北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【土曜詳報】キャンプ富士日米友好祭二〇一六(3)アパッチと海兵隊ロボット(2016-05-07)

2020-07-11 20:10:06 | 在日米軍
■アメリカ合衆国独立記念日
 一週間前の今日はアメリカ合衆国独立記念日、熊本豪雨で遅れましたが隔週の土曜特集が在日米軍特集というのは不思議な御縁なのかもしれない。

 AH-64D戦闘ヘリコプターの初号機、陸上自衛隊が誇る戦闘ヘリコプターですが、62機を導入する予定が丁度北朝鮮テポドンミサイルショックによるミサイル防衛の巨額防衛力整備事業が急浮上、予算不足となり13機を調達のみで調達終了、富士重工が大損害を被った。

 MV-22可動翼輸送機を巨大なエンジンをたたえる機体左側から。CH-46の自衛隊ではV-107のほうが通りがよいか、この後継ですが、速度と行動半径が次元の違う高性能といえまして、ここから沖縄まで飛行できるほど。もっともF-35戦闘機並に高価ですけれども。

 AH-1S対戦車ヘリコプターの20mm機関砲を正面より。96機を調達したものでAH-64Dと同じく富士重工がライセンス生産したもの、この後継が宙に浮いている、いっそ海兵隊と同じAH-1Zという識者の声も聞くが取得費用はAH-64D並、予算を考えていない指摘だ。

 UH-1J多用途ヘリコプターは教育支援飛行隊のもの、富士学校の訓練や教育の支援へ航空学校から派遣されているもので滝ヶ原駐屯地飛行場地区に置かれています、それがどこかと言いますとキャンプ富士の中、つまりここの中に自衛隊施設もある、ということですね。

 グロウラーM-1163を車体右側から。V-22を導入する自衛隊には不可欠な車両ではあるのですが、2両分のグロウラーで軽装甲機動車が調達できる、と聞きますと、ちょっともったいない気も。実際高すぎるとしてアメリカの会計監視団体から問題視されたことも。

 クレイモアM-18地雷。指向性対人地雷として有名なもので、手動で起爆し700個のスプリング鉄球をC4爆薬で弾き出し50m以遠、条件次第で250mまで殺傷する、陣地防衛に用いる。陸上自衛隊はさらに大型の低空のヘリも落とせるスウェーデン製FFV-013をもつ。

 旧式のM-15対戦車地雷、いまは真四角の野球ベースのようなM19対戦車地雷が現役、M-15は重量14.3kgでB爆薬10kgを内蔵し、戦車など150kg前後の加圧でM603信管が作動し撃破します、前型M6地雷が朝鮮戦争にてT-34戦車撃破が困難であったために開発された。

 M-16APMスプリング式地雷、Sマインとしてドイツが1943年に開発したものを各国が模倣した一つで突起に触れると可動し爆発体が高さ1.5m程度まで飛び上がってから爆発し25m以内を加害、ただ対人地雷の割には4.1kgあり設置の際に袖が触れるなど危険も。

 M-82対物狙撃銃。バレットライフルの愛称で知られるスウェーデン製大口径銃で12.7mm弾薬を投射します、弾薬が大きいだけに2000mまで対応し、主として不審物や車両を狙う、半自動方式で連射できるためにフランス軍などでは小隊用支援火器としても活躍します。

 パックボッド軽ロボットの格納状態、重さ23kgで一人でも携行できるロボット、小型ですが小走りくらいの9km/hで自走でき操縦は800m以遠からも可能です。任務は偵察、自衛隊も福島第一原発事故を契機に採用しました、お値段12万ドルといい、やはりお値段高い。

 タロン遠隔操作ロボットシステムが散歩している。大型で8.5時間連続稼働しますが費用は23万ドルと軽装甲機動車なみ、ただ、武装も可能で最大の特色はパックボットが偵察専用に対してタロンは90kgまで輸送が可能で、最前線補給や負傷者後送に使える便利な相棒だ。

 M-777超軽量榴弾砲二門に日章旗と星条旗、日米友好祭、という雰囲気を満点に醸しだしていますね。装備品展示が中心の行事ですが、アメリカンフード売店群も、アメリカンな規模でステーキやハンバーガーやピザやアイスクリームを売っていました、凄く美味しい。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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F-2後継機二〇三一年度量産開始計画,米/英国際共同開発を期し今月中にも具体指針画定へ

2020-07-10 20:20:10 | 先端軍事テクノロジー
■野心的次世代機2024年試作
 F-2戦闘機の後継機となる国産戦闘機について動きがありました。対艦攻撃にあたるF-2後継の次世代機を今後数年で試作機製造まで進める野心的な計画です。

 防衛省は次期戦闘機F-X、F-2戦闘機の後継機となる事実上のFSXの開発について、今月中にもその概要を明示する方針を発表しました。防衛省によれば試作機を2024年度から製造を始め、2031年度に量産を開始する方針で、現在のF-2戦闘機が2035年頃から耐用年数限界を迎え除籍が始まるのを視野に、日本主導の国際共同開発を計画しているようです。

 国際共同開発はアメリカとイギリスを想定しており、イギリスは現在将来戦闘機テンペスト計画について各国へ参加を呼び掛けておりトルコなどが関心を示しています。アメリカはF-22戦闘機機体にF-35最新電子機器を搭載した日本仕様の将来戦闘機案などを既に提示しており、イギリスかアメリカか、この方針も今月中に明示されることとなるでしょう。

 次期戦闘機開発はそこまで順調にゆくのだろうか、素朴な疑問はここにあります。主契約企業は三菱重工しかあり得ません、超音速機の開発実績は戦後三菱重工が一貫しており、例えばBAEシステムの戦闘機部門を川崎重工が吸収合併する、というような海外企業をそのまま引き抜くような手段でも用いぬ限り、経験のない企業には戦闘機開発は、難しい。

 納期が厳しすぎる、F-2のような方式でも採らない限り納期に間に合わせることは困難です。即ち、F-35戦闘機を原型としてレーダーを国産型として機首を延長したうえで主翼面積を拡大して国産空対艦ミサイルを搭載できるよう、F-16をもとに大型化させたF-2戦闘機の手法を用いるか、F/A-18Fをいっそステルス化し日本仕様でライセンス生産するか、です。

 FSX計画、1980年代に日米貿易摩擦として政治問題に発展した現在のF-2戦闘機開発ですが、あのときの勢いがあれば国産開発を政治的に進めることはできたでしょう、実際、当時を知る技術者からは、アメリカの戦闘機を超える国産戦闘機を創ってやろう、零戦の復興だ、という覇気があったといいますが、どうも1980年代の当時ほど迫力を感じません。

 X-2実証機を飛行させた防衛装備庁からは、今こそ令和時代の戦闘機を国産開発しよう、という気概は聞こえてくるのですが、どうも東京より距離があると見えまして、防衛装備庁の気概に名古屋の三菱重工小牧南工場が応える木霊が、聞こえてこないのですね。実際三菱には130機導入予定のF-2が、いきなり違約金なしに91機に減らされた痛みがのこる。

 T-4練習機。FSX計画当時は日本独自の国産エンジンを搭載した、純国産、といえたT-4練習機を川崎重工中心に開発しています、女性技師も大胆に参画したT-4、イギリスのホーク練習機など世界の第一線の練習機と比較し、性能はもちろん、取得費用で同水準に並んだことは当時のFSXへの自信を深めた、といえるでしょう。しかし現在の状況はどうか。

