北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

CALFEX2014 平成26年度米国派米日米共同訓練へ東部方面隊基幹第12旅団など参加

2014-08-11 23:37:15 | 防衛・安全保障

◆CALFEXへ10式戦車・中距離多目的誘導弾初参加

 陸上自衛隊は8月29日から9月28日まで、CALFEX2014、平成26年度米国派米日米共同訓練へ東部方面隊基幹部隊を参加させます。

Cimg_8028  派遣主力は第12旅団、CALFEXは、ワシントン州ヤキマ演習場というアメリカ本土の広大な演習場環境を利用し、普通科部隊や戦車部隊に特科部隊等諸職種機動力と火力の連携を演練し、総合戦闘能力発揮のための能力向上を目的として1994年より実施されている派米訓練です。

Cximg_1792  広大なアメリカの演習場といいますが、参考までにヤキマ演習場は四国の香川県と同程度の面積があり、周辺は無人の荒野です。自衛隊のほか、韓国軍やシンガポール陸軍にイギリス軍をはじめNATO軍も演習場として運用していまして、面積が非常に大きな、といっても米軍には更に広い演習場が足す有るようですが、ここならば、広さを心配する必要はない。

Cximg_3832_1  CALFEX2014には日米が参加し、日本陸上自衛隊は統裁官に東部方面総監磯部晃一陸将が当たり、東部方面隊基幹の部隊を派遣、第12旅団の第13普通科連隊を基幹として、第12特科隊、第1師団より第1戦車大隊、東部方面航空隊より第4対戦車ヘリコプター隊など、派遣規模は350名とのこと。

Cximg_4060  アメリカからは陸軍第7師団長が統裁官にあたり、ワシントン州ルイスマッコード統合基地駐屯の第2-2ストライカー旅団戦闘団4-23歩兵大隊基幹の300名が参加します。このため、陸上自衛隊単独での戦闘訓練の他、共同交戦を念頭に置いた訓練が行われるのでしょう。

Cximg_6470 主要装備の参加ですが、特筆すべきものがあります。自衛隊は89式小銃、120mm重迫撃砲、155mm榴弾砲FH-70,中距離多目的誘導弾、10式戦車、AH-1S対戦車ヘリコプターで、米陸軍はストライカー装輪装甲車各種を参加させると発表しました。中距離多目的誘導弾、10式戦車はCALFEX初参加となります。

Cximg_8608  一方で、第13普通科連隊が所属する第12旅団は戦車部隊を持たないもののCH-47輸送ヘリコプター8機など20機のヘリコプターを基幹とするヘリコプター隊を隷下に持ち、空中機動旅団と愛称で呼ばれたこともある空中機動重視の旅団ですが、今回、旅団からのヘリコプター部隊派遣は行われないもよう。

Cximg_9691  10式戦車は第3世代戦車及びその改良型たる第3.5世代戦車に打撃力防御力機動力全面で対抗し得る性能を持ちつつ、第3.5世代戦車と比較し二割から三割程度軽量化を実現し、一定以上の重量に耐えない国内での地形に合致した戦車として開発したもので、戦術ネットワークを組み戦闘可能な戦車として完成しました。

Cximg_6888  中距離多目的誘導弾は光波ホーミング誘導というミリ波レーダと画像認識誘導方式を複合運用し、これまでの対戦車ミサイルの多くがレーザーを照射し誘導する為に相手戦車にレーザーを検知される可能性を払拭したもので、無論施設攻撃などのためにレーザー誘導も可能ですが、レーダーにより6目標へ約5秒間でミサイルを発射し対処可能な新装備です。

Cximg_6548  アメリカ本土まで太平洋を渡り訓練を実施する目的、それは年々長射程化し高性能化する火砲などが国内の演習場環境で対応できなくなったためで、日本国内では富士総合火力演習が行われる東富士演習場で僅か3km、最大は北海道の矢臼別演習場ですが、それでも14kmの長距離射撃が安全上限度となっています。

Cximg_2693  日本の演習場で使用できない長射程の火砲が有事の際に使えるのか、という指摘はあるかもしれませんが野砲の射程や戦車砲の威力は世界でも比較的標準的なもので、やろうと思えば内陸の演習場から海上に向け射撃する方式で最大射程射撃は可能で、こうした訓練は韓国軍や中華民国軍などでも行われているもの。

Cximg_9509  しかし、日本の人口密集地域分布を考えますとどうしても住宅街や市街地上空を砲弾が飛翔することとなり、危険極まりないという実情があります。事実、例えばお隣韓国軍でもこうした演習時に誤って住宅街に155mm砲を撃ち込んでしまったり、戦車砲弾が住宅を破壊することもたびたび。

Cximg_8088  日本有事の際には、応戦しないことにより失われる国民の生命財産の方が遙かに大きいため、住民を避難させてでも火砲や戦車砲を最大射程と機動性を以て使用することとなりますが、平時の訓練ではまさか毎回住民を避難させ、もしくは付随被害を容認するよう要請することは流石にできない。

Cximg_3599  MLRS多連装ロケットシステムの最大射程は30~70km、FH-70榴弾砲の最大射程は39km、99式自走榴弾砲の最大射程は30~40km、これでは十分な訓練は行えません。その昔は北富士演習場から国有地や民有地の上空を飛翔し東富士演習場への長距離射撃訓練も行われていたのですが、昭和後期にはこうした訓練も安全上中止されました。

Cximg_6458  更に戦車砲に1m近い鉄板を貫通するAPSFDS弾が採用されますと、APSFDS弾は極超音速に加速し砲口を発射後、装弾筒というカバーを脱離させ矢の形状を以て飛翔します、これが条件によっては数十kmもの距離を飛翔するため、走行しながらの射撃、つまり行進間射撃は万一外れた場合を考慮すると演習場を飛び出す危険があり国内では安全上不可能となったわけです。

Cximg_1965  こうしてCALFEXとしてアメリカでの訓練が行われることとなりました。ちなみに、戦車砲のAPFSDS弾は2000年に00式戦車演習弾が制式化、一定距離飛翔後に摩擦熱で溶解し落下する新砲弾の開発で、富士総合火力演習などでも行進間射撃が可能となりました。またMLRSなども演習弾が開発されていますが、最大射程の訓練はやはりできない。

