■ドイツ政府は供与否定的
日本人ならば90式と10式が最強と信じるのですが、ドイツのラムシュタインにおいて行われたウクライナ支援国会合、ドイツ政府は期待されたレオパルド2の供与について否定的姿勢を崩しませんでした。
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レオパルド2主力戦車について、ウクライナが供与を切望する背景には使いやすさがあります、使いやすさというのはもちろん戦車そのものの性能諸元もあるのですけれども、性能に出てこない、初めて乗換える戦車兵でも乗れるのか、初めて整備する整備兵が扱えるのか、整備する際や弾薬を用いる場合に予備の備蓄は充分あるのか、が重要なのです。
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ルクレルク戦車のような自動装填装置とシステム化された砲塔システムは採用されていません、ドイツではレオパルド2の砲塔システム基本設計の古さから改良にも限界があるとして、EMBT欧州共通戦車構想にはレオパルド2の車体にルクレルク戦車砲塔を載せるモックアップが作られた、しかしルクレルクは量産数が少なくエンジン信頼性に難点がある。
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チャレンジャー2戦車のような砲塔部分の重厚な防御力はありません、しかしチャレンジャー戦車の車体部分は更に古いチーフテン戦車の設計を改良したものであり2004年には車体部分の複合装甲継ぎ目部分がRPGにより破壊されています、この点レオパルド2は現行型が全体的に高い防御力があり、チャレンジャーのような重装甲による機動力低下がない。
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アリエテ主力戦車ほど設計は新しくありません、しかし改修が何度も行われ、初期型の垂直形状の装甲からA5型の楔形装甲はミサイルへの防御力を高め、A6型からは砲身を延伸させ主砲の初速を向上させ、A7型では市街戦に対応させる防御力と索敵能力を強化しています、つまり全面的な改良により第一線での能力を維持しているのがレオパルド2という。
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エイブラムス戦車と比較した場合、劣化ウラン装甲と絶え間ない近代化改修を行うなど恐らく世界最強は改良型のエイブラムス戦車のA2-SEP3Aでしょう。しかし加速力に重点を置きガスタービンエンジンを採用したエイブラムスは1500ℓの燃料を数時間で使い果たすほど燃費が悪く、アメリカ軍の兵站支援があって初めて全力を発揮できるのが難点です。
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10式戦車、個人的にはこの機動力の高さを垣間見ると共に、こちらはシステム化された戦車でありシステムアップデートにより能力向上を断続的に行える戦車ですし、車体設計が根本から新しい戦車ですので、特にその高い性能を何度も見ていますと、これこそ最強と考える一方、肝心の数が揃っておらず、なにより日本からの供与は現実的ではありません。
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K-2戦車、レオパルド2に使いやすさの面で対抗できるのはこの戦車くらいでしょうか、特に輸出仕様のものは能力向上が進められており、何よりも採用国の兵站システムに適合するようエンジンや変速機を自由に選べる利点とライセンス生産を許可する姿勢からポーランドは大量採用を決定しましたし、ノルウェー次期戦車をレオパルド2と競っています。
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ただ、現実的に輸出が可能かといいますと現代ロテムの生産は現在限界となっていますし、ポーランドは導入を決定しライセンス生産を準備していますが生産開始はまだ先です。ただ、ポーランドが保有するレオパルド2をウクライナへ供与する方向で調整する背景には、K-2戦車を導入する事により現在のレオパルド2が余剰になる、こうした背景が存在する。
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レオパルド2戦車の重要な点は西ドイツが1970年代に設計したという点で、東西冷戦時代に徴兵制を施行していた西ドイツでは、レオパルド2戦車には徴兵された戦車兵が短時間で慣熟できる操作性と整備性を求めています、だからこそウクライナへ供与された場合でも短時間で慣熟できる、ウクライナには訓練された戦車兵が多数居り、乗換が容易なのだ。
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ウクライナの第一線では戦車の不足が深刻です、例えばエイブラムス戦車でなくとも旧式のM-60A3戦車でも、また稼働状態のものが有れば1960年代設計のレオパルト1戦車でも充分に役立つと考えるのですが、第三世代戦車として動かす事が出来るレオパルド2が供与されるならば、ロシアの保有するT-90戦車では対抗できるのかが非常に危ういのですね。
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T-90戦車はT-72戦車を改良したものです、元々はT-72の名で売られていたのですが1991年の湾岸戦争で西側の第三世代戦車に完敗し、T-72戦車が1000両以上撃破されるもエイブラムス戦車の破壊は数両に留まった、これほどの苦い歴史がある。乗り手が素人ならば玄人のT-90でも対抗出来ましょうが、ウクライナの戦車兵は歴戦の実力を備えています。
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ロシアさえも欲しがったレオパルド2主力戦車、実は過去ロシアも新型戦車の開発に失敗し続けた時代に中古のレオパルド2輸入を模索していました、それほどに有力な装備です。驚かれるかもしれませんが、2007年のNATOとの緊張増大が始まる前には、ロシアはレオパルド2中古車やイタリアからチェンタウロ装甲偵察車のライセンス生産を模索していました。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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日本人ならば90式と10式が最強と信じるのですが、ドイツのラムシュタインにおいて行われたウクライナ支援国会合、ドイツ政府は期待されたレオパルド2の供与について否定的姿勢を崩しませんでした。