 F-15戦闘機、FSX計画当時は主契約企業である三菱重工ではライセンス生産としてF-15が次々と製造され納入されていました、ライセンス生産ではあっても航空防衛産業は一定の生産実績を重ねるとともに、日本が組み上げた戦闘機でも特段問題はなく、強大なソ連空軍の圧力に対抗していた、そんな技術の裾野があったわけなのですが、いまは、と。

 F-2戦闘機生産終了からまもなく十年、空白期は1945年の終戦から川崎重工がT-33練習機のライセンス生産を開始した期間に匹敵する空白がありまして、例えば日本製造業では遅れが指摘されている3Dプリンターを大胆に製造工程に導入するなどの新技術を使わねば、キャノピーや、ピトー管はじめ細かな部分から限界が現出するように危惧します。

 オペレーションリサーチにより最適な戦闘機は研究しているようですが、航続距離が長く運動性に秀でた搭載能力の大きなステルス機、防衛技術シンポジウムで示される将来像は、あたかも笑い話で例えられる、十年以上の実務経験を持つ最先端技術に強い若い新卒人材を求める、というような、一種現実を欠くというか、曖昧模糊とした印象を禁じ得ません。

 技師不足は大丈夫なのか。防衛装備庁と防衛産業の温度差を感じるのは、設計に当たる技師の不足です。三菱重工としてはMRJ/MSJ旅客機にかなりの技師を集めています、この開発でさえ技師不足であり、東海道本線の普通列車に車内広告で技師募集を掲げていたほどです。防衛装備庁は民間の航空設計技師や生産技師の現状を把握しているのでしょうか。

 航空技師。しかし、小型旅客機MRJ/MSJの十年近くに及ぶ型式証明の遅延に継ぐ遅延と、開発が遅延するなかで顕在化した想定外の新型コロナウィルスCOVID-19、いわゆるコロナ禍下での国際的な航空需要の低下が、三菱重工が三菱航空機に三行半を突きつけるというような一種の損切りを行うならば別なのかもしれません。今後の展開を見守りましょう。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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令和二年度七月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2020.07.11-07.12)

2020-07-09 20:00:54 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
 東京都内での感染再拡大が遂に一日の新規感染者200の大台に久々に乗ってしまいましたが皆様、お元気でしょうか。

 今週末も自衛隊関連行事は実施されません。ただ、政府方針によりこれまで1000名を上限として大規模イベント自粛が陽性されていましたが、明日10日からこの上限が5000名へ緩和されます。もっとも陸上自衛隊行事でも近年は5000名以上、方面隊行事ともなれば来場者は20000名規模となりますので、もう少し大規模行事再開まで時間を要するでしょう。

 自衛隊関連行事ではありませんが、横須賀や佐世保に舞鶴と呉、海上自衛隊基地の軍港めぐり遊覧船は順次運行が再開されています、ただ、密集密接密閉の所謂“三密”、密集近接閉塞の“集近閉”を避ける観点から、遊覧船は所謂“社会的距離”を留意し定員を抑えて運行されており、これにより事前予約が無ければ事実上乗船は難しくなっているようです。

 しかし、本日9日に東京都では一日の新規感染者数が200名の大台を越えており、いや検査件数を増やした為だ、とか、重症者は少ない、言い分は多々あるのかもしれませんが200名規模の感染拡大という厳然たる数字は受け入れねばなりません、すると、やはり、自衛隊関連行事や撮影旅行というものは、まだ、時期尚早、この四文字に尽きるのでしょうか。

 艦艇広報は限定的に今週末から再開されます、が、敢えてここには列挙しません。こういいますのも、艦艇広報は“自衛案任官募集適齢者”に限定して“艦艇広報入港当該都道府県本籍地”と更に限定した上で“地方協力本部への事前応募”を行った上で“護衛艦等艦艇一隻に対して40名程度”という、応募の条件が観艦式並みに厳しいものとなっています。

 艦艇広報の寄港地は、改正ソーラス条約により一般立ち入り禁止の埠頭に入港する為に岸壁や桟橋からの撮影も上記の対象者以外には難しく、護衛艦を見学する、という目的ではなく年々厳しさを増す、募集難、こうした現実を前にした事実上の試験説明会と入隊希望者職場紹介、という色彩が強いものなのですね。国民への広報はまだ再開できないのです。

 COVID-19新型コロナウィルス感染症、この感染拡大は最初の爆発的感染が発生した中国武漢から世界へ拡大し、まだ数カ月という状況である為に、判明した事は多い、都市ながらも全体像について未知数の部分は多く、空気感染、つまり飛沫核感染を引き起こしているのではないか、新しい懸念が示されています、感染防止の距離を見直さねばなりません。

 日本国内の感染者は遂に二万の大台を越えましたが、同盟国アメリカでは一日六万という箍の外れた感染拡大が進行中であり、ここで空気感染、飛沫核感染が発生するのであれば人口密集地では社会的距離を執っていた場合でも感染者が一定割合を越えた場合に全域の感染拡大が起こる、感染爆発、アウトブレイクを引き越しかねないという懸念があります。

 集団免疫構成困難。医学記事等の報道を俯瞰しますと、COVID-19は感染者が回復により得られる抗体の効力が三カ月程度で失われるとの報道があり、人口の六割五分程度が感染から回復する事で得た抗体により感染拡大を根本から阻止する集団免疫の獲得が、事実上不可能である、という厳しい研究結果も示されています。世界史に残る疾病となりました。

 ワクチン開発。現在のところ集団免疫を獲得する為に必要な施策は、世界各国が進め、一部では協同して実験を繰り返しているワクチン、そのワクチン接種による抗体獲得です。早いものは五週間以内に一定の方向が、という報道は、しかしワクチンを前述の抗体効力を考えた場合は三か月おきに全員接種しなければならないのか、という疑問も拭えません。

 国家緊急事態宣言再発は為されるのか。つまるところ大きな関心事は四月下旬から五月下旬に掛けて発令された国家緊急事態宣言、これに先行する学校急行休業措置と広範な事業停止命令や都道府県間外出自粛要請、こうした一連の措置により一時的ではあれ感染拡大を食い止めた、この伝家の宝刀を再度引き抜く時機はいつごろなのか、ここを注視したい。

 現時点で再度の緊急事態宣言は考えていない、こうした政府の公式見解はありますが、200名の大台を超えた感染者数は、放置すれば日本全体での新規感染者が一つ上の桁に上るまで時間はどの程度あるのか、こう考えますと、七月下旬の大学夏季休暇時期、八月中旬のお盆帰省連休、遅くとも九月連休までに措置が為されなければ、危惧する状況がみえます。なんとか有効策を期待したいですね。

■駐屯地祭・基地祭・航空祭

・今週末の行事なし

■注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
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岐阜-長野大雨特別警報!異常な前線停滞,九州豪雨本州拡大と更なる拡大懸念の大気不安定

2020-07-08 20:09:07 | 防災・災害派遣
■全容不明,治水計画限界越える
 九州豪雨災害は今朝突如として本州中部の岐阜県と長野県へ波及しました。これにより浸水被害や孤立地域などが発生しています。

 南九州豪雨災害として熊本県を中心に深刻な被害が広がったのが7月3日、それが4日から宮崎県の大淀川水系に豪雨被害が広がり、新たな前線が北九州へと広がり筑後川水系に被害を及ぼし九州豪雨という状況となりましたが、7日夜から前線は大きく伸びて本州岐阜県長野県に及び、本州九州豪雨というべき状況となりました、被害全容は未だ判明しません。