Cximg_3080  加えて、CALFEXは部隊規模の戦闘訓練と射撃の両立、つまり部隊の行動訓練を行うと共にその先で射撃を行う事が出来るため、行動訓練を演習場で行い射撃訓練は別に射撃場へ展開しなければならない、ということがありません。即ち非常に実戦的な訓練が可能であることを意味し、自衛隊の能力全般の底上げにも寄与します。

Cximg_8055  訓練参加部隊は例年、民間車両運搬船により火砲や装甲車両などを輸送し、揚陸と訓練場までの車両輸送は民間会社が対応、演習場において自衛隊員が整備し訓練に参加します。装備品を太平洋を越えて輸送し訓練することは非常に大きな費用を要するのですが、それに見合う成果があるというわけです。この訓練が抑止力となり、我が国を戦火の災厄から守るよう期待したいですね。

北大路機関:はるな

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

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パシフィックパートナーシップ2014参加輸送艦くにさき、二か月間の訓練を終え呉基地へ帰港

2014-08-10 23:56:08 | 防衛・安全保障

◆護衛艦いせ、PSI訓練Fortune Guard 14参加

 朝雲新聞によれば7月23日、パシフィックパートナーシップ2014参加の輸送艦くにさき、が呉基地へ帰港したとのこと、そしてヘリコプター搭載護衛艦いせ、はハワイでPSI訓練参加、呉基地の艦艇は大忙し。

Img_8846 パシフィックパートナーシップは“友愛ボート”として民主党鳩山内閣時代に鳩山総理主導の下で参加が決定したアメリカ太平洋艦隊主催の医療文化支援活動及び防災多国間訓練で、今日論争となる集団的自衛権行使に関する視点に、純粋な戦闘行動以外であれば多国間軍事演習に制限の無い参加が可能である、という実例を出したものです。

Img_7290 パシフィックパートナーシップ2014には第1輸送隊司令松井陽一1佐が指揮官となり、艦長笹野英夫2佐以下150名が参加、ヴェトナム、カンボジア、フィリピンの三ヶ国を廻り多国間訓練を行うと共に医療支援や施設補修支援を実施、医療活動だけで1700名を診療したとのことです。

Img_7523 今回のパシフィックパートナーシップ2014はこうした民生支援や防災及び文化交流などの面での多国間軍事協力への参加と共に、直接的では無く間接的な意味において、パシフィックパートナーシップ2014派遣開始時期に悪化していた中国のヴェトナム排他的経済水域内での係争地域、での中国国有企業による石油掘削リグ設置に伴う中越間の緊張へ、各国艦艇が付近を航行することで中国側を抑制した、という波及効果がありました。

Img_1057 西沙諸島周辺のヴェトナム排他的経済水域内での中国国営石油企業CNOOCによる石油掘削リグ不法設置はASEANなどでの討議の課題となり、百隻以上の巡視船同士が対峙し中国公船の衝突によりヴェトナム船が撃沈されるなど緊張が続く中、中国側は当初8月までの調査続行を公言していましたが、パシフィックパートナーシップ2014開始の時期に早期撤収を開始しています。

Img_9033 一方、リムパック環太平洋合同訓練へ参加中のヘリコプター搭載護衛艦いせ、は8月5日と6日にハワイで実施されたPSI大量破壊兵器拡散防止多国間イニシアチヴ実動訓練Fortune Guard 14へ参加しました。PSIの大量破壊兵器拡散防止イニシアチヴは、テロ組織や一部国家による不法な核兵器などの他国への供与を各国間で阻止する協同行動です。

88img_4492 ヘリコプター搭載護衛艦いせ、は広島県呉基地が母港であり、広島原爆慰霊の日である8月6日に、核兵器の不法な拡大を実力で阻止するための各国間の協同へ我が国も参加した、ということは祈念するだけの平和主義から行動する平和主義という政府の方針を期せずして示したように見えてくるところ。

Gimg_8992  PSI訓練は5日にホノルル市内において机上訓練が時資され、統合幕僚監部を中心として訓練に参加、6日の広島原爆慰霊の日には実動訓練として、実際に核物質や弾道ミサイル関連機材を不法輸出しようとする船舶への対処を想定し、ハワイ及び周辺海空域において、立入検査訓練を実施し、ヘリコプター搭載護衛艦いせ及び艦載機、要員300名が参加しました。

Img_1285 大阪湾展示訓練の話題とともに、ではありませんが、同じ呉基地の艦艇として、ヘリコプター搭載護衛艦いせ、は実訓練としてハワイ方面へ派遣、輸送艦くにさき、はパシフィックパートナーシップ2014より帰国したばかり、海上自衛隊の艦艇は任務増大と共に多忙を極めている、という話題が報道を含め様々な場面で為されますが、実際にこの訓練参加と広報展示訓練の両立、お盆の時期でもその多忙さは変わらないようですね。

北大路機関:はるな

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台風11号接近、大阪湾展示訓練参加部隊は台風避泊で大阪港・神戸港・和歌山港を緊急出航

2014-08-09 23:40:58 | 海上自衛隊 催事

◆台風と自衛艦、台風避泊とは

 大阪湾展示訓練は金曜日1500時頃、体験航海及び一般公開の中止が決定されました。

Img_4402i 威風堂々、せめて電燈艦飾だけでも、とポートターミナルへ向かうものの、護衛艦てるづき、は艦首を内陸に向け停泊していたためポートアイランドからの撮影が不可能、加えて早朝に台風避泊で出港してしまう、という事でしたので情報を総合した結果、朝の撮影も断念したところです。やはり、いせ、くらま、入港時のように外海に艦首が向いていないと夜間撮影は難しいですね。

Img_0987 台風避泊、多くの方には聞きなれない単語かもしれませんが、これは台風の波浪で艦艇が岸壁と接触し破損することを防ぐべく、沖留することを示します。このため、艦艇乗員は台風が基地に影響がある経路を以て接近すると台風避泊へ艦艇に戻らなければなりません。

