■THAAD部隊展開と緊急調達
イージスアショアの場合は時間を要するという問題を前回に提示しました。

北朝鮮の弾道ミサイル部隊発射試験準備へミサイル部隊が平壌近郊を移動しているとの情報と共に、自衛隊の出雲駐屯地や海田市駐屯地、松山駐屯地と高知駐屯地へのPAC-3部隊展開は継続されています。これは以前より予告のグアム方面への発射実験に備えるものですが、加えて3日の核実験は従来より急ぎ迎撃態勢整備が求められるようなってきました。

THAAD,日本が緊急に弾道ミサイル防衛システムを取得する場合、このアメリカ陸軍防空砲兵部隊が運用する終末段階高高度迎撃用ミサイルの取得が、方法によっては最も早く整備できる可能性があります。これは日米間で緊急取得への交渉を行い、米陸軍装備品を陸軍防空砲兵部隊の日本展開と、OJT方式での自衛隊要員教育を経て譲渡する、というもの。

在日米軍へTHAADを配備しつつ、米陸軍防空砲兵要員の指導下に自衛隊のTHAAD運用準備隊要員を派遣し、実際に日本本土ミサイル防衛を実行しつつ、運用手順の教導を受け、一定水準以上に演練すると同時に教導から協同運用へ移行、その後に日本展開THAADシステム一式を有償軍事供与の形でアメリカより買取り、自衛隊が運用するという提案です。

アメリカ陸軍第11防空砲兵旅団第4防空砲兵連隊第4大隊へ最初のTHAADミサイルが配備されたのが2009年、この後に技術研究と運用研究を重ねていますが、このTHAADというミサイル自体が既に陸軍配備から8年を経ている装備という点です。即ち、米陸軍でのTHAAD運用経験者に層が形成され、OJT方式で日本に配備しつつ教育を行う余裕はある。

在韓米軍第35防空砲兵旅団へ第11防空砲兵旅団第2防空砲兵連隊よりTHAAD部隊が展開していますが、理想としては在韓米軍方式で第五空軍及び国連軍広報司令部の置かれる首都圏近郊の日米共用横田基地へTHAAD部隊の展開を要請、地形上レーダーの設置には余地がありますが、横田に展開する事で首都圏と東北南部、東海地方東部を防護できます。

京阪神中京地区は、既にTHAADレーダー部分にあたるXバンドレーダーAN/TRY-2が配備される京都の経ヶ岬分屯基地へ米陸軍部隊の展開を要請する事で達成可能です。大都市からは若干距離がありますが、防空範囲は250kmと充分圏内であり、更に死活的に重要な若狭湾原子力発電所集中地域をミサイル攻撃から防護するには最適の位置と云えましょう。

1250億円を要し、2箇所に配置するだけで2500億円を要し、日本全土を防衛するには5箇所に分けねばならないTHAADですが、ミサイル防衛装備としては理想的な装備です。移動式ですのでTHAADシステム本体が飽和攻撃の標的とされた場合には移動が可能で、ゲリラコマンドー対処の面からも有利、動く事が出来ないイージスアショアと対照的です。

AN/TRY-2の最大2000km以遠のミサイルを検知するという強力なレーダー波が環境面へ影響を及ぼすと韓国では配備へ根強い反対がありましたが、THAADの日本における優位性は、既に前述の経ヶ岬分屯基地と青森県の車力分屯基地へAN/TRY-2が配備され、車力分屯基地での運用は2006年に開始され11年以上を経るも、健康被害の報道はありません。

イージスアショアと比較したばあい、THAADは射程面で限界があり、更に弾道ミサイル迎撃専用である事から発射装置そのものに現在のところ汎用性がなく対航空機用へ応用する事は出来ません。しかし、終末段階の迎撃専用という部分で中間段階を迎撃するイージスアショアのスタンダードSM-3よりも確実な防護が可能であり、何よりも米陸軍の既存装備緊急取得を要請する場合、C-17輸送機へ搭載したならば、横田基地等へ直接即座に配備できるという点は大きな利点と云えましょう。
北大路機関:はるな くらま
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
イージスアショアの場合は時間を要するという問題を前回に提示しました。

