◆国際競争入札を模索
オーストラリア海軍が模索する新潜水艦計画について、当初オーストラリア政府は日本より潜水艦そうりゅう型の導入を交渉してきましたが、オーストラリア議会の要求により多国間国際競争入札へ切り替えられる模様です。
オーストラリア海軍は広大な豪州大陸沿岸を哨戒するべく、原子力潜水艦以外では最大規模の航続距離を求めており、世界の通常動力潜水艦においては海上自衛隊の潜水艦そうりゅう型が最も適しているとみられてきました。このため2012年頃からオーストラリア政府は日豪防衛当局者協議などの機会より繰り返し日本製潜水艦の導入を打診、交渉を続けてきました。海上自衛隊の潜水艦は西太平洋全域の日本列島を防衛警備管区とし長大な航続距離を有しつつ、多国間合同演習により潜水艦において最も重要な静粛性を高めています。対してオーストラリア海軍は現在運用するコリンズ級潜水艦が、スウェーデン製潜水艦を大型化し豪州国内において建造したため、水中騒音が大きく整備性の問題から稼働率が高くありませんでした。
しかし、日本製潜水艦以外の選択肢を省く事へオーストラリア議会において難色が示されます、完成した高性能潜水艦を欲する海軍、豪州国内での建造による雇用確保を求める豪州財界、経験はないものの予算と時間を重ねる事で建造能力の構築が可能とする豪州造船業界、この調整の結果に本意が良いドイツ製とフランス製潜水艦の競争入札を行う方針が出された形です。ドイツ鉄鋼大手ティッセンクルップ社が建造する214型潜水艦を二倍に拡大する新型潜水艦案、フランス造船大手DCNS社製のアゴスタ級潜水艦などを近代化し大型化した新型潜水艦など、そうりゅう型に対抗し提示される見込み。
3月25日に行われたオーストラリア海軍将来潜水艦選定を行う将来潜水艦サミットが開催されたさい、日本から潜水艦そうりゅう型の建造を担う三菱重工と川崎重工からの出席がありませんでした。これは、そうりゅう型潜水艦は既に完成した潜水艦であり価格競争面において稼働率や実能力をペーパープランとして向上余地を残す計画艦との競合が利点ではない点、豪州国内潜水艦建造所への大きな技術移転と建造技術提供を求められるため既に完成した潜水艦建造技術を供給する事への難色、などが考えれます。
技術移転はある程度必要だとは考えられていました、整備能力等は豪州に整備しておかなければ日本に一々豪州から開講して整備するには距離が大きすぎますし、豪州海軍は12隻の新潜水艦を導入する方針であり、仮に日本が受注した場合でも日本の潜水艦造船所は二か所、世界でも潜水艦造船所が二社二か所以上在る事例は日本の他にアメリカとロシア及び中国程度なのですが、潜水艦の建造を12隻行うには自衛隊向けの潜水艦建造も行わなければならないため、結局豪州国内でのノックダウン生産などを行わなければならないことになるのですが、価格競争や過度な技術移転は費用対効果に見合いません。
欧州は、潜水艦建造が冷戦終結後の地域安定化により潜水艦建造能力を維持できるかが不安な水準まで需要が払底しています、対して日本は潜水艦定数が22隻、練習潜水艦を含めれば24隻が必要となるため毎年一隻の潜水艦建造を行ったとして二か所の造船所を維持可能なのです。すると、最早失うものが無く何が何でも投げ売らなければ潜水艦建造能力そのものが喪失しかねない欧州と、国内需要に依存して対応可能な日本との温度差が出てきたというべきでしょう。ただ、オーストラリア海軍に大きな問題は前述の通り、オーストラリア海軍が必要とする大型潜水艦の建造経験がフランスが通常動力潜水艦において、ドイツも輸出用を含め経験が無いためで、実際にどの程度の潜水艦が完成するかは計画値でどれだけ示す事が出来ても実物は建造しなければ分かりません。総合評価方式が選定においてなされるようですが、豪州の判断を待ちましょう。
北大路機関:はるな
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(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