Gimg_7893 台風くらいで逃げなくてはならないのか、と思われるかもしれませんが、津波や地震と同じように台風のエネルギーは馬鹿にできません、十数時間から二十時間以上、艦艇が岸壁に波浪で叩きつけられ突付けた場合、もちろん岸壁と艦艇の間にはクッションとなる防舷材が用意されるのですが、鑑定士のものの大きさが重さと共に規則正しく打たれるのですから、構造上疲労を溜め、船体寿命を短くしかねない。

G12img_1970 台風避泊のもう一つの目的は、台風で制御不能となった船舶が接近してきた場合、岸壁に固定していますとよけられませんが、台風避泊として沖合に停泊していれば錨を緊急放棄し機関始動と同時に回避することが可能です。こうしたことからも艦艇が台風避泊を行う理由が理解できるでしょう。

Img_4147 台風避泊の場所ですが、外洋には出ません。外洋は数mから十数mの波浪が襲い強風と暴風が吹きすさぶため、かえって艦艇に悪影響が及びますし、乗員が食事をしようにもポルターガイストとにた状況となり、酷い状況だと艦橋のガラス越しに大波とともに魚が泳いでいるのが見えたとか、艦内では天井の塗料が剥離して粉末が降ってくることも。

Img_5449a ですから台風避泊は湾内で各艦艇が数百mかた1km程度の間隔を置いて停泊します、湾内ですと暴風を遮蔽する地形がありますし、波浪も外洋ほど大きくはありません。基地の外では島影などを利用することがあります。もちろん、台風でも必要ならば外洋を航行することもあるのですが、ね。

Gimg_1335 台風避泊、沖合ではまず、走錨、つまり艦艇が風を受け錨が艦艇の停泊を維持できず動いてしまう、これを一番警戒しなければなりません。走錨しますと岸壁に衝突、浅海で座礁、僚艦と衝突、碌なことがありません、ですから艦艇は台風避泊中に走錨を確認しますと即座に錨を切り離し、機関を始動します。

Gimg_8736 走錨対処、重要なのは走錨が始まったと即座に感知することです。そんなもの背景が流れていれば見張り員は簡単にわかるだろう、と思われるかもしれませんが、夜間ではそうもいきません。近年はGPSにより分かりますが、密雲が電波を遮蔽する可能性もあります、暗視装置は波浪と豪雨で視界不良ですのでもちろん使えない。

Img_6933 走錨検知、GPSが普及する以前はレーダーを稼働させ、地形を把握することで夜間であっても走錨を検知できました、つまり台風避泊中機関停止状態で地形が動いていた場合、走錨している事を検知できたわけです。もちろん、ひとつの走錨検知方法に固まらず複数の方法で多角的に検証する必要はあるのですが、ね。

Miimg_7946 しかし、中には規格外の台風があります。具体的にはどんなものかと言いますと、風台風、突風が強力すぎますと、なんとレーダーを動かすモーターが風圧に負けてしまい、レーダーが作動しなくなる事もあるのだとか。この場合、潮流検知や動揺規則性で判断することも出来たというのですが、まあ、大自然の猛威は凄いの一言に尽きる。

Img_7462 なお、台風避泊中、ご飯は特別メニューになります、御馳走かというとそうではなく、まず汁物が消えます、続いてお椀が簡略化されます、最後にはボウルに手づかみで食べられるものが用意され、気力で食べます、その心は、といいますと、荒天航行中も同じなのですが、簡単に言うと揺れすぎて食事が出来なくなる、ということ。

Img_0297 台風11号の接近により大阪湾展示訓練は非常に残念なことではありますが二日とも中止になりました、が艦艇は0700時頃には台風避泊のための緊急出航を開始していたようで、艦艇乗員には艦を台風から守るという重要な任務が、同時に始まったわけです。なお、間違えても台風接近下、海の様子を見に行く、ということはおやめください。

北大路機関:はるな

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八八艦隊の日・・・新八八艦隊、ヘリコプター搭載護衛艦八隻・イージス艦八隻の統合運用

