北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

特集:平成27年度防衛予算概算要求概要①・・・本日発表、概算要求は5兆0545億円

2014-08-29 23:03:06 | 防衛・安全保障

◆新特集、来年度防衛予算と重要施策をみる

 本日、防衛省は平成27年度防衛予算概算要求“我が国の防衛と予算”を公表しました。

Iimg_4567 概算要求は5兆0545億円、これをもって統合機動防衛力整備への必要な新装備の取得と部隊運用体制を構築、更に各種事態へのアジア太平洋地域を中心とした世界規模での対処能力の整備へ警戒監視能力及び情報と輸送能力の整備、これらの施策を厳しさを増す財政状況に留意し効率化と合理化と共に行う、というもの。

Img_3870 統合機動防衛力は近年その整備へ大きく転換が志向される新しい防衛概念で、従来の全国への部隊配置による防衛基盤構築が脅威増大と財政難により困難となったことから、陸海空が共に機動展開し脅威正面へ防衛力を緊急展開させる運用体制を確立し、従来の防衛基盤に代える、とする考え方です。

Img_7080 各種事態へのアジア太平洋地域を中心とした世界規模での対処能力の整備、とは従来の専守防衛に固執することで脅威が本土上陸という武力攻撃事態に発展するまで防衛力を選択肢から除外する方式を改め、90年代からの周辺事態対処等の政策転換の発展形として、緊張状態が武力紛争に激化すること自体を抑止する体制の構築を目指す政策です。

Gimg_0048 厳しさを増す財政状況に留意し、という部分は統合機動防衛力整備とも関連するのですが機動運用体制の構築による精鋭部隊の展開を以て全国配置部隊の抑止力の効率化を行う事、陸海空の共通化による重複部分の効率化、更に装備調達面では一括発注や維持方式の見直しによる全体費用の抑制などがあげられるところ。

88img_1324 上記目的を達成するための施策として、統合幕僚監部への運用政策統括官と運用政策官の新設、部隊改編では、陸上自衛隊の包括指揮を行う陸上総隊新編準備、水陸機動団新編に向けた準備、南西諸島第303沿岸監視隊(仮称)の新編、海洋業務群の海洋業務対戦支援群(仮称)への改編、第83航空隊の第9航空団(仮称)への改編、などがおこなわれるもよう。

09thimg_1242_1 将来防衛力への研究分野では、将来戦闘機関連で412億円、更に島嶼部防衛や広域制圧に関する誘導弾用弾頭開発研究、艦載用レールガン開発基礎技術に関する研究、弾道ミサイル高高度迎撃に関する誘導弾技術の研究、陸上戦闘におけるパワードスーツに関する研究など、挙げられていました。

Img_0002a 装備調達では、新装備として機種選定が行われる装備にMV-22が有力視されると考えられるティルトローター機、E-2DかE-737AEW&Cが有力視される新早期警戒機、RQ-4が有力視されると考えられる滞空型無人機、AAV-7が有力と考えられる水陸両用車、などが示されています。

88img_8204 装備調達は継続分で、P-1哨戒機20機の一括発注、イージス艦建造1隻とともに来年度に見込まれるイージス艦を念頭にイージスシステム2式の一括発注、等が行われると共に、10式戦車や99式自走榴弾砲に96式装輪装甲車といった従来装備の継続発注なども行われるところが特色というべきでしょうか。

Himg_2986 平成27年度防衛予算概算要求は本日発表されたばかりのもので、とりあえず第一方的に紹介しましたが、具体的な政策や施策などについて、北大路機関では“特集:平成27年度防衛予算概算要求”、としまして今後数回に分け概算要求の概要などを俯瞰すると共に検証を行いたいと思います。

北大路機関:はるな

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コメント (5)
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