 異常な前線の停滞、気象庁は本日午後の記者会見において、今月三日から続き梅雨前線の停滞しており、少なくとも今週一杯はこの前線の停滞が続くとみられています。異常な前線の停滞、その原因は太平洋高気圧の位置と勢力の異常です。高気圧の勢力が強まる事で例年は梅雨前線が北に押し上げられ梅雨明けとなるのですが、今年の太平洋高気圧は違う。

 太平洋高気圧が強まらず、この結果、梅雨前線が長期間にわたり日本列島上空に留まっているのです。前線の停滞から西日本と東日本に掛けて局地的には維持置換に50mm以上の降水量が見込まれるとされ、九州や四国と近畿地方で24時間雨量は局地的に200mm、東海地方で180mm、また関東地方でも多い所で150mmの雨量が見込まれるとしています。

 本日0630時、気象庁は岐阜県に対し大雨特別警報を発令、続いて0641時に長野県に対しても大雨特別警報は追加発令されました。幸い前線は長時間停滞する事は無く、特別警報は1130時に大雨洪水警報へ切替えられましたが、木曽川水系と神通川水系、また長良川水系でも大量の雨が河川に流れ込み、木曽川水系と神通川では氾濫危険水位に達しています。

 大気不安定という状況はしかし、明日から週末にかけて日本列島周辺に停滞するものとみられており、今夏にも新たな前線からまとまった雨量が降るとの予報も示されており、既に堤防や山間部には相当な雨量が蓄積されているとして、少しの雨量でも堤防の破損による洪水や土砂災害が発生する懸念がある事から、気象庁は厳重な警戒を呼び掛けています。

 岐阜県と長野県では相次ぐ土石流や土砂崩れなどにより、国道や県道が通行できない地点が多く、岐阜県高山市と下呂市を中心に4000名が孤立しているとのこと。また長野県でも上高地を中心にリゾート施設が300名が孤立しています、なお現時点では幸いにして食料などの備蓄が数日分程度ならば確保されているとのこと。県では道路啓開に務めています。

 熊本県では既に55名死亡しています。球磨村の渡地区で特別養護老人ホーム14名が死亡するとともに村内ではほかに3名が亡くなり、山鹿市では2名が死亡、熊本県内の死者は人吉市で18名、芦北町で10名、八代市で4名、そして津奈木町で1名が死亡していまして、この他10名が行方不明とともに人吉市では更に18名が連絡を執れない状況という。

 九州全域では58名が死亡し行方不明者が17名、捜索が続いています。警察消防と自衛隊による孤立地域救助と行方不明者捜索は継続していますが、今夜九州の西方海上には小さな低気圧が渦を巻く予報が出されており、台風まで発達する可能性はなさそうですが、この渦を巻く体威圧が明日、九州北部、続いて九州南部に活発な雨雲が掛かる見通しです。

 治水計画の想定を超えた豪雨である。今回の九州本州豪雨のみならず近年は想定外の膨大な雨量により堤防を筆頭とした治水設備、ダムの貯水量や堤防が限界を越える事で大規模な水害発生へ繋がる事例が増えており、これは治水計画において想定した最悪の降雨量を凌駕する規模の豪雨が頻発するようになっている事が一つの原因として指摘されています。

 気候変動による降雨量増大、というものも挙げられますが、少なくとも1970年代から大きくダム建設が進められ、ダム依存や公共事業過多として批判され、治水事業の政策的優先度が、結果論として低く訂正されています。しかし、考えれば1960年代初頭までは千人単位の人命が失われる台風による水害などが発生していた為、この認識の変化が考えられる。

 水害が発生しなくなったことによる治水事業、巨大ダム建設などへの拒否投入への理解度が低くなったのですが、水害は減ったのではなくそもそもが批判され停止した、ダム建設により抑えられていた、という逆因果関係を無視した世論の変化が、想定外の洪水、実は単なる洪水の再来に過ぎないものを、想定外、と認識させているのではないでしょうか。

 ダム建設による更なる治水、これしあない、とこう早合点しそうですが、問題は其処まで簡単ではありません、少子高齢化により建設業が疲弊しているのですね。具体的には公共事業の半減によりそもそも建設事業者が激減、更に少子高齢化によりダム建設を担う労働力が大きく減少、大規模な移民による工員確保でもしなければ安易にダムは増やせません。

 山間部の計画転居を進め水害を減らすべきか、これも早合点です。淀川水系や木曽川水系と筑後川水系等、移転するという事は大阪市や名古屋市近郊と久留米福岡都市圏、日本の大都市は河川沿いに発達していますので、治水計画を蔑ろとすれば、当面は山間部の問題でしょうが、将来的には大都市巨大水害の問題に発展します。長期的視野が必要なのです。

 さて。被災地の被害全容不明という報道に接します度に、RF-4戦術偵察機を今年三月に完全除籍させる前にもう少し後継機というものを真剣に検討すべきだったのではないか、と考えさせられるところです。F-2戦闘機への偵察ポッドを緊急導入するとか、開発失敗したRF-15計画を外国製偵察ポッドで代替する、若しくは最新鋭のF-35戦闘機の偵察任務投入等を。

 RF-4に拘らずとも、今回の豪雨災害は冷静に考えれば代替手段というものは多い。九州豪雨災害では第8師団の第8情報隊にスキャンイーグルがあり、今回は豪雨であり暴風ではない為、投入さえするならば偵察は可能です。岐阜県も隣の滋賀県今津駐屯地に中部方面情報隊隷下の中部方面無人偵察機隊が居る、ここにもスキャンイーグルが配備されている。

 RF-2,とまでは行かずとも偵察ポッドを搭載しての偵察、スキャンイーグルとRF-4の違いは数多いのですが、スキャンイーグルは偵察する範囲がある程度明確である場合に投入したらば、滞空時間も長く威力を発揮するでしょう、しかし、被災している地域は何処なのか、という根本的な視野から、広範囲の偵察を行うのには見ていないように思うのですね。

 偵察部隊の眼が必要だ。偵察航空隊は2020年3月に幕を閉じましたが1961年3月の偵察航空隊創設以来、偵察目標の選定や広範囲の地域から災害被災地域の明瞭な把握まで、飛行方法を訓練してきました、偵察機の訓練というものに、戦闘機の飛行とは異なる偵察機の視点を保持する訓練を実質60年間、連綿と技術と技能とを蓄積してきていた訳ですね。

 RQ-4グローバルホークが導入されたならば、RF-4のようにフィルムを現像する必要も無くリアルタイムに状況を把握できるという、RQ-4は飛行高度が旅客機よりも高く被災地上空に丸々二日間近くを滞空して必要な情報を収集できるという、高度19000mの高空からは100km以遠まで見通せる為に滞空しつつ一機のRQ-4は同時に北九州全域を見通す。

 しかし、RQ-4の偵察能力は高いものの、肝心のアメリカ軍では戦闘機偵察ポッドがまだ現役なのですよね、F/A-18Eに搭載した航空偵察ポッドによる偵察画像は、2011年東日本大震災において空母ロナルドレーガンを拠点に実に1万2000枚もの高精細写真を撮影し、我が国へ提供されています。高高度から望遠で撮影するのと、確かに低空の偵察写真は違う。

 そして、RQ-4高画質画像はRF-4の写真画像のように政府と自衛隊と自治体と住民とで共有できるものなのでしょうか、思い起こせば偵察画像の画質は偵察能力を示すものであり、特定防衛秘密に該当せず全てフリーハンドに提供できるものなのでしょうか、過去には秘密保全から新潟中越地震に陸上自衛隊のFLIR画像を提供できなかった事例がありました。