2014-08-08 12:27:10 | 北大路機関特別企画

◆統合機動防衛力と新しい八八艦隊  
 八八艦隊、北大路機関では毎年8月8日を八八艦隊の日として特集記事を掲載してまいりました。今年は統合機動防衛力の観点を加え、特集しましょう。
Efimg_0536  八八艦隊、旧帝国海軍が太平洋へ向け、戦艦八隻・巡洋戦艦八隻を以て艦隊決戦に備える一大計画を示し、戦後海上自衛隊が発足すると護衛隊群の編成として護衛艦八隻・回転翼哨戒機八機を基本編成とする作戦単位を示す言葉となりました。しかし、護衛隊群は、はるな型、しらね型のヘリコプター搭載護衛艦をより大型の、ひゅうが型ヘリコプター搭載護衛艦、建造進む、いずも型ヘリコプター搭載護衛艦により置き換えられ、ミサイル護衛艦も、あたご型より航空機運用能力を付与されておりため、より多くの回転翼哨戒機を運用可能、発展的に解消されることとなっています。
Efimg_0700  ヘリコプター搭載護衛艦、全通飛行甲板構造を採用した海上自衛隊のヘリコプター搭載護衛艦は、艦種記号こそDDHと駆逐艦を示すDDを受け継いでいますが、ひゅうが型で万載排水量19000t、いずも型の満載排水量は25000tから27000tと大きく、全通飛行甲板は護衛艦としての防護能力や索敵能力をもちながら、一見の通り軽空母としての運用にも耐えうる護衛艦として完成しており、将来的には甲板強度の高さと航空機格納庫の能力を以て、垂直離着陸運用能力があり2017年より米海兵隊が岩国において運用を開始するF-35B戦闘機も、仮に自衛隊が導入したならば運用可能です。
Efimg_0814  新しい八八艦隊としまして、北大路機関では毎年八月八日に、このヘリコプター搭載護衛艦を現在の四隻から八隻に増勢、イージスシステムを搭載するイージス艦の八隻の整備計画と合わせ、八隻のヘリコプター搭載護衛艦八隻・イージス艦八隻を以て八八艦隊とする提案を行っています。これは現在の護衛艦隊が八の部隊単位を有していることに端を発したものです。護衛艦隊は隷下に四個護衛隊群を置き、横須賀の第一護衛隊群、佐世保の第二護衛隊群、舞鶴の第三護衛隊群、呉の第四護衛隊群を置き、各護衛隊群が二個護衛隊を基幹としているため、八個護衛隊体制を採っている、というもの。
Efimg_1547  護衛隊群は二個護衛隊をそれぞれ、ヘリコプター搭載護衛艦基幹の対潜掃討部隊、イージス艦基幹の弾道ミサイル防衛兼艦隊防空部隊、に区分し、横須賀の第一護衛隊群にヘリコプター搭載護衛艦基幹の第一護衛隊と、イージス艦基幹の第五護衛隊、佐世保の第二護衛隊群にヘリコプター搭載護衛艦基幹の第二護衛隊と、イージス艦基幹の第六護衛隊、舞鶴の第三護衛隊群にヘリコプター搭載護衛艦基幹の第三護衛隊と、イージス艦基幹の第七護衛隊、呉の第四護衛隊群にヘリコプター搭載護衛艦基幹の第四護衛隊と、イージス艦基幹の第八護衛隊をそれぞれ配置、四個の護衛隊群は、即応態勢・准即応態勢・訓練態勢・重整備、とローテーションを組み、一定規模の部隊を即応態勢に置く警戒を継続的に維持しています。
Efimg_1326  しかし、イージス艦の増勢が決定し、既存のイージス艦全てに弾道ミサイル迎撃能力が付与される方針が確定しているため、ヘリコプター搭載護衛艦基幹護衛隊であっても弾道ミサイル防衛を担当することが可能となり、護衛隊群の任務区分も変化しつつあります。すると、イージス艦基幹の護衛隊についても護衛艦を置き換える形にてヘリコプター搭載護衛艦を配置し、護衛隊の任務対応能力を均一化出来ないか、という視点に至ったわけです。全通飛行甲板型の護衛艦が八隻あり二隻が即応態勢を採り、対潜対空両面で非常におおきな能力を持つ護衛隊二個が即応態勢、これは非常に大きな抑止力となるでしょう。
Efimg_4055  ヘリコプター搭載護衛艦八隻・イージス艦八隻、もちろんヘリコプター搭載護衛艦は、乗員数で、あきづき型や、たかなみ型などの二倍、建造費も三割程度大きく、仮に中期防衛力整備計画二期10年で整備したとして、建造費だけで毎年100億円、人員も10年間で650名増員の必要があり、防衛費4兆7000億円、海上自衛官4万5500名、からみますと一見可能なように見えますが、削りに削って相当無理を強いている状況で現在の人員と規模を維持しているわけですので、新しい装備を揃えるならば、まず無理を解消して後行うべき命題も多く、容易ではありません。
Efimg_2262  一方で、ヘリコプター搭載護衛艦は汎用性が大きく、もちろんヘリコプター運用中枢艦としての対潜掃討や災害派遣の基盤としての運用も大きな能力を発揮しましょうが、将来的に海上自衛隊がF-35Bを導入した場合地域防空能力が向上、という遙か先の展望を行わずとも、例えば陸上自衛隊が導入を決定しているMV-22可動翼機の拠点や空中給油装置をMV-22へ追加搭載してのヘリコプター部隊や給油方法から既存の米軍MV-22では試みられていませんが、MV-22の高速飛行性能を持ってのE-2C早期警戒機への空中給油による警戒時間延伸、輸送艦の補完能力としての航空機運用能力など、導入することで既存装備の効率運用に資するものは非常に多いわけです。
Efimg_3090  また、航空優勢確保、特に南西諸島を見据えた場合、F-35Bを艦上運用すれば那覇基地の補完になる、という短絡的発想だけではなく、例えば機動施設隊とCH-47輸送ヘリコプターに空路投入可能な施設車両と併せ、脅威かもしくは既に巡航ミサイル攻撃などを受けた離島空港に護衛艦の防空支援下で急速展開しF-15戦闘機の運用基盤を構築、併せて護衛艦からの整備補給機材の搬入を行い、滑走路の拡張や補修、C-2輸送機とともに、戦闘機部隊の運用基盤を構築するという手法に投入するのならば、手元の装備を比較的簡単に防空圏での欠缺を埋め、南西諸島防衛強化に投入することが出来る。
Efimg_4419  もちろん、対潜掃討能力の大幅な向上は、潜水艦による我が国海上交通路への攻撃をかなりの面で封殺できます。特に航続距離が大きな原子力潜水艦をこうした用途に投入可能な国がりますが、原子力潜水艦の数は増勢中であるものの多くは無いため、ヘリコプター搭載護衛艦と固定翼哨戒機の連携により、脅威対象国の全ての原子力潜水艦を早期に無力化、撃沈を意味せずとも基地に封じ込められるならば同じように目的と達したという意味を含めているのですが、対応可能です。いうまでもなく、キロ級潜水艦は海上自衛隊潜水艦のように外洋に進出しますし、その行動範囲全てを封じる事となれば至難ではありますが、この難題にヘリコプター搭載護衛艦が寄与することは言うまでもありません。
Efimg_0934  自衛隊は統合機動防衛力を今後の防衛計画の指針としていますので、北大路機関としては昨年度末からの特集としまして地域部隊の5個の大型師団への改編を提案、陸上自衛隊改編案の師団指揮機能化と機甲師団以外の全師団の機動旅団改編と、装甲機動旅団・航空機動旅団を基幹とする大型師団を創設、装甲機動旅団は第11旅団型の総合近代化旅団編成に方面特科部隊の多連装ロケット砲を付与、航空機動旅団は方面航空隊を移管し第12旅団型の空中機動を重点とし対戦車ヘリコプター隊を持つ即応近代化旅団型を志向、方面隊を地域司令部とし機動力と指揮通信機能強化を背景に防衛力とする提案を行ってきました。
Efimg_0334  陸上自衛隊は、ヘリコプター部隊の整備と地対空ミサイルの充実にかなりの重点を置いおり、地対艦ミサイルや各種対戦車誘導弾などミサイル重視の体制を採っているともいえ、特に後者は軽量であることから、既に保有するかなりのヘリコプター部隊を機動運用、つまり管区に縛られない防衛力運用に供するならば、諸外国が虎の子としている空中機動旅団を複数整備するだけの部隊規模を有しているわけです。加えて国産戦車の性能は、国土戦を考えた場合比類なき威力を発揮できる瞬発交戦能力の高さと戦域戦術両面での機動力を有しているため、ここに一定数の装甲戦闘車が増勢されるならば、仮に現役人員規模を二割程度削減したとしても全般能力は大きく高まる、として装甲機動旅団・航空機動旅団を基幹とする大型師団の提案を行いました。
Efimg_1496  手持ちの装備に一定数の新装備を加えるだけで大きく劇的に防衛力が強化される、ヘリコプター搭載護衛艦八隻・イージス艦八隻の八八艦隊案とは、装甲機動旅団・航空機動旅団を基幹とする大型師団とともに、考え得る大きな一例です。加えて統合運用体制が強化されるならば、ヘリコプター搭載護衛艦と航空機動旅団の連携による島嶼部防衛や策源地攻撃の可能性が当然高まりますし、早期警戒機や島嶼部防空支援や基地航空作戦能力強化等、勿論『どの部隊度々の任務に展開させるかの陸海空での協力と統合指揮に関する訓練態勢充実と併せる事は不可欠ではあるのですが、検討に値する案と信じる次第です。

