■戦後日本の巡洋艦再建構想
はるな型護衛艦建造当時、航空機を運用する為に航空母艦だ、との論評が一部識者や報道にはありましたが、続く護衛艦しらね型は当初もう少し大型化する可能性がありました。
8300t型ヘリコプター巡洋艦構想、格納庫の上に飛行甲板を配置するという構造は護衛艦はるな二隻に続く護衛艦として検討されます。こうすることで毎回エレベータを乗降させる必要性が生じますが、格納庫の上に飛行甲板をおく構造は即ち乾舷を高くできます、緊急時には航空機の甲板係留を行っても航空機が波浪に洗われる懸念を払拭できるという。
格納庫が大型化するということは艦内の整備支援設備も大型化する事を意味しますので、護衛艦で実施できる整備の幅も大きくなります、これは護衛艦はるな型より大規模な整備を洋上で行えまして長期間の独立運用を可能とする、当たり前ですが船体が大型化したならば燃料搭載量も増大しますので護衛艦としての航続距離も延伸し行動範囲が広がります。
1969年の小笠原返還と1972年には沖縄県が返還され、防衛管区が大きく広がる海上自衛隊には外洋運用能力の強化は喫緊の課題となった中で重要な点といえました。特に南西諸島南端に近い台湾海峡では中国海軍と台湾海軍の海上戦闘が散発的に発生していますし、ソ連太平洋艦隊の行動も艦隊規模の増大に併せ活性化、海上防衛の課題は大きくなります。
8300t型ヘリコプター巡洋艦構想、海上自衛隊では現在19500t型護衛艦として建造されました護衛艦いずも型もヘリコプター搭載護衛艦と呼称していますが、はるな型に続く護衛艦を建造する当時はヘリコプター巡洋艦、と部内検討では称されていたという点はある意味新鮮ですが、当時としては破格の大型艦が検討されています。確かに巡洋艦の大きさだ。
基準排水量8300tといえば満載排水量は確実に10000tの大台を越え、11500t程度となったことでしょう。はるな、ひえい、実運用を開始しますと先見の明を実感するとともに設計上甲板係留により艦載機を増大させることは短期的であってもできません。ベアトラップ着艦拘束装置を採用した護衛艦はるな型は飛行甲板にこの軌条が広く配置されています。
ベアトラップがあるからこそ、基準排水量4700の船体に大型のHSS-2対潜ヘリコプターを発着させているのですから、飛行甲板には二条のベアトラップ軌条が配置されています。ここに甲板係留をおこないますと運用できなくなり、軌条の上に航空機を係留し続ける事は出来ません。当時では仕方ない事ですが設計上の余裕が無かった、ということですね。
もちろん、UH-1,当時はHU-1と呼称されていました中型の多用途ヘリコプター程度であれば、こういいますのもイタリア海軍ではHU-1の対潜型とHSS-2の対潜型を巡洋艦で使い分けた事例があるのですが、凪いだ海上で着艦拘束装置を用いない状況で甲板係留と発着を両立できたのかもしれません。しかし、海上自衛隊ではHU-1は運用されていません。
しらね、くらま、建造の歴史をみるとおり、この8300t型ヘリコプター搭載護衛艦は実現していませんが、構想だけを見ますと面白い。上部構造物を船体中央部に配置し、艦首から51番砲と52番砲にターターミサイルか当時実用化の目処がつき始めた短射程対空ミサイルを搭載、中央部に上部構造物を配置しまして後部に飛行甲板という構造が考えられた。
航空機格納庫は飛行甲板下の船体に配置するという構想とも伝えられ、艦隊旗艦としての機能も盛り込むという。もちろんベアトラップは採用できませんが、基準排水量4700tの護衛艦と8300tの護衛艦では波浪の影響が根本から異なります、一概には言えませんがベアトラップを採用せずとも発着艦が出来たという認識でしょう。発想としては、興味深い。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
はるな型護衛艦建造当時、航空機を運用する為に航空母艦だ、との論評が一部識者や報道にはありましたが、続く護衛艦しらね型は当初もう少し大型化する可能性がありました。
8300t型ヘリコプター巡洋艦構想、格納庫の上に飛行甲板を配置するという構造は護衛艦はるな二隻に続く護衛艦として検討されます。こうすることで毎回エレベータを乗降させる必要性が生じますが、格納庫の上に飛行甲板をおく構造は即ち乾舷を高くできます、緊急時には航空機の甲板係留を行っても航空機が波浪に洗われる懸念を払拭できるという。
格納庫が大型化するということは艦内の整備支援設備も大型化する事を意味しますので、護衛艦で実施できる整備の幅も大きくなります、これは護衛艦はるな型より大規模な整備を洋上で行えまして長期間の独立運用を可能とする、当たり前ですが船体が大型化したならば燃料搭載量も増大しますので護衛艦としての航続距離も延伸し行動範囲が広がります。
1969年の小笠原返還と1972年には沖縄県が返還され、防衛管区が大きく広がる海上自衛隊には外洋運用能力の強化は喫緊の課題となった中で重要な点といえました。特に南西諸島南端に近い台湾海峡では中国海軍と台湾海軍の海上戦闘が散発的に発生していますし、ソ連太平洋艦隊の行動も艦隊規模の増大に併せ活性化、海上防衛の課題は大きくなります。
8300t型ヘリコプター巡洋艦構想、海上自衛隊では現在19500t型護衛艦として建造されました護衛艦いずも型もヘリコプター搭載護衛艦と呼称していますが、はるな型に続く護衛艦を建造する当時はヘリコプター巡洋艦、と部内検討では称されていたという点はある意味新鮮ですが、当時としては破格の大型艦が検討されています。確かに巡洋艦の大きさだ。
基準排水量8300tといえば満載排水量は確実に10000tの大台を越え、11500t程度となったことでしょう。はるな、ひえい、実運用を開始しますと先見の明を実感するとともに設計上甲板係留により艦載機を増大させることは短期的であってもできません。ベアトラップ着艦拘束装置を採用した護衛艦はるな型は飛行甲板にこの軌条が広く配置されています。
ベアトラップがあるからこそ、基準排水量4700の船体に大型のHSS-2対潜ヘリコプターを発着させているのですから、飛行甲板には二条のベアトラップ軌条が配置されています。ここに甲板係留をおこないますと運用できなくなり、軌条の上に航空機を係留し続ける事は出来ません。当時では仕方ない事ですが設計上の余裕が無かった、ということですね。
もちろん、UH-1,当時はHU-1と呼称されていました中型の多用途ヘリコプター程度であれば、こういいますのもイタリア海軍ではHU-1の対潜型とHSS-2の対潜型を巡洋艦で使い分けた事例があるのですが、凪いだ海上で着艦拘束装置を用いない状況で甲板係留と発着を両立できたのかもしれません。しかし、海上自衛隊ではHU-1は運用されていません。
しらね、くらま、建造の歴史をみるとおり、この8300t型ヘリコプター搭載護衛艦は実現していませんが、構想だけを見ますと面白い。上部構造物を船体中央部に配置し、艦首から51番砲と52番砲にターターミサイルか当時実用化の目処がつき始めた短射程対空ミサイルを搭載、中央部に上部構造物を配置しまして後部に飛行甲板という構造が考えられた。
航空機格納庫は飛行甲板下の船体に配置するという構想とも伝えられ、艦隊旗艦としての機能も盛り込むという。もちろんベアトラップは採用できませんが、基準排水量4700tの護衛艦と8300tの護衛艦では波浪の影響が根本から異なります、一概には言えませんがベアトラップを採用せずとも発着艦が出来たという認識でしょう。発想としては、興味深い。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)