 戦闘機を改造したRF-4偵察機、戦闘機の機動力がありますので被災地域へ迅速に展開できると共に、フィルム式ではありましたが機動飛行の最中でも明確に撮影できるカメラの性能は、偵察を専門に訓練した要員、飛行計画から操縦まで、こうした体系化された戦術航空偵察という能力を構成していたのですね、本当にRQ-4は置き換えられるのか未知数です。

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大水害時代にLAV-25とBvS.10が必要だ【1】米海兵隊軽装甲偵察車輛と英海兵隊全地形車両

2020-07-07 20:07:38 | 防災・災害派遣
■大水害の頻発時代と装甲車
 九州北部豪雨に西日本豪雨と鬼怒川水害や台風信濃川水害、近年高い頻度で発生する巨大水害を前に自衛隊装備というものを改めて考える時代を迎えているよう思います。

 LAV-25軽装甲車とBvS10全地形車両、陸上自衛隊に必要な装甲車両というものはこの二車種なのかな、こう考えることが多いのです、装甲車として優秀ですが特に水害の場合において。LAV-25軽装甲車はアメリカ海兵隊が海兵軽装甲偵察部隊に大量配備している装甲車で、BvS.10全地形車両はイギリス海兵隊が大量配備している装軌式の装甲車両です。

 水害を考えますと、孤立地域からの人命救助、ここが自衛隊へ最初に災害派遣において要請される項目です。考えてみますと、浸水地域、そもそも消防車両などの特殊車両でもスノーケルや強制排気弁をそなえた車両は少数であり、渡渉できる程度の水深であっても、ひとたび市街地が水没してしまいますと人も車も、急に身動きがとれなくなる現実がある。

 自衛隊の任務は主任務が防衛であり、災害派遣は副次的な任務だ、との批判はあるのかもしれませんが、災害が発生しない年度は残念ながら自衛隊創設以来ありません、したがって、副次的任務であっても頻度としては防衛出動より遙かに頻度が高いのです。そして水陸両用性能、極端な性能でない限り、この二装備は防衛出動においても寄与するでしょう。

 AAV-7両用強襲車。極端な水陸両用性能というものはこちらです、水陸両用性能はもの凄い、東日本大震災や伊勢湾台風規模の港湾施設や沿岸部が壊滅する被害において大きな威力を発揮します、そして水陸機動団を筆頭に上陸作戦では必須です、しかし、河川氾濫規模、毎年発生する程度の水害ですとAAV-7は任務に対し少々大きすぎるのかもしれません。

 AAV-7は自走して九州を縦断する性能はありますが車体が大きく貨物列車にも搭載できませんしC-130H輸送機にも搭載できません、ですから被災地に運び込むにも労力が大きくなるのです、なにより道路運送車両法の車両限界を大きく超えています、一週間十日間の単位で全く水が引かないような長期浸水であれば別ですがAAV-7は運ぶ労力が大きすぎる。

 AAV-7はもうひとつ、広く配備するには専門的過ぎる装備で、実際、水陸機動団創設前、西部方面普通科連隊では自前での運用は不可能であるとしてAAV-7は第4戦車大隊へ配備していたほどです。しかし、LAV-25やBvS.10であれば高機動車ほどではありませんが、96式装輪装甲車や10式雪上車の延長として普通科連隊でなんとか整備しうるものです。

 AAV-7の前型であるLTVP-5はフィリピン海兵隊がマニラ近郊の大規模水害に投入しています、しかし水没車両の中に心配停止の要救助者が残っている懸念もありますので、AAV-7を水害被災地へ展開させるには、そのための輸送リソースと整備リソースの捻出へ留意が必要、ですからAAV-7を全国の普通科連隊などに広く薄く配備しろ、とは主張しません。

 軽装甲機動車や96式装輪装甲車、優れた装甲車ではあると思います、もっとも優れている点は安価である点でしょうか、陸上自衛隊の予算体系は地対空ミサイルとヘリコプターが優先され、結果的に装甲車両の予算は後回しとなります、89式装甲戦闘車という優秀な装甲車両がありましたが、予算優先度が低く年間数両しか調達することができませんでした。

 96式装輪装甲車は操行装置の複雑さや、それほど高くない防御力などが疑問視されているのですが、一両あたり9000万円まで費用を抑えたからこそ、年間数十両を辛うじて調達できたわけでして、優秀な装甲車であっても取得費用が高く数がそろわないのであれば意味がありません。もっと予算を、といっても優先度が低いならば結果は同じといえるのです。

 LAV-25軽装甲車とBvS.10全地形車両を、敢えて必要だ、と勧めるのはこの二車種が浸水地域でも自由に走行できるためなのですね、96式装輪装甲車や軽装甲機動車は水上を進むことはできません。96式装輪装甲車は密閉構造ですので浮くには浮くはずですが、水上航行を想定していないのです。これは60式装甲車と73式装甲車の関係にもにているのかも。

 LAV-25、スクリューにより9.6km/hでの浮行が可能です、波切り板が装着されていますので簡単には水没しませんし、沿岸部であれば波浪さえなければ海上からの揚陸にも対応するほど。25mm機関砲を搭載していますので、敵装甲戦闘車と遭遇した際には自衛戦闘が可能ですし、車内には6名の兵員も乗車できる、軽装甲車といいつつも火力は強力です。

 BvS.10全地形車両は、間接部を中央に有して急斜面などでも機動力を発揮する車両で、5km/hと非常に限られた速度ではあるのですが水上を進むことができます、履帯で水面を掻いて進みます。BvS.10はBV-206全地形車の装甲型で、小銃弾や砲弾片程度には防御力を有します、勿論、装甲戦闘車のように機関砲弾や対戦車火器には耐えられませんが、ね。

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大雨特別警報:福岡県-佐賀県-長崎県に発令!豪雨長期化,線状降水帯と記録的豪雨明日一杯持続

2020-07-06 20:00:04 | 防災・災害派遣
■九州豪雨,人命第一の行動を!
 西日本豪雨災害から二年を迎える今日ですが、気象図を見ますと既にかなり多くの豪雨が降り注ぎ危険な状況が進行中です。人命第一の行動が必要だ。

 気象庁は本日1630時、福岡県と佐賀県及び長崎県に対し大雨特別警報を発令しました。九州北部には現在活発な雨雲が次々と流れ込んでいる状況、数十年に一度というこれまで経験したことのないような大雨が降っている状況です。長崎県大村市と長崎県東彼杵町付近や佐賀県鹿島市付近及び佐賀県嬉野市付近では一時間で110mmの豪雨が観測されました。

 熊本県と鹿児島県では一昨日までに大規模な豪雨が観測され、球磨川を中心に氾濫による大規模な被害が発生しており、本日未明には宮崎県と鹿児島県を中心に大規模な豪雨が観測され大淀川水系や川内川水系などで氾濫情報が発令、熊川水系での水害では既に40名以上の死者が出ており自衛隊が出動していますが、現在は北九州に豪雨が降り注いでいる。

 気象庁の1730時からの会見では、お昼頃から九州西方の洋上から線状降水帯が強まってきたとの事で、現在のところこの状況が明日朝まで継続するか、昼ごろまで続くのかについては最新の情報を観測している段階ではあるとした上で、前線が動く気配は南西から湿った風が吹き続けている為に視られないといい、前線が長時間に渡り停滞するとしています。