北大路機関:はるな

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平成二十六年度八月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2014.08.08・08.09・08.10・08.10)

2014-08-07 23:40:33 | 北大路機関 広報

◆自衛隊関連行事

 10式戦車と中距離多目的誘導弾、派米訓練初参加へ、という情報が発表された中ですが皆様如何お過ごしでしょうか。

Img_14527  今週末は台風接近中ですが、大阪湾展示訓練が行われます。乗艦公募は物凄い競争率となったようですが、どうなるかは大阪湾の天候次第です。一方明日8日は乗艦券不要の参加艦艇一般公開が行われます。場所は大阪神戸に和歌山淡路、お時間ある方はぜひこちらにもどうぞ。

Img_9172 大阪市天保山岸壁に護衛艦さみだれ、神戸市新港第4突堤Q1岸壁ポートターミナルに護衛艦てるづき、淡路市津名港岸壁に多用途支援艦げんかい、和歌山市和歌山下津港西浜第3岸壁で潜水艦救難艦ちはや、一般公開が行われます。

Img_2499 第68回伊東按針祭、伊東港耐震岸壁においておこなわれ、10日と11日、輸送艇2号一般公開が行われるほか、96式装輪装甲車も展示されるとのこと。一方、艦艇広報 in 愛媛(八幡浜みなと祭)が9日と10日に行われ、護衛艦おおよど一般公開が予定されていましたが、地本HPによれば台風接近のため中止になったとのことでした。

Img_3604  陸上自衛隊関連行事では岩見沢駐屯地創設61周年記念行事が行われます。第12施設群の駐屯地で、北海道はもちろん今週末行われる唯一の陸上自衛隊駐屯地創設記念行事となります。北海道でしたら台風が到達するまで日曜日ならばよ輸がありそうですし、お天気が良ければお近くの方は是非どうぞ。

◆駐屯地祭・基地祭・航空祭

注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関

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広島原爆慰霊の日 世界と共に歩む積極的平和主義か孤立覚悟の形而的平和主義か

2014-08-06 23:55:31 | 北大路機関特別企画

◆厳しい現実を突き付けられ転換点に差し掛かる

 本日は広島原爆慰霊の日です。しかし、原爆慰霊の日に絡め集団的自衛権論争を持ち込み反発する方々がいまして、この点について改めてひとつ。

Himg_6335 1945年のこの日、広島を戦略爆撃機から投下した核爆弾が蹂躙しました。軍管区司令部が置かれ、船舶工兵司令部も展開する都市ではありましたが、住民の大半は非戦闘員であり、既に慣習国際法となっていたジュネーヴ文民保護条約が禁じた無差別爆撃にあたるのではないかと考えるところです。今年の広島原爆慰霊の日は核攻撃を行った当事国であるアメリカよりケネディ駐日大使の出席があり、雨天の中出席した安倍総理とともに黙とうをささげていました。

Himg_63250 歴史上の”もし”は禁忌ですが、仮に原爆を搭載したB-29が、広島市の隣、当時は広島市よりも多くの人口を有していた呉市を標的としていたならば、当時呉軍港には戦艦榛名、伊勢、日向、以下多数の艦艇が停泊し、榛名以下3隻の戦艦が有する36糎艦砲は最高高度を飛行するB-29を迎撃可能で、艦砲によるB-29撃墜の戦果もありました、陸軍の八八式七糎半野戦高射砲や九九式八糎高射砲よりは遙かに有力で、原爆搭載機を迎撃出来惨禍を食い止められたのではないか、ふと思いつつ、だからこそ呉ではなく広島が標的であったのでは、とも。

Himg_6331 さて、我が国は戦後、非戦を近い、しかし東西冷戦という国際情勢の変化から厳しい現実を突き付けられ転換点に差し掛かり、二分された世界において国土を占有し拠点とされる危惧を起床する必要を解消すべく、専守防衛に転換し、吉田内閣時代に軍隊では無い防衛力、警察予備隊、現在の自衛隊を創設、併せて日米安全保障条約を締結するも米軍駐留規模を岸・ハーター交換公文により事前協議無き兵力展開を禁止し、岸内閣時代の方針を佐藤内閣が引き継ぎ非核三原則を発表、平和主義を堅持してきました。

Himg_6332  非武装中立では我が国土の位置そのものが戦略的要衝にあることから、東西勢力の境界線において非武装を堅持すれば一方の専有を回避すべくもう一方より先制占領されることとなります。故に本来の中立とは“国土を第三国に利用させない”覚悟をもち、スイスやスウェーデンのように国力が許す最大限の重武装と兵力動員体制を以て中立を堅持するものです。しかし、憲法上戦力を否定する我が国には、軍隊ではない軍隊という非常に曖昧模糊とした主権維持の実力組織に防衛力を抑えるほかなく、今日の矛盾に繋がるところです。

