権に関する選択肢を選択させかねない危険も孕みます、この点へ政治は必要な施策を採る事が求められます。
北大路機関:はるな
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防衛省は15日付の報道発表として平成26年度における対領空侵犯措置任務緊急発進の件数を発表し、自衛隊創設以来二番目の規模であったことが分かりました。
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緊急発進の件数は943件で冷戦期、新冷戦と共に緊張度が増大した1984年の944回に並び、31年ぶりに900回を超えました。緊急発進の対象は、ロシア機に対するものが473回の50%、中国機によるものが464回の49%、その他の航空機が1%という割合です。
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対領空侵犯措置任務は、我が国が航空管制などの責任をもつ飛行情報区に合わせて設定された防空識別圏内へ飛行計画を出さず飛行する航空機に対し識別と領空侵犯防止の任務を以て対応し、我が国では航空自衛隊が北海道の千歳、東北の三沢、首都圏の百里、本州中央部日本海沿岸の小松、九州北部の築城、九州南部の新田原、南西諸島沖縄の那覇に戦闘機部隊を展開させ、五分以内に緊急発進できる体制を24時間365日維持しています。
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スクランブル、緊急発進は冷戦後大きく縮小したのですが、現状では航空祭の一般公開中に緊急発進命令が発動し、観衆の前を実弾を搭載した戦闘機が二機緊急発進する様子などが見られるようになり、中国方面から鹿児島県島嶼部への接近が異常増大した関係から、例えば那覇基地等は那覇空港から滑走路を見ていますと高い頻度で緊急発進が離陸する日に当たります。943件のうち、那覇基地だけで468回の緊急発進が行われていますので、当然といえるかもしれません。
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更に近年はロシア空軍機などロシア方面からの国籍不明機接近が増大しています、冷戦時代にはソ連からの航空機の接近が最も多く、北海道や東北方面の基地がその緊急発進の主力を担っていたのですが、冷戦後はロシアの経済混乱などからその頻度は大きく低下していました、しかし、ロシア軍の活動が活性化した関係から、この状況が現出したかたちに他ならないでしょう。
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最大の問題は、緊急発進の増大に対し、自衛隊の戦闘機定数が大きく削減されており対処に大きな負担が生じ訓練計画などに影響を及ぼしているところです。1984年に緊急発進が最高数を記録した当時の自衛隊戦闘機数は350機、更に有事の際に96機の超音速練習機が一部戦闘機に転用する態勢を構築していました、しかし現在の戦闘機定数は280機と70機も縮小しており、超音速練習機も全廃され残っていません。
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自衛隊の戦闘機定数が削減された背景は、冷戦終結後緊急発進の件数が大きく縮小したため、戦闘機定数を削減し予算規模を縮小した場合でも抑止力を維持できる、という観点に基づくものでした、実は民主党政権時代には260機まで縮小された戦闘機定数が自民党政権時代の防衛計画の大綱改訂に伴い20機増強された形ではあるのですが、それでも冷戦時代に比べれば70機縮小しています。
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北大路機関:はるな
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