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レオパルド2主力戦車について、ウクライナが供与を切望する背景には使いやすさがあります、使いやすさというのはもちろん戦車そのものの性能諸元もあるのですけれども、性能に出てこない、初めて乗換える戦車兵でも乗れるのか、初めて整備する整備兵が扱えるのか、整備する際や弾薬を用いる場合に予備の備蓄は充分あるのか、が重要なのです。
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ルクレルク戦車のような自動装填装置とシステム化された砲塔システムは採用されていません、ドイツではレオパルド2の砲塔システム基本設計の古さから改良にも限界があるとして、EMBT欧州共通戦車構想にはレオパルド2の車体にルクレルク戦車砲塔を載せるモックアップが作られた、しかしルクレルクは量産数が少なくエンジン信頼性に難点がある。
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チャレンジャー2戦車のような砲塔部分の重厚な防御力はありません、しかしチャレンジャー戦車の車体部分は更に古いチーフテン戦車の設計を改良したものであり2004年には車体部分の複合装甲継ぎ目部分がRPGにより破壊されています、この点レオパルド2は現行型が全体的に高い防御力があり、チャレンジャーのような重装甲による機動力低下がない。
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アリエテ主力戦車ほど設計は新しくありません、しかし改修が何度も行われ、初期型の垂直形状の装甲からA5型の楔形装甲はミサイルへの防御力を高め、A6型からは砲身を延伸させ主砲の初速を向上させ、A7型では市街戦に対応させる防御力と索敵能力を強化しています、つまり全面的な改良により第一線での能力を維持しているのがレオパルド2という。
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エイブラムス戦車と比較した場合、劣化ウラン装甲と絶え間ない近代化改修を行うなど恐らく世界最強は改良型のエイブラムス戦車のA2-SEP3Aでしょう。しかし加速力に重点を置きガスタービンエンジンを採用したエイブラムスは1500ℓの燃料を数時間で使い果たすほど燃費が悪く、アメリカ軍の兵站支援があって初めて全力を発揮できるのが難点です。
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10式戦車、個人的にはこの機動力の高さを垣間見ると共に、こちらはシステム化された戦車でありシステムアップデートにより能力向上を断続的に行える戦車ですし、車体設計が根本から新しい戦車ですので、特にその高い性能を何度も見ていますと、これこそ最強と考える一方、肝心の数が揃っておらず、なにより日本からの供与は現実的ではありません。
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K-2戦車、レオパルド2に使いやすさの面で対抗できるのはこの戦車くらいでしょうか、特に輸出仕様のものは能力向上が進められており、何よりも採用国の兵站システムに適合するようエンジンや変速機を自由に選べる利点とライセンス生産を許可する姿勢からポーランドは大量採用を決定しましたし、ノルウェー次期戦車をレオパルド2と競っています。
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ただ、現実的に輸出が可能かといいますと現代ロテムの生産は現在限界となっていますし、ポーランドは導入を決定しライセンス生産を準備していますが生産開始はまだ先です。ただ、ポーランドが保有するレオパルド2をウクライナへ供与する方向で調整する背景には、K-2戦車を導入する事により現在のレオパルド2が余剰になる、こうした背景が存在する。
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レオパルド2戦車の重要な点は西ドイツが1970年代に設計したという点で、東西冷戦時代に徴兵制を施行していた西ドイツでは、レオパルド2戦車には徴兵された戦車兵が短時間で慣熟できる操作性と整備性を求めています、だからこそウクライナへ供与された場合でも短時間で慣熟できる、ウクライナには訓練された戦車兵が多数居り、乗換が容易なのだ。
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ウクライナの第一線では戦車の不足が深刻です、例えばエイブラムス戦車でなくとも旧式のM-60A3戦車でも、また稼働状態のものが有れば1960年代設計のレオパルト1戦車でも充分に役立つと考えるのですが、第三世代戦車として動かす事が出来るレオパルド2が供与されるならば、ロシアの保有するT-90戦車では対抗できるのかが非常に危ういのですね。
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T-90戦車はT-72戦車を改良したものです、元々はT-72の名で売られていたのですが1991年の湾岸戦争で西側の第三世代戦車に完敗し、T-72戦車が1000両以上撃破されるもエイブラムス戦車の破壊は数両に留まった、これほどの苦い歴史がある。乗り手が素人ならば玄人のT-90でも対抗出来ましょうが、ウクライナの戦車兵は歴戦の実力を備えています。
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ロシアさえも欲しがったレオパルド2主力戦車、実は過去ロシアも新型戦車の開発に失敗し続けた時代に中古のレオパルド2輸入を模索していました、それほどに有力な装備です。驚かれるかもしれませんが、2007年のNATOとの緊張増大が始まる前には、ロシアはレオパルド2中古車やイタリアからチェンタウロ装甲偵察車のライセンス生産を模索していました。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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