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京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

中東緊張!タンカー護衛有志連合-米統参議長が提唱,日本へも派遣要請?ホルムズ海峡等想定

2019-07-11 20:01:15 | 国際・政治
■英タンカー襲撃未遂事件発生
 アメリカイラン対立とイランによるウラン濃縮20%示唆や相次ぐタンカー襲撃を受け中東情勢が緊張へ。こうした中、自衛隊も今後派遣検討を求められる可能性が出てきました。

 アメリカ軍のダンフォード統合参謀本部議長はタンカーや商船へ攻撃が相次ぐホルムズ海峡とバブエルマンデブ海峡において哨戒任務を行う有志連合の編成を各国へ求める姿勢を表明しました。ホルムズ海峡では日本タンカーを含め襲撃事件が相次ぎ、本日11日付報道では革命防衛隊がイギリスタンカー拿捕へ接近、イギリス海軍が阻止する一幕もありました。

 日本タンカー,コクカ-カレイジャス攻撃事件とアメリカ軍RQ-4無人偵察機撃墜事案を受け、このまま緊張が続くのであれば自衛隊による船団護衛任務の必要性が考えられたところですが、ダンフォード統合参謀本部議長の有志連合発言はアメリカ政府が求めるアメリカ軍担に代えての自国船防衛の要求であり、自衛隊派遣が求められる可能性が高まりました。

 イギリスタンカー攻撃未遂事件、現地時間10日にホルムズ海峡湾口北側を航行するイギリス石油タンカーブリティッシュヘリテージが複数の革命防衛隊武装舟艇の接近を受け、付近を警戒中のイギリス海軍23型フリゲイトモントローズが駆けつけ機関砲を操砲しつつ無線で警告、退去させました。革命防衛隊舟艇はタンカー拿捕しようとしていたとの分析が。

 ホルムズ海峡は更に緊張度を増す可能性が。イギリス海兵隊は今月4日、欧州連合経済制裁として禁止されているシリアへの石油密輸を行うイランタンカーグレースⅠを英領ジブラルタル付近の領海で拿捕しました。シリアはアサド政権による内戦下での自国民虐殺等を理由に経済制裁中です。イラン政府はグレースⅠ拿捕に反発し報復を示唆していました。

 タンカー防衛有志連合、ダンフォード統合参謀本部議長の発言によればアメリカ海軍は駆逐艦などの水上戦闘艦艇や哨戒機と有志連合旗艦を提供し、各国からも艦船及び航空機の派遣を要請し、司令部に各国派遣幕僚が調整し、タンカーや商船の護衛を行うというもの。具体的にはCTF151第151合同任務部隊方式の有志連合を想定しているのかもしれません。

 CTF151第151合同任務部隊は、ソマリア沖海賊対処任務の有志連合部隊で、アメリカ軍、カナダやイギリス、フランスにオランダとデンマーク、パキスタンにオーストラリア、として日本が参加し、インドと韓国も部分参加しました。任務は哨戒任務と臨検任務で、水上戦闘艦などの海軍艦艇と支援艦に哨戒用航空機、攻撃ヘリコプター等が参加しています。

 ホルムズ海峡、石油海峡とも呼ばれるペルシャ湾とアラビア海を結ぶ幅33kmの海峡でペルシャ湾岸のサウジアラビアやカタール、バーレーン、クウェートにUAEとイラクにイランの石油輸出に不可欠な海峡ですが、北岸イラン方面より不審船によるタンカー攻撃事案が発生、周辺国と共に警戒のアメリカ軍無人偵察機が海峡上空で度々攻撃を受けています。

 バブエルマンデブ海峡、地中海とアラビア海を結ぶスエズ運河紅海の出口に当り、この北岸は内戦中のイエメンとなっています。イエメンのフーシ派反政府勢力は出所不明のイラン製装備を使用している事が鹵獲品から確認され、イランの軍事協力が懸念される一方、欧州とアジアを結ぶ海峡では攻撃事案も発生、昨年7月にタンカー二隻が被害に遭いました。

 有志連合に参加の場合、アメリカ軍が中東地域に有す友好国施設使用が認められるでしょう。ペルシャ湾岸、バーレーンにはアメリカ海軍第五艦隊の根拠地としての施設があり、マナマ港のニマ-スルマン基地には航空母艦も接岸可能、第五艦隊司令部施設もニマ-スルマン基地から5km先のジュファイール基地に置かれ、ムハッラーク空軍基地も供されている。

 ホルムズ海峡の南岸オマーンにはオマーン政府が3700m滑走路を四本持つマシラアイランド空軍基地やB-1B爆撃機の展開施設を有するツムライト空軍基地があり、UAEアラブ首相国連邦のファライラ軍港とジベル-アリ軍港も米軍前方施設として使用されています。この他にペルシャ湾岸はサウジアラビアやイラク等に米軍が使用可能となる施設があります。

 ホルムズ海峡タンカー護衛、海上自衛隊はソマリア沖海賊対処任務に護衛艦と哨戒機を派遣し第151合同任務部隊司令官も派遣しました。しかし、一つ有用な問題があります、それはソマリア沖では小銃か精々携帯火器で武装した海賊が相手でしたが、ホルムズ海峡では成層圏を飛ぶRQ-4無人偵察機が撃墜され、地対艦ミサイル脅威等がある、という点だ。

 バブエルマンデブ海峡ではタンカー攻撃に加えUAE海軍高速輸送艦スウィフトがフーシ派による中国製C-801ミサイル攻撃を受け大破炎上、アメリカ海軍イージス艦メイソンもミサイル攻撃を受け防御行動を強いられました。今回派遣の場合は、集団的自衛権行使、対水上戦闘や対空戦闘が発生の可能性が従来と比較にならぬ程高い点を留意すべきでしょう。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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