 前線停滞。福岡県と大分県に長崎県、七日一杯停滞が続き、その上で南下の可能性もありますが、観測情報の実況と共に警戒を続けていると発表しました。今回の豪雨の特徴は前線停滞の時間が長く、南から湿った風が入っている為に停滞した前線で短時間に大量の降雨が見られる、という点、短時間の大量豪雨が、今回の豪雨の特色である、としています。

 生命を守る事を第一とした行動が必要です。24時間生き延びれば、自衛隊や消防警察等の救助により助かる可能性が大きくなりますので、先ず24時間を生き延びる事が必要です。その為には情報が必要で、今が最悪なのか、最悪な状況までもう少し時間はあるのか、移動する事は出来るのか、移動する経路は大丈夫なのか、移動先が避難を断られる場合など。

 情報が必要だ。どういった河川や山間部が危険なのか。そもそもこの豪雨はどのようなメカニズムによるものかのか、それによる豪雨の持続はどの程度なのか、避難する場合はどのように行えばよいのか。避難の時機をどのように見積もるのか。そしてその為の情報を得るにはどうすればよいのか、この生命を守る事を第一とした行動を順番に視てゆきましょう。

 一級河川以外の小さな二級河川や小さな河川。今回の豪雨は前線停滞と発達した雨雲が九州に次々と掛かり続ける事で線状降水帯が形成され、警戒されている河川ではなく小さな河川であっても水害が発生する可能性があり、市街地水路や用水路のような水の集まる地形に周辺へ降り注いだ豪雨が流れ込み、想定外の地点で水害が起こり得ると発表しました。

 発達した雨雲が九州に次々と掛かり続け、熊本県と大分県。線状降水帯は直ちに南下する兆候は示していませんが、線状降水帯の幅が20km程度広がる可能性があるとしまして、この線状降水帯の広がりとともに大雨特別警報は福岡県と大分県に長崎県、現在発令されている三県に追加で熊本県と大分県に対しても追加し発令される可能性があるとのこと。

 防災の一般論としまして、特別警報発令下では土砂崩れや浸水が既に発生している可能性が極めて高いとしまして、声明を護るための最大級の警戒が必要であるとしています。特別警報を待つことなく、早め早めの避難行動をとる必要があります。なお、避難所によっては周辺が浸水し避難が不可能となる事もありますので、ハザードマップ確認が必要です。

 線状降水帯、そのメカニズムは3つの要素が重なる事で発生します。一つは前線付近に低気圧が発生している地域、もう一つは特に気象図の前線が不自然に折れ曲がっている地点、もう一つは等圧線が密集し風が強く吹いている地点、この3条件が揃った際に発生します。この地点では“湿舌”と呼ばれる気象が発生していまして線状降水帯が形成されてゆく。

 三要素が揃った地域は、海上で湿った風が発生し陸上の山等に湿った風が様々な方向から吹き付ける事で最初の積乱雲が形成されます、積乱雲は一万m規模のものまで育つのですが、積乱雲が形成されつつ前線が曲り動かない事で次の積乱雲が形成されても前の積乱雲が移動せず、積乱雲を構成する要素が継続し続ける。こうして異常な降水量が続くという。

 土砂災害警戒情報は、九州全ての県、高知県と広島県及び奈良県と長野県また静岡県にも発令されており、九州に集中している現在の土砂災害や氾濫被害ですが、今後は山陽地区や四国及び京阪神や東海地方などにおいても発生の懸念が大きく、気象庁によればこの豪雨は前線の停滞から明日一杯続くとのことですので、厳重な警戒を要するところです。

 避難。現在は既に暗く浸水が始まっている地域ではこの時間からの避難は避難所まで安全に到達できるのかを冷静に判断する必要があります、自宅や現在位置はどの程度浸水の危険があるのか、自治体がHP上に発表しているハザードマップを参考に洪水避難所と自宅の立地がどの程度危険なのかを把握、土砂災害や深層崩壊と避難の危険を検討する必要が。

 安全を確保する。危険な地域とは、氾濫危険のある河川や急激に増水する用水路等、土砂災害の起こり得る急傾斜地や崖及び山間部で崖から離れていた場合でも道路などで土砂災害が及ぶ地域、など。避難所まで移動する事が困難である場合は、低地よりは丘陵地、木造よりは鉄筋、可能ならば中層以上、避難所か親類知人宅、等へ退避する事が望ましい。

 情報は自分から直接現場を観たいところではありますが、用水路や河川に接近する事は危険です。そこで国土交通省河川事務所HPから現状を直接ライブカメラにより確認する方法があり、またNHKでは地上デジタル放送によりデータ放送が行われており、リモコンDボタンを操作する事で最新の降雨情報等を観る事が出来ます。避難前の貴重な情報といえる。

 洪水は河川沿いは勿論、河川以外にも用水路に大量の降雨が集まり思わぬところで氾濫する危険があります。そして河川以外に障害物の無い道路沿いに濁流が進み、身動きが取れなくなった後に道路沿いの住宅地等が冠水します。この為に避難するには水が通らない経路、そして高い建物か丘陵地を早い内に把握し準備する、パニックに陥らない事が肝要です。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
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【7D特報】C-130H輸送機から水陸両用の全地形車輌レッドサラマンダー(2016-03-13)

2020-07-05 20:20:29 | 詳報 陸海空自衛隊関連行事
■小牧航空祭の災害派遣展示
 南海トラフ地震や首都直下地震、日本ではいつ巨大災害が襲来するかが見通せない中で限られた予算ながら頼もしい装備があります。

 C-130H輸送機、四基のアリソンT-56エンジンが鋭い轟音を四重奏の如く響かせつつ基地エプロン地区に展開する、此処は航空自衛隊小牧基地、かつては夜間戦闘機部隊も展開し近傍に航空自衛隊最大の弾薬庫広がる立地は現在、輸送航空の一大拠点となっている。

 イラク塗装として名高い空色の輸送機が滑走路を越えて誘導路をこちらに向かう様子、この日は小牧基地航空祭、航空祭では近年、南海トラフ巨大地震の脅威が歴史地震の研究から政治的命題に昇華した事で、災害派遣展示が飛行展示と並び恒例の展示となっています。

 戦術輸送機として世界中に広く配備されるC-130、世界の防衛装備品はその寸法と重量の一つの基準が、C-130に搭載できるか否か、という。H型の貨物室は全長12.0mと幅3.13mに高さ2.81m、貨物搭載重量は20tまででして写真の通り特殊車両もそのまま搭載できる。

 ハーキュリースと愛称されるC-130,この名前はヘラクレスの英語読み。戦術輸送機としての最大の能力は写真の通りの太すぎる車輪がもたらす不整地運用能力の高さとともに操縦士の技量、整備、そしてカーゴマスターという機上貨物要員の高い練度の調和によるもの。

 KC-767空中給油機が離陸に向けてタキシングへと進む中を背景に、大きく開かれたC-130貨物扉より赤い車両がいままさに卸下の準備を開始しました、車体には総務省消防庁、そして岡崎市消防本部と明記されたもの。シンガポールのSTキネティクス製全地形車輌だ。

 ブロンコ全地形車輌、一見して二両降りてくるように見えますが、これは間接部を一つの車両に配置し急斜面や地隙を踏破する為の構造で、そして水陸両用の車体設計となっています、何処でも走れるという消防庁では“レッドサラマンダー”と愛称される車輌です。