オーストラリア海軍が模索する新潜水艦計画について、当初オーストラリア政府は日本より潜水艦そうりゅう型の導入を交渉してきましたが、オーストラリア議会の要求により多国間国際競争入札へ切り替えられる模様です。
オーストラリア海軍は広大な豪州大陸沿岸を哨戒するべく、原子力潜水艦以外では最大規模の航続距離を求めており、世界の通常動力潜水艦においては海上自衛隊の潜水艦そうりゅう型が最も適しているとみられてきました。このため2012年頃からオーストラリア政府は日豪防衛当局者協議などの機会より繰り返し日本製潜水艦の導入を打診、交渉を続けてきました。海上自衛隊の潜水艦は西太平洋全域の日本列島を防衛警備管区とし長大な航続距離を有しつつ、多国間合同演習により潜水艦において最も重要な静粛性を高めています。対してオーストラリア海軍は現在運用するコリンズ級潜水艦が、スウェーデン製潜水艦を大型化し豪州国内において建造したため、水中騒音が大きく整備性の問題から稼働率が高くありませんでした。
しかし、日本製潜水艦以外の選択肢を省く事へオーストラリア議会において難色が示されます、完成した高性能潜水艦を欲する海軍、豪州国内での建造による雇用確保を求める豪州財界、経験はないものの予算と時間を重ねる事で建造能力の構築が可能とする豪州造船業界、この調整の結果に本意が良いドイツ製とフランス製潜水艦の競争入札を行う方針が出された形です。ドイツ鉄鋼大手ティッセンクルップ社が建造する214型潜水艦を二倍に拡大する新型潜水艦案、フランス造船大手DCNS社製のアゴスタ級潜水艦などを近代化し大型化した新型潜水艦など、そうりゅう型に対抗し提示される見込み。
3月25日に行われたオーストラリア海軍将来潜水艦選定を行う将来潜水艦サミットが開催されたさい、日本から潜水艦そうりゅう型の建造を担う三菱重工と川崎重工からの出席がありませんでした。これは、そうりゅう型潜水艦は既に完成した潜水艦であり価格競争面において稼働率や実能力をペーパープランとして向上余地を残す計画艦との競合が利点ではない点、豪州国内潜水艦建造所への大きな技術移転と建造技術提供を求められるため既に完成した潜水艦建造技術を供給する事への難色、などが考えれます。
技術移転はある程度必要だとは考えられていました、整備能力等は豪州に整備しておかなければ日本に一々豪州から開講して整備するには距離が大きすぎますし、豪州海軍は12隻の新潜水艦を導入する方針であり、仮に日本が受注した場合でも日本の潜水艦造船所は二か所、世界でも潜水艦造船所が二社二か所以上在る事例は日本の他にアメリカとロシア及び中国程度なのですが、潜水艦の建造を12隻行うには自衛隊向けの潜水艦建造も行わなければならないため、結局豪州国内でのノックダウン生産などを行わなければならないことになるのですが、価格競争や過度な技術移転は費用対効果に見合いません。
欧州は、潜水艦建造が冷戦終結後の地域安定化により潜水艦建造能力を維持できるかが不安な水準まで需要が払底しています、対して日本は潜水艦定数が22隻、練習潜水艦を含めれば24隻が必要となるため毎年一隻の潜水艦建造を行ったとして二か所の造船所を維持可能なのです。すると、最早失うものが無く何が何でも投げ売らなければ潜水艦建造能力そのものが喪失しかねない欧州と、国内需要に依存して対応可能な日本との温度差が出てきたというべきでしょう。ただ、オーストラリア海軍に大きな問題は前述の通り、オーストラリア海軍が必要とする大型潜水艦の建造経験がフランスが通常動力潜水艦において、ドイツも輸出用を含め経験が無いためで、実際にどの程度の潜水艦が完成するかは計画値でどれだけ示す事が出来ても実物は建造しなければ分かりません。総合評価方式が選定においてなされるようですが、豪州の判断を待ちましょう。
北大路機関:はるな
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