◆中国の軍事圧力へ緊張高まる沖縄の現状
沖縄、今や冷戦時代の北海道に並ぶ軍事圧力への最前線となりました。その様子を日常風景からお伝えしましょう。
いまや我が国のスクランブル、対領空侵犯措置任務緊急発進の半数近くがこの那覇基地第83航空隊により実施、日本の対領空侵犯措置任務へは千歳基地、三沢基地、百里基地、小松基地、築城基地、新田原基地、那覇基地、これらで分担していることを考えれば防空最前線という表現は誇張ではありません。
P-1哨戒機、運用試験が進む海上自衛隊の最新鋭哨戒機、今年最初に撮影した07号機とはご縁が出来たようで、何故かここ那覇基地にもいました。そしてその背景には東シナ海から太平洋に掛けての空域での訓練へ向か誘導路を続々と進むF-15戦闘機の姿が。
沖縄は那覇駐屯地祭撮影に展開した当方、正午過ぎの僅かな時間ですが那覇基地を那覇空港展望台よりみてみようという当方の目の前に早速現れたのは、岩国基地第91航空隊の電子戦訓練支援機UP-3D,艦艇への電子戦訓練環境を供する航空機、恐らくこの沖合では海上自衛隊の訓練が行われているのでしょう。
那覇基地は那覇空港、観光産業が盛んな沖縄県空の玄関口那覇空港は東シナ海に面し青々とした海の向こうには白浜の絶景が視界に広がり観光客に次の展開を期待させるところですが、すぐ目の前を俯瞰すれば観光地という理想と共に最前線である現実を教えられるというところ。
電子戦訓練支援機UP-3D、訓練支援ポッドを翼に吊るし誘導路にて暫く旅客機の離着陸を見守っていたところで管制塔寄りの離陸許可を受け、既にF-15が多数離陸へ待機する中を傲然とエンジンの回転数を上げ続き機首を空へと持ち上げてゆっくりと離陸してゆきました。
F-15J戦闘機、1981年より導入を開始したF-15Jは近年、各機へ周辺国が運用するSu-27戦闘機一機分に匹敵する費用を投じデータリンクを軸とした将来戦に対応する電子機器を一新、大型で頑丈な機体を高出力エンジンにより高機動性を付与する機体を当面第一線で敵を圧倒させる能力を加えつつある。
F-15の編隊離陸、主翼にはAIM-9L空対空ミサイルを搭載している模様、AAM-3の登場と続くAAM-5の制式化により旧式化していますが、AIM-9L自体は世界的にまだ第一線において通用する能力を持ち、航空自衛隊では消耗部分を更新しつつミサイル備蓄数を年々強化し有事に備えています。一般に言われているほど自衛隊のミサイル数は少なくはありません。
突如、二機のF-15Jが最新鋭のAAM-5空対空ミサイルを装備し格納庫より飛び出してきました、この対応、緊急発進か、小松基地でも緊急発進の様子を間近に見ましたがここ那覇でも。既に今年の那覇からの緊急発進は上半期だけで210回に上る。
対応空侵犯措置、日常化している任務ですがその延長線上には万一の際には開戦の第一撃を交わすこととなる任務と共に重ねて我が国の防空体制を図るべく接近する航空機への命令の大元が次の軍事的火遊びに転じる事を実力で防ぐことも任務のひとつ。
スクランブル発進への対応能力を誇示することは現行憲法下での自衛権の制約下では平時の実戦と言えるもの、滑走路半ばに誘導路を進入し、二機ならび時機とともに管制一下旅客機や戦闘機の離着陸を差し止め轟音を遠く響かせ離陸してゆく。
離陸した戦闘機は、航空管制の支援下に国籍不明機へ向かい変針します。低空侵入機による領空侵犯事案等の反省から航空自衛隊は早期警戒機第603飛行隊を今年新編、E-2C早期警戒機を空中警戒させ低空侵入機に備えています。そしてその情報に基づく緊急発進、訓練飛行と違い騒音低減よりも迅速性が求められ、その配慮は止められません。
訓練へ向かうF-15と着陸する旅客機、前述の状況から増大する緊急発進へ対応するべく、築城基地より那覇基地へ一個飛行隊が編入され、航空隊は航空団へと拡大改編されることとなりますが那覇最寄の戦闘機部隊基地は宮崎県の新田原基地、中国機は奄美大島西方から沖縄へ進入する為、増援と相互支援を考えれば鹿児島県南部にもう一箇所必要ともいえるところ。
蒼い海を背景に画像データ収集機OP-3Cが着陸、岩国基地第81航空隊に所属し側方監視画像レーダSLAR及びLOROP遠距離監視センサーを搭載、情報取集にあたる航空機、この機体が岩国から那覇へ展開している、ということはその被写体となる外国艦艇が近い、ということ。
沖縄空の玄関那覇空港は、航空自衛隊那覇基地として領空侵犯へ対処する防空拠点であると共に海上自衛隊那覇航空基地として艦艇及び潜水艦へのシーレーン防衛及び領海警備拠点であり、隣には沖縄県の防衛警備及び災害派遣にあたる那覇駐屯地とヘリコプター隊が駐屯、過密空港そのもの。
先ほど降りてきたばかりのOP-3C,燃料を補給すると即座に離陸へと誘導路を進み始めました。慌ただしく旅客機ボーイング737と試験へ展開中のP-1哨戒機の合間を縫って離陸へ進むOP-3C,それだけ警戒すべき艦艇が近い、ということか。
P-3Cの航空隊とF-15の飛行隊が展開する基地、それだけ活気が、というところなのかもしれませんが機数全体ではほかにも多くが展開する基地がある、しかし、例えば千歳基地と比較した場合でも最初の一時間に離陸する機体の数がこちらの方が多い、そうしたなかU-125救難機、訓練展開として誘導路を離陸へと進む。
P-3C哨戒機、旅客機が那覇空港に着陸すると同時に目にするのがこのP-3C哨戒機、P-3Cは一機で広範囲の潜水艦を制圧できる高性能の反面小型フリゲイト一隻に匹敵する高価な航空機で世界的に10機以上保有する国は稀有ですが、海上自衛隊は80機を装備、うち20機が那覇に配備されています。
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