 消防庁が一両だけ、東日本大震災を契機に導入した全地形車輌で、愛知県の中央部である岡崎市消防局に配備されている、この岡崎市に配備された背景には津波の第一波を避けつつ、しかし日本のほぼ中央部に配置する事で全国へ陸路や空路で緊急展開させるのは狙い。

 C-130H輸送機にも搭載できる、といいますか搭載していましたのは写真の通り。ブロンコ全地形車輌は全備重量15tで全長8.6mと車幅2.2m、全高2.3m、完全にC-130の貨物室に収まる。キャタピラー社製350hpエンジンにより陸上60km/hと水上4.5km/hで走る。

 ブロンコ全地形車輌、車体には運転士を含めて16名が乗車可能でして、前部車輛に運転士を含めて6名、後部車輛には10名分の座席が配置されています。水上航行は履帯の溝部分が水面を掻く事で前進しまして、海上沖合は波浪で進めませんが沿岸や浸水域では心強い。

 消防庁は過去にも特殊車両を配備していまして、一番意味不明はドイツ製ウニモグUR-416装甲車、兵員12名を輸送する装輪装甲車で東京消防庁に配備されました。別に怪獣などに備えたのではなく、耐熱消防車、過去には三宅島火山災害にも火砕流に備え派遣されています。

 全地形車輌、というものは世界では意外と一般的でスウェーデンのBV-206が有名で航空自衛隊もレーダーサイト輸送用に配備しています。目新しく見えますが全地形車輌そのものはスウェーデンがBV-202として1964年に開発、雪上車として世界中に輸出されました。

 スウェーデン製BvS-206装甲車にシンガポール軍では既に置換えられたブロンコですが、600両が配備されており、虎の子ではなく日々の便利に活用されています。災害の多い我が国でも消防と自衛隊とに問わず、全地形車輌というものはもっともっと配備されて良いように思います。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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南九州豪雨/熊本鹿児島豪雨災害-球磨川全域で氾濫発生,被害全容不明のまま次の降雨帯予報

2020-07-04 20:00:39 | 防災・災害派遣
■熊本-鹿児島に大雨特別警報
 南九州に昨夜から未明にかけ記録的豪雨が降り注ぎ、気象庁は未明に大雨特別警報を発令、現在は警報に切り替えられましたが河川氾濫が発生しています。

 九州熊本豪雨災害。球磨川が少なくとも七か所で氾濫し全域20か所において更なる氾濫の恐れがあるという。思い起こせば本日は七月初旬でして例年であれば富士学校祭が実施される季節です、そして思い出すのは2018年の富士学校祭前日に沼津にて第14旅団が上陸訓練を実施していましたが、西日本豪雨被害が四国に波及、縮小訓練が中止されています。

 西日本豪雨はその二日前、ロシア海軍ウダロイ級駆逐艦が舞鶴親善訪問の時点から小浜線全線運休となる等の不利はじめでして、実に二日間に渡り降りつづけました。九州熊本豪雨は現在小康状態となっていますが、今夜から再び降水帯が九州南部に差し掛かるとの予報が気象庁から示され、球磨川周辺では一時晴れ間が戻ったようですが予断を許しません。

 西日本豪雨災害から思い出すのは、止み間の小康状態があるのですが、次の降雨により晴れ間の最中に増水が本格化し、避難が必要だ、と考えた時にはボートかヘリコプターが無ければ避難できない状況になる、という事でしょうか。実際、西日本豪雨は、大変な豪雨だ、という事が認識された後数日間降雨が続きました、あの気象図と今の九州に共通点が。

 球磨川氾濫は上流、熊本県球磨村の渡の観測所では3日深夜から増水が始り4日0000時時点の水位が3m程度であったのが0300時に8mまで上がり、そのまま水位が0600時には11.8mまで上昇、深夜から早朝までの数時間で二階建ての屋根までの高さに等しい急激な水位の上昇が始り、そして早朝からこれらの水が下流域の水位上昇を引き起こしたという。

 熊本県の雨量は豪雨を引き起こす雲が連続する線状降水帯が掲載された為、、12時間雨量で、水俣市で415mm、湯前町の横谷で411.5mm、山江村で406.5mm、球磨村で396.5mm、あさぎり町で389mm、芦北町田浦で386.5mm、天草市牛深で385mm、多良木町で344.5mm、人吉市で340.5mmとのことで、いずれも12時間雨量としては過去最高となったとのこと。

 自衛隊への災害派遣要請は今朝0500時頃に球磨川周辺の孤立地域救助へ熊本県から防衛省へ出されていまして、陸上自衛隊はUH-60JA多用途ヘリコプターを投入し浸水地域の孤立者救助に当たっています。九州には海上自衛隊大村航空基地や鹿屋航空基地、航空自衛隊の新田原救難隊や芦屋救難隊等、ヘリコプターに余裕があり、人命救助に当たっています。

 西部方面隊は現在、かなりの人員と航空機や装備を有している、災害派遣を考える場合、これは僥倖といえるでしょう。UH-60JA多用途ヘリコプターが配備されていますし、なにより、AAV-7両用強襲車、自衛隊では水陸両用車と云われていますが、自衛隊が保有する全てのAAV-7が九州に配備されており、長期浸水の孤立救助の際には投入も可能でしょう。

 大雨特別警報解除。しかし概して河川増水は特別警報解除の後に氾濫へ至るものでして、気象警報に“特別警報”制度の運用が開始されて以降、大雨特別警報解除後に安心したところで河川氾濫が始り、避難所や避難先から戻った住民が水害に見舞われる、という事例があります。これは特別警報下での降り注いだ雨滴が河川に流れ込む時間差が原因という。

 洪水特別警報が必要ではないのか。大雨洪水警報は気象警報として運用されており、大雨特別警報という気象警報制度はありますが、洪水警報という単体の気象警報は存在しません、しかし上掲の通り大雨特別警報を引き起こす総雨量が河川氾濫に繋がるには時間差がありますので、新しく“洪水特別警報”という制度を新たに設定する必要はないでしょうか。

 九州熊本豪雨災害。予報を見る限りでは再度雨量が強くなる懸念がありまして、西日本豪雨災害のようにすでに増水や氾濫が発生している地域へ更に雨が降り注ぐことで長期化する懸念があります。そして大きな課題は、固定電話や携帯電話の通信障害等も含め、現在のところ被害範囲が大きく被害全容が把握できていない地域がある、という事でしょうか。

 今回の災害、いや被害全容が判明しないと共に次の降雨帯が迫っている状況では現在進行形の災害といえるのですけれども、災害対処を考える上で長年問題となってきた命題が、特に年々悪化している問題が臨界点を超えた部分まで、幾つか露呈しているように思います。次の災害に備えるという安易な表現ではありませんが、考えさせられる点を幾つも。

 RF-4戦術偵察機の除籍。過去に大規模災害が発生した際には、百里基地の偵察航空隊第501飛行隊のRF-4が被災地まで急速に展開し、写真偵察を実施していました。RF-4は立体写真撮影能力や広角から望遠まで様々な偵察器材を駆使し、また夜間偵察能力も有しています。しかし老朽化が進み、後継機開発が未経験企業により失敗、現在偵察機はありません。

 RQ-4グローバルホーク無人偵察機。実はRF-4偵察機の代替として高度1万9000mの航空から広範囲を情報収集し、リアルタイムで災害対策本部などに画像情報を提供する高性能無人機が導入される事となっていますが、まだ配備に至っていません。もっともRQ-4は濃密な雲の真下を見通すには限界がありまして、大規模災害の偵察機の問題が浮き彫りに。