Himg_6339 厳しい現実を突き付けられ転換点に差し掛かる、これは東西冷戦の始まりと自衛隊創設にならび、現在の我が国において中国から突き付けられる現実を前に、集団的自衛権と集団安全保障体制の構築による世界と共に歩む積極的平和主義の政策への転換御行うのか、一国平和主義で自国への直接の軍事脅威が国土国民を戦火に巻き込むまで静観する戦後日本が進めた孤立覚悟の形而的平和主義を続け、特に中国が建国以来チベットやインドにソ連とヴェトナムやフィリピン等に対し侵略を繰り返し近年再度顕在化させている現状を放置するのか。

Himg_6345 広島原爆慰霊の日は、不戦の誓いを新たに、と深く考えさせられると共に、その願いを具現化した日本国憲法九条は不戦を以て平和的生存権の国民への担保を明示したものではあるのですが、主たる権利は平和的生存権であり、国家の自衛権を拒否することで生じる国民の平和的生存権侵害を認めるものでは無く、不戦の誓いを以て非武装が外敵の侵略を阻止できなかった際に、侵略からの蹂躙を看過するよう国民へ義務を課したものでもありません。

Himg_6351 一方で、我が国は防衛力を専守防衛に留め、伝統的に国土を侵略されない限り対処しないという指針を示し、言い換えるならば国土を蹂躙した敵は必ず撃破し無力化する、という国土戦を基本としてきました。つまり、抑止力の破綻は即座に本土決戦を意味するという憲法上の制約のもとで防衛力を整備してきたのですが、ここに世界と共に歩む積極的平和主義か孤立覚悟の形而的平和主義か、という視点が突き付けられているわけです。併せて一国平和主義は勢力均衡主義に陥り軍拡競争に繋がりかねません。故に世界と共に歩むか、これまで通り孤立するか、このあたりが現在、転換点において判断を迫られているところで、国民的な理解と議論が必要となっているわけです。

北大路機関:はるな

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エボラ出血熱 感染爆発の危惧 西アフリカ地域から北米欧州中東東南アジア地域へ拡散兆候

2014-08-05 23:52:45 | 防災・災害派遣

◆感染拡大とともに実脅威以上の社会不安が懸念

 京都では疾病予防の伝統行事祇園祭が神幸祭にて御旅所へ巡る中、世界に目を移せばエボラ出血熱の西アフリカにおける感染拡大に歯止めがかかりません。

Daimg_6598  世界保健機関(WHO)は4日、西アフリカ諸国で流行中のエボラ出血熱死者が887名に達したと発表しするかについて検討を開始しました。サウジアラビアにおいて感染疑いの患者が確認、フィリピンにおいて先ほど、シエラレオネより帰国した労働者数名にエボラウィルス感染疑いの症状が確認され、フィリピン保健当局が情報収集を進めています。またアメリカ人医療関係者に感染疑いの兆候が見られたほか、イギリスにおいてアフリカから帰国し発症した事例が生じ、各国は警戒を強めています。

Daimg_6530  感染源は不明で治療法も確立しておらず対処療法により治療することとなっていますが、今年2月に西アフリカのギニアで発症が確認、3月末までに拡大阻止に失敗し、ギニア及びシエラレオネとリベリア各国の保健当局は国家非常事態委員会を設置、、西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)が支援に乗り出し、アメリカ疾病予防管理センターCDCと欧州連合(EU)による支援も本格化しましたが感染拡大が進み、ギニア隣国のセネガルが国境全面封鎖を開始、モーリタニアも国境を物資輸送の例外を除き事実上封鎖しました。これにより一時封じこめに成功したとみられたものの、5月末にギニア国内で感染が再拡大、同じ頃シエラレオネでも感染報告が出されました。

Daimg_6549  現地で活動する国境なき医師団によれば、6月末に事実上制御不能状態に陥った事を発表、7月末にはWHOが確認しているだけでギニア国内で415人感染し314人死亡、シエラレオネ国内で454人感染し219人死亡、リベリア国内で224人感染し127人死亡、この情報をWHOが発表した翌日にナイジェリア都市部において発生が報告されました。現在のところ死亡率は55%ですが、これは感染疑いの未発症者を含めているとされ、CDCは8月5日に米国人医療従事者発症に伴い医療関係者を含め発生地域への渡航延期勧告を実施、人道支援の平和部隊はボランティアの撤退を開始しています。

Daimg_6560  エボラ出血熱は疾病としては警戒を要する感染症ですが、その症状から社会不安を誘発する部分が、逆に被害を広めるという視点から見る必要があります。今年二月からの西アフリカでの流行はWHOにより確認されている範疇では887名ですが、エボラ出血熱は発症後高熱を発し消化器系など内臓部分から出血を皮切りに全身の器官から出血し死に至ります。感染源は接触感染であり、飛沫感染が疑われる事例もありますが空気感染は確認されていません。しかし、全身から出血し発症まで時間が短く死亡率が高いという部分が強調されているという印象です。

Daimg_6564  恐ろしい症状ですがエボラ出血熱、発症までの時間が比較的短く、保菌者は速やかに行動不能となるため、実はエボラ出血熱は新型インフルエンザや天然痘などと比較し感染力は大きくありません。このため、隔離病棟に隔離し発症遅延の対処療法を行う事と、感染者や犠牲者への接触を防ぐことでかなりの感染防止が可能なのですが、前述の通り劇的な症状を示すと共に隔離病棟に収容された場合面会謝絶となるため、親族が感染者を匿い医療機関に渡さない行動をとるほか、隔離病棟内での院内感染を疑う住民が病院に押し入るなどの状況があり、加えて欧米の医師による施術よりも伝統療法師による祈祷療法が支持されているため、感染拡大の一因となっている可能性が指摘されています。また、WHOが確認している範囲内の犠牲者、という表現は言い換えれば報告されない感染者を意味するということ。

