■ドイツ軍戦車五割増強とロシア新戦車
AFP通信によればドイツ連邦軍は用途廃止となったレオパルド2戦車100両を再配備する決定を行ったとのこと。
ドイツ連邦軍の戦車は225両まで削減されています、陸上自衛隊の戦車定数が400両から300両に削減され、安全保障上の大きな命題として討議されていますが、ドイツ連邦軍の削減は更に進んでいます。我が国の場合は、海空防衛力強化と島嶼部防衛強化への転換ですが、ドイツは陸海空軍全てが縮小しているのです。
冷戦時代末期にドイツ連邦軍はレオパルド2戦車2020両を主力として戦車5045両を配備していたのですが、冷戦終結と共に東欧諸国のNATO加盟等を経て安全保障環境が激変し大幅に削減していました。しかし、ウクライナ危機を受け、ドイツ軍は戦車を過度に縮小し危機に対応できない状況が生じ、急遽戦車を再整備する事となったのです。100両の増備といえば、かつての大量の戦車を運用したドイツ軍であれば単なる方針変更となりますが、現在の戦車225両体制のドイツ軍において100両の増強は戦車の五割増強に他なりません。
今回再整備されるのは、レオパルド2A6戦車、レオパルド2は1979年に完成した第三世代戦車で、従来の打撃力に重点を置いた第二世代戦車から120mm滑腔砲と複合装甲に150hp級エンジンを採用し機動力と防護力を両立し第三世代戦車というものを定義づけた戦車なのですが、自衛隊の90式戦車や10式戦車と比較し、車体部分の基本設計は1970年代末の延長線上のものを近代化しているに過ぎません。
この再整備される戦車はNATOがウクライナ危機を受け創設を決定したNATO緊急展開部隊に供出される戦車の主力となり、ドイツは戦車数を一旦328両に戻す方針であるほか、2017年に最新型のレオパルド2A7へ近代化改修する方針と報じられています。こうして整備する戦車により、NATO緊急展開部隊はNATO域内及び周辺地域での事態に対し、二日間で5000名規模の部隊を展開させる構想です。
一方、ドイツがレオパルド2の近代化改修を進める中、ロシア国内において現在のT-80戦車およびT-90戦車に続く新戦車T-14アルマータとみられる画像がWeb上に投稿され、話題を呼んでいます。従来のT-72を原型とする改修戦車ではなく、新型車体とカバーが被せられた新砲塔が確認されました。
日本が新型車両を冷戦後開発し続けていたところが、旧西側諸国では例外的に見られていましたが、中国とロシアなどは予算の枠内で同様の努力を続けており、T-14については仰角俯角に限界のあった低姿勢砲塔から大型砲塔へ、発射速度と信頼性に問題が多かったカセトカ自動装填装置も新砲塔で改められ、車体に多数のペリスコープが並び砲塔の自動化等が図られている可能性があります。
T-14アルマータについては現時点で能力が全く未定であり五月の対独戦勝記念行事に初公開されるおのとみられますが、レオパルド2A7を328両整備するドイツ軍の対応能力もまた未知数であり、特に欧州全般が第三世代戦車の近代化改修以上の新戦車開発計画を行っておらず、将来戦車の模索は停滞したままです。この状況を見ますと、我が国からの10式戦車のNATO諸国への提案を行ってみるべきではないか、と考えさせられると共に、過度に削減した軍事力と有事への対応能力というものを十分認識し施策政策を画定しなければならない、と考えさせられるところです。
北大路機関:はるな
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
AFP通信によればドイツ連邦軍は用途廃止となったレオパルド2戦車100両を再配備する決定を行ったとのこと。
ドイツ連邦軍の戦車は225両まで削減されています、陸上自衛隊の戦車定数が400両から300両に削減され、安全保障上の大きな命題として討議されていますが、ドイツ連邦軍の削減は更に進んでいます。我が国の場合は、海空防衛力強化と島嶼部防衛強化への転換ですが、ドイツは陸海空軍全てが縮小しているのです。
冷戦時代末期にドイツ連邦軍はレオパルド2戦車2020両を主力として戦車5045両を配備していたのですが、冷戦終結と共に東欧諸国のNATO加盟等を経て安全保障環境が激変し大幅に削減していました。しかし、ウクライナ危機を受け、ドイツ軍は戦車を過度に縮小し危機に対応できない状況が生じ、急遽戦車を再整備する事となったのです。100両の増備といえば、かつての大量の戦車を運用したドイツ軍であれば単なる方針変更となりますが、現在の戦車225両体制のドイツ軍において100両の増強は戦車の五割増強に他なりません。
今回再整備されるのは、レオパルド2A6戦車、レオパルド2は1979年に完成した第三世代戦車で、従来の打撃力に重点を置いた第二世代戦車から120mm滑腔砲と複合装甲に150hp級エンジンを採用し機動力と防護力を両立し第三世代戦車というものを定義づけた戦車なのですが、自衛隊の90式戦車や10式戦車と比較し、車体部分の基本設計は1970年代末の延長線上のものを近代化しているに過ぎません。
この再整備される戦車はNATOがウクライナ危機を受け創設を決定したNATO緊急展開部隊に供出される戦車の主力となり、ドイツは戦車数を一旦328両に戻す方針であるほか、2017年に最新型のレオパルド2A7へ近代化改修する方針と報じられています。こうして整備する戦車により、NATO緊急展開部隊はNATO域内及び周辺地域での事態に対し、二日間で5000名規模の部隊を展開させる構想です。
一方、ドイツがレオパルド2の近代化改修を進める中、ロシア国内において現在のT-80戦車およびT-90戦車に続く新戦車T-14アルマータとみられる画像がWeb上に投稿され、話題を呼んでいます。従来のT-72を原型とする改修戦車ではなく、新型車体とカバーが被せられた新砲塔が確認されました。
日本が新型車両を冷戦後開発し続けていたところが、旧西側諸国では例外的に見られていましたが、中国とロシアなどは予算の枠内で同様の努力を続けており、T-14については仰角俯角に限界のあった低姿勢砲塔から大型砲塔へ、発射速度と信頼性に問題が多かったカセトカ自動装填装置も新砲塔で改められ、車体に多数のペリスコープが並び砲塔の自動化等が図られている可能性があります。
T-14アルマータについては現時点で能力が全く未定であり五月の対独戦勝記念行事に初公開されるおのとみられますが、レオパルド2A7を328両整備するドイツ軍の対応能力もまた未知数であり、特に欧州全般が第三世代戦車の近代化改修以上の新戦車開発計画を行っておらず、将来戦車の模索は停滞したままです。この状況を見ますと、我が国からの10式戦車のNATO諸国への提案を行ってみるべきではないか、と考えさせられると共に、過度に削減した軍事力と有事への対応能力というものを十分認識し施策政策を画定しなければならない、と考えさせられるところです。
北大路機関:はるな
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