 航空偵察は現在、陸上自衛隊のスキャンイーグル無人偵察機やFLIR前方赤外線監視装置と光学情報収集装置を有するUH-60JA多用途ヘリコプター、方面隊が装備していますUH-1J多用途ヘリコプター搭載の映像伝送装置、海上自衛隊P-1哨戒機のアイボールセンサー、かなり無理はありますが航空自衛隊F-15J戦闘機等の複座機に一眼レフを持ち込む、など。

 F-2戦闘機用偵察ポッド、こうしたものが必要ではないか。SHARP分割式戦術航空偵察ポッドシステム、アメリカ海軍ではF/A-18F戦闘攻撃機に搭載し運用しています。可視光と赤外線のカメラ六基と合成開口レーダーを一つのポッドに搭載したもので、空母航空団司令部などに連接するJSIPSデータリンクステーションにリアルタイムで情報伝送します。

 SHARP分割式戦術航空偵察ポッドシステム、こうしたものが必要だ、と考えるのは現在情報収集の手段は政府情報収集衛星はじめいくつか存在しますが、画像情報を必要とする地域を適宜判断するには専門の訓練が必要です。そしてF-2戦闘機の任務に対地攻撃が含まれていますが、現在のままでは戦果確認する手段が不充分、災害派遣以外でも必要といえる装備です。

 RF-15計画としまして、SHARP分割式戦術航空偵察ポッドシステム似たものを東芝が開発受注したのですが戦術偵察を理解せず開発した為に、偵察飛行の際に急激な温度変化でレンズが白濁し写真が撮影出来ないという致命的な問題が発覚し、制式化されませんでした。経験ある三菱電気あたりに開発を依頼する事も無く、偵察機後継が無視され、今日を迎えた。

 中国軍の九州沖縄侵攻脅威が顕在化する現在、不幸中の幸い、というところでしょうか、北熊本駐屯地の第8師団には隷下に第8情報隊が置かれており、この部隊がスキャンイーグル無人偵察機を装備しているほか、2009年奄美豪雨への反省から航空機強化を師団が強く要請した事で、師団の第8飛行隊にはUH-60JA多用途ヘリコプターが装備されています。

 OH-6D観測ヘリコプターの廃止。過去に災害が発生した際には全国の自衛隊飛行隊、26個の飛行隊に薄く広く配備されていたOH-6Dが即座に離陸し、生の情報を収集していましたが、こちらも今年三月までに全廃されました。ただ、スキャンイーグル、一見小型で心細いですが一機当たりの費用はOH-6Dと同程度であり、活用出来れば情報収集に寄与する。

 スキャンイーグル無人偵察機については、投入は難しいでしょう。先日、イージスアショア弾道ミサイル防衛システムが迎撃ミサイルスタンダードSM-3のブースタ部分落下時に確実に安全を確保出来ない事から配備計画が撤回されましたが、スキャンイーグルも墜落リスクは少なからずあり、災害派遣での人命救助よりも安全が優先されるかもしれません。

 無人機。東日本大震災でも被災地を担当する第6師団には携帯式無人機が配備されていたのですが、投入されていません。航空法の手続きや万一の際の墜落を危惧した等、いろいろな視点が挙げられていますが、もちろんリスクはある一方、飛ばさない事で被害把握が遅れるというリスク、減点を恐れる日本型思考が貴重な装備を活用できない懸念があります。

 災害派遣用無人機として、フランス製のANAFIが自衛隊には多数配備されています、こちらはドローン資格を有する隊員が飛行させる、現在の航空法に適合した装備です。恐らくこの装備は今回大量投入されることとなるでしょう。しかし、ANAFIではOH-6のような広範囲の情報収集は流石にできません、市街地でもスキャンイーグルを飛行できる制度と法改正が必要だ。

 V-22可動翼輸送機。もう少し自衛隊のV-22配備が早期に実現していたならば、今回の災害派遣に際してより迅速な孤立地域救助が可能であったかもしれません。こういいますのもアメリカ海兵隊のMV-22可動翼機運用を観ていますと、危険な機体との誤解はあるが台風災害豪雨災害に対しこのMV-22という機種は非常に強い飛行性能を有しているのですね。

 伊豆大島土砂災害。2013年10月16日に台風26号の瀬金により伊豆大島にて大規模な土砂災害が発生し死者36名行方不明者3名という大被害を出しました、あの日は湖西線が運休になった事を覚えているのですが、併せてあの日は滋賀県饗庭野演習場で実施されました、日本国内での日米合同演習において初めてMV-22が投入された日だったのですね。

 台風26号の影響で豪雨により湖西線が止まり、自称地元民の反対デモも湖西線運休で京都駅足止めとなっていたという話を後に聞きまして、かなりの強風と最悪の視界不良ではありましたが、MV-22は二機編隊で岩国航空基地から長躯饗庭野演習場に展開し空中機動訓練を報道公開しています。あの悪天候で飛べる航空機、強烈な印象を叩きつけられました。

 自衛隊のV-22は現在2機が岩国航空基地に搬入され、6日に最初の機体が木更津駐屯地へ展開し、暫定配備が開始される事となっています。V-22は今回の豪雨災害でも充分飛行可能であるとともに、岩国から饗庭野まで飛行し往復した事を考えれば、部隊運用が可能である状態ならば、岩国航空基地から熊本球磨川周辺水害地域まで即座に展開できましょう。

 しかし、なんといいましても留意しなければならないのは現在進行形の災害です。NHK報道によれば既に1名が亡くなり、15名が心肺停止状態、1名が重体で、現在分っているだけでも9名の方が行方不明、しかも、人吉市など広範囲が浸水している地域もある中で次の降雨の予報が出ています。人命を守るための行動が、まさに必要とされている現在です。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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令和二年度七月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2020.07.04-07.05)

2020-07-03 20:00:49 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
 ブルーベリーの収穫期、そして緊急事態宣言解除から六週間、再度燻りが発火点に達しようとしているCOVID-19報道が読み取れる最中ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

 今週末も自衛隊関連行事は行われません、新型コロナウィルスCOVID-19感染症の世界的流行禍さえなければ、今週末は富士学校祭が執り行われている季節でしたが、先日富士学校校長より、昨今の感染状況が予断を許さないとしまして、残念ながら今年度の行事一般公開を中止する旨の発表がありました。そして中止、こればかりは仕方がありません。

 東京での100名規模の感染拡大、予断を許しません。いや前回の国家緊急事態宣言の頃と異なり検査件数が増えての100名確認であり、陽性率は依然として低いのだ、予断を許さない状況にこうした反論はありました。しかし、100名は100名、という事実であり、一時は数名まで縮小した状況よりは今は寧ろ安全だ、とは言い切れないように思うのです。

 世界的流行禍。やはりまだ感染拡大期にありまして、しかも最初の感染爆発の爆心地中国では、COVID-19は呼吸器系感染症が一段落する筈の高温多湿環境においても、感染が沈静化する要素が今のところ見つからない、という厳しい研究結果が発表されていまして、第二波への警戒というよりは、第一波さえもまだその頂点が来ていない懸念があるのです。

 COVID-19後遺症問題。豪州では海軍のダイバーが肺を損傷し完治後も潜水作業に復帰できない、世界でもBBCやロイターにAFPやCNN等で報じられる問題ですが、NHKでも早い時期から報じられ、そして今月に入り改めて陰性となった後の退院後にも症状が続き頭痛や倦怠感と呼吸困難、これが長期間続いており先が見えない、こうした問題が報道に。

