物理と数学:老人のつぶやき

物理とか数学とかに関した、気ままな話題とか日常の生活で思ったことや感じたこと、自分がおもしろく思ったことを綴る。

某書の評判

2007-03-10 12:22:49 | 物理学

某書が電磁気学について分かりやすく書いてあるとのamazon.comでの多くの人の書評だったので、あわてて近くの書店に買いに出かけた。買って帰ってちらっと見た分にはどうも評判ほどではないような気がするが、これは非専門家と専門家との感想の違いなのだろうか。

もっとも私が電磁気学の専門家というわけではないので、もっと暇なときにゆっくり見たらいいのかもしれない。しかし、少なくともいつか書店で実物を手にとって見たことがあったと思うが、そのときには購入するほどの本ではないという判断をしていたのだと思う。

人は書店で本を見てどういうことからそれを購入する気になるのだろう。これは本を書く人にとっては重要な問題である。買って帰ってよく見るとどうもそれほどでなかったということもあれば、買ったときにはとりあえずということだったのにいい本だったということもあるだろう。

あまり注目されない本の中に意外に大事なことがことが書いてあったりして、そういう本が私の種本になっていたりする。もちろん私のもっている問題意識に合致するという意味でだが、そのどれもが名著などとは言われていない。もっとも誰が見ても名著もある。たとえば朝永の『量子力学』(みすず書房)や高木貞治の『解析概論』(岩波書店)はそれに当たるだろう。

私もある本を出版したが、市場で売れたのは200冊足らず。もっとも書店にほとんど出回っていないから、一般の人の目には留まらないのであろう。

吉田武の『オイラーの贈り物』(海鳴社)の3万部はそういう意味からはすごい。超ベストセラーであろう。もっとも著者が儲かったどうかはわからない。著者と出版社との間でいざこざがあったようにも思われる。だから絶版になった。だが、この本の出版によって吉田武氏は有名になったから、それはそれでいいのかもしれない。いまは筑摩書房からこの本は文庫で出版されているが、やはり大きな活字でゆっくりと読みたいものだ。