北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

T-14アルマータ、迷走のロシア新戦車開発は完成量産着手と従来戦車置換方針の報道

2015-04-16 23:58:21 | 先端軍事テクノロジー
■自衛隊戦車の新好敵手出現か
 T-14アルマータ新戦車は来月の対独戦勝記念パレードに一般公開されるとの報道がありましたが、その制式化と量産の一部報道があったとのこと。

 新戦車アルマータは迷走の末完成した新戦車です、従来旧ソ連が開発した戦車はT-72やT-80にT-90等、低い姿勢を重視し長砲身と自動装填装置を備える戦車でしたが、湾岸戦争においてその能力の限界が指摘され、レオパルド2やM-1,チャレンジャーやルクレルクに我が国90式戦車に対抗し得る新戦車として模索されてきました。

 ただ、長砲身の大口径砲を装備する超大型戦車として打撃力を重視する構想や、西側戦車の影響を受け大型砲塔を搭載し自由度を高めた設計、一時欧州との関係が良好な時代にはドイツの余剰戦車導入の一説が流れ、続いて対空戦闘能力を重視し機関砲を搭載する低姿勢の戦車等、迷走しました。その間、我が国はアクティヴ懸架装置の採用と自動装填装置の改良を行い、軽量で重装甲高機動を両立した10式戦車を開発したのは御承知の通り。

 以上、我が国が一貫して新戦車の開発を行い、他方で戦車定数の削減と弾道ミサイル防衛等新施策により戦車量産数が縮小しつつ量産可能な戦車を技術革新と共に開発してきましたのと対照的に、コンセプトの模索と五里霧中という状況にあったロシア戦車開発でしたが、戦勝記念行事への参加は完成を意味し、量産開始は技術的に制式化に見合う評価を得た事に他ならず、ようやく完成したこととなります。

 一方、T-14アルマータは対空戦闘用の機関砲の採用しヘリコプター脅威へ対処する構想が示されており、機関砲の操作要員や仮に戦車長が操作する場合の戦車長としての指揮と対空戦闘の実施は可能であるのかという点、他方車体部分の操縦区画に複数のペリスコープが見られることから車体銃手が復活し対空戦闘を担うと仮定した場合、増大する車内容積に見合う防御力を確保出来ているのかが、関心事となるところ。

 ともあれ、細部の情報は全くなく、現状は演習場や工場などで車体部分以外をカバーにて覆った新戦車と思われるものが写真としてWeb上に出ている程度ですので、砲身の詳細や仕様などについては全く未知数、その実態は対独戦勝記念行事に提示される事となります。第二次大戦終戦70年、その節目の年に出現するだろう新戦車は明らかに自衛隊戦車の脅威ともなりうることを意味し、関心を以て見守りましょう。

北大路機関:はるな
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