 新型肺炎と呼ばれたCOVID-19が新型コロナウィルス感染症と報道での名称が変化していますが、肺炎は一要素に過ぎず全身の免疫系が過剰反応するサイトカイン炎症という問題もありますし、BBC報道ではCOVID-19の完治の後に脳血栓や脳溢血等、COVID-19により血液の粘性が高まり、血栓が脳の血行に生命に悪影響を及ぼす後遺症等が示されている。

 感染しない事、結局のところは此処に尽きるのかもしれません。COVID-19は呼吸器粘膜や網膜等の粘膜に付着する事で感染します、従ってN-95マスクとゴーグルにより呼吸器と眼球を防護する事でかなり確実に感染を回避できます。しかし、通常のマスクだけでは呼吸器への完全なウィルス付着遮断は望めないのですね。感染者が拡げない効果は多少、と。

 N-95マスクは軍用ガスマスク程ではないが確実に装着すると呼吸は三時間程度が限度という、着脱の瞬間に隙間の消毒が不充分であればそこからウィルスは進入する、ウィルスが付着した手や手袋で目がかゆいとして擦れば網膜から感染する。もちろん通常の不織布マスクは鼻元や唇との間に1mm程度の隙間が生じれば、ここからも普通に侵入して来ます。

 社会的距離に留意していたしマスクもしっかり着用し手洗いもしっかり行っていたのに、こうした感染者の方の声は報道などで広く紹介されるところですが、結局、ウィルスは閉鎖空間では数時間残留する、樹脂や金属表面に付着したウィルスが手を通して感染する、運動などの激しい呼吸では後方10mまではリスク、これらのリスクは全て回避したのか。

 陽圧服、これが入手できずとも軍用化学防護服を着用し、着脱時は消毒液で除染しウィルス無力化まで十分間は着脱しない、変な話、完全に対策を採るというのはCOVID-19の場合はここまで行わなければリスクはあるのでして、一般に執り得る対策というのは、感染リスクをある程度は下げている、という程度に過ぎない、こうした視点が必要でしょう。

 完全なコロナ対策は出来ない、可能なのは最大限人との接触や、COVID-19コロナウィルスが残留する公共空間へのアクセスを絶つ事でして、しかし、普通に仕事をするには難しいという反論はあるでしょうが、実際その通りなのでして、だからこそ、余暇や休日については、慎重にあるべきなのかもしれません。感染した後では、文字通り、後の祭り、だ。

■駐屯地祭・基地祭・航空祭

・今週末の行事なし

■注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
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香港国家安全維持法成立-即日施行360名拘束,懸念される新しい”竹のカーテン”ドミノ崩壊

2020-07-02 20:03:51 | 国際・政治
■香港から台湾そして九州沖縄
 香港国家安全維持法が北東アジア情勢へそして世界規模へ意図しない大きな影響を及ぼす懸念があります。

 平和憲法を愛し専守防衛を防衛の大前提とします我が国、しかし、我が国周辺情勢を見ていますと、好むと好まざるとに関わらず徐々に外堀を埋められているように思えるのです。香港国家安全維持法は北京の全人代で立法され、即日香港に適用、こうして2047年まで続く一国二制度は終焉を迎え、更にこの影響は沖縄県に隣接の台湾へ影響しようとしている。

 あなたも逮捕される可能性が充分あります香港国家安全維持法、条文の訳文を見ますとかなり滅茶苦茶な内容でして、驚いたのは周知期間無しに即日適用開始され香港では360名が身柄拘束され、内10名が逮捕されました、法律では逮捕者の裁判は中国本土で行われます。しかし日本から見ていますと対岸の火事に見えますが、必ずしもそうと言い切れない。

 香港国家安全維持法。中国が立法したものである為に多少の非常識は差し引いて考えるべきとも思いましたが、あれが中国にとっての普通ならば1915年の対華二十一箇条要求等は全く普通の様なものに思えて来る程に非常識であり、管轄権という概念を理解していない立法措置としか思えません。専守防衛の我が国であっても、今後の隣国関係が憂慮される。

 香港国家安全維持法。邦訳しますと、第九条“香港政府は中国国家の安全を維持する為学校-団体-マスメディア-インターネットに対して宣伝指導管理監視の体制強化措置を採る”とした上で二〇条に“国家の分裂や統一を妨害する行為の計画-実施-参加は行動を伴わない場合でも犯罪行為とする”としており、具体的に何が違法行為であるか明示していません。

 香港国家安全維持法の非常識は二一条“如何なる人が二〇条に違反する行為を行う他人を煽動-幇助-教唆する事も判事とする”としてWebで声援を外国人が送る事さえも違法化、第三八条に“香港に居住していない人であっても香港に対し本法に反する行為を行った場合は本法が適用される”として地球上の全人類を領域内外問わず管轄権を主張しています。

 報道では香港での企業家や香港企業の外国人などからは皇位的な反応を紹介していますが、当たり前なのですが、ここでこの法律に憂慮する、と外国報道機関に発言する事で逮捕される事となりますので、歓迎している、という言葉以外違法になる状況下での取材などは意味が無いのです、香港御言論の自由は一挙に北朝鮮の平壌並に縛られてしまったという。

 イギリスのジョンソン首相は7月1日、香港市民300万名に対してイギリス旅券を発行しイギリス永住権申請を可能とする方針を明らかにしました、BNOイギリス海外市民旅券申請権利を持つ香港返還前の1997年7月1日以前の出生者が対象で、BNOを持つ香港市民は35万名居るとの事ですが、新たに300万名が申請するならば無条件で発行するとのこと。

 イギリスと中国の対立が激化する可能性があります、流石に国交断交という事実上の戦争状態までは進まないと考えますが、香港国家安全維持法をイギリス海外市民へ適用しようとした際に毎回イギリス領事館が関与する、毎回摩擦が生じるのです。しかし、影響はそれだけに留まるのでしょうか。最も懸念するのは台湾海峡への影響の波及という視点だ。

 台湾への影響が心配される。いや沖縄県の対岸への影響が大きくなる、と表現すべきでしょうか。一国二制度に基づく高度な自治、こうしたものを少なくとも50年間は維持するというのが1997年の香港返還に際しての中国政府のイギリスへ提示した条件であり、各国の懸念に対する中国による回答でした、当時はまだあの天安門事件から八年という時代です。

 香港での異国に制度が担保されないのであれば、中国と台湾が統合する際の一国二制度というものも担保出来ない可能性がある、これは言い換えれば台湾から中国へ政治統合に歩み寄るには限りなく厳しい政治的障壁が生じた事になり、いわば香港を通じて台湾海峡に鉄のカーテン、いや、竹のカーテン、引き下ろされたこと成るでしょう。その意味とは。

 台湾海峡の緊張。香港での一国二制度崩壊を目の当たりとした台湾が中国との政治統合に一線を引く事で、台湾海峡を人民解放軍が独力で越えての台湾武力統合、こうした懸念が、こういうよりも、武力統合でも行わない限り中国が台湾の統合を果たせない状況を自ら醸成している状況となります。無期限統合棚上げを行わない限り、緊張は緩和されません。

 中国が沖縄県の尖閣諸島へ及ぼす強力な圧力は、在沖米軍と台湾の中間点に尖閣諸島が存在する点も大きく、台湾海峡が緊張を高めると共に必然的に沖縄県への軍事圧力が高まり、これは同時に既に現実となっている西日本沖への中国ミサイル爆撃機飛来など、日本全土へ及ぶ影響として顕在化するのです。香港で最初のドミノが、倒されたのかもしれません。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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