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【検証:JR北海道危機08】急行が経営危機を救う!,鉄道廃線か大幅運賃値上げかの選択肢

2017-09-20 23:18:06 | コラム
■JR北海道,経営安定化試案
 JR北海道危機、かなり間が開いてしまいましたが、第八回は廃線を回避する選択肢についてです。運賃収入を増やさなければ、基本的に鉄道経営は安定化しません。

 JR北海道の経営危機、最大の背景には如何ともし難い過疎化による旅客輸送需要の激減があります。JR北海道には国鉄民営化にともない、経営安定化基金が設定、当初は一定の赤字であっても基金からの利子分をえることで補填できるとの考えもありましたが、ゼロ金利により基金そのものを切り崩すという文字通り最後の手段が講じられています。

 しかし、切り崩せば将来的に旅客需要増大の見通しはなく、先細りとなることは回避できません。経営安定化へ、旅客需要が増大しないのであれば収益を増やす最後の手段は運賃値上げしかありません。しかし、赤字路線だけを運賃に反映させることは現実的ではなく、特に一列車、単行列車であっても乗客が一名二名という状況では、運賃へ反映できない。

 運賃に反映させたならば大変な値上げとなってしまうでしょう。この意味を考えますと、例えば豪華寝台列車ななつ星などは一両あたり個室を二部屋程度に抑え、高品質なサービスを提供しています。しかし、乗客の専有面積だけで考えるならば、一両あたり数名の乗客で運行される列車は豪華列車ななつ星と同等の専有面積で運行されている、ということ。

 運賃値上げ、全路線で均等に二割、不採算路線の過度な過疎化地域では三割程度値上げし、また定期運賃も含め二割から三割値上げする。この施策により幾分かは現状を改善することができるでしょう。運賃値上げは競合する路線バスへの旅客需要流失の可能性を同時に高めてしまいますが、例えば定期券購入への北海道庁の補助金政策、等が求められます。

 これは北海道庁としての負担となりますが、敬老割引など道庁の福祉政策と併用し、JR北海道と乗客の最小限度の利便性を確保できる体制が求められます。実際、廃線か補助金か、という状況で沿線自治体とのバス路線転換の可否が話し合われている状況ですが、敢えて、廃線か運賃大幅値上げかバス転換か、と三択に切り替えることで交渉の余地は広まります。

 地元自治体との交渉に、廃止かバス移管かという鉄路廃止意外に線路を残ししかも上下分離方式経営と異なりJRが経営に加わり、幅を持たせる意味はあります。問題は運賃値上げは国土交通省の許可も必要であり、単純な命題ではないのですが廃線におい込まれるかバス転換か、どちらにせよ線路がなくなる以外の選択肢の持つ重みは大きいと考えるのです。

 急行列車、思い切った採算強化の施策に現在の普通列車を大きく削減し、特に日中の運行列車の大半を急行料金が必要な急行列車に置き換える、という選択肢があります。特に乗降客数の少ない普通列車停車駅施設を、国鉄時代に北海道内にかつて複数存在した仮停車場、扉一つ分のコンパクトな乗降用ホームまで縮小、逆に駐車場等の面積に敷地を充てる。

 もしくは最後の選択肢で一部駅舎についてホーム先端部分のみJRが管理する仮停車場として、駅管理業務を抜本的に簡略化し、これいじょうないほどまで切り詰めているJR北海道の最後の効率化が可能です。その上で、従来型のホームを維持する駅を急行停車駅とし、普通列車以外の列車の運行に重点を置く、という選択肢が考えられるでしょう。無論停車場へ旅客需要があれば臨時停車してもよい。

 日中の時間帯に運行される列車については近郊線の一部を除き急行料金を徴収する急行列車とし、収益拡大をはかるのです。もちろん、純粋な急行料金では一区間乗車するだけでもかなりの料金となりますので、5km未満急行料金、10km未満急行料金、25km未満急行料金、35km未満急行料金、50km未満急行料金、と旅客需要に応じ区分を細分化するなどの施策は必要です。

北大路機関:はるな くらま
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コメント (8)
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