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F-35戦闘機射出座席問題で運用停止,マーチンベイカー社製射出座席点火装置に製造上の問題-三カ月間公表せず

2022-07-31 07:00:35 | 防災・災害派遣
臨時情報-F35戦闘機不具合
 日本にも影響があるかは本日開催の千歳基地航空祭で予定されている三沢基地から参加する自衛隊F-35訓練展示が行われるかで判明するのですが。

 米軍F-35戦闘機が世界中でトラブルにより飛行停止となっています、これはF-35戦闘機に採用されているマーチンベイカー社製射出座席に不具合が発生している為で、不具合の概要は緊急時に射出に用いる火薬カートリッジの作動装置に異常が確認されていたため、これによりエジェクトレバーを操作した場合でも座席が射出されない懸念があります。

 ヒル空軍基地、不具合はユタ州州兵空軍のヒル空軍基地において行われた定期整備の際にマーチンベイカー社製作動装置の異常を整備員が発見した為といい、アメリカ空軍は即座にマーチンベイカー社とともに原因究明に当ったとの事です、そして不具合が発見された後にも全体原因が判明するまでの期間は非開示の方針が執られていたともされています。

 マーチンベイカー社によれば原因は点火用マグネシウム粉末の欠落、射出座席作動時に座席を投射し落下傘を展開させる為の推進剤に点火するマグネシウム粉末が、充填部品の緩開不良により散逸した為とのことで、今回の点検は世界中のF-35戦闘機射出座席でマグネシウム粉末の密閉が確実であるのかを点検するため。この件にかかわる事故はありません。

 F-35戦闘機射出座席問題には温度差があるようです、今回の点検時の異常はユタ州州兵空軍のヒル空軍基地にて点検で判明したのですが、その点検は2022年4月に行われていました、そして停止措置は7月下旬に行われています、この間はアメリカ空軍と海軍及び海兵隊は通常運用され、つまり三カ月間は原因不明のまま運用されていたこととなります。

 マーチンベイカー社製射出座席はF-35はもちろん世界中で使用されており、なんと中国製JF-17戦闘機にも採用されているほどです、安易に欠陥があったが原因不明だとなれば、各国の戦闘機運用に多大な影響が及ぶことは確かなのですが、だからといって情報非開示のまま、射出座席が作動しない可能性を操縦士が知らせられず飛んでいた事も問題でしょう。

 実害が無かったのだから良し、という考え方なのかもしれませんが、同じことを自動車会社が行えばリコール隠しと、アメリカならば批判されるのではないでしょうか。なお、マーチンベイカー社の射出座席が高い信頼性を持つ事は確かであり、緊急時に脱出し生還した操縦士は約6000名にのぼります。今回の事案での日本のF-35への影響は未知数です。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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