Daimg_6612  社会不安を誘発する部分とはまさにこうした状況であり、このため、医事面での支援よりも社会科学面の支援、例えば西アフリカ地域では伝統療法師の発言への支持が集まるのであれば現地権威との連携した疾病予防策などを志向する必要がありますし、先進国への流入に対しては、単にアフリカ出身者を拒絶するというような安易な手段を選択しないよう、対応せねば感染拡大による被害以上に流通停止などによる飢餓や暴動による犠牲者と感染防止の基盤そのものが波及的に喪失する新しい危機に繋がりかねません。従って、現実的な感染予防策を採ることで、ある程度の鎮定は見込めるかもしれません。

Daimg_6660 ともあれ、サウジアラビアやフィリピンへの拡大は、現時点で感染者が医療施設に入院し新たな感染拡大の要素が現時点では、少なくとも現時点では抑制されており、西アフリカ地域でのみ現在のところ感染が拡大中です。我が国でも空路を経て感染者入国の危惧はありますが、正しい知識とともに症状の劇的な部分に気を採られず、感染の実態と対処療法とともに感染疑いの時点で隔離措置を思い切って採ることで、少なくとも西アフリカ地域以外の感染者発生国では被害を局限化可能です。今後の展開を見守りましょう。

北大路機関:はるな

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豪州空軍E-7A早期警戒機、浜松基地・千歳基地へ訪問 早期警戒管制機部隊間交流を実施

2014-08-04 22:54:02 | 航空自衛隊 装備名鑑

◆航空自衛隊次期早期警戒機有力候補

 航空自衛隊によれば、オーストラリア空軍のE-7A早期警戒機が浜松基地を訪問中です。

Abimg_3186 航空自衛隊はボーイング767を原型としたE-767早期警戒管制機を運用していますが、E-7Aはボーイング737を原型とした早期警戒機です。オーストラリア空軍のE-7A早期警戒機は空軍第2飛行隊に所属し、米国展開に伴う燃料補給の途上に我が国を訪問します。知っていれば昨日浜松に出かけたのですが、ね。

Himg_3633  E-7Aは豪州本土からグアム、浜松、千歳、を経てアラスカへ向かうようで、3日日曜日にグアムより浜松基地へ到着、本日月曜日は早期警戒管制機部隊間交流を実施し、明日5日火曜日に浜松基地より千歳基地へ移動、千歳基地よりアラスカへ移動するとのこと。

Himg_35060 E-7A早期警戒機は航空自衛隊が進めるE-2C早期警戒機後継機選定において、E-2Cの改良型である空母艦載機のE-2Dと並び機体規模に余裕のある航空機として有力視されている機体です。E-767よりは滞空時間や航続距離に限界はあるものの、E-2Dよりも将来発展性を受け入れる機体容積の余裕があり、注目の選択肢と言えるでしょう。

北大路機関:はるな

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Weblog北大路機関創設9周年記念 (2005.07.29~) 次なる10周年へ向け

2014-08-03 23:56:07 | 北大路機関特別企画

◆OCNブログサービス終了後の移設を目指し

 Weblog北大路機関創設9周年記念、阪急十三駅での創設から9年が経ちました。

09thimg_6460 Weblog北大路機関は2005年7月29日、神戸で行われた大学での行事完了祝賀の慰労会の帰路、阪急十三駅での神戸本線から京都本線への乗り換え時間に、dynabookでホームにて立ち上げたのが始まりで、立ち上げ当時はまだ銀塩一眼レフを使用、京都本線では9300系の運航が始まって一年と少々、6300系が大量に特急として運行されていた時代です。

09thimg_2191 創設から実に9年、長く続いていると自分でも驚くところでして、2006年から毎日更新を指針として防衛関連と自衛隊関連行事の写真掲載を行い、ここ三ヶ月間をみますと、一日当たりのアクセス数は4100前後で推移していまして、毎日多くの閲覧、本当にありがとうございます。

09thimg_1340 さて、Weblog北大路機関では本年初冬に予定されていますOCNブログサービス終了に向け、移設準備を進めています。政府専用機の後継が決定した中で、まだWeblog北大路機関の移設先が画定せず、9周年の記念記事までに移設先を決定しようと思うものの、なかなか画定には至りませんでした。

09thimg_0386_2  現在、OCN推奨のgooブログへの移転を軸に検討中ですが、書式設定とレイアウトが写真と本分とが分割される形式でなければ設定できないとのことで、重厚な本文と写真の掲載を目指したWeblog北大路機関の運用と少々外れ、第二北大路機関と同様の配列となり新体制を迎える事となるやもしれません。

09thimg_0035 Weblog北大路機関ですが、聞けば本当に多くの方、様々なという意味で多くの方のご高覧を頂いているとのことで、安全保障を研究する学生の方は多く閲覧されているとのことは知っていましたが、新聞記者の方や軍事カメラマンの方、自衛官や法執行機関の方と御話しした際、初対面でしたが、読んでいるとのお話がありますと、とても驚きますしだいです。そうしますとますます、誤字脱字で恥ずかしいところが当方の反省点ではあるのですが、ね。

09thimg_1242_1 こうしたこともあり、本年の課題としては五月の突如発表されたOCNブログサービス終了を前に着実に移設準備を行い、滞りなく記事更新を行うと共に新体制の下で来年の創設10周年を迎えられるよう進める事を目的としています。今後ともWeblog北大路機関をよろしくお願いいたします。

北大路機関:はるな

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平成二十六年度八月期第一週 海上自衛隊艦艇広報艦船一般公開総覧

2014-08-02 01:34:06 | 北大路機関 広報

◆海上自衛隊夏季艦艇広報

 海上自衛隊艦艇広報、今週末から来週にかけ多数が実施されるため、改めて紹介しましょう。日程とは別にヘリコプター搭載護衛艦の一般公開のほか、北から南へ順に紹介しています。

Uimg_0282  2014.8.3(日)~4(月)、艦艇広報第59回苫小牧港まつりヘリコプター護衛艦くらま艦艇一般公開・体験航海、一般公開と体験航海に日ごとに分かれており、一般公開は1300から1600時まで、体験航海は事前に応募が必要、1400に出港し1530時帰港、と発表されていました。

