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アフガン崩壊,アメリカ失策二〇三〇年代へ影響【3】100時間以内の人民解放軍進駐はあるか

2021-08-27 20:03:17 | 国際・政治
■最後の退避先”中国大使館”
 アフガニスタンへの100時間以内の人民解放軍進駐はあるか。本論は昨日掲載予定でしたが運営上の諸事情から本日の掲載となりました。

 中国人民解放軍がカブールに進出する、それは中国政府がタリバーン使節と中国天津において会談を行い、カブール陥落後には主要国のなかで数少ない大使館を継続し、駐アフガニスタン中国大使がタリバーン代表部と会談を行っています。名目は人道支援でも外交会談でもよい、新鋭Y-20輸送機にて西部戦区の山岳戦用機械化部隊を空輸展開させればよい。

 大使館は、もっとも中国政府はカブールへ崩壊したアフガニスタンイスラム共和国大使館を置いているのであり、国家承認を行わず、全権委任大使の接遇も行っていないアフガニスタンイスラム首長国との関係は未知数ですが、人民解放軍が撤退を渋り得るアメリカ軍を牽制する為に一時進駐するならば、タリバーン側が受け入れる可能性はあるでしょう。

 名目はどうとでもなる。タリバーンには、中国からの人道援助受け入れ、現在カブール市内は物流が停止しており食糧援助などを受け入れる必要があるとともに、中国以外国交のない状態では、経済援助を受ける唯一の友好国となります。当面、タリバーンのアフガニスタンイスラム首長国を外交関係条約に基づき国家承認する国は中国の友好国一部くらい。

 日欧米は人権抑圧国家とは欧米諸国は取引を行わない為、中国には利点がある。例えばスーダンのような抑圧国家の天然資源取引を中国が過去独占した事例もあります、一方で中国は、アメリカがアフガニスタンから撤退した理由が中国への国防資源集中のためである現実と戦わねばなりません、しかし、その勝利への近道もアフガニスタンにあるのですね。

 アフガニスタンで中国がアメリカに勝つ、もちろん軍事力ではありません、外交的にアメリカが対中有志連合を組むのを阻害できればよい、役立つのは閉鎖されていない中国大使館だ。中国は大使館を閉鎖していません、すると、アメリカがアフガニスタンから撤退する、見放された人々を中国が人道上救う構図となるのです。このまま米軍が撤退すれば、だが。

 中国大使館。空港警備を終了し空港に緊急展開した数千のアメリカ軍があと20時間ほどで撤収を開始するため、大量のアメリカ市民とアメリカ友好国、邦人を含め、取り残される事となります。中国大使館は数少ない退避先となります、もちろん、自国民の海外脱出をとどめたいタリバーンの意志は働くでしょうが、タリバーンには外国人全員を抑留する必然性は薄い。

 人質外交はしない。タリバーンが外国人全員を人質のように維持しても、1990年に同じことを行ったイラクのフセイン大統領と同じ末路が待っています、2001年にアメリカ軍が大規模介入したようにアメリカは非対称の戦いは不得手ですが、対象が明確な場合は強い。しかし、人質とさせず、そこで中国が取り残された人々を帰国させた場合はどうなるか。

 空港は間もなく機能喪失します、日本時間26日深夜に空港周辺で大規模な自爆攻撃が行われました。この前後してアメリカとイギリス政府は自国民にカブール空港付近は危険につき近寄らないよう警告、そして18時間ほどでカブール空港でのアメリカ軍など有志連合の警備が終了します。すると、取り残された各国市民は中国大使館に駆け込むほかなくなる。

 中国政府が人道上、この人たちを保護しますと、今アフガニスタンから退避しようとしているのはアメリカ同盟国や友好国の国民が多く、アメリカに見捨てられた同盟国民や友好国民を中国が大量に救助したという実績が残ります。考えて欲しいのは、人命が危機に曝される瞬間、助けられる相手は誰でもよく、米軍でなければ中国政府の助け、となります。

 対中有志連合を阻害する。アメリカに見捨てられた同盟国民や友好国民を中国が大量に救助した実績は、アメリカに見捨てられた同盟国民や友好国に中国が大きな貸を造る事に他なりません、すると、アフガニスタンから中国正面へアメリカ軍が転進しようとした際、アフガニスタンでアメリカに見捨てられた同盟国民や友好国は、どう向うのでしょうか。

 アメリカに見捨てられても、そうだ中国を正面から抑え込もう、と呼号なるのでしょうか。バイデン大統領は、アフガニスタンでの戦争を、アメリカの為の戦争は終わった、として一方的に撤退し、情勢をここまで悪化させました。中国政府が、アメリカの戦争に載せられるな、欧州はじめ中国は領域外に手を出さない、と主張した場合はどうなるのでしょう。

 緊急展開能力から不可能ではない。人民解放軍にはY-20輸送機があり、これはC-17輸送機に準じる巨大な空輸能力を持ちます、山間部に特化した15式軽戦車や03式空挺戦闘車はY-20輸送機に搭載可能で、空挺部隊をアメリカと交代する形でアフガニスタンへ送り込む事は難しい事ではありません、展開する名目は人道支援でも一時的な混乱収束でもよい。

 タリバーンと連絡は出来ているのですから、そしてカブール国際空港で米軍を追い出す様子を見守る構図を組むことで、アフガニスタンでアメリカに勝利した中国という構図は完成します。アメリカの同盟国が中国に刃を向けぬよう離間できるならば、人民解放軍の展開費用などは第二次太平洋戦争に正面から取り組むより遥かに安上がりといえる。孫子だ。

 米軍が撤退を撤回しない限り、中国はアフガニスタンでアメリカに勝利するのです。例えば邦人救出が致命的に遅れている日本、中国政府がタリバーンに働きかけ、数百の邦人をC-2輸送機でなくY-20輸送機が救出したならば、少なからず国内進駐世論が強まり、例えば海兵隊や陸軍が将来装備する地対地ミサイルの日本搬入反対世論の醸成にも繋がります。

 中国はアフガニスタンでアメリカに勝利する、この構図は、バイデン大統領が、撤退は無しだ!自国民同盟国民を救う責務の為に最後まで留まる、と決断すれば、タリバーンに接近し過ぎた中国は外交的に敗北しますが、今のままですと中国が勝利する。欧州からNATO海軍が来なければ、日豪が支援しなければ。太平洋でアメリカ軍と戦う際に非常に有利となるのは確かでしょう。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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2 コメント

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Unknown (北京亭すぶた)
2021-08-28 08:42:59
ISIS-Kという『共通の敵』が出現したということで、米国とタリバーンとの一時的妥協&協力してのISIS掃討、という流れも考えられる状況になってきました。
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Unknown (774)
2021-08-28 10:21:00
(野党政治家だけでなく)日本のリベラルの大半が「仮に中国政府と何かを合意したとして
中国政府が、その合意を守る」と考えているのが問題です
返信する

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