テレビであやめの花が、鹿に食べられる被害を知ったが、サンテグジェペリの星の王子様に出てくる羊も花を食べる。
サンテグジェペリの星の王子様で一番引かれるキャラクターは、星の王子様が愛する、4つのトゲを持った花(薔薇)である。
ぼくの花ははかないんだと王子は考えた。世界から身を守るために、たった4本のトゲしか持っていない!(集英社文庫 サンテグジュペリ著 池澤夏樹訳80ページより)
薔薇の花とトゲ。いつもこの不思議な矛盾に興味を覚える。花がひきつける愛や魂を象徴するのに対し、トゲは拒絶する強い意志を感じさせる。
トゲは拒絶する強い意志あるいは殺意のような負のエネルギーまで感じさせる。しかし生きていくことを選択していくには、こうした意志も必要なのである。
先日亡くなられたこころの優しいAさんは、若いころ食に関する学問を学んだという。
生きているモノを殺し食べていく人間は、本質的にどこかで罪を犯している。長い歴史を持つすべての伝統宗教が、食に関して教義をもつのも不思議でない。逆に食に関して感受性を失った文明は異常である。
生きていることはどこかで罪を犯しているという、原始の世界から人間がもっていた感受性。Aさんから、私は学んだように思う。
トゲの代償として、生きて美しい花を咲かせる薔薇。
私たちのいのちは不思議なバランスの中で息づいているのだ!
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