Timg_3653  2014.8.2(土)~4(月)艦艇広報 in 富山伏木港まつり伏木富山港ヘリコプター護衛艦しらね体験航海・一般公開、体験航海は3日4日に予定されており、この他の時間帯で艦艇一般公開が2日から4日に掛け予定されています。

88img_8204  2014.8.4(月)~5(火)艦艇広報 in 函館 函館港町埠頭艦艇一般公開,函館には海上自衛隊函館基地隊が展開していますが、函館市での艦艇一般公開です。一般公開と体験航海が行われるとのことで、ミサイル護衛艦あしがら、が参加します。

Gimg_0806 2014.8.3(日)大船渡港掃海艇ひらしま・たかしま一般公開、野々田埠頭において実施され、1300時から1600時まで、ひらしま型掃海艇は海上自衛隊の木造掃海艇で、今後順次FRP掃海艇に更新されてゆくこととなりますが、木造としては新型ですので、新しい木造艦艇をこの際見てみるというのもいいでしょう。

Mimg_6759 2014.8.2(土)~3(日)潜水艦一般公開、宮古港、岩手県宮古市にて行われます。見学は港からの見学と勘定の見学が行われ中に入ることはできないとのこと、ただ、潜水艦は中々間近に見る事は出来ませんので、興味がおありの方は是非、土曜日は午後のみ、日曜日は午前と午後に行われます。

Kimg_4138  2014.8.2(土)~3(日)艦艇広報 in 山形、護衛艦はまぎり、掃海艇やくしま、が参加し一般公開と体験航海を行います。護衛艦は土曜日午後と日曜日午前に体験航海を行いこちらは事前応募、体験航海を行わない時間帯に一般公開を行うとのことで、掃海艇は常時停泊しています。

Img_5758  2014.8.7(木)サマーフェスティバル in 海ほたる東京湾アクアライン 海ほたるパーキングエリア特務艇はしだて艦内見学、日にちにご注意ください。このほか東京湾アクアトンネル探検なども行われます、特務艇はしだて一般公開は貴重ですが、どう足を運ぶかが課題ですね。

Timg_7388  2014.8.2(土)~3(日)第67回清水みなと祭り護衛艦やまゆき体験航海・一般公開、はつゆき型護衛艦は12隻が建造され海上自衛隊の一時代を築きましたが、徐々に新型艦への代替が進んでいるため、見る事が出来るうちに見学してみてはどうでしょうか。

Mimg_6976 2014.8.8(金)サマーフェスタ 2014 in 阪神基地、護衛艦あぶくま、掃海艇ひらしま、訓練支援艦てんりゅう、等の一般公開と陸上自衛隊の装甲車両や航空自衛隊のペトリオットミサイル展示が行われるほか、交通船による湾内クルーズなども実施されるとのこと。翌日が大阪湾展示訓練です。

Kurama4_kimg_78642014.8.2(土)~3(日)艦艇広報 in 高知第55回須崎まつり多用途支援艦げんかい体験航海・一般公開、標的曳航や無人標的の管制に訓練魚雷改修等を通じての訓練の支援や災害に際しての軽輸送に基地警備支援等を行う多用途支援艦の一般公開です。

Eimg_7760 2014.8.2(土)~3(日)・2014.8.6(水)~8(金)、宮崎では今秋に買い艦艇一般公開が行われます、前半が艦艇広報 in 宮崎 護衛艦さわぎり・潜水艦救難艦ちはや一般公開、後半は艦艇広報 in 宮崎 護衛艦おおよど一般公開が行われます。以上、今週末から来週にかけての行事を紹介しましたが、全てを網羅できていない可能性もありますので、お気づきの点がありましたら、コメント欄においてお教えいただけると幸いです。

◆艦艇広報

  • 2014.8.3(日)~4(月)、艦艇広報第59回苫小牧港まつりヘリコプター護衛艦くらま艦艇一般公開・体験航海・・・http://www.mod.go.jp/msdf/
  • 2014.8.4(月)~5(火)艦艇広報 in 函館 函館港町埠頭ミサイル護衛艦あしがら艦艇一般公開・・・http://www.mod.go.jp/msdf/
  • 2014.8.3(日)大船渡港掃海艇ひらしま・たかしま一般公開・・・http://www.mod.go.jp/msdf/
  • 2014.8.2(土)~3(日)潜水艦一般公開、宮古港・・・http://www.mod.go.jp/msdf/
  • 2014.8.2(土)~3(日)艦艇広報 in 山形、護衛艦はまぎり、掃海艇やくしま、一般公開体験航海・・・http://www.mod.go.jp/msdf/
  • 2014.8.7(木)サマーフェスティバル in 海ほたる東京湾アクアライン 海ほたるパーキングエリア特務艇はしだて艦内見学・・・http://www.mod.go.jp/msdf/
  • 2014.8.2(土)~3(日)第67回清水みなと祭り護衛艦やまゆき体験航海・一般公開・・・http://www.mod.go.jp/msdf/
  • 2014.8.2(土)~4(月)艦艇広報 in 富山伏木港まつり伏木富山港ヘリコプター護衛艦しらね体験航海・一般公開・・・http://www.mod.go.jp/msdf/
  • 2014.8.8(金)サマーフェスタ 2014 in 阪神基地、護衛艦あぶくま、掃海艇ひらしま、訓練支援艦てんりゅう等一般公開・・・http://www.mod.go.jp/msdf/
  • 2014.8.2(土)~3(日)艦艇広報 in 高知第55回須崎まつり多用途支援艦げんかい体験航海・一般公開・・・http://www.mod.go.jp/msdf/
  • 2014.8.2(土)~3(日)艦艇広報 in 宮崎 護衛艦さわぎり・潜水艦救難艦ちはや一般公開・・・http://www.mod.go.jp/msdf/
  • 2014.8.6(水)~8(金)艦艇広報 in 宮崎 護衛艦おおよど一般公開・・・http://www.mod.go.jp/msdf/

注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関

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