北朝鮮の弾道ミサイル部隊発射試験準備へミサイル部隊が平壌近郊を移動しているとの情報と共に、自衛隊の出雲駐屯地や海田市駐屯地、松山駐屯地と高知駐屯地へのPAC-3部隊展開は継続されています。これは以前より予告のグアム方面への発射実験に備えるものですが、加えて3日の核実験は従来より急ぎ迎撃態勢整備が求められるようなってきました。

THAAD,日本が緊急に弾道ミサイル防衛システムを取得する場合、このアメリカ陸軍防空砲兵部隊が運用する終末段階高高度迎撃用ミサイルの取得が、方法によっては最も早く整備できる可能性があります。これは日米間で緊急取得への交渉を行い、米陸軍装備品を陸軍防空砲兵部隊の日本展開と、OJT方式での自衛隊要員教育を経て譲渡する、というもの。

在日米軍へTHAADを配備しつつ、米陸軍防空砲兵要員の指導下に自衛隊のTHAAD運用準備隊要員を派遣し、実際に日本本土ミサイル防衛を実行しつつ、運用手順の教導を受け、一定水準以上に演練すると同時に教導から協同運用へ移行、その後に日本展開THAADシステム一式を有償軍事供与の形でアメリカより買取り、自衛隊が運用するという提案です。

アメリカ陸軍第11防空砲兵旅団第4防空砲兵連隊第4大隊へ最初のTHAADミサイルが配備されたのが2009年、この後に技術研究と運用研究を重ねていますが、このTHAADというミサイル自体が既に陸軍配備から8年を経ている装備という点です。即ち、米陸軍でのTHAAD運用経験者に層が形成され、OJT方式で日本に配備しつつ教育を行う余裕はある。

在韓米軍第35防空砲兵旅団へ第11防空砲兵旅団第2防空砲兵連隊よりTHAAD部隊が展開していますが、理想としては在韓米軍方式で第五空軍及び国連軍広報司令部の置かれる首都圏近郊の日米共用横田基地へTHAAD部隊の展開を要請、地形上レーダーの設置には余地がありますが、横田に展開する事で首都圏と東北南部、東海地方東部を防護できます。

京阪神中京地区は、既にTHAADレーダー部分にあたるXバンドレーダーAN/TRY-2が配備される京都の経ヶ岬分屯基地へ米陸軍部隊の展開を要請する事で達成可能です。大都市からは若干距離がありますが、防空範囲は250kmと充分圏内であり、更に死活的に重要な若狭湾原子力発電所集中地域をミサイル攻撃から防護するには最適の位置と云えましょう。

1250億円を要し、2箇所に配置するだけで2500億円を要し、日本全土を防衛するには5箇所に分けねばならないTHAADですが、ミサイル防衛装備としては理想的な装備です。移動式ですのでTHAADシステム本体が飽和攻撃の標的とされた場合には移動が可能で、ゲリラコマンドー対処の面からも有利、動く事が出来ないイージスアショアと対照的です。

AN/TRY-2の最大2000km以遠のミサイルを検知するという強力なレーダー波が環境面へ影響を及ぼすと韓国では配備へ根強い反対がありましたが、THAADの日本における優位性は、既に前述の経ヶ岬分屯基地と青森県の車力分屯基地へAN/TRY-2が配備され、車力分屯基地での運用は2006年に開始され11年以上を経るも、健康被害の報道はありません。

イージスアショアと比較したばあい、THAADは射程面で限界があり、更に弾道ミサイル迎撃専用である事から発射装置そのものに現在のところ汎用性がなく対航空機用へ応用する事は出来ません。しかし、終末段階の迎撃専用という部分で中間段階を迎撃するイージスアショアのスタンダードSM-3よりも確実な防護が可能であり、何よりも米陸軍の既存装備緊急取得を要請する場合、C-17輸送機へ搭載したならば、横田基地等へ直接即座に配備できるという点は大きな利点と云えましょう。
北大路機関:はるな くらま
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